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第七章 アイリス六歳
閑話 サファイアの恋
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エルレーン公国公立学院、魔法実践科。別名を魔導士養成所と呼ばれる建物の一角に『病院』がある。
ちなみにこの国では同じ大陸内になる他の国に比較すれば医療技術が発達しているほうである。
「おっはよーございますぅ課長! ……な~んちゃって」
ことさらに明るい声をあげ、サファイア=リドラ・フェイは、病室のドアを開けた。
「お変わりないですか杉村課長。なさそうですねぇ」
個室である。他の人物が居ないことは確認ずみだ。
仲間の魔法使いの『目』と『耳』も入ってこられないように措置を講じてある。
だから、この静かな病室には、リドラと、この部屋に入院している一人の患者だけだ。
ルビー=ティーレ・カールソン。
ルビーはカルナックの護衛であるという役職名、カールソンは通称、つまり偽名であり、本名はもう少し長く、ティーレ・フィンデンボルグ・トリグバセン。
大陸最北端の地に住む、武勇に重きを置くガルガンド氏族国の中でも、プラチナブロンドに淡い色の目という特徴を持つ、精霊枝族セ・エレメンティアの出身だ。
前世の記憶を持つ先祖還りであることは、周囲にいる片手で数えられるほどの人間しか知らない。
彼女の前世は東京の営業ウーマンだった、杉村操子(すぎむらそうこ)。恋愛にうとく、脳筋なのは前世でも今生でも変わらない。
ルビー=ティーレは死んだようにベッドに横たわっていた。
ラゼル家の事件は、一人娘アイリスのお披露目会の夜に起こった。
先代当主であったヒューゴー老が、招きもされていないのに押しかけて騒いだ。
そればかりか、輸入を厳しく禁じられているサウダージからの密輸品を持ち込んでいたのだ。
もともとヒューゴー老人は強引な商売手法で売り込み、他の紹介問題が絶えなかった。
真面目で実直な息子マウリシオはヒューゴーに危機感を募らせた。
に見限られた。当主の代替わりと引退させられたことを恨んで、館に爆薬を仕掛けて爆発させた。息子夫婦及び孫を殺そうと図ったのである。
だが手筈が狂い、現場となった大広間で、ヒューゴー老人は自らが仕掛けた爆弾にやられ、もの言わぬ死体となって転がっていた。
マウリシオとアリアーナ夫妻は重体。
当主の弟で、魔導士協会に属し、学院の大学院に通っているエステリオ・アウルは、魔導士協会から派遣されていた仲間の魔法使いと共に倒れて、意識不明となっていた。
助かったのは師匠であるカルナックと数名の護衛に守られた一人娘アイリスだけ。
そして、お披露目会のために招待されていた客、百名もまた爆発に巻き込まれたのだった。
重傷者も多かったが、すでにカルナックによる大規模な魔法で癒されており、事件後に駆け付けた魔導師と大公の命令で派遣された警察の手によって全員が病院に運ばれた。
事件後、ひと月経過した今では、すべての招待客は通常生活を送れるまでに回復し退院していた。
ただ、セラニス・アレム・ダルが、ラゼル家の引退した先代ヒューゴー老をそそのかして仕掛けさせていた床下の『円環呪』が起動して、会場に居合わせた全ての人間の生命力を奪っているのを知りながら向かっていった、コマラパ老師、ティーレ、エルナトは別だ。
もともとの保有する魔力が膨大であるのに、それを『円環呪』で根こそぎ奪われた。
一般人が持つ魔力の量を、たとばコップ一杯分だとする。ティーレの持つ保有魔力は、比較すると百人が浸かれるくらいの大浴場に湯を一杯に満たすに等しい。
だから、元の状態にまで回復するためには、かなりの時間が必要だった。
自分で喉を突いたエステリオ・アウルとは違って、魔力さえ満たせれば目が覚めると、サファイア=リドラはカルナック師匠から聞いてはいたが。
ルビー=ティーレが身動きもせずに昏睡しているさまを見れば、サファイア=リドラの不安がつのるばかり。
「早く元気になって、また、うんと叱り飛ばしてくださいよ」
サファイアはベッドサイドに置かれた椅子に腰掛けた。
「あの怒鳴り声、一日一回は聞かないと、調子狂っちゃうんで。ねえ、課長」
ルビー・ティーレは前世の役職や名前で呼ばれるのを嫌う。
もっとも彼女の前世を詳細に知る者は、サファイア=リドラただ一人。
「やめてくださいよ……駐車場であなたが刺されて倒れてたのを、思い出しちまうじゃないですか」
サファイア=リドラの目に涙が浮かんでくる。
「また、先に死なないでください……」
ルビー=ティーレのベッドに顔を埋めて、つぶやいた。
「あのとき……課長を刺し殺した変質クソ野郎が、警察に捕まるのを待ってられなくて。探偵に依頼して居所を突き止めて、殺すつもりで行ったんです。残念ながら、犯罪者ばかり殺して回ってたやつに先を越されちゃいましたけどね。でなきゃ自分、とどめをさしてたですよ」
物騒なことを告白し始める。
誰も聞いていないだろうと、独り言である。
「捕まって裁判にかかる? 刑務所? 課長は死んでるのになんでヤツがしばらくの間でも生きる権利があるんですか。我慢できなかったんです!」
「……おまえ、そんなに危ないヤツだったのか」
眠っていたはずのルビー=ティーレの声がして、リドラは弾かれたように顔を上げた。
「……か、かちょう?」
「せっかく寝てるのに起こしに来て。疲れたまってて眠いわ」
「課長が生きてる! 課長課長課長! もう先に死なないでくださいよぉ!」
泣きながらリドラはティーレに抱きついた。
「泣くな! あたしは生きてるだろ? 今度も、助けてくれたんだろ? ありがとうな。あんたはやっぱり、いい部下だったよ」
「課長~!」
リドラは感激して涙ながらにティーレを抱きしめ、顔をすり寄せる。
「やめろ律! 顔近い! 近いったら! しかもハアハア言うな! あたしは、あんた好みの渋いおっさんじゃないんだからな!」
「ん~。好みの傾向はおじさんですけど。でも、個人として好きなのは、課長で……いや、ティーレなんで」
「はあ!? いきなり何だ! 事件でおかしくなったのか?」
ティーレは思わず、リドラから距離をとった。
ベッドの端に逃げたのである。
「違います! 前から好きだったんです。前世から。それに、今生でも」
「それまるっきりエステリオ・アウルじゃん」
「エステリオ・アウルの苦しい気持ち、よくわかる! 課長ってば昔は熟女だったのに今はこんなに可愛い少女で、もう、もうどうしたらいいのか!」
すがりつくリドラの頭が、すぱーん! と音を立てて叩かれた。
「うるさいわ! 誰が熟女だ! 感激して損した! コンビ解消だっ!」
「え~!?」
驚きの目で見上げるリドラ。
「あたしを恋愛対象として見るやつと仕事できるかボケ!」
「そんなあ。考え直してくださいよ課長!。自分が一番、あなたのことよくわかってるんですから!」
「恋愛なんてする気はない。とにかくコンビ解消だから! あ~、さぶいぼ立つわ! 早くお師匠に言おう……」
寒気がするように肩や腕をさすって身震いするティーレであった。
「ひどい! 課長! 女心をもてあそぶんですか~」
「都合の良いときだけ女って言うな!」
「今はおじさん好きでも普通だし。いや正直、男性になってもいいとは思ってますけど。せっかく、この世界には性が三つあるわけだし。ティーレは自分の性別ちゃんとわかってます?」
余談だがリドラの言うように、この世界には男性、女性のほかに『精霊の思し召し』と呼ばれる第三の性別がある。地球で言えばアンドロギュヌスなのである。
「あたしはノーマルだ。好みの指向はどっちかって言うと女性の方が好きだけど」
個人的な恋愛指向を問われて、応える義務などないのだが、ティーレはしっかり応えてしまうのだった。
「じゃあ、恋の相手はわたしでもいいじゃないですか」
「よくねーわ! おまえは心の中身が男だろ……それに、知ってるんだからな。おまえ、カルナック師匠にも恋してるだろ! どっちが先だよ!」
「あれ? もしかして、やきもち……やいてくれてます?」
「うるさいわ! たとえ師匠に、またコンビ組めって言われても、絶対に、恋愛はNGだ!」
ちなみにこの国では同じ大陸内になる他の国に比較すれば医療技術が発達しているほうである。
「おっはよーございますぅ課長! ……な~んちゃって」
ことさらに明るい声をあげ、サファイア=リドラ・フェイは、病室のドアを開けた。
「お変わりないですか杉村課長。なさそうですねぇ」
個室である。他の人物が居ないことは確認ずみだ。
仲間の魔法使いの『目』と『耳』も入ってこられないように措置を講じてある。
だから、この静かな病室には、リドラと、この部屋に入院している一人の患者だけだ。
ルビー=ティーレ・カールソン。
ルビーはカルナックの護衛であるという役職名、カールソンは通称、つまり偽名であり、本名はもう少し長く、ティーレ・フィンデンボルグ・トリグバセン。
大陸最北端の地に住む、武勇に重きを置くガルガンド氏族国の中でも、プラチナブロンドに淡い色の目という特徴を持つ、精霊枝族セ・エレメンティアの出身だ。
前世の記憶を持つ先祖還りであることは、周囲にいる片手で数えられるほどの人間しか知らない。
彼女の前世は東京の営業ウーマンだった、杉村操子(すぎむらそうこ)。恋愛にうとく、脳筋なのは前世でも今生でも変わらない。
ルビー=ティーレは死んだようにベッドに横たわっていた。
ラゼル家の事件は、一人娘アイリスのお披露目会の夜に起こった。
先代当主であったヒューゴー老が、招きもされていないのに押しかけて騒いだ。
そればかりか、輸入を厳しく禁じられているサウダージからの密輸品を持ち込んでいたのだ。
もともとヒューゴー老人は強引な商売手法で売り込み、他の紹介問題が絶えなかった。
真面目で実直な息子マウリシオはヒューゴーに危機感を募らせた。
に見限られた。当主の代替わりと引退させられたことを恨んで、館に爆薬を仕掛けて爆発させた。息子夫婦及び孫を殺そうと図ったのである。
だが手筈が狂い、現場となった大広間で、ヒューゴー老人は自らが仕掛けた爆弾にやられ、もの言わぬ死体となって転がっていた。
マウリシオとアリアーナ夫妻は重体。
当主の弟で、魔導士協会に属し、学院の大学院に通っているエステリオ・アウルは、魔導士協会から派遣されていた仲間の魔法使いと共に倒れて、意識不明となっていた。
助かったのは師匠であるカルナックと数名の護衛に守られた一人娘アイリスだけ。
そして、お披露目会のために招待されていた客、百名もまた爆発に巻き込まれたのだった。
重傷者も多かったが、すでにカルナックによる大規模な魔法で癒されており、事件後に駆け付けた魔導師と大公の命令で派遣された警察の手によって全員が病院に運ばれた。
事件後、ひと月経過した今では、すべての招待客は通常生活を送れるまでに回復し退院していた。
ただ、セラニス・アレム・ダルが、ラゼル家の引退した先代ヒューゴー老をそそのかして仕掛けさせていた床下の『円環呪』が起動して、会場に居合わせた全ての人間の生命力を奪っているのを知りながら向かっていった、コマラパ老師、ティーレ、エルナトは別だ。
もともとの保有する魔力が膨大であるのに、それを『円環呪』で根こそぎ奪われた。
一般人が持つ魔力の量を、たとばコップ一杯分だとする。ティーレの持つ保有魔力は、比較すると百人が浸かれるくらいの大浴場に湯を一杯に満たすに等しい。
だから、元の状態にまで回復するためには、かなりの時間が必要だった。
自分で喉を突いたエステリオ・アウルとは違って、魔力さえ満たせれば目が覚めると、サファイア=リドラはカルナック師匠から聞いてはいたが。
ルビー=ティーレが身動きもせずに昏睡しているさまを見れば、サファイア=リドラの不安がつのるばかり。
「早く元気になって、また、うんと叱り飛ばしてくださいよ」
サファイアはベッドサイドに置かれた椅子に腰掛けた。
「あの怒鳴り声、一日一回は聞かないと、調子狂っちゃうんで。ねえ、課長」
ルビー・ティーレは前世の役職や名前で呼ばれるのを嫌う。
もっとも彼女の前世を詳細に知る者は、サファイア=リドラただ一人。
「やめてくださいよ……駐車場であなたが刺されて倒れてたのを、思い出しちまうじゃないですか」
サファイア=リドラの目に涙が浮かんでくる。
「また、先に死なないでください……」
ルビー=ティーレのベッドに顔を埋めて、つぶやいた。
「あのとき……課長を刺し殺した変質クソ野郎が、警察に捕まるのを待ってられなくて。探偵に依頼して居所を突き止めて、殺すつもりで行ったんです。残念ながら、犯罪者ばかり殺して回ってたやつに先を越されちゃいましたけどね。でなきゃ自分、とどめをさしてたですよ」
物騒なことを告白し始める。
誰も聞いていないだろうと、独り言である。
「捕まって裁判にかかる? 刑務所? 課長は死んでるのになんでヤツがしばらくの間でも生きる権利があるんですか。我慢できなかったんです!」
「……おまえ、そんなに危ないヤツだったのか」
眠っていたはずのルビー=ティーレの声がして、リドラは弾かれたように顔を上げた。
「……か、かちょう?」
「せっかく寝てるのに起こしに来て。疲れたまってて眠いわ」
「課長が生きてる! 課長課長課長! もう先に死なないでくださいよぉ!」
泣きながらリドラはティーレに抱きついた。
「泣くな! あたしは生きてるだろ? 今度も、助けてくれたんだろ? ありがとうな。あんたはやっぱり、いい部下だったよ」
「課長~!」
リドラは感激して涙ながらにティーレを抱きしめ、顔をすり寄せる。
「やめろ律! 顔近い! 近いったら! しかもハアハア言うな! あたしは、あんた好みの渋いおっさんじゃないんだからな!」
「ん~。好みの傾向はおじさんですけど。でも、個人として好きなのは、課長で……いや、ティーレなんで」
「はあ!? いきなり何だ! 事件でおかしくなったのか?」
ティーレは思わず、リドラから距離をとった。
ベッドの端に逃げたのである。
「違います! 前から好きだったんです。前世から。それに、今生でも」
「それまるっきりエステリオ・アウルじゃん」
「エステリオ・アウルの苦しい気持ち、よくわかる! 課長ってば昔は熟女だったのに今はこんなに可愛い少女で、もう、もうどうしたらいいのか!」
すがりつくリドラの頭が、すぱーん! と音を立てて叩かれた。
「うるさいわ! 誰が熟女だ! 感激して損した! コンビ解消だっ!」
「え~!?」
驚きの目で見上げるリドラ。
「あたしを恋愛対象として見るやつと仕事できるかボケ!」
「そんなあ。考え直してくださいよ課長!。自分が一番、あなたのことよくわかってるんですから!」
「恋愛なんてする気はない。とにかくコンビ解消だから! あ~、さぶいぼ立つわ! 早くお師匠に言おう……」
寒気がするように肩や腕をさすって身震いするティーレであった。
「ひどい! 課長! 女心をもてあそぶんですか~」
「都合の良いときだけ女って言うな!」
「今はおじさん好きでも普通だし。いや正直、男性になってもいいとは思ってますけど。せっかく、この世界には性が三つあるわけだし。ティーレは自分の性別ちゃんとわかってます?」
余談だがリドラの言うように、この世界には男性、女性のほかに『精霊の思し召し』と呼ばれる第三の性別がある。地球で言えばアンドロギュヌスなのである。
「あたしはノーマルだ。好みの指向はどっちかって言うと女性の方が好きだけど」
個人的な恋愛指向を問われて、応える義務などないのだが、ティーレはしっかり応えてしまうのだった。
「じゃあ、恋の相手はわたしでもいいじゃないですか」
「よくねーわ! おまえは心の中身が男だろ……それに、知ってるんだからな。おまえ、カルナック師匠にも恋してるだろ! どっちが先だよ!」
「あれ? もしかして、やきもち……やいてくれてます?」
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