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固有スキル
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――やばい。どうやばいのかと言われればよくわからない。
だって意識が無いんだもの。凄く楽しかったような気がするのに加えて、終わった後の爽快感は凄まじかったという事だけはわかる。
「就職後の初戦闘という事で昂りまくっていた......だけならばいいけど、これからもずっとコレが続くのはちょっと......と言うか大分ヤバいなぁ。
はぁ......とりあえず今は戦闘が終わっていて危機はもう無いからやる事やってから考えよう......どうせこの後も何か問題点はあるだろうし」
これからやるのは戦後処理という名目のスキル検証。この血塗れで臓物や肉片が散らかりまくったスプラッタな状態をどうにかしようと思います。
「名前から想像出来る通りならば......かなり汎用性があるスキルなはず......物は試しだ、という事で早速やってみよう......【血流操作】!!」
最初なので、先ずは飛び散りまくっている血を集めていこうと思っている。某国民的バトルアニメの生き物からちょっとずつ元気を貰って大きい玉にする技のように血を集めて行くつもりだ。
血流操作という名前だから少し不安はあったが、血液でもしっかり集められた。ただ、血流操作なのでただ単に玉にするだけは不可能であり、流れを作らなければ玉状態にはならず、動かすのを止めるとすぐに操作不能に。
イメージとしては玉の中に流れるプールを作るといった感じで再チャレンジすると、玉の状態のまま維持と操作が可能になった。
この操作には結構な集中が必要なので戦闘中に咄嗟に行うのは無理と判断。発動は思っていたよりもちゃんと行えていたので、次は効果範囲の測定に移る。
「......目測で大体の距離とか測るやり方とか一歩分の距離が大体幾らかとかはわからない。だから単純に何歩分まではオーケーかでいいか」
見える範囲に血をばら蒔き、一歩一歩進む毎に印を付けながら部屋の中央へと歩いていく。今回の戦闘で出た血をほとんど無駄にしてしまうが、必要な犠牲として有効活用させてもらう。
この検証で試したい事は距離と範囲と発動条件。どれくらい離れたらスキルの効果が及ばなくなるのか、それと目視していなくてもスキルの効果範囲に入っていれば大丈夫なのか、だ。
真っ赤に染まった部屋の中心で目を閉じて集中を高め、今現在やれる範囲内でになるが全力で【血流操作】を発動させた。
五歩目~十歩目辺りの血液が小川の流れのように緩やかな動きを見せていた。結構なズレがあるが、これは一番遠くまで動かせているのが自分の真正面となっている。
逆に遠くまで動かせていないのが身体の正面にない部分となる。背面はほぼ一律で五歩目辺りに留まり、正面に近付くに連れて範囲は広がっていき、視界に入る位置までくると九歩目くらいまでだった。
この時点で結構厳しかったが、敵もいないので【血流操作】に併せて【空間把握】を発動させてみた。......発動させて五秒くらいで、これまでに感じた事の無い倦怠感と頭痛に襲われた。
「これはきっつい......でも、大体わかった......」
スキルを解除し、大きく息を吐いてから呼吸を整える。
慣れればもう少し早く、そして滑らかに発動できるだろうという事、感知もしくは目視している部分ならば最大で十歩分の範囲までなら血流を操れるという事、それ以上の操作をするのならば範囲を狭めないと現状では不可能という事がわかった。
「ふぅ......レベル表記は無いけど、熟練度みたいな物は設定されてるっぽい。これ以上の事も将来的には出来ると確信できるけど、今はこれが精一杯だな」
不思議な感覚だが、今の自分はハイハイを覚えたての赤ん坊であり、将来的にはつかまり立ち、歩行、走行、長距離走、短距離走のようにこのスキルを操れるという確信がある。
という事はレベル表記の無いスキルは成長はしないが、100%操れるようになるまでは練習や修行が必須であり、初期状態だと精々10%操れればいい方という感じである。
しかし簡易鑑定のようなやれる範囲が決まっているor制限されているようなスキルは頑張ってもそれ以上の事は出来ない。進化するかわからないが、進化させるとかしないとこれ以上の事は望めそうにない。
逆にレベル表記のあるスキルは、レベルアップによって公開範囲が広がっていくような物である。習得さえしてしまえば脳死状態で使っていても、使ってさえいれば勝手に上がっていって、勝手にできる事が増えていくというモノ。
どっちがお得かと言われれば、レベル表記ありの方を選びたくなる。......が、レベル表記無しのスキルの方が自由度が高く、100%操れるようになればスキルレベルMAXと同等以上の効果があるように思える。
直接戦闘に使えそうに無いのしか持っていないから曖昧な感じでしか言えないが、感覚的に言えばこの考えで合っていると思う。
......ここら辺の事は今度ババアに聞いてみよう。すんなりと教えてくれるかはわからないが。
「よし!! 先ずは見える範囲の部分からコツコツとやっていこう。今回は血はちょっとだけ吸って、他は練習に使わせてもらう」
全部使わないのは酩酊感の検証の為だ。もちろん未成年だから酒なんて経験したことはないので、酔うという感覚は乗り物酔い以外では初となる。酔いが酷かったら、今後血液の補充が若干億劫になる。
「まぁそんな事よりも今はこっちに集中だな。血の鮮度がいい内に操って、鮮度が落ちたらどうなるかとかも検証したい」
これまで必要最低限でしか勉強してこなかったし、検証とかそういうのは殆ど経験がなかった。
だけど、こんな非日常な場所にきて初めて自分の為だけにする学びや実験に楽しさを見出した。これまで義務で嫌でもやるしかなかった学び。
もともと一人でコツコツやるのは苦では無い人間が、周囲の雑音に集中を削がれる心配の無い場所で好きな事を全力でやる環境を与えられたらどうなるだろうか......
検証に集中しすぎた結果......吉持匠、五十階層を越えて初めて、モンスターのリスポーンを経験する事となる。
─────────────────────────────
吉持ㅤ匠
悪魔闘人
職業:血狂い
Lv:83
HP:100%
MP:100%
物攻:150
物防:1
魔攻:70
魔防:1
敏捷:150
幸運:10
残SP:8
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残294.3L
不死血鳥
部分魔化
血流操作
簡易鑑定
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv8
鈍器(統)Lv2
棒術Lv5
小剣術Lv4
空間把握Lv10
投擲Lv7
歩法Lv6
強呪耐性
病気耐性Lv4
解体・解剖
回避Lv5
溶解耐性Lv2
洗濯Lv1
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
悪魔骨のヌンチャク
肉食ナイフ
貫通寸鉄
鬼蜘蛛糸の耐刃シャツ
快適なパンツ
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
微速のベルト
ババァの店の会員証ㅤ残高220
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だって意識が無いんだもの。凄く楽しかったような気がするのに加えて、終わった後の爽快感は凄まじかったという事だけはわかる。
「就職後の初戦闘という事で昂りまくっていた......だけならばいいけど、これからもずっとコレが続くのはちょっと......と言うか大分ヤバいなぁ。
はぁ......とりあえず今は戦闘が終わっていて危機はもう無いからやる事やってから考えよう......どうせこの後も何か問題点はあるだろうし」
これからやるのは戦後処理という名目のスキル検証。この血塗れで臓物や肉片が散らかりまくったスプラッタな状態をどうにかしようと思います。
「名前から想像出来る通りならば......かなり汎用性があるスキルなはず......物は試しだ、という事で早速やってみよう......【血流操作】!!」
最初なので、先ずは飛び散りまくっている血を集めていこうと思っている。某国民的バトルアニメの生き物からちょっとずつ元気を貰って大きい玉にする技のように血を集めて行くつもりだ。
血流操作という名前だから少し不安はあったが、血液でもしっかり集められた。ただ、血流操作なのでただ単に玉にするだけは不可能であり、流れを作らなければ玉状態にはならず、動かすのを止めるとすぐに操作不能に。
イメージとしては玉の中に流れるプールを作るといった感じで再チャレンジすると、玉の状態のまま維持と操作が可能になった。
この操作には結構な集中が必要なので戦闘中に咄嗟に行うのは無理と判断。発動は思っていたよりもちゃんと行えていたので、次は効果範囲の測定に移る。
「......目測で大体の距離とか測るやり方とか一歩分の距離が大体幾らかとかはわからない。だから単純に何歩分まではオーケーかでいいか」
見える範囲に血をばら蒔き、一歩一歩進む毎に印を付けながら部屋の中央へと歩いていく。今回の戦闘で出た血をほとんど無駄にしてしまうが、必要な犠牲として有効活用させてもらう。
この検証で試したい事は距離と範囲と発動条件。どれくらい離れたらスキルの効果が及ばなくなるのか、それと目視していなくてもスキルの効果範囲に入っていれば大丈夫なのか、だ。
真っ赤に染まった部屋の中心で目を閉じて集中を高め、今現在やれる範囲内でになるが全力で【血流操作】を発動させた。
五歩目~十歩目辺りの血液が小川の流れのように緩やかな動きを見せていた。結構なズレがあるが、これは一番遠くまで動かせているのが自分の真正面となっている。
逆に遠くまで動かせていないのが身体の正面にない部分となる。背面はほぼ一律で五歩目辺りに留まり、正面に近付くに連れて範囲は広がっていき、視界に入る位置までくると九歩目くらいまでだった。
この時点で結構厳しかったが、敵もいないので【血流操作】に併せて【空間把握】を発動させてみた。......発動させて五秒くらいで、これまでに感じた事の無い倦怠感と頭痛に襲われた。
「これはきっつい......でも、大体わかった......」
スキルを解除し、大きく息を吐いてから呼吸を整える。
慣れればもう少し早く、そして滑らかに発動できるだろうという事、感知もしくは目視している部分ならば最大で十歩分の範囲までなら血流を操れるという事、それ以上の操作をするのならば範囲を狭めないと現状では不可能という事がわかった。
「ふぅ......レベル表記は無いけど、熟練度みたいな物は設定されてるっぽい。これ以上の事も将来的には出来ると確信できるけど、今はこれが精一杯だな」
不思議な感覚だが、今の自分はハイハイを覚えたての赤ん坊であり、将来的にはつかまり立ち、歩行、走行、長距離走、短距離走のようにこのスキルを操れるという確信がある。
という事はレベル表記の無いスキルは成長はしないが、100%操れるようになるまでは練習や修行が必須であり、初期状態だと精々10%操れればいい方という感じである。
しかし簡易鑑定のようなやれる範囲が決まっているor制限されているようなスキルは頑張ってもそれ以上の事は出来ない。進化するかわからないが、進化させるとかしないとこれ以上の事は望めそうにない。
逆にレベル表記のあるスキルは、レベルアップによって公開範囲が広がっていくような物である。習得さえしてしまえば脳死状態で使っていても、使ってさえいれば勝手に上がっていって、勝手にできる事が増えていくというモノ。
どっちがお得かと言われれば、レベル表記ありの方を選びたくなる。......が、レベル表記無しのスキルの方が自由度が高く、100%操れるようになればスキルレベルMAXと同等以上の効果があるように思える。
直接戦闘に使えそうに無いのしか持っていないから曖昧な感じでしか言えないが、感覚的に言えばこの考えで合っていると思う。
......ここら辺の事は今度ババアに聞いてみよう。すんなりと教えてくれるかはわからないが。
「よし!! 先ずは見える範囲の部分からコツコツとやっていこう。今回は血はちょっとだけ吸って、他は練習に使わせてもらう」
全部使わないのは酩酊感の検証の為だ。もちろん未成年だから酒なんて経験したことはないので、酔うという感覚は乗り物酔い以外では初となる。酔いが酷かったら、今後血液の補充が若干億劫になる。
「まぁそんな事よりも今はこっちに集中だな。血の鮮度がいい内に操って、鮮度が落ちたらどうなるかとかも検証したい」
これまで必要最低限でしか勉強してこなかったし、検証とかそういうのは殆ど経験がなかった。
だけど、こんな非日常な場所にきて初めて自分の為だけにする学びや実験に楽しさを見出した。これまで義務で嫌でもやるしかなかった学び。
もともと一人でコツコツやるのは苦では無い人間が、周囲の雑音に集中を削がれる心配の無い場所で好きな事を全力でやる環境を与えられたらどうなるだろうか......
検証に集中しすぎた結果......吉持匠、五十階層を越えて初めて、モンスターのリスポーンを経験する事となる。
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吉持ㅤ匠
悪魔闘人
職業:血狂い
Lv:83
HP:100%
MP:100%
物攻:150
物防:1
魔攻:70
魔防:1
敏捷:150
幸運:10
残SP:8
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残294.3L
不死血鳥
部分魔化
血流操作
簡易鑑定
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv8
鈍器(統)Lv2
棒術Lv5
小剣術Lv4
空間把握Lv10
投擲Lv7
歩法Lv6
強呪耐性
病気耐性Lv4
解体・解剖
回避Lv5
溶解耐性Lv2
洗濯Lv1
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装備:
魔鉄の金砕棒
悪魔骨のヌンチャク
肉食ナイフ
貫通寸鉄
鬼蜘蛛糸の耐刃シャツ
快適なパンツ
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
微速のベルト
ババァの店の会員証ㅤ残高220
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