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「あのぅ」
「はい?」
連が腰を上げようとしたとき、藤堂剛が声をかけた。視線はまっすぐ連を捉えていた。
「あっ、いいえ。もう残業代出ないですよね」
「えっ? 残業代? ああ、そういうこと。はい、残業代は出ませんよ。だって、残業してませんから」
「えっ。いくらなんでも定時は過ぎているでしょう」
「もちろん、定時はありますよ。会社の採用情報にも記載されています」
「それじゃあ、この時間までは、残業代出ますよね。でも、あまり長いとカットされるんでは?」
「はい?」
連は首を傾げた。
「あのう、これ以上は無理ですよね」
「これ以上?」
「時間です。もう少し話がしたいなあ、と思っているんですが。もう、これ以上残業代は出ないですよね。残業代に上限、ありますよね」
「えっ? ああ、そういうこと。そういうことを言いたかったんですね。先ほども言いましたが、今日の分、残業代は出ません。だって、残業はしてませんから。今日はもう退社しているんで。プライベートでおじゃましているんです」
「ええ? 仕事じゃなかったんですか。取材じゃないんだ」
「いいえ。取材です」
連はきっぱり言った。さらに
「勤務時間ではなく、プライベートな時間を使って取材するってこと、あるんですよ。その方が、じっくり取材できるんですよ。会社にいちいち連絡しなくていいでしょ」
「ああ、そういうこと」
「それで、話したいことがあるんですよね。いいですよ。じっくりお聞きします」
「ほんとうですか」
と言った後、藤堂剛は不安げな表情を見せた。連は彼の顔を覗き込む。藤堂剛が視線をそらす。
「うん」
威圧感を与えないよう、連も視線をそらした。
「あのう、僕、おかしいんです」
藤堂剛は下を向いたまま、つぶやいた。
「おかしいとは? どのようなことでしょうか」
「なんて言ったらいいんだろう」
藤堂剛の視線が泳いでいる。
「頭の中で無理してまとめなくてもいいですよ。浮かんできた言葉で話してください。僕が整理しますから」
「あー、はい。でも、もし、変なことをしゃべりだして、聞きたくないと思ったら、止めてもらってもいいですから」
「いいえ、剛さんのほんとうの姿を知りたいのです。止めることはないと思います」
「あー、そうですか」
「自分をさらけ出したほうがいいですよ」
「そうですよね」
藤堂剛は深呼吸を二回した後、連を見た。すがるように。
「両親が亡くなった後から、泣いている自分と冷静な自分が分かれていたんです。背中のほうから冷静な自分が、泣いている自分の姿を見ている感じがしていた。上からジオラマのように見ていることもある。テレビの画面を見ているように、周りをモノとして、風景としてとらえている。ストレスがたまってくると、相手と会っているときにも、自分が話している状況が風景のように見えたんです」
藤堂剛は深呼吸をした。自分を落ち着かせるかのように。
この後、藤堂剛は絞り出すように言葉を紡(つむ)ぎながら、胸の内をさらけ出した。一時間経過していた。
「連さん」
藤堂剛は涙目になっていた。
「今日はこれで終わりにしましょうか」
連は腕時計を見た。午後十一時を過ぎていた。
「終電ですか」
「いいえ。剛さん、お疲れのようですから、お休みになってください」
「だめだ。最後まで聞いてください。そうしないと、だめ。途中で止められない。最後まで聞いてください。聞いてもらわないと、壊れるよ」
「剛さん。わかりました。最後まで聞きます」
「あー、思い出してしまった。忘れようとしていたのに。あー、僕は、僕は」
藤堂剛は涙目になった。
「思い出したくないことがあるのですね。だったら、止めましょう」
「いや、だめなんです。思い出してしまったら、ひとりになりたくないんです。ひとりになりたくない。連さん、僕の話を聞いてください」
「わかりましたぁ。今日は、とことん聞きましょう」
連は努めて明るい口調で言った。安心したのか、藤堂剛の強張った表情が緩んだ。
「あるときから苦しくなった。すごく、すごく苦しい。自分にとって肉体は重荷になった。鎖みたいなもの。死体が自分にくっついているみたい。死体がなかったらもっと自分の好きなところへ行ける。ビルのほうへ自分を飛ばすことができる。心はそちらのほうにあってこの体にはないんです。体外へ魂が飛ぶと、目だけが空中から俯瞰して抜け殻の自分を見ることができるんです」
「それはいつからですか。それと、それはときどきですか。それとも、頻繁に起こることですか」
連が藤堂剛を心配そうに覗き込んだ。彼は無表情であった。彼はなぜ苦しくなったのか。あるときとは、いつなのか。表情からは、返ってくる気配が感じられない。初めて見る表情だ。何かある。連はうなずいた。
「剛さん」
返事はない。明らかに、さっきまでの姿とは違う。
「剛さん。剛さんの口から、“死”という言葉が出てきたことがとても気になります。そう思うようになったのは、いつからですか」
「いつから?」
返事はか細かった。連は首を横に振った。死にたいと思うようになったのはいつからなのか。自身で認識している。そう感じ取っているのか。
「ああ、ごめん。追い詰めてしまって、ごめんなさい。今日は、剛さん自身が話したいことを話してください」
彼は危険な状態だ。今日は、話を聞くだけにしよう。連は努めて明るく言った。
その後一時間ほど、藤堂剛はとつとつと話した。連は、彼の表情やしぐさを観察しながら話を聞いていた。その間、言葉をほとんど発しなかった。彼が言葉に詰まっても、ずっと待ち続けた。話の終わりを告げたのは、スマホの着信音であった。藤堂剛のものだ。
「はっ! また」
当然に、確認した。顔が瞬時に引きつった。十秒ほどで鳴りやんだ。連は黙っている。
「はぁー」
スマホを持つ手が震えていた。無音。無風。藤堂剛の手の周りの空気だけが蚊の音のごとく振動していた。連は背筋を伸ばしながら、腕を組み、視線を真下に向けた。無音、無風が続く。連は顔を上げながら、視線をゆっくり移動させる。止めることなく、部屋に存在するものすべてを確認するように動いている。
「もう、終わりに、していいですか」
藤堂剛は力なくつぶやいた。
「ああ、もちろん」
連はゆっくり立ち上がり、歩き出した。三和土の手前で立ち止まり、振り返った。
「剛さん。着信拒否にすればいいですよ」
「えっ! いや、その、番号がないんだ」
「非通知ですね。非通知でも着信拒否できますよ」
「いや、その、誰なのかわからない。それが重要なんだ」
藤堂剛は明らかに動揺していた。
「鍵をかけてくださいね。それでは、失礼します」
連はドアを閉めた。
連は腕時計を見た。午前〇時を過ぎていた。広い通りに出て、タクシーを拾った。
自宅に着いたのは、午前一時少し前。眠気はない。それどころか覚醒していた。頭の中で何かがくるくる回っていた。このまま放って置くわけにはいかない。早速取りかかる。連はボイスレコーダーを取出し、録音した音声を再生する。早送りしながら、重要と思われる部分をWordに入力していく。
「よし」
四十分ほどで作業は終了した。
パソコンの画面には、藤堂剛が訴えた症状が打ち出されていた。
『家の中に一人でいるとき、いろんなところから見られている感じがする。カーテンの隙間を開けておくと、そこに誰かが立っている気配がするので、急いで閉めるんです』
『人が大勢いるところは人が漫然と怖い。人が迫ってくる感じがする』
『自分が何をしているのかわからなくなる。知らないうちに違うところにいる。買った記憶がないのにいろいろな物を持っていたこともある』
『誰かが部屋に遊びに来る。三十歳くらいの男性が話をしてくる。車の話とかして楽しい。気分が沈んでくると十六歳くらいの女の子の声で、一緒に死のう、向こうに行けば楽になるよ、と耳元で聞こえる。頭の中から声がして対話する。どこかへ出かけようと僕を誘ったり、アドバイスもしてくれたりする。普段人と話すのと同じような感じなんです』
『頭の中に自殺した自分の死体が浮かんできて消えない。首を吊った死体と手首を切った死体、それと飛び降りをした死体が、順繰りに頭の中に、鮮明で色付きで見えるように自然に浮かんでくるんだ』
連は医師ではないので、この文章をもって詳細を分析することはできない。が、感覚をもって症状や心理を探ることはできる、はずだ。同じ人間であるからだ。
〈カチ、カチ、カチ〉
連はホームページを開いた。厚生労働省のホームページだ。解離性障害をクリック。
“解離性障害は、自分が自分であるという感覚が失われている状態といえるでしょう。たとえば、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、まるでカプセルの中にいるような感覚がして現実感がない、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、様々な症状があります。
こうした中で、自分の中にいくつもの人格が現れるものを多重人格障害(解離性同一障害)といいます。ある人格が現れているときには、別の人格のときの記憶がないことが多く、生活面での様々な支障が出てきます。
これらの症状は、つらい体験を自分から切り離そうとするために起こる一種の防衛反応と考えられています。治療では、安心できる環境にすること、家族や周囲の人が病気について理解することがとても大切です”
先日の病院での取材で、病気のことはだいたい理解している。発症のきっかけは、たぶん両親の交通事故だろう。さらに、追い討ちをかける事件。たった一人の身内であった姉が殺害された。両親、姉とも自然の摂理ではない去り方である。藤堂剛が受けた衝撃はいかばかりか。心の傷口を広げないよう、寄り添わなければならない。そうなんだ。それが大切なんだ。しかし、俺がやろうとしていることは? どうなんだ? いいのか? やろうとしていること、間違っていないのか。そうだよ。考えてみろよ。間違っているだろう。今すぐやめろ。と、誰かに言われそうだ。根拠はあるのか。外形的に判断しているに過ぎない。そうなんだ。単なる思い込みということもある。そういう目で見ているから抜けられないんだ。
〈カチ、カチ〉
珠美が言っていたことを思い出していた。佐々木の言葉だ。藤堂剛がおびえていたこと。姉が殺害された直後ではなく、しばらく経ってからの変化だ。病状が悪化してしまったということであれば、原因ははっきりする。そういうことだ。俺が気になっているのは、それもあるが、現場に度々足を運ぶ藤堂剛の姿だ。何を見ているのだろう。探るような目でじろじろ見ていた。何かを確認するように。遺品は整理したはず。部屋の中には何も残っていないはずだ。建物の外観を見続けるのはなぜか。症状の一つなのか。
〈カチ〉
連はWordに打ち出された症状を食い入るように見た。
「おっ」
連は指をさした。この部分だ。
『自分が何をしているのかわからなくなる。知らないうちに違うところにいる。買った記憶がないのにいろいろな物を持っていたこともある』
「自分が何をしているのかわからなくなる? 知らないうちに違うところにいる? 記憶がないということか。ということは」
連はつぶやく。
〈カチ、カチ、カチ〉
「PTSDか」
再び厚生労働省のホームページだ。PTSDをクリック。
“PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、心のダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などが原因になるといわれています。
突然、怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が出てきます。とてもつらい体験によって、誰でも眠れなくなったり食欲がなくなったりするものですが、それが何カ月も続くときには、PTSDの可能性があります。ストレスとなる出来事を経験してから数週間、ときには何年もたってから症状が出ることがあります。こうしたつらい症状が続いているときは、専門機関に相談しましょう。”
〈カチ、カチ、カチ〉
どこかの医療サイトにアクセスしたようだ。
〈カチ、カチ、カチ〉
素早くページを繰る。
「おっ。これは?」
ある個所で指が止まった。
「交通事故は心的外傷後ストレス障害の原因として比較的多く指摘されるが、解離性障害の外傷として採り上げられることはあまりない。しかし、交通事故の後に解離が発症するというケースがある」
自分に言い聞かせるようにつぶやいた後、腕を組んだ。飛んでいる蚊を追うように、目をせわしなく動かす。沈黙の追撃は五分ほど続いた後
「あくまでも俺の勘だ。藤堂剛は自分が何をしているのかわからなくなると言っていた。ということは、記憶に刻まれていない出来事があるということ。その出来事は自分の中で消化できないことか。そして、何かのきっかけで再現された。あるいは、創り出された。それにおびえている? それは夢か現実か? そして、それが今回のことに関わっているとしたら? どうなんだ。先入観は入っていないか?」
連は腕を組み
「しかし、記憶は証拠にならない」
連は取材ノートのページを繰り始めた。もちろん、今回の事件を取材したものだ。被害者と同じマンションに住む人物、その周辺の住民、藤堂さくらが所属する劇団員、交友関係から割り出された人物、かなりの数の肉声が文字に変換されていた。連は声のすべてを信用しているわけではない。取材された側が真実を語っているとは限らない。嘘やデタラメ、勘違いなどがあるからだ。態度や表情、証言の矛盾点などから、その信憑性を考察している。調べるほどに、意外な展開に発展することがあるからだ。特に、目撃情報が少なく、警察の捜査が難航しているときだ。藤堂さくら以外の指紋がてんこ盛りであるが、この中に犯人がいるとは限らない。指紋を残していないことも考えられる。動機は不明。争った形跡なし。きれいな死体。
「珠美が言っていた憎悪と愛情。憎しみを抱いていた犯人が、愛情を抱くようになったのか。あるいは、愛情を抱いていた犯人が、憎しみを抱くようになったのか、ということ。殺意はあったが、壊したくないという感情も存在していた。恋人同士ならそういうこともあるだろう。俗にいうストーカー行為だ。行為の内容がエスカレートし、傷害事件や殺人事件にまで発展してしまう最悪のパターンだ。今回はどうだ。いや、公式に当てはめるのはまだ早い。それこそ先入観にとらわれるだけだ。仕事上のトラブルはどうだ。キャストに関するトラブルだ。今回の主人公は藤堂さくらに決まっていた。他に主役を演じたいと熱望している劇団員は存在する。藤堂さくらの存在をうとましく思っている可能性は高い。動機にはなるだろう。しかし、常軌を逸した行動をとるだろうか。ただ、彼らを取材したが、言動や表情から内心はうかがえない」
連は取材ノートのページを繰り続ける。
「争った形跡がないわけだよな。顔見知りの可能性が高いということになる。警察の見解もそうだ。そうであれば、人物を絞り込めるはずだが。なぜか、事件の核心に迫れない。このノートからは、手がかりになるような矛盾点も読み取れないな。なんか足りないんだよな。男女間のトラブル? 交友関係のトラブル? 住人間のトラブル? 劇団員間のトラブル? あるいは不審者か。いや、可能性は低い。繰り返しになるが、争った形成がないわけだよ。部屋の奥で倒れていた。藤堂さくらは犯人と面識があるんだ。『スマホは持ち出されているけど、携帯電話キャリアに通話履歴を照会している』そんなこと、珠美は言ってたな。通話発信日時、通話時間、相手先電話番号、SMS送信日時、発信区域は照会できるだろうが、通話料がかかっていない着信履歴やSMS受信履歴は照会できないだろう。それに通話内容もわからない」
連は取材ノートを閉じた。
〈カチ、カチ、カチ〉
医療サイトへのアクセスだ。
「藤堂剛の体調が気がかりだ。解離性障害とPTSDについて、心の傷という点では共通している。素人の分析に過ぎないが、藤堂剛の話の内容や症状を勘案すると、解離性障害である可能性が高いと考えたくなる。守秘義務により聞くことができなかったが、高畑先生の診断もそうであろう。ただ、病名も気になるが、珠美が聞いたという藤堂剛の変化がすごく気になる。当初は、すがるような目で周囲に訴えていた。それが、何かにおびえていたように見えた。視線は合わせない。手が震えている。おどおどした態度をしていた。何があったんだ。病状が進行してしまった? 珠美の上司が言っていたという、自分の内側にある不安や恐怖を投影していたという可能性があるということとは?」
連は、厚生労働省のホームページ[みんなのメンタルヘルス]を閲覧している。こころの病気についての概要が記載されている。症状から知る。病名から知る。医療の知識がなくても、わかりやすい構成、文章になっている。
「安心していられる居場所の喪失に結びついている? そこにしかいられないような場所で、逃避することもできないような状況に立たされ、不快な圧力や刺激が加えられたとしたら。そのような状況では、人間はときに現実に立っている場所から離脱し逃避する。それが空想傾向を強くする。藤堂剛が話す内容は、俺の想像の域を超えている」
連は腕を組み
「いったい何があったんだ。ある時期を境に急変したと考えられないだろうか。誰かに会ったのか。ある出来事があったのか。不安や恐怖に急襲された理由は? 事件の後に、姉のマンションをたびたび訪ねる理由は? 劇団を訪ねる理由は? 絶対に何かある。ああ、俺はただのライターだ。強制捜査権はない。どうすっかなぁ」
腕に力が入る。
「はい?」
連が腰を上げようとしたとき、藤堂剛が声をかけた。視線はまっすぐ連を捉えていた。
「あっ、いいえ。もう残業代出ないですよね」
「えっ? 残業代? ああ、そういうこと。はい、残業代は出ませんよ。だって、残業してませんから」
「えっ。いくらなんでも定時は過ぎているでしょう」
「もちろん、定時はありますよ。会社の採用情報にも記載されています」
「それじゃあ、この時間までは、残業代出ますよね。でも、あまり長いとカットされるんでは?」
「はい?」
連は首を傾げた。
「あのう、これ以上は無理ですよね」
「これ以上?」
「時間です。もう少し話がしたいなあ、と思っているんですが。もう、これ以上残業代は出ないですよね。残業代に上限、ありますよね」
「えっ? ああ、そういうこと。そういうことを言いたかったんですね。先ほども言いましたが、今日の分、残業代は出ません。だって、残業はしてませんから。今日はもう退社しているんで。プライベートでおじゃましているんです」
「ええ? 仕事じゃなかったんですか。取材じゃないんだ」
「いいえ。取材です」
連はきっぱり言った。さらに
「勤務時間ではなく、プライベートな時間を使って取材するってこと、あるんですよ。その方が、じっくり取材できるんですよ。会社にいちいち連絡しなくていいでしょ」
「ああ、そういうこと」
「それで、話したいことがあるんですよね。いいですよ。じっくりお聞きします」
「ほんとうですか」
と言った後、藤堂剛は不安げな表情を見せた。連は彼の顔を覗き込む。藤堂剛が視線をそらす。
「うん」
威圧感を与えないよう、連も視線をそらした。
「あのう、僕、おかしいんです」
藤堂剛は下を向いたまま、つぶやいた。
「おかしいとは? どのようなことでしょうか」
「なんて言ったらいいんだろう」
藤堂剛の視線が泳いでいる。
「頭の中で無理してまとめなくてもいいですよ。浮かんできた言葉で話してください。僕が整理しますから」
「あー、はい。でも、もし、変なことをしゃべりだして、聞きたくないと思ったら、止めてもらってもいいですから」
「いいえ、剛さんのほんとうの姿を知りたいのです。止めることはないと思います」
「あー、そうですか」
「自分をさらけ出したほうがいいですよ」
「そうですよね」
藤堂剛は深呼吸を二回した後、連を見た。すがるように。
「両親が亡くなった後から、泣いている自分と冷静な自分が分かれていたんです。背中のほうから冷静な自分が、泣いている自分の姿を見ている感じがしていた。上からジオラマのように見ていることもある。テレビの画面を見ているように、周りをモノとして、風景としてとらえている。ストレスがたまってくると、相手と会っているときにも、自分が話している状況が風景のように見えたんです」
藤堂剛は深呼吸をした。自分を落ち着かせるかのように。
この後、藤堂剛は絞り出すように言葉を紡(つむ)ぎながら、胸の内をさらけ出した。一時間経過していた。
「連さん」
藤堂剛は涙目になっていた。
「今日はこれで終わりにしましょうか」
連は腕時計を見た。午後十一時を過ぎていた。
「終電ですか」
「いいえ。剛さん、お疲れのようですから、お休みになってください」
「だめだ。最後まで聞いてください。そうしないと、だめ。途中で止められない。最後まで聞いてください。聞いてもらわないと、壊れるよ」
「剛さん。わかりました。最後まで聞きます」
「あー、思い出してしまった。忘れようとしていたのに。あー、僕は、僕は」
藤堂剛は涙目になった。
「思い出したくないことがあるのですね。だったら、止めましょう」
「いや、だめなんです。思い出してしまったら、ひとりになりたくないんです。ひとりになりたくない。連さん、僕の話を聞いてください」
「わかりましたぁ。今日は、とことん聞きましょう」
連は努めて明るい口調で言った。安心したのか、藤堂剛の強張った表情が緩んだ。
「あるときから苦しくなった。すごく、すごく苦しい。自分にとって肉体は重荷になった。鎖みたいなもの。死体が自分にくっついているみたい。死体がなかったらもっと自分の好きなところへ行ける。ビルのほうへ自分を飛ばすことができる。心はそちらのほうにあってこの体にはないんです。体外へ魂が飛ぶと、目だけが空中から俯瞰して抜け殻の自分を見ることができるんです」
「それはいつからですか。それと、それはときどきですか。それとも、頻繁に起こることですか」
連が藤堂剛を心配そうに覗き込んだ。彼は無表情であった。彼はなぜ苦しくなったのか。あるときとは、いつなのか。表情からは、返ってくる気配が感じられない。初めて見る表情だ。何かある。連はうなずいた。
「剛さん」
返事はない。明らかに、さっきまでの姿とは違う。
「剛さん。剛さんの口から、“死”という言葉が出てきたことがとても気になります。そう思うようになったのは、いつからですか」
「いつから?」
返事はか細かった。連は首を横に振った。死にたいと思うようになったのはいつからなのか。自身で認識している。そう感じ取っているのか。
「ああ、ごめん。追い詰めてしまって、ごめんなさい。今日は、剛さん自身が話したいことを話してください」
彼は危険な状態だ。今日は、話を聞くだけにしよう。連は努めて明るく言った。
その後一時間ほど、藤堂剛はとつとつと話した。連は、彼の表情やしぐさを観察しながら話を聞いていた。その間、言葉をほとんど発しなかった。彼が言葉に詰まっても、ずっと待ち続けた。話の終わりを告げたのは、スマホの着信音であった。藤堂剛のものだ。
「はっ! また」
当然に、確認した。顔が瞬時に引きつった。十秒ほどで鳴りやんだ。連は黙っている。
「はぁー」
スマホを持つ手が震えていた。無音。無風。藤堂剛の手の周りの空気だけが蚊の音のごとく振動していた。連は背筋を伸ばしながら、腕を組み、視線を真下に向けた。無音、無風が続く。連は顔を上げながら、視線をゆっくり移動させる。止めることなく、部屋に存在するものすべてを確認するように動いている。
「もう、終わりに、していいですか」
藤堂剛は力なくつぶやいた。
「ああ、もちろん」
連はゆっくり立ち上がり、歩き出した。三和土の手前で立ち止まり、振り返った。
「剛さん。着信拒否にすればいいですよ」
「えっ! いや、その、番号がないんだ」
「非通知ですね。非通知でも着信拒否できますよ」
「いや、その、誰なのかわからない。それが重要なんだ」
藤堂剛は明らかに動揺していた。
「鍵をかけてくださいね。それでは、失礼します」
連はドアを閉めた。
連は腕時計を見た。午前〇時を過ぎていた。広い通りに出て、タクシーを拾った。
自宅に着いたのは、午前一時少し前。眠気はない。それどころか覚醒していた。頭の中で何かがくるくる回っていた。このまま放って置くわけにはいかない。早速取りかかる。連はボイスレコーダーを取出し、録音した音声を再生する。早送りしながら、重要と思われる部分をWordに入力していく。
「よし」
四十分ほどで作業は終了した。
パソコンの画面には、藤堂剛が訴えた症状が打ち出されていた。
『家の中に一人でいるとき、いろんなところから見られている感じがする。カーテンの隙間を開けておくと、そこに誰かが立っている気配がするので、急いで閉めるんです』
『人が大勢いるところは人が漫然と怖い。人が迫ってくる感じがする』
『自分が何をしているのかわからなくなる。知らないうちに違うところにいる。買った記憶がないのにいろいろな物を持っていたこともある』
『誰かが部屋に遊びに来る。三十歳くらいの男性が話をしてくる。車の話とかして楽しい。気分が沈んでくると十六歳くらいの女の子の声で、一緒に死のう、向こうに行けば楽になるよ、と耳元で聞こえる。頭の中から声がして対話する。どこかへ出かけようと僕を誘ったり、アドバイスもしてくれたりする。普段人と話すのと同じような感じなんです』
『頭の中に自殺した自分の死体が浮かんできて消えない。首を吊った死体と手首を切った死体、それと飛び降りをした死体が、順繰りに頭の中に、鮮明で色付きで見えるように自然に浮かんでくるんだ』
連は医師ではないので、この文章をもって詳細を分析することはできない。が、感覚をもって症状や心理を探ることはできる、はずだ。同じ人間であるからだ。
〈カチ、カチ、カチ〉
連はホームページを開いた。厚生労働省のホームページだ。解離性障害をクリック。
“解離性障害は、自分が自分であるという感覚が失われている状態といえるでしょう。たとえば、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、まるでカプセルの中にいるような感覚がして現実感がない、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、様々な症状があります。
こうした中で、自分の中にいくつもの人格が現れるものを多重人格障害(解離性同一障害)といいます。ある人格が現れているときには、別の人格のときの記憶がないことが多く、生活面での様々な支障が出てきます。
これらの症状は、つらい体験を自分から切り離そうとするために起こる一種の防衛反応と考えられています。治療では、安心できる環境にすること、家族や周囲の人が病気について理解することがとても大切です”
先日の病院での取材で、病気のことはだいたい理解している。発症のきっかけは、たぶん両親の交通事故だろう。さらに、追い討ちをかける事件。たった一人の身内であった姉が殺害された。両親、姉とも自然の摂理ではない去り方である。藤堂剛が受けた衝撃はいかばかりか。心の傷口を広げないよう、寄り添わなければならない。そうなんだ。それが大切なんだ。しかし、俺がやろうとしていることは? どうなんだ? いいのか? やろうとしていること、間違っていないのか。そうだよ。考えてみろよ。間違っているだろう。今すぐやめろ。と、誰かに言われそうだ。根拠はあるのか。外形的に判断しているに過ぎない。そうなんだ。単なる思い込みということもある。そういう目で見ているから抜けられないんだ。
〈カチ、カチ〉
珠美が言っていたことを思い出していた。佐々木の言葉だ。藤堂剛がおびえていたこと。姉が殺害された直後ではなく、しばらく経ってからの変化だ。病状が悪化してしまったということであれば、原因ははっきりする。そういうことだ。俺が気になっているのは、それもあるが、現場に度々足を運ぶ藤堂剛の姿だ。何を見ているのだろう。探るような目でじろじろ見ていた。何かを確認するように。遺品は整理したはず。部屋の中には何も残っていないはずだ。建物の外観を見続けるのはなぜか。症状の一つなのか。
〈カチ〉
連はWordに打ち出された症状を食い入るように見た。
「おっ」
連は指をさした。この部分だ。
『自分が何をしているのかわからなくなる。知らないうちに違うところにいる。買った記憶がないのにいろいろな物を持っていたこともある』
「自分が何をしているのかわからなくなる? 知らないうちに違うところにいる? 記憶がないということか。ということは」
連はつぶやく。
〈カチ、カチ、カチ〉
「PTSDか」
再び厚生労働省のホームページだ。PTSDをクリック。
“PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、心のダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などが原因になるといわれています。
突然、怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が出てきます。とてもつらい体験によって、誰でも眠れなくなったり食欲がなくなったりするものですが、それが何カ月も続くときには、PTSDの可能性があります。ストレスとなる出来事を経験してから数週間、ときには何年もたってから症状が出ることがあります。こうしたつらい症状が続いているときは、専門機関に相談しましょう。”
〈カチ、カチ、カチ〉
どこかの医療サイトにアクセスしたようだ。
〈カチ、カチ、カチ〉
素早くページを繰る。
「おっ。これは?」
ある個所で指が止まった。
「交通事故は心的外傷後ストレス障害の原因として比較的多く指摘されるが、解離性障害の外傷として採り上げられることはあまりない。しかし、交通事故の後に解離が発症するというケースがある」
自分に言い聞かせるようにつぶやいた後、腕を組んだ。飛んでいる蚊を追うように、目をせわしなく動かす。沈黙の追撃は五分ほど続いた後
「あくまでも俺の勘だ。藤堂剛は自分が何をしているのかわからなくなると言っていた。ということは、記憶に刻まれていない出来事があるということ。その出来事は自分の中で消化できないことか。そして、何かのきっかけで再現された。あるいは、創り出された。それにおびえている? それは夢か現実か? そして、それが今回のことに関わっているとしたら? どうなんだ。先入観は入っていないか?」
連は腕を組み
「しかし、記憶は証拠にならない」
連は取材ノートのページを繰り始めた。もちろん、今回の事件を取材したものだ。被害者と同じマンションに住む人物、その周辺の住民、藤堂さくらが所属する劇団員、交友関係から割り出された人物、かなりの数の肉声が文字に変換されていた。連は声のすべてを信用しているわけではない。取材された側が真実を語っているとは限らない。嘘やデタラメ、勘違いなどがあるからだ。態度や表情、証言の矛盾点などから、その信憑性を考察している。調べるほどに、意外な展開に発展することがあるからだ。特に、目撃情報が少なく、警察の捜査が難航しているときだ。藤堂さくら以外の指紋がてんこ盛りであるが、この中に犯人がいるとは限らない。指紋を残していないことも考えられる。動機は不明。争った形跡なし。きれいな死体。
「珠美が言っていた憎悪と愛情。憎しみを抱いていた犯人が、愛情を抱くようになったのか。あるいは、愛情を抱いていた犯人が、憎しみを抱くようになったのか、ということ。殺意はあったが、壊したくないという感情も存在していた。恋人同士ならそういうこともあるだろう。俗にいうストーカー行為だ。行為の内容がエスカレートし、傷害事件や殺人事件にまで発展してしまう最悪のパターンだ。今回はどうだ。いや、公式に当てはめるのはまだ早い。それこそ先入観にとらわれるだけだ。仕事上のトラブルはどうだ。キャストに関するトラブルだ。今回の主人公は藤堂さくらに決まっていた。他に主役を演じたいと熱望している劇団員は存在する。藤堂さくらの存在をうとましく思っている可能性は高い。動機にはなるだろう。しかし、常軌を逸した行動をとるだろうか。ただ、彼らを取材したが、言動や表情から内心はうかがえない」
連は取材ノートのページを繰り続ける。
「争った形跡がないわけだよな。顔見知りの可能性が高いということになる。警察の見解もそうだ。そうであれば、人物を絞り込めるはずだが。なぜか、事件の核心に迫れない。このノートからは、手がかりになるような矛盾点も読み取れないな。なんか足りないんだよな。男女間のトラブル? 交友関係のトラブル? 住人間のトラブル? 劇団員間のトラブル? あるいは不審者か。いや、可能性は低い。繰り返しになるが、争った形成がないわけだよ。部屋の奥で倒れていた。藤堂さくらは犯人と面識があるんだ。『スマホは持ち出されているけど、携帯電話キャリアに通話履歴を照会している』そんなこと、珠美は言ってたな。通話発信日時、通話時間、相手先電話番号、SMS送信日時、発信区域は照会できるだろうが、通話料がかかっていない着信履歴やSMS受信履歴は照会できないだろう。それに通話内容もわからない」
連は取材ノートを閉じた。
〈カチ、カチ、カチ〉
医療サイトへのアクセスだ。
「藤堂剛の体調が気がかりだ。解離性障害とPTSDについて、心の傷という点では共通している。素人の分析に過ぎないが、藤堂剛の話の内容や症状を勘案すると、解離性障害である可能性が高いと考えたくなる。守秘義務により聞くことができなかったが、高畑先生の診断もそうであろう。ただ、病名も気になるが、珠美が聞いたという藤堂剛の変化がすごく気になる。当初は、すがるような目で周囲に訴えていた。それが、何かにおびえていたように見えた。視線は合わせない。手が震えている。おどおどした態度をしていた。何があったんだ。病状が進行してしまった? 珠美の上司が言っていたという、自分の内側にある不安や恐怖を投影していたという可能性があるということとは?」
連は、厚生労働省のホームページ[みんなのメンタルヘルス]を閲覧している。こころの病気についての概要が記載されている。症状から知る。病名から知る。医療の知識がなくても、わかりやすい構成、文章になっている。
「安心していられる居場所の喪失に結びついている? そこにしかいられないような場所で、逃避することもできないような状況に立たされ、不快な圧力や刺激が加えられたとしたら。そのような状況では、人間はときに現実に立っている場所から離脱し逃避する。それが空想傾向を強くする。藤堂剛が話す内容は、俺の想像の域を超えている」
連は腕を組み
「いったい何があったんだ。ある時期を境に急変したと考えられないだろうか。誰かに会ったのか。ある出来事があったのか。不安や恐怖に急襲された理由は? 事件の後に、姉のマンションをたびたび訪ねる理由は? 劇団を訪ねる理由は? 絶対に何かある。ああ、俺はただのライターだ。強制捜査権はない。どうすっかなぁ」
腕に力が入る。
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