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【25】#微エロキス

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 シートベルトをはずしながらヴィフレアのほうへ体ごと向きつつ「ヴィフレ――」呼ぼうとしたとたん、ぐいっとチェスターコート下のパーカーを引っ張られ、唇を唇で塞がれたので呼べなかった。
「っ…っ、ふっ……ヴィ、フ」ッ、ちゅっ、ヌル…、再び名前を呼ぼうとして薄く開いた唇にヴィフレアの舌がもぐり込んできた。
「レ…ア」いきなりの深いキスに名前を呼ぶのもおぼつかない。
「ん…ッ、…ッ」ちゅ…ヌちゃぁ、ちゅ…。

 ヴィフレアのもう一方の手がうなじにかかり、逃がさないようにして更に深く重ねる。舌で歯列や上顎を撫でたあと、口内でれろれろと舌が舌に絡んでくる、舌先と舌先で愛撫しあう、くちゅくちゅ、と卑猥な音が漏れる。舌が移動し重ねた唇をなぞられ、「…っんあ」とそのままそっと顔を離してくれたおかげで息継ぎができた。その息継ぎの時、深く息を吸ったら花の香りがした。

 ……やっぱりヴィフレアはいい匂いがする。

 心を惹きつける美しさとか色気を『色香いろか』というけど、ヴィフレアの為にあるような単語だ。
 僕がシートベルトをはずす直前にでも取ったのか眼鏡を掛けていない。無言のアイスグリーンの瞳がこちらを見ている。その瞳をかこう金色の長い睫毛まつげが瞬きするのを目で追っていると、ヴィフレアの頬がかすかに赤らんでいることに気付いた。顔が熱くなる。妙にドキドキしてきた。ヴィフレアとのキス経験なんてあるのに。普段色白の彼が赤らんでいるのをみると今のキスに興奮している、というのを、まざまざと見せつけられた気がするから。

「……ふっ。やっぱり…風芽の唇は美味しい……」

 囁く息が横顔にかかる。いったん距離を置いたヴィフレアがまた僕に近づいたのだ。艶を含む声にゴクンッと唾を呑んだ。深いキスをされて熱くなった僕の下半身は既に半勃ちだった。ヴィフレアの股間を確認する。

「……出してなかったんだね」ぐん、と盛り上がったスラックスを見て性器を外気に触れさせていない事にほっとした。あの布擦れ音はパンツの中に手を入れたか、上から触った音だったのか。
 ヴィフレアは自身のシートベルトをはずしつつ。

「ふふ。出していたほうが良かったか?」

 カーッと頭に血が上った。たぶん今、でダコのように真っ赤になっていると思う。

「いいえ、いいえ!」

 ぶるぶると首を振る。

「でも、それ……すごい…大きい」
 ……ここで「抜く?」声に出してた。
「ふっ。風芽」

 アイスグリーンの瞳が細められた。

「抜かない」
「え? だってさっき?」

 ……『僕を見ながら抜いておこうかと』って言ってたよねっ!?

「『レンタカー』なんだろ?」

 口角は上がっているが呆れたような困ったような、何ともいえない複雑な表情。

「そ…、……そう、だね、……」
「……雲で…」
「え?」
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