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第一章 最強聖女の復讐
第14話「やっぱり馬鹿はバカだった」
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インディゴ王城から出た私は、そのまま宿に戻った
──訳ではなく、今は私の瞬間移動の魔法で
デルソーレ王国一帯が見渡せる大きな丘の上に建つ
光の女神ソルティアの第二神殿にやって来ていた。
やはり、私の考えは合っていたらしく。
この国を出る際に見つけた古い神殿は、
かつて使われていた第一神殿だったらしい。
あそこは森の中にあるため、行き交いするには
結構大変だった為に今の私がいる丘の上に
新たに建て直したのだそう。
ここには魔物たちの群れが、ところ構わず
攻め入って、暴れ回っているため、
死にたくない一心で逃げ惑う国民たちが一望できた。
どうやら体力的な問題と思考の混乱により、
ここへ逃げるという選択肢さえ
民たちは考えつかない様子。
私はこの第二神殿へ到着した際に、
光の女神ソルティア様から直々に戴いた
『光の真鏡』という大きな円盤型の鏡から、
今現在の王家の様子をほくそ笑みながら眺めていた。
「本当に馬鹿で愚かな王太子に国王夫妻。
加えて妃教育なんて碌にしてこなかった
未来の王妃エメラルダス嬢……。
あーあ、そりゃあ衛兵たちに
見捨てられるに決まってるじゃない」
私を呼び戻して、自分が窮地に陥った王国を
救った英雄になる!などと馬鹿なことを夢見てる
王太子には心底呆れるしかない。
なんで私はあんな奴に今まで尽くしてきたのか?
本当に不思議でならない。
しかも、疫病が広まっていた時点で
何の対策もしてこなかったとか。
本当に呆れる他ないわ。
それは、王家だけではなく貴族たちにも言える。
自分の治めている領地で起きた事だというのに、
『自分には関係ない』と領民たちを
隔離するだけ隔離して、彼らに何もしてやらなかったのだ。
それりゃあ領民たちの怒りは領主に向かうだろう。
今は各地で、民による反乱が起きている。
これが俗に言う『地獄絵図』というやつなんだろう。
城下町は本来、国内で一番賑わっている
場所のはずが、今は違う意味で賑わっている。
それは、幸せに満ちたものではなく、絶望に満ちた。
今更になって、民たちは私を求める。
あなた達は私を散々悪女、ペテン師とか
言ってきたくせに私がそんな奴らを救うとでも?
大好きな母が居なくなった時点で、
私はこの国のことなんてどうでもよかった。
しかも今はソルティア様に見捨てられた王国なんぞ
私はどうでも良い。主たる女神がこの国を
見限った以上、私にはできることなどないのだから。
聖女という者はきっと、
純粋で思慮深い心の持ち主が
なるべくしてなるものなんだろう。
けれど、残念でしたね。デルソーレ王国の皆さん。
私はそんなに優しくはないので。
簡単に国なんて捨てられるので。
このまま滅びに突っ走って頂けると幸いです。
だからこそ、このまま愚かにも滅びゆく
生まれ故郷を、私はただ何の感情も湧くことなく、
冷えきった瞳でデルソーレ王国の
最期を見届けよう。これが、私の復讐
誰にも止めることなどできない、最高の祭り 。
それじゃあ始めよう。この国への最後の引導を。
──訳ではなく、今は私の瞬間移動の魔法で
デルソーレ王国一帯が見渡せる大きな丘の上に建つ
光の女神ソルティアの第二神殿にやって来ていた。
やはり、私の考えは合っていたらしく。
この国を出る際に見つけた古い神殿は、
かつて使われていた第一神殿だったらしい。
あそこは森の中にあるため、行き交いするには
結構大変だった為に今の私がいる丘の上に
新たに建て直したのだそう。
ここには魔物たちの群れが、ところ構わず
攻め入って、暴れ回っているため、
死にたくない一心で逃げ惑う国民たちが一望できた。
どうやら体力的な問題と思考の混乱により、
ここへ逃げるという選択肢さえ
民たちは考えつかない様子。
私はこの第二神殿へ到着した際に、
光の女神ソルティア様から直々に戴いた
『光の真鏡』という大きな円盤型の鏡から、
今現在の王家の様子をほくそ笑みながら眺めていた。
「本当に馬鹿で愚かな王太子に国王夫妻。
加えて妃教育なんて碌にしてこなかった
未来の王妃エメラルダス嬢……。
あーあ、そりゃあ衛兵たちに
見捨てられるに決まってるじゃない」
私を呼び戻して、自分が窮地に陥った王国を
救った英雄になる!などと馬鹿なことを夢見てる
王太子には心底呆れるしかない。
なんで私はあんな奴に今まで尽くしてきたのか?
本当に不思議でならない。
しかも、疫病が広まっていた時点で
何の対策もしてこなかったとか。
本当に呆れる他ないわ。
それは、王家だけではなく貴族たちにも言える。
自分の治めている領地で起きた事だというのに、
『自分には関係ない』と領民たちを
隔離するだけ隔離して、彼らに何もしてやらなかったのだ。
それりゃあ領民たちの怒りは領主に向かうだろう。
今は各地で、民による反乱が起きている。
これが俗に言う『地獄絵図』というやつなんだろう。
城下町は本来、国内で一番賑わっている
場所のはずが、今は違う意味で賑わっている。
それは、幸せに満ちたものではなく、絶望に満ちた。
今更になって、民たちは私を求める。
あなた達は私を散々悪女、ペテン師とか
言ってきたくせに私がそんな奴らを救うとでも?
大好きな母が居なくなった時点で、
私はこの国のことなんてどうでもよかった。
しかも今はソルティア様に見捨てられた王国なんぞ
私はどうでも良い。主たる女神がこの国を
見限った以上、私にはできることなどないのだから。
聖女という者はきっと、
純粋で思慮深い心の持ち主が
なるべくしてなるものなんだろう。
けれど、残念でしたね。デルソーレ王国の皆さん。
私はそんなに優しくはないので。
簡単に国なんて捨てられるので。
このまま滅びに突っ走って頂けると幸いです。
だからこそ、このまま愚かにも滅びゆく
生まれ故郷を、私はただ何の感情も湧くことなく、
冷えきった瞳でデルソーレ王国の
最期を見届けよう。これが、私の復讐
誰にも止めることなどできない、最高の祭り 。
それじゃあ始めよう。この国への最後の引導を。
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