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第八十六話 木の怪物 後編
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「軍気、発動! みんな! 二十分で終わらせるぞ!」
「おー!」
【軍気】は二十分間、ギルドメンバーの全パラメーターを強化するというものだ。二、三時間前にこの地下迷宮で手に入れたスキルなので、使うのは今回が初めてなのだ。こんなにも早く手に入れたスキルを使う機会が来るとは……。
この効果が切れる前にプラントウィップを倒したい。これで攻める準備も整ったので、僕達からプラントウィップに攻撃を仕掛ける。
プラントウィップは僕達を攻撃可能範囲に入れない為に種弾を飛ばして抵抗してくる。僕達はそれを軽々と避けながら接近をする。
みんなの移動速度が上昇しているので、【軍気】の発動前よりも簡単に避けることができているのだ。
「六明神! 炎! 雪・月・花!」
「六明神! 炎! チャージショット!」
僕は炎を纏わせ、火力重視の攻撃を行う。トモは中距離くらいのところから十秒間溜めを入れて、三本の矢を同時に射る。
溜めがあるためか、普段のショットよりもスピードが速く威力も高そうに見える。
「炎の舞! フレイムラーミナ!」
「分身! 炎撃!」
「燃えちゃえ!」
女三人組も僕達に続けて攻撃する。
「天狗風!」
「雪時雨!」
戦国兄弟も同様にだ。プラントウィップが攻撃している際は、身動きが取れないようなので、みんなのスキルが全てプラントウィップに命中した。強化されている状態の攻撃だったので、プラントウィップのHPが残り三割になる。中々、良いダメージが入った。
プラントウィップは怒ったのか、こちらに突進をしてくる。プラントウィップが根の足を使って走っている姿は中々に面白い。僕達は突進攻撃を両サイドに飛んで回避する。
突進攻撃を回避できたので、再び攻撃を仕掛けようと思ったのだが、プラントウィップは突進を辞めない。ただ、僕達に当てることが目的ではないようなのだ。プラントウィップは最初に突進した範囲を直径とし、円を描くように旋回している。
「トモ! クウガを出す準備を頼む!」
「了解!」
何も意味もなくプラントウィップが旋回しているとは思えない。プラントウィップが描いている円の外に出ることも考えたのだが、僕達が円外に出るよりも先に完成してしまう可能性が高かった。そのため、空中に逃げようと思いトモにこう言ったのだ。
円はあまり時を開けずに完成する。円が完成してすぐにプラントウィップは鞭のような手を地面に突っ込む。突っ込んですぐに円内に地響きが発生する。そして地面から木の根が波のように中心に居る僕達に向かってきたのだ。
「クウガ! 頼む!」
トモはすぐにクウガを呼び出した。クウガはトモの考えていることが分かっているかのように僕達を乗せて空中に飛んだ。中心に集まってきた根は大きな大木へと成長した。空中に飛んでいたのでいいもののあのまま地面にいたら大木に飲み込まれていたかもしれない。
「クウガ! 根を吹き飛ばせ!」
トモがそう言うとクウガは【十文字】を地面に向かって放つ。十の字の形をした風が根をすべて吹き飛ばす。中心にあった大木はプラントウィップに向かって倒れていく。プラントウィップは避け斬れずに大木の下敷きになった。そしてプラントウィップのHPは一割くらい残った。自分で作りだした大木でダメージを負うとは思っていなかったのだろう。僕は笑いそうになってしまった。地面の根もきれいになくなりプラントウィップもダウンしている様子なので、一気に畳みかけることにした。
「みんな! とどめを刺しに行くぞ!」
「了解!」
僕達はクウガに乗ってプラントウィップの真上まで飛んでいき、一気に降下する。僕達は一斉にスキルを叩き込む。僕達の攻撃を受けたプラントウィップのHPはゼロになり、消滅した。
【レアアイテム、太古の木を獲得しました‼】
「よっしゃー! 久しぶりにレアアイテムゲット!」
「それは本当なの⁉ どんなものだった?」
僕が歓喜の声を上げているとツキナが質問してくる。レアアイテムをゲットしたが、どんな効果があるのかは確認できていなかったので、すぐにストレージを開いてアイテムをタップする。
【太古の木、一日に一度だけ復活することができる】
僕はこの説明を見た瞬間、(この性効果、強すぎ!)という感想が真っ先に出てきた。一日一回とは言え、復活することができるなんて本当に神効果である。これで保険ができたので、多少は無理をしてもいい訳になる。
「一日、一回だけ復活できるらしい」
「へぇ~。強いわね」
ツキナは表情一つ変えていないが、内心ではかなり羨ましがっているに違いない。トモに関しては、「そのアイテム、俺にくれ!」と言っている。絶対にあげるつもりはないが……。みんなとも同じようなやり取りをして、プラントウィップを倒したことで開いたと思われる扉を見る。
「あそこから、上がれるみたいだな!」
「そうですね! 行きましょう!」
僕は扉の中にある階段を指さしながら言うとアサガオが返事をしてくれた。僕達は扉の中へと入っていき、階段を上っていく。
数分、階段を上っていると月明かりが見えてきた。おそらくこの階段を上り切ったら、地上に出れるという事なのだろう。
地下迷宮に落ちてからざっと五時間以上、大変だったなと思っている。
「地上に出れたぁー!」
トモが両手を上に伸ばしながら叫ぶ。僕もトモと全く同じ気持ちになっていた。
「やっと出られたね!」
リリはすっかりリラックスができているようだ。僕達はベースを落とさずに階段を上って行き、地上に出ることができた。
「今日はもう遅いから、ログアウトしましょ!」
「いいよ!」
ツキナが提案をしてくる。僕は返事を返した後、すぐにリンクメニューを開き、時刻を確認する。時刻は午前三時を回っていた。地下洞窟が大変すぎてあっという間だった気がする。イベントを一日無駄にしたが、みんなが強化されたので良しとしよう。まだイベントも序盤なので、戦国兄弟が欲しいと言った武器も手に入れることができるはずだ。
リリ
「ツキナの意見に賛成だよ!」
トモ
「いいぞ!」
アサガオ
「賛成です!」
コジロウ
「了解です!」
ムサシ
「オッケーですよ!」
みんなも賛成しているようなので、今日は僕達のギルド拠点で、お開きにすることになった。僕達は明日の集合時間を十三時に決め、ログアウトしていった。僕は全員がログアウトするのを確認して現実世界に帰還した。
「おー!」
【軍気】は二十分間、ギルドメンバーの全パラメーターを強化するというものだ。二、三時間前にこの地下迷宮で手に入れたスキルなので、使うのは今回が初めてなのだ。こんなにも早く手に入れたスキルを使う機会が来るとは……。
この効果が切れる前にプラントウィップを倒したい。これで攻める準備も整ったので、僕達からプラントウィップに攻撃を仕掛ける。
プラントウィップは僕達を攻撃可能範囲に入れない為に種弾を飛ばして抵抗してくる。僕達はそれを軽々と避けながら接近をする。
みんなの移動速度が上昇しているので、【軍気】の発動前よりも簡単に避けることができているのだ。
「六明神! 炎! 雪・月・花!」
「六明神! 炎! チャージショット!」
僕は炎を纏わせ、火力重視の攻撃を行う。トモは中距離くらいのところから十秒間溜めを入れて、三本の矢を同時に射る。
溜めがあるためか、普段のショットよりもスピードが速く威力も高そうに見える。
「炎の舞! フレイムラーミナ!」
「分身! 炎撃!」
「燃えちゃえ!」
女三人組も僕達に続けて攻撃する。
「天狗風!」
「雪時雨!」
戦国兄弟も同様にだ。プラントウィップが攻撃している際は、身動きが取れないようなので、みんなのスキルが全てプラントウィップに命中した。強化されている状態の攻撃だったので、プラントウィップのHPが残り三割になる。中々、良いダメージが入った。
プラントウィップは怒ったのか、こちらに突進をしてくる。プラントウィップが根の足を使って走っている姿は中々に面白い。僕達は突進攻撃を両サイドに飛んで回避する。
突進攻撃を回避できたので、再び攻撃を仕掛けようと思ったのだが、プラントウィップは突進を辞めない。ただ、僕達に当てることが目的ではないようなのだ。プラントウィップは最初に突進した範囲を直径とし、円を描くように旋回している。
「トモ! クウガを出す準備を頼む!」
「了解!」
何も意味もなくプラントウィップが旋回しているとは思えない。プラントウィップが描いている円の外に出ることも考えたのだが、僕達が円外に出るよりも先に完成してしまう可能性が高かった。そのため、空中に逃げようと思いトモにこう言ったのだ。
円はあまり時を開けずに完成する。円が完成してすぐにプラントウィップは鞭のような手を地面に突っ込む。突っ込んですぐに円内に地響きが発生する。そして地面から木の根が波のように中心に居る僕達に向かってきたのだ。
「クウガ! 頼む!」
トモはすぐにクウガを呼び出した。クウガはトモの考えていることが分かっているかのように僕達を乗せて空中に飛んだ。中心に集まってきた根は大きな大木へと成長した。空中に飛んでいたのでいいもののあのまま地面にいたら大木に飲み込まれていたかもしれない。
「クウガ! 根を吹き飛ばせ!」
トモがそう言うとクウガは【十文字】を地面に向かって放つ。十の字の形をした風が根をすべて吹き飛ばす。中心にあった大木はプラントウィップに向かって倒れていく。プラントウィップは避け斬れずに大木の下敷きになった。そしてプラントウィップのHPは一割くらい残った。自分で作りだした大木でダメージを負うとは思っていなかったのだろう。僕は笑いそうになってしまった。地面の根もきれいになくなりプラントウィップもダウンしている様子なので、一気に畳みかけることにした。
「みんな! とどめを刺しに行くぞ!」
「了解!」
僕達はクウガに乗ってプラントウィップの真上まで飛んでいき、一気に降下する。僕達は一斉にスキルを叩き込む。僕達の攻撃を受けたプラントウィップのHPはゼロになり、消滅した。
【レアアイテム、太古の木を獲得しました‼】
「よっしゃー! 久しぶりにレアアイテムゲット!」
「それは本当なの⁉ どんなものだった?」
僕が歓喜の声を上げているとツキナが質問してくる。レアアイテムをゲットしたが、どんな効果があるのかは確認できていなかったので、すぐにストレージを開いてアイテムをタップする。
【太古の木、一日に一度だけ復活することができる】
僕はこの説明を見た瞬間、(この性効果、強すぎ!)という感想が真っ先に出てきた。一日一回とは言え、復活することができるなんて本当に神効果である。これで保険ができたので、多少は無理をしてもいい訳になる。
「一日、一回だけ復活できるらしい」
「へぇ~。強いわね」
ツキナは表情一つ変えていないが、内心ではかなり羨ましがっているに違いない。トモに関しては、「そのアイテム、俺にくれ!」と言っている。絶対にあげるつもりはないが……。みんなとも同じようなやり取りをして、プラントウィップを倒したことで開いたと思われる扉を見る。
「あそこから、上がれるみたいだな!」
「そうですね! 行きましょう!」
僕は扉の中にある階段を指さしながら言うとアサガオが返事をしてくれた。僕達は扉の中へと入っていき、階段を上っていく。
数分、階段を上っていると月明かりが見えてきた。おそらくこの階段を上り切ったら、地上に出れるという事なのだろう。
地下迷宮に落ちてからざっと五時間以上、大変だったなと思っている。
「地上に出れたぁー!」
トモが両手を上に伸ばしながら叫ぶ。僕もトモと全く同じ気持ちになっていた。
「やっと出られたね!」
リリはすっかりリラックスができているようだ。僕達はベースを落とさずに階段を上って行き、地上に出ることができた。
「今日はもう遅いから、ログアウトしましょ!」
「いいよ!」
ツキナが提案をしてくる。僕は返事を返した後、すぐにリンクメニューを開き、時刻を確認する。時刻は午前三時を回っていた。地下洞窟が大変すぎてあっという間だった気がする。イベントを一日無駄にしたが、みんなが強化されたので良しとしよう。まだイベントも序盤なので、戦国兄弟が欲しいと言った武器も手に入れることができるはずだ。
リリ
「ツキナの意見に賛成だよ!」
トモ
「いいぞ!」
アサガオ
「賛成です!」
コジロウ
「了解です!」
ムサシ
「オッケーですよ!」
みんなも賛成しているようなので、今日は僕達のギルド拠点で、お開きにすることになった。僕達は明日の集合時間を十三時に決め、ログアウトしていった。僕は全員がログアウトするのを確認して現実世界に帰還した。
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