異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
上 下
143 / 183

鬼畜ゲー

しおりを挟む
 これからピノちゃんと二人っきりで密室デート。デートと言うには色気が全くないんだけどね。

「初めての試みだからあんまり自信は無いけど、やってみて思った事があったらその都度俺に言ってね」

 ピノちゃんが頷いたので隔離空間を今出せる最大の大きさに展開。

 FPSと言うには自由さが足りない。動き回れない。
 今の俺では動いてる子に合わせて風景を移動させられないからだ......うん、悔しい。
 FPSっぽい雰囲気の皮を被ったスクロールしないTPSのような感じ。今後は要改善だろう。

 脳と多重思考のスペック、幻影のクオリティとスペックの強化が課題。やり始めてすぐだけど、もう既に挫折してしまいそう。

 でも、固定砲台の育成、訓練としては優秀と言えるんだよなぁ。

「ごめん......動いたら全てが台無しになるから、その場に留まって撃ってください......その代わり、360度+空中の映像は保証します。じゃあ敵を出していくね」

 同じ幻影使いだからだろうか、すぐに納得してくれたピノちゃん。
 空間はそこまで広くないので、敵は遠近法で近付いてきているように見せる。

 距離感は鍛えられるかもしれないけど、力加減は鍛えられない......悔しいなぁ......
 全力で攻撃をぶち込んでも、どこも壊す事はないってのだけは救い。

 敵に当たった判定と、撃墜のカウントは問題なく行えた。
 ピノちゃんは敵に対して熱線をビュンビュン打ちまくっている。

 打っちゃえば狙いは結構正確だけど、気配が感じられないからか索敵と照準合わせに苦労している様子。

 頑張って撃っている姿にほっこり。真面目な性格で素晴らしい。

 最後は増やしすぎた敵に全方向から囲まれ、一斉に襲いかかられたところでゲームオーバーになった。まぁうん......なんていうか、クソゲーすぎてごめんね。

 あんな敵は見たことない、何あれ怖いと言われた。
 ティ〇レックスとフ〇フル亜種が嫌だったみたいだ。モンスターの種類が思い浮かばないから、特別出演してもらったスペシャルゲストさんたち。


 さて、一段落着いたところで反省会。初めての試みは反省点がいっぱいだった。ピノちゃんと話し合って問題点をあげていった。

 ・弾が当たって敵を倒してから、敵が消えるまでのタイムラグ
 ・一箇所に留まっての防衛戦しかできない
 ・俺の脳味噌やスキルがアップデートされない限りこの残念クオリティが続く
 ・敵に気配が無い
 ・力加減とコントロールが本番と違う
 ・難易度調整必須
 ・複数人プレイ推奨

 とりあえず初回プレイの反省点はコレ。
 お次は良かった点。

 ・山や地形のクオリティはそっくり
 ・遠くから敵が近付いてくる光景はリアル
 ・最後の絶望感はやばかった

 ......無理矢理褒められそうな点をひり出してくれたピノちゃん。気を使ってくれてありがとう。
 三つ目は褒める点じゃないだろと思ったけど、俺らと居ると絶対に味わえないから一度全員に経験させた方がいいと熱弁された。

 そう言われてみて納得。絶対にそんな状況にさせる気はないけど、未経験と経験者では、いざという時の心持ちが変わってくる。
 焦るピノちゃんめっちゃ可愛かったし、他の子でも見てみたいな......ゲスくてごめんなさい。

 どうせ冬の間はやれる事少ないし、俺ら全員の成長を目指そう。
 個別で難易度ルナティックをクリア、エンジェルス全員で難易度シアンをクリア。これでいいよね?
 そう伝えたらピノちゃんが露骨に嫌そうな顔をしたけど、それは見なかった事にした。


 もう一度、さっきよりも露骨に難易度を落としたもの......ノーマルくらいの難易度をプレイしてもらったら、難なくクリアしたピノちゃん。加減が難しいと思いました。

 バイト代として醤油を塗って焼いた白玉を献上した。ご協力ありがとうございました。



 ◇◇◇



 テストを終えて外に出るとあんこ教員が見守る中、射撃訓練に勤しむツキミとダイフクがいた。
 天才型の指導がどのようなものだったかは知る由もないけど、真面目にやっていて偉いぞ。
 俺に会う前はステルス特化のお二人さん。戦闘はそんなにしてなかったみたいでたどたどしい射撃。それでも頑張ってる姿がプリティだから満点をあげちゃう!

 別行動をする事も多いから自衛、もしくは応援が駆けつけるまでの時間稼ぎくらいは出来るようになってほしい。だから頑張って。


 初めての授業参観で我が子を見守る父親&教育実習に来ている実習生の授業を見守る担任の先生目線になりながら、モフい授業を眺めた。

 ピノちゃんと一緒に見守る事一時間弱。ようやく本日の授業が終了した。
 お手本として弾を打ち出した後にめちゃくちゃドヤってるあんこが可愛かった。
 うまく撃つことができた事に喜ぶ鳥ちゃんズもたまらんかった。


 授業の後は全員で昼飯を食べてまったり。

 頑張った事を褒めてほしいらしく甘えてくる甘えんぼさんが左右の手を独占している。
 両手が幸せで脳が溶けそう。甘えんぼさんたちを撫でながら午後の予定を説明。

 皆に一度体験版をプレイしてもらうから順番を決めておいてほしいと伝えると、もふもふ会議が始まった。エモいわぁ。
 ピノちゃんは俺のポケットから顔を出しながら会議の様子を眺めている。その時の顔がこれまたいつもの悪そうな顔......これから先はもう、こういう時にはこの悪どい顔がデフォルトになるんだろう。

 難易度は、自分が最初にやった時と同じのにしろってピノちゃんに厳命された。もちろん手抜きはしないよ。
 鬼畜難易度のクソゲーに絶望する顔、見てみたいもん。

 ふむ、興奮してきたな。



 ◇◇◇



 結論から言おう。

 最高だった。

 あんこ、ダイフク、ツキミちゃんの順番で挑んでもらったんだけど、あんことツキミは今俺に抱かれている。ダイフクも珍しく俺にベッタリくっついている。

 あんこはピノちゃんと同じくらいのところまで進み、モン〇ンの敵オールスタースタンピードでゲームオーバー。

 ダイフクが一番下手くそで、バブルヘッ〇ナース、リッ〇ーとゾンビ犬ゾーンでゲームオーバー。

 ツキミちゃんはタイ〇ント、シザ〇マン、レッドピラミッ〇シングの三大有名ホラゲボスゾーンでやられていた。

 怯えも見せずに淡々と襲ってくるモンスター共が怖かったらしい。
 最序盤は倒す毎にドヤってたけど、段々と敵が増えてきて、こっちじゃお目にかかれないヤツらが出てくる頃には必死になっていた。

 ゲームオーバー寸前、涙目で魔法を乱射している姿を見た時は新しい性癖が開きそうだった。ピノちゃんも満足そうにしていた。

 で、現在......震えている天使たちを慰めている最中です。

 これからは楽しんでスキルアップできる難易度を見極めてやっていこうと思います。クソゲーでごめんなさい。


 その後、落ち着いた皆と二周目のプレイ。

 一度絶望を味わったからか、油断も隙も見せない堅実なプレイでノーマル、ハードと順調にクリアしていった。ダイフクとツキミはギリッギリでのクリア。

 あんことピノちゃんはヘルモードに挑み、ダイフクとツキミはハードモードを周回して射撃の腕を磨いている。

 これ、もうFPSって言える雰囲気じゃないよね。知ってる。
 俺の知識とスペックだと、移動不可のガンシューティングサバイバルホラーアクションにしかならなかった。最新のゲームみたいなのは再現できねぇっすよ......
 でも、もっともっと頑張って、最高のゲームを作れるようになるから、それまで待っていてください。


 皆の休憩中に俺もやってみたけど、脳の処理が追いつかなくて序盤でゲームオーバーになった。悔しい。
 いいとこを見せたくて、ピノちゃんに似たようなモノを作れないか聞いて、試してもらった。

 とっても悪どい笑みを浮かべながら『やってみるよ!』と言ったピノちゃん。
ㅤ碌でもないモノが完成するんだろうなぁ......と思っていたけど、案の定碌でもないモノを作ってきた。

 敵モンスターとして出てくるのが、敵意を剥き出しにしながら襲いかかってくるあんこ、ダイフク、ツキミちゃん、ピノちゃんと時々ヘカトンくん。

「鬼! 悪魔! ピノちゃん!」

 逃げ惑う俺に襲いかかる幻影の天使たち。
 ゲームオーバーは存在せず、時々本物のピノちゃんに噛みつかれながら、精神攻撃を受け続けていった。

 いつもの可愛い天使たちならご褒美な案件だったけど、敵意剥き出しで来られると心が抉れた。
 ピノちゃんがすっごい笑顔だったから、それをわかっていてやってきていたんだと思う......くそぅ......

 ちなみにこのゲーム、一番上手だったのはヘカトンくん。
 百の腕と五十の頭で岩をぶん投げ、迫り来る敵をドンドン撃ち倒していった。ヘルモードを一発クリアとは恐れ入りました。

 ルナティックモードでは為す術なく敗れ去ったが、俺の中で拠点防衛のスペシャリストとしてヘカトンくんの評価がぐーんとあがった。

 彼女らの今後の成長に期待しよう。
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...