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第十幕
神災(十九)
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楽になれ。それはつまり、死ねという意味だ。
あまりにも不謹慎な言葉だが、正輝は一切気にしていなかった。
「やだね。お前を倒すまで何度でも生きてやら」
と強気な態度を見せ黑緋神之命の言葉を否定した。
「大人しく私に消されれば辛い思いをしなくてすむものの」
黑緋神之命の優しさ故か大人しく消されれば楽になれると思っているのだろう。
しかし、正輝はそうは思ってもいなかった。
例え死んだとして結局、正輝は魂になってもあの世へは行けない。
あの世へ行く前に黑緋神之命に魂そのものを抹消されてしまうから。
彼の敗けない強さは今も健在で相手が神だろうと悪魔だろうと立ち向かう勇気と体力はまだまだ残っていた。
滝夜叉姫を操り大事な仲間や妖怪達を傷つけたこいつには絶対に敗けたくない。
「だからって死んだらそれで終わりじゃないか!どんなに辛くても僕は戦う!みんなの期待を応える為にも僕がここでお前を倒さなくちゃ明日を迎えられない」
「生きる価値のない明日など必要ない。このような滅び招く理由を作ったのは、全て人間ではないか?同じ種族でありながら平気で人を殺め差別を繰り返し踏み台にしてまで自ら欲望を満たす為に裏切り虐げその挙句、他人の人生を弄んで全てを強奪する。自分の意見、考えが正しいと暴力を使い争いの火種を撒き散らし救いようがないくだらない支配力で何もかも破壊しつくす。人間は利益と支配だけしか頭にない有象無象な世の中を創り出す無能かつ生きる価値も未来を生きていく資格がない無能な不良品生物。そんな奴らを貴様が助けたとしても人間の醜く汚らしい心と姿は一切変わりはしないぞ」
人間は負の生き物。それは、全ての生き物の中で一番過ちを犯しやすく凶暴性を用いた絶対生物。
弱肉強食の世界で生き残る為なら汚い手を使い同じ種族同士、互いを苦しみ合う残酷かつ卑劣な生き物だということを黑緋神之命は知っている。
確かに、彼の言うとおり人間は卑劣で残酷で傲慢で欲望に目が眩み自我を失えば平気で命を奪ったりする。
でも、そんな汚い人間ばかりじゃない事は同じ人間である正輝は知っている。
利益の為に犠牲を思わない人間の中には、それは間違っていると否定する正しい心を持った人間もたくさんいると。
強者が弱者を支配する今の夜中には、弱者を命懸けで守ろうとする強者もまだこの世界のどこかにいるに違いない。そんな弱者を助けようとする強者がいるこの世界を壊す事は決して許されないことだ。
「確かに、僕ら人間はバカでアホでどうしようもないクズな生き物かもしれないけど・・・、ちゃんと正しい心を持って誰かを助けようと一生懸命頑張っている人がまだこの世界にたくさんいるんだ。人間が犯した罰は同じ人間が正さなくちゃ世界の均衡は保てないと僕は思う。人間は怪物で妖怪より恐ろしい生き物かもしれないけど、生きていることが罪そのものだなんて僕は思ない。間違っていても、正しくても、何らかの価値があってもなくても僕らはこの世界で生きる意味がちゃんとあるんだ。人間だけいじゃない。妖怪もこの世界に必要な存在でもあるんだ」
人間という生き物の代表として自分達は滅びゆく存在ではないと強い感情を抱きつつ伝える正輝。
そして、妖怪もこの世界で生きる権利があると強く言い放つ彼に対し黑緋神之命は反論しなかった。
こいつに何を言っても自分が考え思っていることを全く理解してくれないと分かっているからだろう。
長々と話している内に二人の答えは食い違う一方で全く合理的に合わない。
だとすれば、取るべき行動はたった一つ。
どちらかが勝つしかない。滅亡か救世か。
決まるのはどちらかだ。
長く黑緋神之命と戦っている正輝は決死の覚悟を決めて切り出す。
「黑緋神之命(こくひじんのみこと)。そろそろ決着(ケリ)をつけよう」
その一言は、これで最後にしようと知らせる合図だった。
今頃、トコヤミ大神は心臓を破壊されたことで身体が崩れているはず。
これ以上、こんな所で戦いを長引かせるわけにはいかない。
正輝の発言に無表情な顔を浮かべる黑緋神之命はこれで最後だと理解していた。
逆五芒星の力によって覚醒した彼にどう対抗するのか考える暇はない。
とにかく、全力でぶつかり合うしかないのだ。
「いいだろう」
その一言に正輝は地面を蹴り襲いかかった。
全力疾走で黑緋神之命に向かい飛びかかり思い切り天帝主を振った。
無防備で構えを取らない今の黑緋神之命は懐ガラガラで隙だらけだった。
すると、何かはじかれた感触が走った。身体に衝撃が起きて正輝は吹っ飛ばされたが、うまく着地した。
今の衝撃波はきっと神通力だ。
黑緋神之命の足元から先端が鋭く尖った大きな木の根が地面から現れ正輝を襲う。
迫り来る木の根に正輝は天帝主から聖炎を出して斬り出す。
大きな木の根を一本も残らず斬り捨てる。斬られた木の根は重い音を立てて倒れる。
しかし、これで終わりではない。木の根の後ろから黑緋神之命が目の前まで接近していた。
正輝が木の根を斬っている間、黑緋神之命は木の根の上に乗って近づいてきたのだ。
黑緋神之命は土と金でできた鋭い猛獣の爪で正輝を襲った。
猛獣の爪が降りかかった時、正輝は天帝主を使って防いだ。
爪は正輝の顔に届きそうなぐらい長く猛獣の如く力強いパワーを持っていた為、手に持っている天帝主が小刻みに震えていた。
しかし、正輝は負けまいと押し返し聖炎を纏った天帝主を勢いよく振り上げた。が、うまく避けられてしまい黑緋神之命の猛獣の爪が再び襲いかかる。
それでも、正輝は巧みに天帝主を使って勢いよく襲いかかって来る彼の攻撃を防ぎ続ぎた。
一歩の隙を見せない黑緋神之命に正輝自身も油断を見せず攻撃を受け流す。
天帝主の刃と猛獣の爪がぶつかり合って高い音を立てながら二人の攻防は続いた。
彼のスピードを追いつこうと正輝は必死に剣捌きを披露する。
お互いの武器を激しくぶつけ合うと黑緋神之命が力強く正輝を押しのけ持ち前の浮遊で高く飛んだ。
すると、正輝の目の前に津波が起きた。
どこにも水がないのに自然に地面から湧き出てた水が大きな壁となり波を立てて覆いかぶさってくる。
巨大な津波が押し寄せてくると正輝は聖炎の火力を上げて力一杯の水平斬りを放った。
火力を上げた聖炎の斬撃が津波に届き真っ二つにした。すると、津波が形を崩し大きな水しぶきが降ってくる。
黑緋神之命は猛獣の手を動かし魔法陣らしき模様を描きながら詠唱した。
その時だ。地面から光り輝く円陣が浮かび上がった。
その円陣から巨大な手が出てきた。地面に巨大な手がつくと今度は頭、身体と円陣の中から現れた。
眩しいほど金色に輝く一体の巨人が正輝の目の前に突如として姿を現したのだ。
黑緋神之命が詠唱を終えると金色に輝く巨人は拳を振り攻めてきてた。
その拳はまるで巨大隕石が降ってくるかのような勢いだった。
正輝は咄嗟に天帝主を地面に突き刺した。すると、地面から聖炎が噴き出して正輝を天井へと乗せた。
巨人の重い一撃を交した正輝は高く飛んだ。
彼が行く先は、巨人の腕の上。
正輝は巨人の腕に飛び移り走り出す。
天帝主を纏う聖炎を靡かせて巨人の顔へと接近する。
巨人は意志を持っているみたいでもう一つの大きな手で自分の腕の上に走る正輝を捕まえようとする。
正輝は天帝主を引きずり走る。引きずっている天帝主の刃先が鋼鉄のように固そうな巨人の腕に触れる事によって摩擦で火花が出ていた。
圧倒的な迫力感を見せる巨大な手が正輝を覆いつくそうとした時、引きずっていた天帝主が聖炎を出して勢いよく噴射した。天帝主による噴射の勢いで正輝の身体は浮かび上がり巨人の顔面に目掛けて飛んで行く。
ロケットのように速いスピードで飛ぶ正輝は噴射した天帝主を両手に持って斬りかかろうとしたその時、正輝の目の前に突然、黑緋神之命が割り込んできて猛獣の爪で天帝主の勢いを抑えた。
そして、再び正輝は神通力で吹き飛ばされ強く叩きつけられたことで地面が減り込んだ。
黑緋神之命は巨人の肩に乗り猛獣の爪で構えを取ると両手の間から灼熱火炎放射を放った。
まるで竜の息吹のように勢いある強力な灼熱火炎放射が正輝の周り一帯を焼き尽くす。
とてもでかい火柱が周辺を飲み込み大爆発する。
そして、追い打ちをかけるかのように巨人が大きく足を上げた。
巨大な足は勢いよく正輝がいた位置を狙って踏み潰そうとする。
これで終わり・・・・ではない。
黑緋神之命はまだ彼がまだくたばっていない事に気づいている。
未来予知がそう知らせてくれたのだ。
巨人の足がもうすぐ地面に着こうとしたその矢先、爆炎の煙の中から麒麟の頭が現れたのだ。
金色の炎によって作り出された麒麟は巨人の足裏を思い切り頭突きで跳ね返す。
跳ね返された巨人は踏み潰そうとした片足を上げて転倒しそうになるが巨体のバランスをうまく保ちつつ転ばずに済んだ。
聖炎の麒麟の頭上には正輝が立っていた。麒麟が雄叫びを上げ走り出すと巨人は対抗しようと両手を突き出す。
肩に乗っていた黑緋神之命と頭上にいた正輝は互いの武器を構えて宙を飛び衝突した。
麒麟は頭突きで攻撃するも巨人に抑えられた。巨人も両手を使って麒麟の大きな頭を抑え押し出す。
正輝は再び麒麟の頭上に戻り斬撃を放つ。
巨人の肩に戻った黑緋神之命は神通力で斬撃を相殺し再び詠唱をした。
今度は、緑色の魔法陣が浮かび上がった。
すると、巨人の周りに数十メートルの長さと大きさを持つ樹木の大蛇4匹が地面から顔を出したのだ。
身体は太く首は長い。鋭い牙、細い目、三本の角が生え大蛇の額には円陣の中心に描かれた逆五芒星のマークが施されていた。
樹木の大蛇は麒麟と正輝に向かって牙をむき襲いかかる。
あまりにも不謹慎な言葉だが、正輝は一切気にしていなかった。
「やだね。お前を倒すまで何度でも生きてやら」
と強気な態度を見せ黑緋神之命の言葉を否定した。
「大人しく私に消されれば辛い思いをしなくてすむものの」
黑緋神之命の優しさ故か大人しく消されれば楽になれると思っているのだろう。
しかし、正輝はそうは思ってもいなかった。
例え死んだとして結局、正輝は魂になってもあの世へは行けない。
あの世へ行く前に黑緋神之命に魂そのものを抹消されてしまうから。
彼の敗けない強さは今も健在で相手が神だろうと悪魔だろうと立ち向かう勇気と体力はまだまだ残っていた。
滝夜叉姫を操り大事な仲間や妖怪達を傷つけたこいつには絶対に敗けたくない。
「だからって死んだらそれで終わりじゃないか!どんなに辛くても僕は戦う!みんなの期待を応える為にも僕がここでお前を倒さなくちゃ明日を迎えられない」
「生きる価値のない明日など必要ない。このような滅び招く理由を作ったのは、全て人間ではないか?同じ種族でありながら平気で人を殺め差別を繰り返し踏み台にしてまで自ら欲望を満たす為に裏切り虐げその挙句、他人の人生を弄んで全てを強奪する。自分の意見、考えが正しいと暴力を使い争いの火種を撒き散らし救いようがないくだらない支配力で何もかも破壊しつくす。人間は利益と支配だけしか頭にない有象無象な世の中を創り出す無能かつ生きる価値も未来を生きていく資格がない無能な不良品生物。そんな奴らを貴様が助けたとしても人間の醜く汚らしい心と姿は一切変わりはしないぞ」
人間は負の生き物。それは、全ての生き物の中で一番過ちを犯しやすく凶暴性を用いた絶対生物。
弱肉強食の世界で生き残る為なら汚い手を使い同じ種族同士、互いを苦しみ合う残酷かつ卑劣な生き物だということを黑緋神之命は知っている。
確かに、彼の言うとおり人間は卑劣で残酷で傲慢で欲望に目が眩み自我を失えば平気で命を奪ったりする。
でも、そんな汚い人間ばかりじゃない事は同じ人間である正輝は知っている。
利益の為に犠牲を思わない人間の中には、それは間違っていると否定する正しい心を持った人間もたくさんいると。
強者が弱者を支配する今の夜中には、弱者を命懸けで守ろうとする強者もまだこの世界のどこかにいるに違いない。そんな弱者を助けようとする強者がいるこの世界を壊す事は決して許されないことだ。
「確かに、僕ら人間はバカでアホでどうしようもないクズな生き物かもしれないけど・・・、ちゃんと正しい心を持って誰かを助けようと一生懸命頑張っている人がまだこの世界にたくさんいるんだ。人間が犯した罰は同じ人間が正さなくちゃ世界の均衡は保てないと僕は思う。人間は怪物で妖怪より恐ろしい生き物かもしれないけど、生きていることが罪そのものだなんて僕は思ない。間違っていても、正しくても、何らかの価値があってもなくても僕らはこの世界で生きる意味がちゃんとあるんだ。人間だけいじゃない。妖怪もこの世界に必要な存在でもあるんだ」
人間という生き物の代表として自分達は滅びゆく存在ではないと強い感情を抱きつつ伝える正輝。
そして、妖怪もこの世界で生きる権利があると強く言い放つ彼に対し黑緋神之命は反論しなかった。
こいつに何を言っても自分が考え思っていることを全く理解してくれないと分かっているからだろう。
長々と話している内に二人の答えは食い違う一方で全く合理的に合わない。
だとすれば、取るべき行動はたった一つ。
どちらかが勝つしかない。滅亡か救世か。
決まるのはどちらかだ。
長く黑緋神之命と戦っている正輝は決死の覚悟を決めて切り出す。
「黑緋神之命(こくひじんのみこと)。そろそろ決着(ケリ)をつけよう」
その一言は、これで最後にしようと知らせる合図だった。
今頃、トコヤミ大神は心臓を破壊されたことで身体が崩れているはず。
これ以上、こんな所で戦いを長引かせるわけにはいかない。
正輝の発言に無表情な顔を浮かべる黑緋神之命はこれで最後だと理解していた。
逆五芒星の力によって覚醒した彼にどう対抗するのか考える暇はない。
とにかく、全力でぶつかり合うしかないのだ。
「いいだろう」
その一言に正輝は地面を蹴り襲いかかった。
全力疾走で黑緋神之命に向かい飛びかかり思い切り天帝主を振った。
無防備で構えを取らない今の黑緋神之命は懐ガラガラで隙だらけだった。
すると、何かはじかれた感触が走った。身体に衝撃が起きて正輝は吹っ飛ばされたが、うまく着地した。
今の衝撃波はきっと神通力だ。
黑緋神之命の足元から先端が鋭く尖った大きな木の根が地面から現れ正輝を襲う。
迫り来る木の根に正輝は天帝主から聖炎を出して斬り出す。
大きな木の根を一本も残らず斬り捨てる。斬られた木の根は重い音を立てて倒れる。
しかし、これで終わりではない。木の根の後ろから黑緋神之命が目の前まで接近していた。
正輝が木の根を斬っている間、黑緋神之命は木の根の上に乗って近づいてきたのだ。
黑緋神之命は土と金でできた鋭い猛獣の爪で正輝を襲った。
猛獣の爪が降りかかった時、正輝は天帝主を使って防いだ。
爪は正輝の顔に届きそうなぐらい長く猛獣の如く力強いパワーを持っていた為、手に持っている天帝主が小刻みに震えていた。
しかし、正輝は負けまいと押し返し聖炎を纏った天帝主を勢いよく振り上げた。が、うまく避けられてしまい黑緋神之命の猛獣の爪が再び襲いかかる。
それでも、正輝は巧みに天帝主を使って勢いよく襲いかかって来る彼の攻撃を防ぎ続ぎた。
一歩の隙を見せない黑緋神之命に正輝自身も油断を見せず攻撃を受け流す。
天帝主の刃と猛獣の爪がぶつかり合って高い音を立てながら二人の攻防は続いた。
彼のスピードを追いつこうと正輝は必死に剣捌きを披露する。
お互いの武器を激しくぶつけ合うと黑緋神之命が力強く正輝を押しのけ持ち前の浮遊で高く飛んだ。
すると、正輝の目の前に津波が起きた。
どこにも水がないのに自然に地面から湧き出てた水が大きな壁となり波を立てて覆いかぶさってくる。
巨大な津波が押し寄せてくると正輝は聖炎の火力を上げて力一杯の水平斬りを放った。
火力を上げた聖炎の斬撃が津波に届き真っ二つにした。すると、津波が形を崩し大きな水しぶきが降ってくる。
黑緋神之命は猛獣の手を動かし魔法陣らしき模様を描きながら詠唱した。
その時だ。地面から光り輝く円陣が浮かび上がった。
その円陣から巨大な手が出てきた。地面に巨大な手がつくと今度は頭、身体と円陣の中から現れた。
眩しいほど金色に輝く一体の巨人が正輝の目の前に突如として姿を現したのだ。
黑緋神之命が詠唱を終えると金色に輝く巨人は拳を振り攻めてきてた。
その拳はまるで巨大隕石が降ってくるかのような勢いだった。
正輝は咄嗟に天帝主を地面に突き刺した。すると、地面から聖炎が噴き出して正輝を天井へと乗せた。
巨人の重い一撃を交した正輝は高く飛んだ。
彼が行く先は、巨人の腕の上。
正輝は巨人の腕に飛び移り走り出す。
天帝主を纏う聖炎を靡かせて巨人の顔へと接近する。
巨人は意志を持っているみたいでもう一つの大きな手で自分の腕の上に走る正輝を捕まえようとする。
正輝は天帝主を引きずり走る。引きずっている天帝主の刃先が鋼鉄のように固そうな巨人の腕に触れる事によって摩擦で火花が出ていた。
圧倒的な迫力感を見せる巨大な手が正輝を覆いつくそうとした時、引きずっていた天帝主が聖炎を出して勢いよく噴射した。天帝主による噴射の勢いで正輝の身体は浮かび上がり巨人の顔面に目掛けて飛んで行く。
ロケットのように速いスピードで飛ぶ正輝は噴射した天帝主を両手に持って斬りかかろうとしたその時、正輝の目の前に突然、黑緋神之命が割り込んできて猛獣の爪で天帝主の勢いを抑えた。
そして、再び正輝は神通力で吹き飛ばされ強く叩きつけられたことで地面が減り込んだ。
黑緋神之命は巨人の肩に乗り猛獣の爪で構えを取ると両手の間から灼熱火炎放射を放った。
まるで竜の息吹のように勢いある強力な灼熱火炎放射が正輝の周り一帯を焼き尽くす。
とてもでかい火柱が周辺を飲み込み大爆発する。
そして、追い打ちをかけるかのように巨人が大きく足を上げた。
巨大な足は勢いよく正輝がいた位置を狙って踏み潰そうとする。
これで終わり・・・・ではない。
黑緋神之命はまだ彼がまだくたばっていない事に気づいている。
未来予知がそう知らせてくれたのだ。
巨人の足がもうすぐ地面に着こうとしたその矢先、爆炎の煙の中から麒麟の頭が現れたのだ。
金色の炎によって作り出された麒麟は巨人の足裏を思い切り頭突きで跳ね返す。
跳ね返された巨人は踏み潰そうとした片足を上げて転倒しそうになるが巨体のバランスをうまく保ちつつ転ばずに済んだ。
聖炎の麒麟の頭上には正輝が立っていた。麒麟が雄叫びを上げ走り出すと巨人は対抗しようと両手を突き出す。
肩に乗っていた黑緋神之命と頭上にいた正輝は互いの武器を構えて宙を飛び衝突した。
麒麟は頭突きで攻撃するも巨人に抑えられた。巨人も両手を使って麒麟の大きな頭を抑え押し出す。
正輝は再び麒麟の頭上に戻り斬撃を放つ。
巨人の肩に戻った黑緋神之命は神通力で斬撃を相殺し再び詠唱をした。
今度は、緑色の魔法陣が浮かび上がった。
すると、巨人の周りに数十メートルの長さと大きさを持つ樹木の大蛇4匹が地面から顔を出したのだ。
身体は太く首は長い。鋭い牙、細い目、三本の角が生え大蛇の額には円陣の中心に描かれた逆五芒星のマークが施されていた。
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