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第9話 料理(1)
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今年は梅雨が例年より早く、夏休み前に明けた。ギラギラ眩しい空を見上げて、涼夏がうんざりしたように呻いた。
「暑いの無理」
「涼夏、夏は強そうなのに」
腕に日焼け止めを塗り直しながら言うと、涼夏はげんなりした顔で私を見た。
「なぜ? 元気だから?」
「いや、名前に『夏』が入ってるから」
「よく見て! 涼しい夏って書いてある!」
何を見ればいいのかわからないが、突然涼夏が真顔でそう訴えて、私はそのバカバカしさに思わず噴き出した。相変わらず愉快な友達だ。
「ナッちゃんなんて、名前がもうサマーって感じじゃん。ザ・サマーって呼ぶわ」
「実際、夏は好きそうだよ。でも、バトン選んだのは屋外スポーツは嫌だからって言ってた」
「あの女、根性を叩き直してやる」
「涼夏がそれを言うかー。そっかー」
憐みの眼差しを向けると、涼夏は頭の上にタオルを乗せて無念そうに首を振った。
古沼への途中にある大きな公園に足を踏み入れると、すぐに木陰に入った。いつの間にか蝉が鳴いている。
期末試験も終わって、夏休みまで後数日。つまり、絢音がバンドで出演するサマセミも後数日。今日は絢音の塾のない日だが、もうここ2週間、一緒に帰っていない。涼夏が、私が孤独死するといけないからと言って、土日にバイトを入れて平日を減らしてくれた。過保護極まりないが、正直助かっている。
ちなみに期末試験だが、絢音は学年6位だった。2つ順位を落としたが、本人は小遣いが減額されずに済んだと胸を撫で下ろしていた。悔しくないか聞いたら、「別に有名大学目指してるわけでもないし」と笑っていた。大学のことなどまだまるで考えていないが、いつか二人と離れ離れになることを想像したら、思わず泣きそうになった。
「涼夏は、高校を卒業したらどうするの?」
前を歩く仁町女子の制服を眺めながら聞くと、涼夏は驚いたように眉を上げた。
「話が飛んだねぇ。蝉みたいに」
「その比喩、初めて聞いた。実際、蝉が飛ぶのって、あんまり見ないよね」
「んだね。何も決めてないけど、大学に行って遊びたいね」
「絢音はいい大学に行きそうだけど、涼夏は私と一緒にいてね」
「千紗都さん、順位差を見て話そうか」
涼夏が冗談で私の肩に腕をかける。しかし、暑苦しかったのかすぐに放して、風を送るように手で扇いだ。
涼夏は成績が芳しくない。直前に帰宅部で勉強したこともあって、期末では半分より上の成績だったが、私は学年33位で、その差は歴然としている。要するに、3人が全力で受験をしたら、涼夏では私の大学に届かないという意味だ。
「私が涼夏に合わせてもいい。遊ぶのに一番大事なのは、気の合う仲間だと思う」
「大学行くかもわからんしね。お金に困ってないのと裕福なのは違うし、妹まで私立の高校に行ったら、猪谷家は破産するかもしれない」
そう言って涼夏は明るく笑ったが、他人には笑えない内容だったので黙っていた。両親が離婚し、片親ながらお金には困っていないと言っていた。それでもやはり、両親がフルタイムで共働きの上、一人っ子の野阪家と比べたら厳しいのだろう。絢音も三人兄弟だし、お金の話はなかなかしにくい。
それにしても、テスト前は結構真面目に勉強をやっていた。にも関わらず、涼夏の成績は私が思うより低かった。
「涼夏は頭が悪い」
冷静に呟くと、涼夏が目を真ん丸に見開いて私に詰め寄った。
「なんでいきなりディスられた!?」
「ううん。涼夏は完璧ガールだから、私は常に涼夏の欠点を探してる」
「そんなの探さなくていいから!」
涼夏が子供のようにポカポカと私を叩く。この子の精神年齢は、12歳から18歳くらいまで振れ幅があるように思う。もちろん、どの涼夏も可愛い。
公園を出てからも、なるべく西側の壁にへばりつくようにして歩いた。奈都が部活の後だと日差しも柔らかいと笑っていたが、15時はまだ地獄の時間帯だ。
「日差しが憎い。バンパイアの心境だ」
涼夏が私の前を歩きながらそう言って、ごくごくとお茶を飲んだ。横に並ぶと日向に入ってしまうので、汗にシャツの張り付く涼夏の背中を見ながら歩いている。
「バンパイアって、吸血鬼?」
「そう。日光に弱いって」
「涼夏、私の血を美味しそうに飲んでたもんね」
「飲んでないから! 飲まされただけ! 別に美味しいなんて……」
勢いよく振り返ったが、だんだん言葉が萎んでいく。ついに、恥ずかしそうに俯いて視線を戻した。別にタブーではないので、あの日のことは時々話題に出すが、涼夏の中では、私を叩いたことよりも、唾液を飲まされた方が強く記憶に残っているらしい。
あまりにも可愛かったから、後ろから抱きついて耳元で囁いた。
「美味しかったの?」
触れ合う肌が熱い。胸やお腹に、涼夏の熱を感じる。暑い。
「美味しくないから! っていうか、暑い!」
「本当は美味しかったんでしょ? また私の血が飲みたいんでしょ? バンパイアだもんね」
ふっと首筋に息を吹きかけると、涼夏が背筋を震わせた。
「もう、ほんとに謎すぎ!」
涼夏が体を振り解く。私があははと笑うと、涼夏は満更でもないように、ふんっとそっぽを向いた。
古沼の駅が近付いて来る。外は暑すぎるから、今日はカラオケか、恵坂まで行って涼しい屋内でショッピングか。私がぼんやりそんなことを考えていると、涼夏が「そういえば」と前置きしてから私を見た。
「テスト終わってから、家で何してるの? 一人の過ごし方、多少はましになった?」
「どうかなぁ」
私は腕を組んでうーんと唸った。シフトをずらしてくれたとはいえ、平日も週に2回はバイトが入っている。涼夏がバイトの日は、私は一人だ。それに、土日も常に誰かと一緒にいるわけではない。テスト前はひたすら勉強していたが、元々そんなに好きではないし、今はまったくしていない。
「雑誌見たり、動画見たり。YouTuberっていうの? メイクとかスキンケアの動画とか、よく見てるよ」
奈都に勧められてアニメにも挑戦したが、小説同様はまれなかった。私はフィクションがあまり好きではないのかもしれない。
私の答えには興味がなかったのか、涼夏は「そっかー」と相槌を打ってから、明るい笑顔を浮かべた。
「私、自分が千紗都だったらって考えたら、絶対に料理すると思うんだ」
「料理?」
「うん。だって、お父さんもお母さんも遅いんでしょ? 千紗都が作ってあげたら、親も喜ぶんじゃない?」
その言葉に、私は思わず遊歩道の真ん中で立ち尽くした。急に止まったからか、後ろを歩いていた仁町の子が、怪訝な顔で避けていった。
私が呆然と涼夏を見つめると、涼夏は不思議そうに首を傾げた。私は震える唇を開いた。
「私が、親にご飯を作るの? ご飯って、親が作るものでしょ?」
「別に決まってないと思うけど。私、よく作るよ?」
「涼夏、それで中学の時、料理部に入ったの?」
「まあ、興味もあったし。子供のご飯の心配がなくなったら、お母さんも全力で仕事ができると思って」
そう言って、涼夏が恥ずかしそうに微笑んだ。
この子は天使だ。人々が心を失い、争い、憎み合い、荒廃したこの地に降り立った神の使いに違いない。ミリエル司教から燭台を渡されたジャン・バルジャンの心境で、私は感動に打ち震えながら涼夏の肩に両手を乗せた。
「この荒み切った世界で、それでもあなたは希望を語る。天使のようなその微笑みで」
「はぁ? 何? 得意の謎思考回路発動?」
「ああ、私はもう、あなたを愛さずにはいられない」
道の真ん中でいきなり抱きしめると、涼夏がマンガのような悲鳴を上げた。
「ひえーっ! 何だ!? どうした!?」
「涼夏、愛してる。誰よりも一番、世界で一番愛してる!」
汗だくの背中に撫でるように手を這わせ、全身を強くこすり付ける。涼夏の体温と汗の匂いに頭がくらくらする。涼夏はじたばたもがきながら、喘ぐように私の肩から顔を出した。
「場所を考えて! 暑いし! 熱で頭がやられたの!?」
涼夏が喚いてくれるおかげで、周囲にも何かの冗談だと伝わるだろう。これで涼夏まで大人しく私に抱かれたら、完全に変態カップルの所業だ。
しばらくもがく涼夏を抱きしめて悦に浸っていると、聞いたことのある笑い声がした。
「涼夏、楽しそうだねー」
「3組の帰宅部はスキンシップが多いって有名だけど、思った以上だね」
何人かの女の子。同じ学年の違うクラスの子だ。私は恥ずかしくなって涼夏の肩に顔を埋めた。涼夏は両手をぶんぶん振って叫んだ。
「違うから! この子の頭がおかしいの! 私は無罪!」
「大丈夫。見ればわかるから」
「絶対わかってない! 学校で変なこと広めないでよ?」
「広めない広めない。見たままのことは話すかもだけど」
楽しそうに笑いながら、女の子たちが去っていく。声がしなくなったので腕を離すと、涼夏は疲れた顔でがっくりと肩を落としていた。
さすがに悪いことをしたが、噂になるのは私もだし、一蓮托生ということで許して欲しい。ハグ魔と噂されても平然としている、絢音のような逞しさが必要だ。
「強く生きよっ? ねっ?」
私がポンと肩に手を置くと、涼夏は絶望的な表情でため息をついた。
「暑いの無理」
「涼夏、夏は強そうなのに」
腕に日焼け止めを塗り直しながら言うと、涼夏はげんなりした顔で私を見た。
「なぜ? 元気だから?」
「いや、名前に『夏』が入ってるから」
「よく見て! 涼しい夏って書いてある!」
何を見ればいいのかわからないが、突然涼夏が真顔でそう訴えて、私はそのバカバカしさに思わず噴き出した。相変わらず愉快な友達だ。
「ナッちゃんなんて、名前がもうサマーって感じじゃん。ザ・サマーって呼ぶわ」
「実際、夏は好きそうだよ。でも、バトン選んだのは屋外スポーツは嫌だからって言ってた」
「あの女、根性を叩き直してやる」
「涼夏がそれを言うかー。そっかー」
憐みの眼差しを向けると、涼夏は頭の上にタオルを乗せて無念そうに首を振った。
古沼への途中にある大きな公園に足を踏み入れると、すぐに木陰に入った。いつの間にか蝉が鳴いている。
期末試験も終わって、夏休みまで後数日。つまり、絢音がバンドで出演するサマセミも後数日。今日は絢音の塾のない日だが、もうここ2週間、一緒に帰っていない。涼夏が、私が孤独死するといけないからと言って、土日にバイトを入れて平日を減らしてくれた。過保護極まりないが、正直助かっている。
ちなみに期末試験だが、絢音は学年6位だった。2つ順位を落としたが、本人は小遣いが減額されずに済んだと胸を撫で下ろしていた。悔しくないか聞いたら、「別に有名大学目指してるわけでもないし」と笑っていた。大学のことなどまだまるで考えていないが、いつか二人と離れ離れになることを想像したら、思わず泣きそうになった。
「涼夏は、高校を卒業したらどうするの?」
前を歩く仁町女子の制服を眺めながら聞くと、涼夏は驚いたように眉を上げた。
「話が飛んだねぇ。蝉みたいに」
「その比喩、初めて聞いた。実際、蝉が飛ぶのって、あんまり見ないよね」
「んだね。何も決めてないけど、大学に行って遊びたいね」
「絢音はいい大学に行きそうだけど、涼夏は私と一緒にいてね」
「千紗都さん、順位差を見て話そうか」
涼夏が冗談で私の肩に腕をかける。しかし、暑苦しかったのかすぐに放して、風を送るように手で扇いだ。
涼夏は成績が芳しくない。直前に帰宅部で勉強したこともあって、期末では半分より上の成績だったが、私は学年33位で、その差は歴然としている。要するに、3人が全力で受験をしたら、涼夏では私の大学に届かないという意味だ。
「私が涼夏に合わせてもいい。遊ぶのに一番大事なのは、気の合う仲間だと思う」
「大学行くかもわからんしね。お金に困ってないのと裕福なのは違うし、妹まで私立の高校に行ったら、猪谷家は破産するかもしれない」
そう言って涼夏は明るく笑ったが、他人には笑えない内容だったので黙っていた。両親が離婚し、片親ながらお金には困っていないと言っていた。それでもやはり、両親がフルタイムで共働きの上、一人っ子の野阪家と比べたら厳しいのだろう。絢音も三人兄弟だし、お金の話はなかなかしにくい。
それにしても、テスト前は結構真面目に勉強をやっていた。にも関わらず、涼夏の成績は私が思うより低かった。
「涼夏は頭が悪い」
冷静に呟くと、涼夏が目を真ん丸に見開いて私に詰め寄った。
「なんでいきなりディスられた!?」
「ううん。涼夏は完璧ガールだから、私は常に涼夏の欠点を探してる」
「そんなの探さなくていいから!」
涼夏が子供のようにポカポカと私を叩く。この子の精神年齢は、12歳から18歳くらいまで振れ幅があるように思う。もちろん、どの涼夏も可愛い。
公園を出てからも、なるべく西側の壁にへばりつくようにして歩いた。奈都が部活の後だと日差しも柔らかいと笑っていたが、15時はまだ地獄の時間帯だ。
「日差しが憎い。バンパイアの心境だ」
涼夏が私の前を歩きながらそう言って、ごくごくとお茶を飲んだ。横に並ぶと日向に入ってしまうので、汗にシャツの張り付く涼夏の背中を見ながら歩いている。
「バンパイアって、吸血鬼?」
「そう。日光に弱いって」
「涼夏、私の血を美味しそうに飲んでたもんね」
「飲んでないから! 飲まされただけ! 別に美味しいなんて……」
勢いよく振り返ったが、だんだん言葉が萎んでいく。ついに、恥ずかしそうに俯いて視線を戻した。別にタブーではないので、あの日のことは時々話題に出すが、涼夏の中では、私を叩いたことよりも、唾液を飲まされた方が強く記憶に残っているらしい。
あまりにも可愛かったから、後ろから抱きついて耳元で囁いた。
「美味しかったの?」
触れ合う肌が熱い。胸やお腹に、涼夏の熱を感じる。暑い。
「美味しくないから! っていうか、暑い!」
「本当は美味しかったんでしょ? また私の血が飲みたいんでしょ? バンパイアだもんね」
ふっと首筋に息を吹きかけると、涼夏が背筋を震わせた。
「もう、ほんとに謎すぎ!」
涼夏が体を振り解く。私があははと笑うと、涼夏は満更でもないように、ふんっとそっぽを向いた。
古沼の駅が近付いて来る。外は暑すぎるから、今日はカラオケか、恵坂まで行って涼しい屋内でショッピングか。私がぼんやりそんなことを考えていると、涼夏が「そういえば」と前置きしてから私を見た。
「テスト終わってから、家で何してるの? 一人の過ごし方、多少はましになった?」
「どうかなぁ」
私は腕を組んでうーんと唸った。シフトをずらしてくれたとはいえ、平日も週に2回はバイトが入っている。涼夏がバイトの日は、私は一人だ。それに、土日も常に誰かと一緒にいるわけではない。テスト前はひたすら勉強していたが、元々そんなに好きではないし、今はまったくしていない。
「雑誌見たり、動画見たり。YouTuberっていうの? メイクとかスキンケアの動画とか、よく見てるよ」
奈都に勧められてアニメにも挑戦したが、小説同様はまれなかった。私はフィクションがあまり好きではないのかもしれない。
私の答えには興味がなかったのか、涼夏は「そっかー」と相槌を打ってから、明るい笑顔を浮かべた。
「私、自分が千紗都だったらって考えたら、絶対に料理すると思うんだ」
「料理?」
「うん。だって、お父さんもお母さんも遅いんでしょ? 千紗都が作ってあげたら、親も喜ぶんじゃない?」
その言葉に、私は思わず遊歩道の真ん中で立ち尽くした。急に止まったからか、後ろを歩いていた仁町の子が、怪訝な顔で避けていった。
私が呆然と涼夏を見つめると、涼夏は不思議そうに首を傾げた。私は震える唇を開いた。
「私が、親にご飯を作るの? ご飯って、親が作るものでしょ?」
「別に決まってないと思うけど。私、よく作るよ?」
「涼夏、それで中学の時、料理部に入ったの?」
「まあ、興味もあったし。子供のご飯の心配がなくなったら、お母さんも全力で仕事ができると思って」
そう言って、涼夏が恥ずかしそうに微笑んだ。
この子は天使だ。人々が心を失い、争い、憎み合い、荒廃したこの地に降り立った神の使いに違いない。ミリエル司教から燭台を渡されたジャン・バルジャンの心境で、私は感動に打ち震えながら涼夏の肩に両手を乗せた。
「この荒み切った世界で、それでもあなたは希望を語る。天使のようなその微笑みで」
「はぁ? 何? 得意の謎思考回路発動?」
「ああ、私はもう、あなたを愛さずにはいられない」
道の真ん中でいきなり抱きしめると、涼夏がマンガのような悲鳴を上げた。
「ひえーっ! 何だ!? どうした!?」
「涼夏、愛してる。誰よりも一番、世界で一番愛してる!」
汗だくの背中に撫でるように手を這わせ、全身を強くこすり付ける。涼夏の体温と汗の匂いに頭がくらくらする。涼夏はじたばたもがきながら、喘ぐように私の肩から顔を出した。
「場所を考えて! 暑いし! 熱で頭がやられたの!?」
涼夏が喚いてくれるおかげで、周囲にも何かの冗談だと伝わるだろう。これで涼夏まで大人しく私に抱かれたら、完全に変態カップルの所業だ。
しばらくもがく涼夏を抱きしめて悦に浸っていると、聞いたことのある笑い声がした。
「涼夏、楽しそうだねー」
「3組の帰宅部はスキンシップが多いって有名だけど、思った以上だね」
何人かの女の子。同じ学年の違うクラスの子だ。私は恥ずかしくなって涼夏の肩に顔を埋めた。涼夏は両手をぶんぶん振って叫んだ。
「違うから! この子の頭がおかしいの! 私は無罪!」
「大丈夫。見ればわかるから」
「絶対わかってない! 学校で変なこと広めないでよ?」
「広めない広めない。見たままのことは話すかもだけど」
楽しそうに笑いながら、女の子たちが去っていく。声がしなくなったので腕を離すと、涼夏は疲れた顔でがっくりと肩を落としていた。
さすがに悪いことをしたが、噂になるのは私もだし、一蓮托生ということで許して欲しい。ハグ魔と噂されても平然としている、絢音のような逞しさが必要だ。
「強く生きよっ? ねっ?」
私がポンと肩に手を置くと、涼夏は絶望的な表情でため息をついた。
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