44 / 54
水城の泉の家出事件
44
しおりを挟む
「ソフィア様‼ソフィア様‼」
自分を呼ぶ誰かの声が聞こえ、ソフィアはゆっくりと瞼を動かす。
「スイ…レン?それにモコ。」
「良かった。目を覚ましたんですね。」
『心配したんだよ。』
「そうだ。私たちはライの魔法で不思議な穴に落ちて…。」
目を開けて少しずつ状況を把握したソフィアは周囲を見渡して声を失った。目の前には使い魔園よりも沢山の使い魔が楽しそうに遊んだり、仲良く食事をしたりしていた。こんなに沢山の使い魔を1度に見るのはソフィアは初めてで驚く。
そして、それ以上に驚いたのは全てが水で出来たお城である。透明な水が太陽の光を反射してキラキラと美しく輝いていた。余りに現実離れしたな光景にソフィアは目を大きく開けた。
「此処はどこなの?」
「僕たち全ての水の使い魔の故郷『水城の泉』です。」
「此処にスイナールがいるの。」
「そうです。今の時間帯だと、スイナールはお城でダンスの勉強をしているはずですよ。」
お城でダンスの勉強。ふと疑問を浮かべたソフィアだが、すぐにある答えを見付けてスイレンに尋ねる。
「ねえ、もしかして2人は王族なの?」
「はい。僕が第1王女でスイナールは第109王女です。僕たちの種族は昔から大家族で兄弟だけで男165名。女109名いて、スイナールは兄弟の中でも末っ子で、家族から大切にされているんです。」
さらりと衝撃発言をされたが、リアムが王族だと知った直後だったこともあり、私の周囲王族率高いなぁ。と、呑気に考えているソフィアだった。
そしてスイナールとスイレンが姉妹だと聞いたときと比べて落ち着いたソフィアを見て、普通はここも驚く所だよね。ソフィアの驚くツボが分からないな。と、呑気に考えるモコ。
そして、そんな2人を見てスイレンは、スイナールを迎えに来たのに呑気な顔をしているソフィア達にムッとするのであった。
「呑気な顔をしないで下さい。さあ、城に着入りますよ。僕に着いて来て。」
「うん。」
モコを抱き締め、ソフィアは慌ててスイレンの後を追う。スイレンは第1王女だけあり有名人なようだ。普通に歩くだけで、近くにいた使い魔が道を開け、スイレンに手を振ったり頭を下げる。
そして当然だが、使い魔達の興味はスイレンの連れであるソフィアにも向いた。
『第1王女様の帰還よ。相変わらずお美しいわ。その後ろの子は誰かしら。始めてみる使い魔ね。』
『そうか。お前は初めて見るのか。あれは使い魔ではなく人間だ。でもなぜ人間がいるんだ。』
『まさか、王女様と契約したという『愛の女神の申し子』、『仮面豹変天使』、『無自覚男心折り娘』、『父の愛から逃れたい反抗期』と、噂のソフィア様か。』
「…スイレン?」
途中、使い魔の会話の中で変な単語が混ざっていた気がしてソフィアはスイレンを軽く睨む。
「空耳です。気のせいです。急ぎますよ。」
スイレンはそう言うならこの話題を追及するのは止めよう。追及しても教えて貰えない気がする。そう判断したソフィアは(クリスの愛が重たいだけで、反抗期ではないのに)と、心の中で怒るのだった。
他の使い魔も会話をしていたことが災いして、会話の最後(父の愛から逃れたい反抗期)しか聞こえていなかったソフィアは使い魔達の噂を止めずにいた。
噂は広まるどこまでも。この事を後悔するのは、そう遠くない未来の話かも知れない。
自分を呼ぶ誰かの声が聞こえ、ソフィアはゆっくりと瞼を動かす。
「スイ…レン?それにモコ。」
「良かった。目を覚ましたんですね。」
『心配したんだよ。』
「そうだ。私たちはライの魔法で不思議な穴に落ちて…。」
目を開けて少しずつ状況を把握したソフィアは周囲を見渡して声を失った。目の前には使い魔園よりも沢山の使い魔が楽しそうに遊んだり、仲良く食事をしたりしていた。こんなに沢山の使い魔を1度に見るのはソフィアは初めてで驚く。
そして、それ以上に驚いたのは全てが水で出来たお城である。透明な水が太陽の光を反射してキラキラと美しく輝いていた。余りに現実離れしたな光景にソフィアは目を大きく開けた。
「此処はどこなの?」
「僕たち全ての水の使い魔の故郷『水城の泉』です。」
「此処にスイナールがいるの。」
「そうです。今の時間帯だと、スイナールはお城でダンスの勉強をしているはずですよ。」
お城でダンスの勉強。ふと疑問を浮かべたソフィアだが、すぐにある答えを見付けてスイレンに尋ねる。
「ねえ、もしかして2人は王族なの?」
「はい。僕が第1王女でスイナールは第109王女です。僕たちの種族は昔から大家族で兄弟だけで男165名。女109名いて、スイナールは兄弟の中でも末っ子で、家族から大切にされているんです。」
さらりと衝撃発言をされたが、リアムが王族だと知った直後だったこともあり、私の周囲王族率高いなぁ。と、呑気に考えているソフィアだった。
そしてスイナールとスイレンが姉妹だと聞いたときと比べて落ち着いたソフィアを見て、普通はここも驚く所だよね。ソフィアの驚くツボが分からないな。と、呑気に考えるモコ。
そして、そんな2人を見てスイレンは、スイナールを迎えに来たのに呑気な顔をしているソフィア達にムッとするのであった。
「呑気な顔をしないで下さい。さあ、城に着入りますよ。僕に着いて来て。」
「うん。」
モコを抱き締め、ソフィアは慌ててスイレンの後を追う。スイレンは第1王女だけあり有名人なようだ。普通に歩くだけで、近くにいた使い魔が道を開け、スイレンに手を振ったり頭を下げる。
そして当然だが、使い魔達の興味はスイレンの連れであるソフィアにも向いた。
『第1王女様の帰還よ。相変わらずお美しいわ。その後ろの子は誰かしら。始めてみる使い魔ね。』
『そうか。お前は初めて見るのか。あれは使い魔ではなく人間だ。でもなぜ人間がいるんだ。』
『まさか、王女様と契約したという『愛の女神の申し子』、『仮面豹変天使』、『無自覚男心折り娘』、『父の愛から逃れたい反抗期』と、噂のソフィア様か。』
「…スイレン?」
途中、使い魔の会話の中で変な単語が混ざっていた気がしてソフィアはスイレンを軽く睨む。
「空耳です。気のせいです。急ぎますよ。」
スイレンはそう言うならこの話題を追及するのは止めよう。追及しても教えて貰えない気がする。そう判断したソフィアは(クリスの愛が重たいだけで、反抗期ではないのに)と、心の中で怒るのだった。
他の使い魔も会話をしていたことが災いして、会話の最後(父の愛から逃れたい反抗期)しか聞こえていなかったソフィアは使い魔達の噂を止めずにいた。
噂は広まるどこまでも。この事を後悔するのは、そう遠くない未来の話かも知れない。
0
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します
カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。
そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。
それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。
これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。
更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。
ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。
しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い……
これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる