臆病者の弓使い

菅原

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1章 森の狩人

入国

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 翌日、ネイノートは森の入り口、草原の見える所まで来ていた。
森の中から見える草原は、遮蔽物もなく見晴らしがとてもいい。風が吹く度に草が波打ち、光を反射する。その光景に少年は暫し心を奪われた。
 一方で彼の狩人たる部分が警鐘を鳴らす。見晴らしが良いということは、その分敵の察知も早くなり、遮蔽物がないため狙撃することが容易となる。だがそれは自身にも言えることで、身を隠すことも出来ず、木に登って戦闘を回避することも避難することも出来ない、ということでもある。特に森の中での狩りを得意とするネイノートにとっては、不安を覚える環境であった。

 草原を眺めること暫く、辺りに危険が無いことを確かめた後、一度だけ深呼吸をする。騒つく心を落ち着かせ、ネイノートは草原へと足を踏み出した。
 慣れた森の中とは何もかも違う環境の中、頻りに周囲を見渡し警戒を絶やさない。そんな状況にあるせいか、様々な不安要素が彼の頭を掠めた。持ってきた矢は、食料は足りるだろうか。魔物が現れたら? 敵意ある人間にあったら? 初めての行動には常に不安が付きまとう。だがそれも街道に辿り着くまでのこと。思いの外森の近くまで街道が伸びているようで、さほど時間も掛からずに辿り着けた。
 夜明けと共に小屋を出たため、まだまだ日は高い。昼時というにも早い時間だ。その為か街道に人影はなく、動物や魔物の姿も見えない。彼は街道に出た後も暫く気を張っていたが、当面の危険がないことを悟ると、うろ覚えの記憶を頼りに王国へ向かって歩を進めた。


 街道を行くネイノートは空を見上げていた。……いや、厳密には空を見ていたわけではない。彼の眼は、遥か上空に見える一羽の鳥を追っていた。彼と同じ、緑色の羽を持つ小型の鳥。幼き頃よりずっと一緒に暮らしていた『ウィンドバード』という魔物だ。名前は“ウィン”という。子供の頃に名付けたとはいえ、なんと安直な名前を付けたものだ、と彼は今でも頭を抱える。
 ウィンは空から舞い降り、慣れたようにネイノートの肩に止まった。うっすらと緑がかった羽は、日の光を浴びて美しく輝く。その羽はよく工芸品などに用いられ、巷ではよく知られた存在だ。
 分類では魔物に属するウィンドバードだが、凶暴性や習性は鳥類とさほど変わらない。特段鋭い爪や嘴《くちばし》を持つわけではなく、羽がナイフのように切れるわけでも、羽を自由に飛ばす技があるわけでもない。だが、それらに替わるように魔力を持ち、風を操る魔法を使う事ができる。
 風魔法というのはなかなかに汎用性が高い魔法だ。ウィンが使用すれば、上空からの索敵、敵の攪乱かくらん殲滅せんめつ等々、用途は多岐にわたる。これまでもネイノートは、ウィンと共に多くの危険を乗り越えてきたのだ。
 ウィンは甘えるように頬ずりをすると、少年の肩に乗ったままそろって王国への道を歩いていく。

 王国までの道はとても快適だった。森の中とは違って目標地点が容易に視認でき、道は歩きやすいように舗装までされている。また人の住む領域に近いせいか、魔物を一匹も見なかった。ネイノートは、あれだけ入念に用意した道具が無駄になったな、と一人愚痴る。
 昼時も過ぎる頃、更に王国が近くなったせいか、人がまばらに増えてきた。肩に乗っていたウィンは、騒ぎを避けるために人影が見えた時から大空を舞っている。道ゆく人らは特に会話などをすることも無く、皆ネイノートと同じ方へと進んでいく。ある人は大袋を担いで、ある人は外套に身を包み、ある人は荷馬車を操りながら。ネイノートのように一人の人もいれば、二、三人まとまって駄弁っている人らの姿もある。その光景を興味深く眺めながら、彼は歩き続けた。

 森から歩き始めいくつかの小高い丘を越えたころ、悠然とそびえる王国の外壁が顔を出した。遠くからでも巨大と感じるその壁は、長年王国を守り続けた鉄壁の城塞である。
 街道を道なりに進むと何本もの道が合わさり、やがて門へと辿り着く。大人の何倍もある巨大な門の傍には小さな建物が立っていて、恐らくネイノートと同じ入国希望者と思われる人らが、その建物の前に並んでいた。建物の中から武器を携帯した兵士が出てきて一人一人と話している。忙しなく対応に追われているようだ。
 どうやらそこは王国兵の詰所らしい。
幾枚もの記布きふを持ち、それを並ぶ人らに渡していた。

 記布とは字の如く、情報を書き記す布のことだ。いかに王国といえど、高価である紙を常用はしない。ましてや一日に何十、何百と入出国者がいるのだ。その数を全て紙にしては、費用も保管する場所も困るだけである。
 列に並んだネイノートのもとにも兵士が来て、汚れた記布をよこした。記布には赤いインクで名、出身、年、入国理由と記載されていた。
 この赤いインクは特殊で、水で洗っても落ちないのだ。
そこに普通のインクで記入すれば、必要なくなった記布は洗って再利用する、ということが可能になる。
 ネイノートは赤い文字の下に黒のインクで記入していく。
名は〈ネイノート・フェルライト〉
出身は〈ガノーシュ村〉
年は〈十六〉
入国理由は〈冒険者になるため〉
端的ではあるが記入し終えた記布を、近くの兵士に手渡す。記入漏れがないことを確認した兵士は、ネイノートをじろりと睨んだ。

 兵士は緑髪の少年を見ていぶかしんでいた。記布には冒険者志望と書いてある。年は十六と若いが、冒険者組合の加入許可年齢が十六だからだろう。小さい体に目立つ色の髪と瞳もさることながら、一番目を引くのは背負っている布の塊だった。
 この年にして冒険者を目指すのならば、腕に多少の自信があるのだろう。だが彼は帯剣していない。腰にナイフのようなものは持っているが、あまりにも小さく短剣といったものではなさそうだ。ならば背に持つ布の塊が彼の獲物ぶきなのだろう。ではなぜ彼はそれを隠すのだろうか。
(剣であれば隠す必要もないではないか)
そう思った兵士はネイノートに声をかけた。
「君は……ネイノート君ね。その背中のは?」
 努めて優しい声音で。
この年ぐらいの子供は酷く扱いづらいものだ。兵士も、いきなり武器で切り付けられた、なんて話を同僚から聞いたことがる程である。
 兵士の眼前にいる少年は誤魔化すように、少し困った顔で首をかしげた。整った顔立ちのせいか可愛らしくも見える。だが治安維持という使命のためにも、有耶無耶にすることはできない。暫しの沈黙の後、意を決した彼は背中の布を少しずらした。
そこには湾曲した木に糸状の何かを付けた物があった。
弓だ。
それを確認して、兵士は納得に至る。
 
 現在、人の国において「弓」という武器は、ヒエラルキーの最下層にあった。
原因となったのは異世界より召喚された勇者。彼が持つ知識から精製された兵器の存在だ。頑丈な筒の中で火薬を爆破させ鉄の弾を打ち出す。
「銃」と呼ばれたそれは、遠く離れた所にいるフルプレートを着込んだ兵士に、装甲の上から致命傷を与えるほどの威力があった。その兵器は、当時魔物との戦争により兵も資金も枯渇していた王国で、多大な功績を残し王の目に留まる。
 余裕のなかった王国は弓と銃を比べた結果、当時遠距離攻撃部隊として配置されていた弓兵団を解散し、銃兵団を作るに至った。
弓兵団に取って代わった銃兵団の功績があって、戦争は人間の勝利で終わりを迎える。
それ以来競り負けた弓は侮蔑の対象になってしまったのだ。
 以降、銃を所持する冒険者や兵士が増加する。
あらかじめ装填の手間はあるが、片手で扱えしかも高威力なため、もしもの時の切り札として所持するものが多く現れたのだ。

 少年の背にある弓を見た兵士は驚いた。
兵士自身は、かつて王国を支えてきた弓兵団を蔑むことはなかったが、一部の国民は弓を使う者を馬鹿にする者もいる。
目の前の少年はそれを知っているからこそ、布で隠す行為に至ったのだろう。
しかし、それでも彼は兵士に弓を見せたのだ。
 兵士はネイノートのその対応を大変気に入った。
不安そうに兵士を見つめるネイノートの肩を兵士は叩く。
「がんばれよ」
そういって笑顔をつくると、記布をもって兵士は詰所に戻っていった。
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