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プロローグは 大切らしい

あえてプロローグを最初に語らない。これって面白くない? (by星宮)

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 少しだけ時は遡り……

 4月8日 
今日で俺たちは、2年生に進級する。
 俺が通っている私立穂枝ほのえ学園は、まず文系コースと理系コース、最後に芸術系コースがあり、文系コースが1~3組、理系コースが4~6組、芸術系コースが7,8組となっている。
 俺は、文系コースだから1~3組のはずなので掲示板に張り出されている1組の名簿から眺めていく。

「えーっと……俺のクラスは……2組か」
「え!?私も2組なんだ!これからよろしくね。えっと、確か……」

 俺が掲示板で自分のクラスを確認していたら、隣に立っていた金髪の女子生徒が話しかけてきた。
 うちの高校に金髪の女子生徒はあまり多くない。恐らくこの女子生徒は、校内1の有名人天城花恋だろう。
 噂には、聞いていたが天城さんは想像以上に可愛いかった。

「あっ、俺は御神七々夜みかみ ななやって名前で…これからよろしくな。天城さんだよね?」
「うん!よろしくね御神くん」

 天城さんは、そう言って手を差し出してくる。少し気恥ずかしかったが俺も手を前に出して、天城さんと握手を交わした。




「そう言えば、御神くんってサッカー上手だったよね。なんでサッカー部に入らなかったの?」

 一緒に教室に向かっていると、天城さんが質問してきた。

「実は、中学校最後の大会で膝を怪我しちゃって、もうサッカー出来ないから……ん?よく俺がサッカーしてたって知ってるな」
「私、中学のときサッカー部のマネージャーしてたから少し知ってたんだけど、ごめんね。怪我したこと知らなくて……」
「それは別に、いいよ。今でも遊ぶくらいならサッカーできるし、うちの高校サッカー部強いからそもそも、入ってないかもしれないし」

 すると、天城さんが突然チョップをしてきた。頭にポンッと軽く当たっただけで全然痛くない、というかムズ痒いくらいだ。

「御神くんは、絶対サッカー部に入ってエースになってたよ!私が保証してあげる!」

 天城さんは、得意気な顔をして腰に手を当てている。

「それは、有り難いな。ん?そう言えば、天城さんはどうしてサッカー部のマネージャーしてないんだ?」

 確か、前にサッカー部を覗きに行ったときは天城さんの姿を見ていないが。

「えっ!?……えっと、それは……」

 俺が聞くと、さっきまでとはうって変わり天城さんは、顔を赤くして、かなり慌てたようすで手をパタパタと顔の前で振っている。

「えっと……そう!私、サッカーも好きだけど、アニメも好きだから高校では、家に帰ってアニメ見たりゲームをしたりすることにしたの!」
「そ、そうなんだ……」
「もしもで言えば、御神くんはサッカー部のエースで、私はマネージャーをしていて、二人は付き合ったり~なんてね!」

 天城さんは、エヘヘと言って笑っている。
 学校の男子どもが彼女のことを好きになるのは、仕方がないのかもしれない。今の天城さんの笑顔は反則に可愛かった。
 天城さんの笑顔を思い浮かべると、心臓がドキドキして鳴り止まない。何だか胸も苦しいし、天城さんの顔をまともに見れない。
 もしかして、これが一目惚れってやつなのか……

「御神くん?どうしたの急に立ち止まって?」

 天城さんが首を傾げながら聞いてくる。

「いや、何でもない。それに同じ部活に入ってるだけで付き合うなんて、そんなマンガみたいなこと……」

 ……まてよ。この前、父さんが

『違うんだ母さん!男には、罠と分かっていても行かなければならないときがあるんだ!』

 って言ってたなぁ。……って、違う!これは、母さんに浮気がバレたときの言い訳だった。

『昔は、あり得なかったが今は、マンガみたいな恋をする若者が多いらしいなぁ……全く羨まけしからん!』

 確か、こんなことを言っていたはずだ。つまり、オタクがモテるのは、そういうマンガみたいな恋愛の知識が豊富だからなのかも知れない。只でさえモテるのに、なんて恐ろしいんだ。オタク…… 

「俺、決めた……」
「えっと何を?」
「俺、最強のオタクになる!」
「え、えぇ~~~!!!」

 そうだ。最強のオタクになれれば、天城さんも俺のことを好きになってくれるかもしれない。

「それじゃあ、ちょっと行ってくる」 
「行くってもしかして……」
「ああ!オタク四天王に会って弟子入りしてくる!」

 そうと決まれば、早速オタク四天王を探さないと。俺は、オタク四天王がいそうな屋上に向かって走り出す。

「待って御神くん!もうホームルーム始まっちゃうよ~!」

 天城さんが後ろの方から何か叫んでいるがよく聞こえなかった。まあ、後で聞けばいっか。

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