Daruma

ザボン

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Daruma

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俺はだんだんと朦朧としていた意識が戻ってきた。
「え、え、君日本人なの?助けてくれ」俺は涙を流しながらそいつにすがった。
他のやつらはなにか文句を言ってるが俺は無視してそいつを見つめて「頼む」と言った。
そいつは皆に何かを言うと、皆は静かになった。
「僕は真一、君は?」
俺は涙がとりとめもなく流れてきた。
俺は真一の父親を気にしながら話をはじめた。
すると「あの人は日本語わからないから大丈夫だ」と言った。
「お父さんは日本人じゃないの?」
「今日招かれた僕たちともう一組は家族じゃないよ」
どのような関係か、一瞬気になったが、そんなことどうでもよいことだ。
「俺は日本にはめられたんだ」
真一に涙で訴えた。そして、「ここはどこ?日本に帰りたい」と続けた。
本当は陥れられた日本に、今のまま帰るわけには行かないが、それでもあの頃の平穏な暮らしが懐かしい。
俺はポロポロと涙を流した。
「ここは、フィリピンの田舎の村だ。でもここに集まっているのは韓国人とタイ人かな、基本的に俺達のグループは韓国語で交流してる」と教えてくれた。
「俺は多胡勇也、強姦で逮捕され死刑になったが無罪だ。罪をでっち上げられた。刑が執行され、生かされて、性奴隷としてここに引き渡された」と説明したが、どこまで理解して、信用されたかはわからない。
信用してくれたとしても、こんなトラブルに足を突っ込んでくれるかどうか、、、
俺は「目白台大学の水野先生がフィリピンにいる。港で会って助けを求め、調べてくれている。俺がここにいることを知らせてほしい」とお願いした。
話せたのはそこまでで、「今日のパーティは終わりだ」とこの家の父親が言ったようだ。
真一は帰っていった。

三日後、真一が一人で訪ねてきた。
「勇也、お前が言ったことを調べてみた。確かに多胡勇也は死刑となっていて、写真もお前にそっくりだ」と言った。
俺は理解してくれ嬉しくて顔をぐちゃぐちゃにして泣いた。
しかも「水野先生にも連絡がついた。お前をこの家から買い戻すように手配をしている」
俺は真一と水野先生にどんな恩返しができるか考えていた。
「あのパーティから性的虐待は受けてないか?」と聞かれ、俺はうなずいた。
真一が皆になにかを言ったあと、俺は指一本触れられてない。
「お前が“俺は性病だ”と叫んでいる、と言ったんだ」
合点がいった。
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