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娘と母

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 倫「風歌、この方が風歌の母親の……杉 風音さん」

 風音「風歌……さん。今日はお会い出来て嬉しいです」

 風歌.るな(……)

 都合の良い夢見てるんだ
 だって……

 るな「良かった……ふうちゃんが悲しむ事の無い……幸せになれる人だ……」

 るなちゃん……

 私とるなちゃんは 、L 字型に設置したソファのパパの左手側のソファに座って

 ママはダイニングの椅子座り、少し離れた場所から 見守ってくれている

 ママは……皆もだけどマスクをしているから、表情が分かりにくくて……

 風歌「風音さん。ほんの少しだけでいいので、マスクを外してお顔を見せてくれませんか?」

 そう言うと風音さんはマスクを外してくれて

 いつも優しく、私を見つめてくれている瞳は、涙の粒で光っている

『想いの丈を沢山話しなね』
 英士さんが勇気をくれたから……

 風歌「風音さん。中学卒業の時に、貴女の話を聞いた時に強く思ったのは『私にはママだけだもん……パパは亡くなったるなちゃんのパパだけって……』事でした」

 風音「ええ。分かるわ」

 風歌「それと同時に、私を生んでくれた母親に逢いたいという想いもありました。でも『ママに逢いたい』って言ったら、育ててくれたママがどう思うだろう? 『パパが好き』って言ったら、 実のパパがどう思うだろう? とか……沢山悩みました」

 風音「ええ」

 風歌「その感情は、つい最近まで抱いていた想いでした。貴女に逢ってみないか? って言われた日に。るなちゃんが『パパにね『守ってやる』『パパって呼んでくれ』って言われて嬉しかった。その時に『私にはパパが二人いて、ふうちゃんにはパパとママが二人ずついるなんて! 凄いと思わない?』言ってくれて……『そうか……私にはパパが二人。ママも二人いるんだ』って思ったら、どこか割り切れ無くて心の中に刺さっていた棘が抜けて……なんて幸せなんだろうって……感じたんです」

 風音「風歌ちゃん」

 倫「風歌……」

 パパは、涙がこみ上げて来たのか……天を仰いでいる。ママは両手で顔を覆って泣いていて

 風音さんも……泣いてる

 るな「ふうちゃん頑張ったね」

 るなちゃん……

 月乃「ふうちゃん良かったね」

 風歌「ママ……風音さんもママって思っても良いの?」

 月乃「ええ。ふうちゃんが私の娘なのは永遠に変わる事無いもの。だから……私もふうちゃんのママでいて良いのよね?」

 風歌「ママは私のママだもん。ずっとママでいて……」

 月乃「ふうちゃんずっと……母と娘よ」

 ママぁ……

 風音「風歌ちゃん……私をママと呼んでくれてありがとう」

 風歌「風音さん……ママっ……」

 そこからは、 言葉にならなくて
 涙が溢れて来たの

 倫「風歌……ありがとう」

 パパ……

 るな「本当に良かった……」

 るなちゃん……

 風歌「パパ。私はパパの娘で幸せです。ママ。ママの娘で幸せです。風音ママ……ママの娘に生まれて幸せです。ありがとう……」




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