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第一章 最強聖女の復讐
第12話 クシオンside 「崩れていく日常」
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ルミエールがデルソーレ王国を去ってから3日が経った。
やはり、聖女などまやかしで間違いはなかったのだ。
何せ、俺やエメラルダスは伝承に記された
疫病や魔物に襲われることなく、
こんなにも幸せな日々を暮らせているのだから。
「へ、陛下ッ!城下町に魔物の群れが現れました!」
「何ッ!?」
父上である、ボースハイト国王に
一人の衛兵が焦ったように走り寄ってきた。
俺とエメラルダスは、邪魔者のいなくなった
王城で、父上と母上アルティスと一緒に
庭園で優雅に、楽しくお茶会を楽しんでいた。
「魔物だと?そんなの嘘だろう!!
お前まで、神話を信じているのかッ?!」
「殿下ッ!いつまで
そんなことを言っているのですか!
現に、国内の地方村は魔物により壊滅、
加えてギルド達からの報告によれば、
今まで以上に強くなっているという旨が
多数王城に寄せられているのです!
しかも、騎士団も手に負えない程の数が
この王城に攻め入って来ているのです!!」
何故……なぜなぜなぜッ!!
一介の兵士なんぞにこの俺が
叱られなければならないんだっ!
お前は兵士の身で、俺は王太子だぞッ!!
俺はこの不敬な輩を即刻罰してしまいたかったが、
まだ王太子の地位にある以上、
その決定権は父上が持っている。
父上にこの者を罰してもらおうと、
父上と母上の方を向き、口を開こうとしたが……。
──今まで見たこともないほどに、
父上と母上は震え上がっており、しかも顔色も真っ青だ。
「陛下ッ?!王妃殿下ッ!?大丈夫ですかっ?
貴方、両陛下を不安にさせるだなんて……!」
それを見たエメラルダスも
驚愕でポカンとしていたが、
すぐさま取り直し、報告に来た衛兵を呵責した。
流石は俺の王太子妃だ。
「何を仰っているのですかッ!!
そもそも、あなた方がルミエール様を
この国から追い出したからこうなったのですよ!
しかも、今のように魔物たちが押し寄せてくる前に
地方村や貴族たちの領地で、謎の疫病が
流行っていると俺たちは報告しましたよねッ?!
それに対して何の対策も立てずに、
あなた方は贅沢三昧な日々を過ごしていたでしょう?!
こんなの、因果応報。あなた方の自業自得だッ!
光の女神ソルティア様の加護を持つ、
ルミエール様をあなた方は悪女だと罵って、
追い出したんだからなッ!!」
何だと?!
コイツ……本性を現しやがった。
やはり、俺たちへの不敬罪として処刑すべきだ。
俺はこの国の王太子。
いずれはこの国のトップになる存在なのだから、
贅沢をして何が悪いと言うのだッ!
それに、コイツは現国王である父上まで罵った。
これ以上に悪どい奴はいるか?
それに……ルミエール。
コイツが言うには、ルミエールを追い出したから
今、この国には疫病と魔物が蔓延していると
言っていた。何故だ?アイツは聖女だと言っていたが、
それはアイツが王太子妃に、王妃になりたくて
言った戯言じゃなかったのか?
俺や父上たちが呆然としている中、
報告に来ていた衛兵はチッ、と舌打ちをした
まるで俺たちを見下すかのような冷えた瞳を向けて、
早足にその場を去って行こうとした。
「オイッ!待てッ!!
お前たちは俺たち王族を護る義務がある!
どこへ行くつもりだッ!」
「ハッ、こんな無能な王族が居てたまるか!
お前たちなんてここで、王国と一緒に滅べば良いんだよ!
この国一番の害悪がッ!!
国を滅ぼし、民を苦しめた厄災がッ!!」
俺が呼び止めた衛兵は、俺と父上達を
冷ややかに見つめて、そう吐き捨てていった。
王家を……俺たちを侮辱しやがって……ッ!!
アイツらは、騎士団だけは許さないッ!!
いや、待てよ……そもそもルミエールがいけないんだ!
勝手に王国を出ていったアイツが悪いんだ!
今や、俺達には民からの罵詈雑言が
これが当たり前だというように振りかかってくる。
『ルミエール様を返せッ!!』
『聖女様を陥れた悪女エメラルダスに天罰を!』
『何もしない無能な王家など滅んでしまえッ!!』
そんな声が、王城の外からいつまでも聞こえてくる。
おかしい、こんな筈じゃなかった。
今や、民からは『聖女を陥れた王家』として
忌み嫌われ、しまいには鈍器が王城へ向かって
投げつけられるようにもなった。
おかしいおかしいおかしいおかしいッ!!
国の民は俺たち王家に従うべきだ!
王家を蔑ろにする者たちは生きる資格さえない!
アイツらを罰せなければ……。
けれどそんなことをすればこの国は成り立たなくなる。
やはり、ルミエールを呼び戻さねば……。
ルミエールをこの国に呼び戻して、
王妃にすればアイツはきっと喜ぶだろう。
そしたら民からの罵詈雑言も無くなり、
魔物たちの侵攻もない。ああ、これでいいはずだ。
この策ならば、俺は窮地の国を救った英雄王として
長い歴史を誇るデルソーレ王国の歴史に刻まれることになる。
ならば、衛兵達に早速ルミエールの居場所を
捜索してもらわなければ……!
待ってろよ、ルミエール。
お前さえ俺に付き従えば、
この国の英雄に俺はなれるんだ!!
やはり、聖女などまやかしで間違いはなかったのだ。
何せ、俺やエメラルダスは伝承に記された
疫病や魔物に襲われることなく、
こんなにも幸せな日々を暮らせているのだから。
「へ、陛下ッ!城下町に魔物の群れが現れました!」
「何ッ!?」
父上である、ボースハイト国王に
一人の衛兵が焦ったように走り寄ってきた。
俺とエメラルダスは、邪魔者のいなくなった
王城で、父上と母上アルティスと一緒に
庭園で優雅に、楽しくお茶会を楽しんでいた。
「魔物だと?そんなの嘘だろう!!
お前まで、神話を信じているのかッ?!」
「殿下ッ!いつまで
そんなことを言っているのですか!
現に、国内の地方村は魔物により壊滅、
加えてギルド達からの報告によれば、
今まで以上に強くなっているという旨が
多数王城に寄せられているのです!
しかも、騎士団も手に負えない程の数が
この王城に攻め入って来ているのです!!」
何故……なぜなぜなぜッ!!
一介の兵士なんぞにこの俺が
叱られなければならないんだっ!
お前は兵士の身で、俺は王太子だぞッ!!
俺はこの不敬な輩を即刻罰してしまいたかったが、
まだ王太子の地位にある以上、
その決定権は父上が持っている。
父上にこの者を罰してもらおうと、
父上と母上の方を向き、口を開こうとしたが……。
──今まで見たこともないほどに、
父上と母上は震え上がっており、しかも顔色も真っ青だ。
「陛下ッ?!王妃殿下ッ!?大丈夫ですかっ?
貴方、両陛下を不安にさせるだなんて……!」
それを見たエメラルダスも
驚愕でポカンとしていたが、
すぐさま取り直し、報告に来た衛兵を呵責した。
流石は俺の王太子妃だ。
「何を仰っているのですかッ!!
そもそも、あなた方がルミエール様を
この国から追い出したからこうなったのですよ!
しかも、今のように魔物たちが押し寄せてくる前に
地方村や貴族たちの領地で、謎の疫病が
流行っていると俺たちは報告しましたよねッ?!
それに対して何の対策も立てずに、
あなた方は贅沢三昧な日々を過ごしていたでしょう?!
こんなの、因果応報。あなた方の自業自得だッ!
光の女神ソルティア様の加護を持つ、
ルミエール様をあなた方は悪女だと罵って、
追い出したんだからなッ!!」
何だと?!
コイツ……本性を現しやがった。
やはり、俺たちへの不敬罪として処刑すべきだ。
俺はこの国の王太子。
いずれはこの国のトップになる存在なのだから、
贅沢をして何が悪いと言うのだッ!
それに、コイツは現国王である父上まで罵った。
これ以上に悪どい奴はいるか?
それに……ルミエール。
コイツが言うには、ルミエールを追い出したから
今、この国には疫病と魔物が蔓延していると
言っていた。何故だ?アイツは聖女だと言っていたが、
それはアイツが王太子妃に、王妃になりたくて
言った戯言じゃなかったのか?
俺や父上たちが呆然としている中、
報告に来ていた衛兵はチッ、と舌打ちをした
まるで俺たちを見下すかのような冷えた瞳を向けて、
早足にその場を去って行こうとした。
「オイッ!待てッ!!
お前たちは俺たち王族を護る義務がある!
どこへ行くつもりだッ!」
「ハッ、こんな無能な王族が居てたまるか!
お前たちなんてここで、王国と一緒に滅べば良いんだよ!
この国一番の害悪がッ!!
国を滅ぼし、民を苦しめた厄災がッ!!」
俺が呼び止めた衛兵は、俺と父上達を
冷ややかに見つめて、そう吐き捨てていった。
王家を……俺たちを侮辱しやがって……ッ!!
アイツらは、騎士団だけは許さないッ!!
いや、待てよ……そもそもルミエールがいけないんだ!
勝手に王国を出ていったアイツが悪いんだ!
今や、俺達には民からの罵詈雑言が
これが当たり前だというように振りかかってくる。
『ルミエール様を返せッ!!』
『聖女様を陥れた悪女エメラルダスに天罰を!』
『何もしない無能な王家など滅んでしまえッ!!』
そんな声が、王城の外からいつまでも聞こえてくる。
おかしい、こんな筈じゃなかった。
今や、民からは『聖女を陥れた王家』として
忌み嫌われ、しまいには鈍器が王城へ向かって
投げつけられるようにもなった。
おかしいおかしいおかしいおかしいッ!!
国の民は俺たち王家に従うべきだ!
王家を蔑ろにする者たちは生きる資格さえない!
アイツらを罰せなければ……。
けれどそんなことをすればこの国は成り立たなくなる。
やはり、ルミエールを呼び戻さねば……。
ルミエールをこの国に呼び戻して、
王妃にすればアイツはきっと喜ぶだろう。
そしたら民からの罵詈雑言も無くなり、
魔物たちの侵攻もない。ああ、これでいいはずだ。
この策ならば、俺は窮地の国を救った英雄王として
長い歴史を誇るデルソーレ王国の歴史に刻まれることになる。
ならば、衛兵達に早速ルミエールの居場所を
捜索してもらわなければ……!
待ってろよ、ルミエール。
お前さえ俺に付き従えば、
この国の英雄に俺はなれるんだ!!
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