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第一章 最強聖女の復讐
第3話 「忘れ去られた神殿にて」
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あの馬鹿王子に婚約破棄と
国外追放を言い渡された私は、
王城の一室にある私の部屋から、
予め纏めていた自身の荷物だけを持ち出して、
王城から城下町へと飛び出していた。
「さて……とりあえず、
この国に張った結界を解くために
どこか騒音のない静かな場所に行かないと……」
どれほど小さい雑音が耳に入ったとしても、
そちらに意識が向くこともある。
しっかり、念入りに集中できる場所を探さねば!と
私は意気込んで、何やら私を追ってきている
あの王城の大広間にいた
男性貴族たちに見つからないようにすぐさま隣国との
国境付近に瞬間移動することにした。
そこは森の中だった。
適当にとりあえず彼らから見つからない遠い場所に
行こうと強く思っていたからか、
全く知らない場所へ瞬間移動してしまったようだ。
まぁ、地面に埋もれたりする
ようなことがなかったのは
不幸中の幸いなのかもしれないけれど。
「どうしよう……」
全く知らない森の中となると、
私の土地勘など全く無意味だ。
やれやれと思いつつも、どうにか憎たらしい人たちの
元から離れられたという喜びで、
これからどうしようかとワクワクしてくる。
それにしては、私の本来の姿を見せた瞬間に、
求婚してこようとするなんて。
私は神聖力を使って、彼らの言動をビジョンとして
何もない宙に映し出した。
『早くルミエール嬢を見つけろ!』
『俺が先に婚姻を結ぶに決まっているだろう?!』
『いいや、こっちが!』『いいや、私が!!』
「なんて醜い人達なのかしら……。
私をここ6年間散々虐げておいて、求婚を
受け入れてくれるとでも思っているのかしら……?」
私は森の中を歩きながら、ビジョンに映し出された
男性貴族たちの醜い争いを
他人事のように見つめながら、
どうしようもなく呆れ返るしかなかった。
◆◆◆◆◆◆
「ん?ここは……?」
どれほど時間が経ったかは分からないけれど、
ある程度適当に森の中を歩いていると、
手入れのされていない
もうボロボロになっていた神殿を見つけた。
私がデルソーレ王国から離れた為に、
結界の効力は弱まっているだろうが、
完全になくなっているわけではないため、
彼らに復讐ができない。
もしかしたら、私のこんな醜い姿を見て、
ソルティア様は幻滅なさるかもしれないけれど。
そんな自嘲気味な思いで、
馬鹿馬鹿しくて微笑んでいると
廃れてしまった神殿に、
ソルティア様の紋章を発見した。
「ここは……
ソルティア様を信仰していた神殿なのかしら?」
こんな場所、初めて見た。それは勿論、
デルソーレ王国の外に出たことがないから
という理由もあるけれど、この神殿の構造が、
光の女神の時代と言われた太古の昔のものだったからだ。
デルソーレ王国ができる、数万年前。
悪神ズローがこの世を混沌の闇に包もうとしたとき、
救いもなく、ただ絶望するしかなかった人々の前に
光の女神ソルティアが降り立ち、勇気ある青年と、
純白な心を持つ少女に浄化の力を与え、
人々に光をもたらした───という神話。
その話を、幼い頃に
ソルティア様にお聞きしたことがあった。
『ソルティア様、
この神話は本当にあったことなんですか?』
『あら、何とも懐かしい話です……。
そうですね、かつてこのようなこともありました』
女神であり、人が崇拝するべきお方に、
幼い頃の私は思ったことを次々と発していったのに、
ソルティア様はそんな私に優しく微笑みながら、
真実かどうか話してくれた。
今となってはとんでもない無礼を
働いていたものだと思っているけれど。
『───ルミエール。我が愛しの子よ』
「ッ!?」
神殿の大きな扉の前に立つと、
中から懐かしい声が聞こえてきた。
久々に聞く声に私は
ビクリッとその場から動けずにいると、
ゴゴゴゴゴッ!と重く、大きな岩の扉がゆっくりと
自動で開いていく様を見て、私はただただ呆然とする。
『ルミエール、こちらへ』
この大きな岩の扉を開いたのは、
紛れもなく光の女神本人だろう。
中に入りなさい、とその声が私を導いている。
私はただ、もう廃れてしまった神殿の中に
ゆっくりと歩を進めることにした。
国外追放を言い渡された私は、
王城の一室にある私の部屋から、
予め纏めていた自身の荷物だけを持ち出して、
王城から城下町へと飛び出していた。
「さて……とりあえず、
この国に張った結界を解くために
どこか騒音のない静かな場所に行かないと……」
どれほど小さい雑音が耳に入ったとしても、
そちらに意識が向くこともある。
しっかり、念入りに集中できる場所を探さねば!と
私は意気込んで、何やら私を追ってきている
あの王城の大広間にいた
男性貴族たちに見つからないようにすぐさま隣国との
国境付近に瞬間移動することにした。
そこは森の中だった。
適当にとりあえず彼らから見つからない遠い場所に
行こうと強く思っていたからか、
全く知らない場所へ瞬間移動してしまったようだ。
まぁ、地面に埋もれたりする
ようなことがなかったのは
不幸中の幸いなのかもしれないけれど。
「どうしよう……」
全く知らない森の中となると、
私の土地勘など全く無意味だ。
やれやれと思いつつも、どうにか憎たらしい人たちの
元から離れられたという喜びで、
これからどうしようかとワクワクしてくる。
それにしては、私の本来の姿を見せた瞬間に、
求婚してこようとするなんて。
私は神聖力を使って、彼らの言動をビジョンとして
何もない宙に映し出した。
『早くルミエール嬢を見つけろ!』
『俺が先に婚姻を結ぶに決まっているだろう?!』
『いいや、こっちが!』『いいや、私が!!』
「なんて醜い人達なのかしら……。
私をここ6年間散々虐げておいて、求婚を
受け入れてくれるとでも思っているのかしら……?」
私は森の中を歩きながら、ビジョンに映し出された
男性貴族たちの醜い争いを
他人事のように見つめながら、
どうしようもなく呆れ返るしかなかった。
◆◆◆◆◆◆
「ん?ここは……?」
どれほど時間が経ったかは分からないけれど、
ある程度適当に森の中を歩いていると、
手入れのされていない
もうボロボロになっていた神殿を見つけた。
私がデルソーレ王国から離れた為に、
結界の効力は弱まっているだろうが、
完全になくなっているわけではないため、
彼らに復讐ができない。
もしかしたら、私のこんな醜い姿を見て、
ソルティア様は幻滅なさるかもしれないけれど。
そんな自嘲気味な思いで、
馬鹿馬鹿しくて微笑んでいると
廃れてしまった神殿に、
ソルティア様の紋章を発見した。
「ここは……
ソルティア様を信仰していた神殿なのかしら?」
こんな場所、初めて見た。それは勿論、
デルソーレ王国の外に出たことがないから
という理由もあるけれど、この神殿の構造が、
光の女神の時代と言われた太古の昔のものだったからだ。
デルソーレ王国ができる、数万年前。
悪神ズローがこの世を混沌の闇に包もうとしたとき、
救いもなく、ただ絶望するしかなかった人々の前に
光の女神ソルティアが降り立ち、勇気ある青年と、
純白な心を持つ少女に浄化の力を与え、
人々に光をもたらした───という神話。
その話を、幼い頃に
ソルティア様にお聞きしたことがあった。
『ソルティア様、
この神話は本当にあったことなんですか?』
『あら、何とも懐かしい話です……。
そうですね、かつてこのようなこともありました』
女神であり、人が崇拝するべきお方に、
幼い頃の私は思ったことを次々と発していったのに、
ソルティア様はそんな私に優しく微笑みながら、
真実かどうか話してくれた。
今となってはとんでもない無礼を
働いていたものだと思っているけれど。
『───ルミエール。我が愛しの子よ』
「ッ!?」
神殿の大きな扉の前に立つと、
中から懐かしい声が聞こえてきた。
久々に聞く声に私は
ビクリッとその場から動けずにいると、
ゴゴゴゴゴッ!と重く、大きな岩の扉がゆっくりと
自動で開いていく様を見て、私はただただ呆然とする。
『ルミエール、こちらへ』
この大きな岩の扉を開いたのは、
紛れもなく光の女神本人だろう。
中に入りなさい、とその声が私を導いている。
私はただ、もう廃れてしまった神殿の中に
ゆっくりと歩を進めることにした。
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