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第一章 最強聖女の復讐
第16話 「久しぶりの再会」
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魔物たちが城下町に侵攻してきてから数時間が経った。
私はただ、火の手が上がり、燃え盛る街を見つめながら
何をするでもなくその光景をじっと見つめていた。
そんな時だった。
「見つけたぞッ!!!」
「あら、クシオン殿下ではありませんか」
後ろから聞こえた、聞き慣れた忌々しい声。
私は表面上の笑みを浮かべながら、
身体ごと後ろへと振り返った。
「ルミエール、どれだけ心配したことか……!」
「ハッ、何を言ってるんです?
そもそも私を追い出したのはあなたでしょう?」
まるで愛しい人に向けた甘い声を発してくる
気持ち悪い殿下に、私は隠すことなく顔を顰めさせる。
「違うんだ!それは父上や
エメラルダスに騙されただけなんだ!
本当はルミエール、美しい君だけを愛してるんだよ」
「気持ち悪いです、近寄らないでくれませんか?」
私の手に口付けをしよう顔を寄せた
殿下の顔を思いっきり叩いた。
叩かれて、赤くなった頬を殿下は呆然としながら、
片方の手で押さえていた。
「久しぶりだから照れているのか?
そんな必要ないよ、ほら、一緒に王城へ帰ろう」
「嫌です。何であなたのような私利私欲に塗れた
強欲の権化のような方の元に
戻らねばならないのでしょうか?
私はあなた達がどうなろうとどうでもいい。
それに……真実の愛のお相手は、
エメラルダス嬢だったのでしょう?
あなたが彼女を選んだのだから、
捨てようとなさるなんて酷すぎはしませんか?」
叩かれたというのにどういう思考をして
私が手に口付けをされるのを恥ずかしがっていると
思っているのか分かりませんし、分かりたくありませんが、
そんなことよりも自分で『真実の愛の相手』と
言っていたエメラルダス嬢を自分の地位のために
捨てようとするだなんて……どこまでもクズな男。
「いいや、違ったんだ!
本当の真実の愛の相手は、ルミエールだったんだ!
俺は父上や悪女エメラルダスに惑わされただけなんだ!
それに……この国は君の生まれ故郷だ、
そんなに簡単に捨ててしまえるのかい?
本当は、何よりも大切だろう?
意地を張ってないで、さぁ行こう」
「いえ、私はこの国なんてどうでもいいです。
私としては堕ちるところまで堕ちて頂ければ
それほどまでに嬉しいことはありませんもの。
それに……浮気男に真実の愛だのなんだの、
言われたところで嬉しくなんてありませんわ。
どちらかといえば気持ち悪くて吐きそうです」
私の回答に、殿下の額はピキピキと怒りに揺れています。
あなたが私に怒鳴ったところで、何が出来るのでしょうね?
このまま、この国と共に滅べば良いのに。
「……ッ、いいからさっさと大人しく
着いてこいって言ってるんだよッ!!」
「あら、やっと本性を現しましたか。
今までよりかは我慢できていた方ですわね?」
「うるせぇんだよッ!おら、とっとと行くぞッ!
お前が聖女として戻ってくれば
魔物たちもいなくなって、疫病もなくなって
何もかも万事解決なんだよッ!!!」
怒りに顔を真っ赤に染める殿下は、
私の腕を強引に掴んで、王城に引き連れようとします。
しかし、その手が私の腕を掴む前に、
私は宙に浮きました。
そのため、殿下の手はその場で何も掴むことなく、
宙に浮いたままです。
「残念でしたね、殿下?
あなたじゃ私は捕らえられません。
勿論、この国に生きる者たち全員が
一斉にかかってきても、ね?」
「オイッ!降りてこいッ!!
クソっ、この国がどうなってもいいのかッ!?」
「先程言ったではありませんか。
私はこの国のことなんてどうでも良いと。
それよりも殿下、私を愛しているなんて
よく嘘をつけましたね?貴方の周りにいる
衛兵たちは、貴方が本当は私を愛しているから、
エメラルダス嬢に惑わされたからだと勘違いして、
貴方を信じてついてきた者達でしょう?」
私は上空から、無様にも怒りで周りが見えていない
殿下に、嘲笑しながら言ってやりました。
すると、ついてきた衛兵たちはザワザワとし始め……
「なッ!?殿下が本当はルミエール様を
愛していると、だからエメラルダス嬢のせいで
追い出されたルミエール様を取り戻しに行くと
仰ったから我々はついてきたのに!!」
「俺たちを騙してやがったな、この無能王子!」
ついてきた衛兵達から次々と
殿下への罵詈雑言が放たれました。
はぁ……ここはソルティア様の第二神殿の前という
神聖な場所だというのに……。
私はどこまでも愚かな彼らに呆れるしかありませんでした。
ただしこうして彼らに対して”呆れる”という
感情を抱くのもこれで最後でしょう。
「うるさいッ!!
そんなことより、ルミエール!
お前が聖女として戻ってくれば良いだけだ!!
何故俺が民や臣下共に罵倒されねばならないんだ!
全部勝手に王国の結界を解いたルミエールのせいなのに!」
「嫌だと、言っているでしょう?
何度も言わせないでくれませんか?
私としても面倒くさくなってきたので。
それと、私のせいだなんて(笑)
『聖女などまやかしだ!』と言ったのは
あなた達ではありませんか。
ですから、聖女の結界も必要ないということでしょう?
私はあなた達の要望通りにしたまでですわよ?(笑)」
あーあ、やっぱり殿下は馬鹿だったわね。
まあ、ソルティア様の神殿前で
こんな無駄な言い争いをしていては
ソルティア様にご迷惑ですし、
殿下の要望通り、最期の舞台は王城にしましょうか。
そう思った私は、その場にいた全員を一斉に
王城の国王夫妻とエメラルダス嬢がいる
庭園へと瞬間移動させた。
「殿下?!それに、ルミエール嬢!?」
突然のことに呆然とする殿下と衛兵たちを尻目に
急に現れた私たちを見て、
エメラルダス嬢が声を上げた。
私を見つけた国王夫妻はその絶望に死んでいた瞳が、
急速に瞳に希望に溢れた光を灯し始めた。
馬鹿な国王夫妻だなぁ。
私があなた達を助けるわけないのに
まるで縋るような瞳で私を見つめる王族たちに
私は不敵な笑みを浮かべた───。
私はただ、火の手が上がり、燃え盛る街を見つめながら
何をするでもなくその光景をじっと見つめていた。
そんな時だった。
「見つけたぞッ!!!」
「あら、クシオン殿下ではありませんか」
後ろから聞こえた、聞き慣れた忌々しい声。
私は表面上の笑みを浮かべながら、
身体ごと後ろへと振り返った。
「ルミエール、どれだけ心配したことか……!」
「ハッ、何を言ってるんです?
そもそも私を追い出したのはあなたでしょう?」
まるで愛しい人に向けた甘い声を発してくる
気持ち悪い殿下に、私は隠すことなく顔を顰めさせる。
「違うんだ!それは父上や
エメラルダスに騙されただけなんだ!
本当はルミエール、美しい君だけを愛してるんだよ」
「気持ち悪いです、近寄らないでくれませんか?」
私の手に口付けをしよう顔を寄せた
殿下の顔を思いっきり叩いた。
叩かれて、赤くなった頬を殿下は呆然としながら、
片方の手で押さえていた。
「久しぶりだから照れているのか?
そんな必要ないよ、ほら、一緒に王城へ帰ろう」
「嫌です。何であなたのような私利私欲に塗れた
強欲の権化のような方の元に
戻らねばならないのでしょうか?
私はあなた達がどうなろうとどうでもいい。
それに……真実の愛のお相手は、
エメラルダス嬢だったのでしょう?
あなたが彼女を選んだのだから、
捨てようとなさるなんて酷すぎはしませんか?」
叩かれたというのにどういう思考をして
私が手に口付けをされるのを恥ずかしがっていると
思っているのか分かりませんし、分かりたくありませんが、
そんなことよりも自分で『真実の愛の相手』と
言っていたエメラルダス嬢を自分の地位のために
捨てようとするだなんて……どこまでもクズな男。
「いいや、違ったんだ!
本当の真実の愛の相手は、ルミエールだったんだ!
俺は父上や悪女エメラルダスに惑わされただけなんだ!
それに……この国は君の生まれ故郷だ、
そんなに簡単に捨ててしまえるのかい?
本当は、何よりも大切だろう?
意地を張ってないで、さぁ行こう」
「いえ、私はこの国なんてどうでもいいです。
私としては堕ちるところまで堕ちて頂ければ
それほどまでに嬉しいことはありませんもの。
それに……浮気男に真実の愛だのなんだの、
言われたところで嬉しくなんてありませんわ。
どちらかといえば気持ち悪くて吐きそうです」
私の回答に、殿下の額はピキピキと怒りに揺れています。
あなたが私に怒鳴ったところで、何が出来るのでしょうね?
このまま、この国と共に滅べば良いのに。
「……ッ、いいからさっさと大人しく
着いてこいって言ってるんだよッ!!」
「あら、やっと本性を現しましたか。
今までよりかは我慢できていた方ですわね?」
「うるせぇんだよッ!おら、とっとと行くぞッ!
お前が聖女として戻ってくれば
魔物たちもいなくなって、疫病もなくなって
何もかも万事解決なんだよッ!!!」
怒りに顔を真っ赤に染める殿下は、
私の腕を強引に掴んで、王城に引き連れようとします。
しかし、その手が私の腕を掴む前に、
私は宙に浮きました。
そのため、殿下の手はその場で何も掴むことなく、
宙に浮いたままです。
「残念でしたね、殿下?
あなたじゃ私は捕らえられません。
勿論、この国に生きる者たち全員が
一斉にかかってきても、ね?」
「オイッ!降りてこいッ!!
クソっ、この国がどうなってもいいのかッ!?」
「先程言ったではありませんか。
私はこの国のことなんてどうでも良いと。
それよりも殿下、私を愛しているなんて
よく嘘をつけましたね?貴方の周りにいる
衛兵たちは、貴方が本当は私を愛しているから、
エメラルダス嬢に惑わされたからだと勘違いして、
貴方を信じてついてきた者達でしょう?」
私は上空から、無様にも怒りで周りが見えていない
殿下に、嘲笑しながら言ってやりました。
すると、ついてきた衛兵たちはザワザワとし始め……
「なッ!?殿下が本当はルミエール様を
愛していると、だからエメラルダス嬢のせいで
追い出されたルミエール様を取り戻しに行くと
仰ったから我々はついてきたのに!!」
「俺たちを騙してやがったな、この無能王子!」
ついてきた衛兵達から次々と
殿下への罵詈雑言が放たれました。
はぁ……ここはソルティア様の第二神殿の前という
神聖な場所だというのに……。
私はどこまでも愚かな彼らに呆れるしかありませんでした。
ただしこうして彼らに対して”呆れる”という
感情を抱くのもこれで最後でしょう。
「うるさいッ!!
そんなことより、ルミエール!
お前が聖女として戻ってくれば良いだけだ!!
何故俺が民や臣下共に罵倒されねばならないんだ!
全部勝手に王国の結界を解いたルミエールのせいなのに!」
「嫌だと、言っているでしょう?
何度も言わせないでくれませんか?
私としても面倒くさくなってきたので。
それと、私のせいだなんて(笑)
『聖女などまやかしだ!』と言ったのは
あなた達ではありませんか。
ですから、聖女の結界も必要ないということでしょう?
私はあなた達の要望通りにしたまでですわよ?(笑)」
あーあ、やっぱり殿下は馬鹿だったわね。
まあ、ソルティア様の神殿前で
こんな無駄な言い争いをしていては
ソルティア様にご迷惑ですし、
殿下の要望通り、最期の舞台は王城にしましょうか。
そう思った私は、その場にいた全員を一斉に
王城の国王夫妻とエメラルダス嬢がいる
庭園へと瞬間移動させた。
「殿下?!それに、ルミエール嬢!?」
突然のことに呆然とする殿下と衛兵たちを尻目に
急に現れた私たちを見て、
エメラルダス嬢が声を上げた。
私を見つけた国王夫妻はその絶望に死んでいた瞳が、
急速に瞳に希望に溢れた光を灯し始めた。
馬鹿な国王夫妻だなぁ。
私があなた達を助けるわけないのに
まるで縋るような瞳で私を見つめる王族たちに
私は不敵な笑みを浮かべた───。
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