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番外編 Prime Yellows 2
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夕ご飯を終えて部屋に戻ると、とりあえずパソコンを起動した。お風呂はご飯の前に済ませている。
元々ご飯の後に入っていたのだが、兄弟と取り合いになるのも面倒だし、何となく二人の後には入りたくない。
今年の春から兄が大学生になり、生活が不規則になった。それもあって私も生活習慣を変えてみたが、塾のある日はどうしても先にご飯を食べるし、曜日によってバラバラなのも、それはそれで気持ちが悪い。
規則正しい生活をしたいが、弟が気分で動く人間なので、私一人が考えたところで意味がない。もっと他の「譲れないこと」で喧嘩をするために、お風呂の時間くらいは好きにさせている。
少し古いパソコンがようやく起動して、YouTubeを開いた。千紗都みたいにタブレットが欲しいが、文字入力や調べ物はパソコンの方が便利だ。千紗都の方はVLOGを始めてから特に、パソコンを切望している。隣の芝理論だろう。
今日のイエプラ会議では、みんなでYouTubeで古いヒット曲を聴きながら、セットリストを作ろうという声が上がったものの、結局そこまで至らずに解散になった。いつものことだ。本当にする必要があればするメンバーなので、とやかく言うこともない。私も脱線は嫌いではない。
ライブ当日は準備と片付けも含めて30分と言っていたので、MC少なめなら5曲だろうか。事前に出演が決まっていて、30分も枠があるのはもはやオープンマイクではないと思うが、イベントの詳細はまた追々確認しよう。
親の世代の曲はよく知っている。両親ともに音楽をよく聴くし、父親は現役バンドマンだ。その影響で私もギターを始めたし、兄弟が興味を示さなかったことで、父親の音楽的期待はすべて私に注がれることになった。
両親どちらの部屋にもCDがたくさん並んでいるが、今は配信とダウンロードの時代である。私も音楽は好きだし、好きなアーティストもいるが、CDというものを一度も買ったことがない。お小遣いが少ないのもある。
今は検索すれば音楽が聴けるが、昔はお金のない学生はどうしていたのか。親に聞いたら、ラジオをカセットで録音したりしていたそうだ。ちょっと想像ができない。
何曲かリストアップして、一旦勉強することにした。楽しみを優先していると、そのまま勉強せずに終わってしまう。
30分ほど集中して今日の復習をしてから、また30分ほど集中して明日の授業の予習をする。いつもは宿題があったり塾の課題をしたり、授業とは関係のない調べ事をしたりしてもう少し勉強するのだが、今日は1時間ちょっとで切り上げた。
スマホを見たら、帰宅部グループは動いていなかった。涼夏はまだバイト中だろうが、部長はどうしているのか。さすがにもう帰っていると思うが、また変な遠慮でもしているのだろうか。
気にはなったが、ひとまずやるべきことを優先する。
ギターを抱えて、2つ立ち上げたウィンドウの片方にYouTubeを、もう片方にコードのサイトを表示した。こうして一度に複数のウィンドウが起動できるのも、パソコンの良さだと思う。これにWindowsと命名した人は天才だ。
とりあえずどうするか。さぎりんが『CAN YOU CELEBRATE?』を挙げていたが、もっと楽器の個性が活かせて、明るい曲がいいだろう。
昔の曲はコード進行やメロディーラインがわかりやすい。ナミも莉絵と同じで、あまり昔の曲は知らないようだったが、練習には丁度いいだろう。
まずはドリカムか。『LOVE LOVE LOVE』が有名だが、やはりちょっと静かだ。『決戦は金曜日』とか、盛り上がるのではないか。おじさんもホイホイ出来そうだ。
この頃は浜崎あゆみと宇多田ヒカルが二大歌姫と呼ばれていたらしい。浜崎あゆみは明るい曲も多いし良さそうだ。『Fly High』は家でも頻繁にかかっていた。
宇多田ヒカルはちょっと静かな曲が多いだろうか。私が一人で弾く分にはいいが、莉絵には退屈だろう。ただでさえ古い曲に大して興味がないのに、その上ドラムの出番も少ないのは可哀想だ。
古さを感じさせないという意味では、ジュデュマリなんかはどうだろう。よく意外と言われるが、ああいうねっとりした歌い方も私は得意だ。
90年代と言えば、小室ファミリーは外せない。TRFかglobeの有名な曲は1曲入れたい。
広瀬香美もキャッチーでいいが、これから夏になるからイメージが合わないかもしれない。
ELT、マイラバ、SPEED、PUFFY、モー娘、LINDBERG。90年代後半だけでも枚挙にいとまがない。
ギターを爪弾きながら、コードが簡単でキャッチーで退屈しなさげな曲を探していたら、スマホが音を立てた。見ると千紗都から個人メッセージで、「何してますか? 忙しいですか?」と書かれていた。コンビニにカードを買いに行かせる詐欺のオマージュだ。清楚な外見と穏やかな物腰とは裏腹に、時々こういうよくわからない冗談をぶち込んで来るところが可愛い。
暇だと返すと電話がかかってきた。
「どこに何を買いに行けばいい?」
出るなりそう言うと、千紗都は2秒くらい間を空けてから口を開いた。
『ゴマンブンエンの、カード、カテキテ、モラッタ?』
片言だ。
「5万は無理だね」
『何してた?』
「ギターに触られてた。古い曲に探されてた」
曲というと、千紗都はあまり音楽にも興味がないが、両親はどうだったのだろう。うちは四六時中何かかかっているし、いつも歌っているような両親なので、どこの家もそういうものだと思っていたが、どうやら世間はそうではないと、中学の時に知った。
案の定、千紗都はため息混じりに否定した。
『静かなもんだよ。テレビはかかってるけど』
「情操教育の必要性」
『私たちは心豊かに育てようね』
「何を? イマジナリーベイベー?」
『サボテンとか。観葉植物?』
語尾を上げられても、まったく意味がわからない。しばらく笑ってから、今日のことを聞いてみた。垣添さんと大いなる破局を迎えたりしていないか尋ねると、千紗都は「乗り越えた」と頷いた。
『今日はちょっと勉強してから、Wikipediaで遊んでた』
「それは楽しそう」
帰宅部ではWikipediaの遊び方が色々あるが、一番多くやるのは、あるページからあるページに何回のタップで行けるかという、一般的なゲームである。協力プレイの場合は、どんなページにも行けるとされている6回を目安にするが、ランダムからランダムだとなかなか難しい。
「どうだった?」
話題が私のことになる前に聞くと、千紗都は「何度かやったけど」と前置きしてから詳しく話し始めた。
『オドリコソウ属から北新川駅とかやったね』
「日本に飛べそうだから、割と簡単そう」
『本州、愛知県、名古屋鉄道、三河線、北新川駅の5回で行けた』
「他には? 失敗したのとか」
『山崎清から恐竜グワンジはダメだった』
「誰? 何?」
『経済学者とアメリカ映画らしいよ。ゼネラルモーターズからアメリカ合衆国、アメリカ合衆国の映画っていい感じに行ったけど、そこで行き詰まった。罠だった気がする』
「逆だったら行けたかもね」
やはりWikipediaは面白い。今すぐにでも一緒に辿りたいが、それはまた今度、膝を突き合わせてやろう。
そっちはどうだったかと聞かれたので、今度バンドでおじさんホイホイの古い曲をやる話をした。千紗都が不思議そうな声を出す。
『おじさんをホイホイしてどうするの?』
「同じ疑問が上がったね。まあ、活動の場を広げるのはいいことだと思う」
『いつ? 私はいつでも暇してるから観に行くよ』
千紗都がそう言ってくすっと笑った。得意の自嘲だろうか。
千紗都がいつも暇しているというのは、厳密に言えば正確ではない。帰宅部メンバー以外との予定がないだけで、実際のところ、ほとんどすべての土日を帰宅部の誰かと遊んでいる。そして、ライブの日もそうなるだろう。
「詳細はまた送るよ。場所と日時以外、私もわからないけど」
『場所と日時以外の情報は必要ないね』
「古い曲ばっかりだから退屈かも?」
いつものPrime Yellowsのライブとは確実に違うラインナップになるので、念のためそう伝えると、千紗都は自信たっぷりの声で言った。
『何にも興味がないから大丈夫』
「それ、そんなに力強く言うこと?」
思わず笑って突っ込んだ。
莉絵やナミのように、好みのジャンルがあれば、それ以外は退屈してしまうかもしれないが、千紗都みたいに最初から興味がなければ、フラットな気持ちで楽しめるかもしれない。
それはそれでどうかという気もするが、千紗都にとって重要なのは曲ではなく私というのは嬉しい。
通話を終えて、再びYouTubeと向き合った。
興味がないとはいえ、バラードよりは明るい曲の方が好きだろうし、洋楽よりは邦楽の方が好きそうだ。
とりあえず、千紗都のことを考えて選曲しよう。この時代の曲を並べておけば、おじさんは勝手にホイホイされるだろう。
元々ご飯の後に入っていたのだが、兄弟と取り合いになるのも面倒だし、何となく二人の後には入りたくない。
今年の春から兄が大学生になり、生活が不規則になった。それもあって私も生活習慣を変えてみたが、塾のある日はどうしても先にご飯を食べるし、曜日によってバラバラなのも、それはそれで気持ちが悪い。
規則正しい生活をしたいが、弟が気分で動く人間なので、私一人が考えたところで意味がない。もっと他の「譲れないこと」で喧嘩をするために、お風呂の時間くらいは好きにさせている。
少し古いパソコンがようやく起動して、YouTubeを開いた。千紗都みたいにタブレットが欲しいが、文字入力や調べ物はパソコンの方が便利だ。千紗都の方はVLOGを始めてから特に、パソコンを切望している。隣の芝理論だろう。
今日のイエプラ会議では、みんなでYouTubeで古いヒット曲を聴きながら、セットリストを作ろうという声が上がったものの、結局そこまで至らずに解散になった。いつものことだ。本当にする必要があればするメンバーなので、とやかく言うこともない。私も脱線は嫌いではない。
ライブ当日は準備と片付けも含めて30分と言っていたので、MC少なめなら5曲だろうか。事前に出演が決まっていて、30分も枠があるのはもはやオープンマイクではないと思うが、イベントの詳細はまた追々確認しよう。
親の世代の曲はよく知っている。両親ともに音楽をよく聴くし、父親は現役バンドマンだ。その影響で私もギターを始めたし、兄弟が興味を示さなかったことで、父親の音楽的期待はすべて私に注がれることになった。
両親どちらの部屋にもCDがたくさん並んでいるが、今は配信とダウンロードの時代である。私も音楽は好きだし、好きなアーティストもいるが、CDというものを一度も買ったことがない。お小遣いが少ないのもある。
今は検索すれば音楽が聴けるが、昔はお金のない学生はどうしていたのか。親に聞いたら、ラジオをカセットで録音したりしていたそうだ。ちょっと想像ができない。
何曲かリストアップして、一旦勉強することにした。楽しみを優先していると、そのまま勉強せずに終わってしまう。
30分ほど集中して今日の復習をしてから、また30分ほど集中して明日の授業の予習をする。いつもは宿題があったり塾の課題をしたり、授業とは関係のない調べ事をしたりしてもう少し勉強するのだが、今日は1時間ちょっとで切り上げた。
スマホを見たら、帰宅部グループは動いていなかった。涼夏はまだバイト中だろうが、部長はどうしているのか。さすがにもう帰っていると思うが、また変な遠慮でもしているのだろうか。
気にはなったが、ひとまずやるべきことを優先する。
ギターを抱えて、2つ立ち上げたウィンドウの片方にYouTubeを、もう片方にコードのサイトを表示した。こうして一度に複数のウィンドウが起動できるのも、パソコンの良さだと思う。これにWindowsと命名した人は天才だ。
とりあえずどうするか。さぎりんが『CAN YOU CELEBRATE?』を挙げていたが、もっと楽器の個性が活かせて、明るい曲がいいだろう。
昔の曲はコード進行やメロディーラインがわかりやすい。ナミも莉絵と同じで、あまり昔の曲は知らないようだったが、練習には丁度いいだろう。
まずはドリカムか。『LOVE LOVE LOVE』が有名だが、やはりちょっと静かだ。『決戦は金曜日』とか、盛り上がるのではないか。おじさんもホイホイ出来そうだ。
この頃は浜崎あゆみと宇多田ヒカルが二大歌姫と呼ばれていたらしい。浜崎あゆみは明るい曲も多いし良さそうだ。『Fly High』は家でも頻繁にかかっていた。
宇多田ヒカルはちょっと静かな曲が多いだろうか。私が一人で弾く分にはいいが、莉絵には退屈だろう。ただでさえ古い曲に大して興味がないのに、その上ドラムの出番も少ないのは可哀想だ。
古さを感じさせないという意味では、ジュデュマリなんかはどうだろう。よく意外と言われるが、ああいうねっとりした歌い方も私は得意だ。
90年代と言えば、小室ファミリーは外せない。TRFかglobeの有名な曲は1曲入れたい。
広瀬香美もキャッチーでいいが、これから夏になるからイメージが合わないかもしれない。
ELT、マイラバ、SPEED、PUFFY、モー娘、LINDBERG。90年代後半だけでも枚挙にいとまがない。
ギターを爪弾きながら、コードが簡単でキャッチーで退屈しなさげな曲を探していたら、スマホが音を立てた。見ると千紗都から個人メッセージで、「何してますか? 忙しいですか?」と書かれていた。コンビニにカードを買いに行かせる詐欺のオマージュだ。清楚な外見と穏やかな物腰とは裏腹に、時々こういうよくわからない冗談をぶち込んで来るところが可愛い。
暇だと返すと電話がかかってきた。
「どこに何を買いに行けばいい?」
出るなりそう言うと、千紗都は2秒くらい間を空けてから口を開いた。
『ゴマンブンエンの、カード、カテキテ、モラッタ?』
片言だ。
「5万は無理だね」
『何してた?』
「ギターに触られてた。古い曲に探されてた」
曲というと、千紗都はあまり音楽にも興味がないが、両親はどうだったのだろう。うちは四六時中何かかかっているし、いつも歌っているような両親なので、どこの家もそういうものだと思っていたが、どうやら世間はそうではないと、中学の時に知った。
案の定、千紗都はため息混じりに否定した。
『静かなもんだよ。テレビはかかってるけど』
「情操教育の必要性」
『私たちは心豊かに育てようね』
「何を? イマジナリーベイベー?」
『サボテンとか。観葉植物?』
語尾を上げられても、まったく意味がわからない。しばらく笑ってから、今日のことを聞いてみた。垣添さんと大いなる破局を迎えたりしていないか尋ねると、千紗都は「乗り越えた」と頷いた。
『今日はちょっと勉強してから、Wikipediaで遊んでた』
「それは楽しそう」
帰宅部ではWikipediaの遊び方が色々あるが、一番多くやるのは、あるページからあるページに何回のタップで行けるかという、一般的なゲームである。協力プレイの場合は、どんなページにも行けるとされている6回を目安にするが、ランダムからランダムだとなかなか難しい。
「どうだった?」
話題が私のことになる前に聞くと、千紗都は「何度かやったけど」と前置きしてから詳しく話し始めた。
『オドリコソウ属から北新川駅とかやったね』
「日本に飛べそうだから、割と簡単そう」
『本州、愛知県、名古屋鉄道、三河線、北新川駅の5回で行けた』
「他には? 失敗したのとか」
『山崎清から恐竜グワンジはダメだった』
「誰? 何?」
『経済学者とアメリカ映画らしいよ。ゼネラルモーターズからアメリカ合衆国、アメリカ合衆国の映画っていい感じに行ったけど、そこで行き詰まった。罠だった気がする』
「逆だったら行けたかもね」
やはりWikipediaは面白い。今すぐにでも一緒に辿りたいが、それはまた今度、膝を突き合わせてやろう。
そっちはどうだったかと聞かれたので、今度バンドでおじさんホイホイの古い曲をやる話をした。千紗都が不思議そうな声を出す。
『おじさんをホイホイしてどうするの?』
「同じ疑問が上がったね。まあ、活動の場を広げるのはいいことだと思う」
『いつ? 私はいつでも暇してるから観に行くよ』
千紗都がそう言ってくすっと笑った。得意の自嘲だろうか。
千紗都がいつも暇しているというのは、厳密に言えば正確ではない。帰宅部メンバー以外との予定がないだけで、実際のところ、ほとんどすべての土日を帰宅部の誰かと遊んでいる。そして、ライブの日もそうなるだろう。
「詳細はまた送るよ。場所と日時以外、私もわからないけど」
『場所と日時以外の情報は必要ないね』
「古い曲ばっかりだから退屈かも?」
いつものPrime Yellowsのライブとは確実に違うラインナップになるので、念のためそう伝えると、千紗都は自信たっぷりの声で言った。
『何にも興味がないから大丈夫』
「それ、そんなに力強く言うこと?」
思わず笑って突っ込んだ。
莉絵やナミのように、好みのジャンルがあれば、それ以外は退屈してしまうかもしれないが、千紗都みたいに最初から興味がなければ、フラットな気持ちで楽しめるかもしれない。
それはそれでどうかという気もするが、千紗都にとって重要なのは曲ではなく私というのは嬉しい。
通話を終えて、再びYouTubeと向き合った。
興味がないとはいえ、バラードよりは明るい曲の方が好きだろうし、洋楽よりは邦楽の方が好きそうだ。
とりあえず、千紗都のことを考えて選曲しよう。この時代の曲を並べておけば、おじさんは勝手にホイホイされるだろう。
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