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第四十二話 炎の間とお手玉
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階段を上り終えると火山地帯が広がった場所に出た。至る所で噴火が起きている。当たったらダメージを受けてしまうだろう。
「めっちゃ暑い……」
僕は死ぬほど暑い環境に本音を漏らしてしまう。ゲーム世界なので、脱水症状にはならないが暑さだけは感じる。
「扉に炎の間と書いてあったから暑いのは予想してたけどここまで暑いとはなぁ……」
トモは別に汗はかいていないはずなのだが、額の汗を拭う仕草をしながら言う。
「汗かいてないやろ!」
僕はすかさずトモにツッコミをする。
「ヒビトの額からも汗が出てるぞ!」
「え? 本当だ! 額から汗が出てきたかも……ってそんなわけあるか!」
僕はノリツッコミをしてみる。普段学校でやるようなやりとりをした後、僕とトモは噴火を避けながら歩く。ここも採掘場所が多いみたいだ。
「第二回採掘対決やろうぜ!」
「乗った!」
トモがそんな提案をしてくるので、僕はすぐに了承する。
第二回採掘対決が開幕した。この大型ダンジョンの全ての場所で行うことになりそうだ……。
採掘している最中に炎属性のトカゲのようなモンスターが僕に火を吐いてきたが、イベント前にツキナが使う【銀世界《シルバー》】の対策をするために炎属性しか出てこないダンジョンに潜って【炎無効】のスキルを手に入れているので、全く効かない。
「あちち! あちち!」
【炎無効】のスキルを持っていないトモはトカゲの炎の攻撃を受けて、悲鳴を上げている。今回は僕の圧勝になりそうだ。
十分くらい採掘を続けて、第二回採掘対決は終了した。僕はまだ体力的に余裕があったが、トモはヘトヘトになっている。
「お疲れ! トモ!」
「本当にお疲れだわ……でも炎無効のスキル手に入れたでいいや」
「僕はもともと持ってたけどな!」
「マジかよ! そうなると今回の対決は俺のボロ負けか?」
「おそらく僕の圧勝だ!」
「くっそー! 次は俺が勝つからな!」
「いいや、僕が勝つ!」
僕とトモは第三回採掘対決の約束をして先に進んで行く。しばらく進むと全身が炎で人間のような形をしており、三つ炎の玉をボールにしてお手玉をしている器用なモンスターが一体、目の前に現れた。
「あのモンスター凄くないか?」
「すごいか? 俺もできるぞ!」
「マジ? 僕は絶対、無理だ!」
「マジだ! 一時期はまってたんだよな……」
トモは懐かしそうに語る。僕も練習をしていた時期もあったが、いつまで経っても出来なかったので断念した。
モンスターがこちらに気づいたらしく、近づいてくる。
僕とトモは戦闘態勢をとるが、次の瞬間に目を疑う現象を目の当たりにする。モンスターが炎の玉を三つ作り出し、トモに渡してきたのだ。
トモはそれを受け取る。【炎無効】のスキルを持っていないと普通はダメージを受けてしまうが、トモは幸いなことに【炎無効】のスキルを手に入れているのでそうはならなかった。モンスターはトモに炎の玉を渡すとお手玉を始めた。
「真似しろと言うことか?」
「多分……とりあえずやってみたら?」
「そうだな……久しぶりだからできるか心配だけどやってみるわ!」
トモはそう言うとモンスターと同じようにお手玉を始めた。
トモがあまりにも上手くモンスターのお手玉を真似するので、調子になったモンスターが三つのうち一つのボールを外回りに投げるハーフシャワーや外回りに投げたボールを投げた方の手に返すテニスなど難易度が高い技を行なってくる。
さすがのトモも失敗するだろうと思っていたが、モンスターの全ての技を完璧に真似をした。
「トモ! すごい! めっちゃかっこいいじゃん!」
僕は拍手をしながら、トモを褒めるが心の中では(僕は一体何を見せられてるんだろう)と思っている。トモに技を全て完全コピーされたモンスターは消滅する。
「あのモンスター、何だったんだ?」
怪訝な顔色で僕は呟く。当の本人であるトモの表情を見てみると喜びを顔にみなぎらせていた。
「どうしたんだ? そんな嬉しそうな顔をして……」
「お手玉を真似してただけなのに便利そうなスキルを手に入れたんだ!」
「マジ⁉︎ どんな奴?」
「これなんだけど……」
トモはそう言いながらスキル画面を見せてくれる。
【お手玉(炎玉)、三つの炎の玉を作り出し、自分の手のように操ることが出来る。プレイヤーの意思で消したいと思った時や体から五メートル以上離れたら消える。それ以外は残り続ける。 獲得条件 炎芸人のお手玉の技を全てコピーする】
「色々使い勝手が良さそうなスキルだな……」
「だろ! だろ! 水の攻撃で消えないんだぜ! 凄くない?」
「確かに! 体の周りで回転させておけば他のプレイヤーやモンスターにダメージを与えることができるな!」
「そう、そう! 他にどんな使い方ができるか暇な時に試してみるわ!」
「頑張れ!」
僕とトモは炎芸人のお手玉を真似したことで手に入れたスキルの話で盛り上がる。話をしながら出てきた炎属性のモンスターを倒しながらだんだん奥へと進んでいく。
奥に進めば進むほど気温が上昇するのを感じている。だいぶこの環境に体が慣れてきたはずなのだが、それでも暑く感じる。
「この暑さ、ボス部屋が近づいてきたのかな?」
「環境が変わるということはその可能性はありだ!」
「ボスはきっと炎属性だよね?」
「状況から考えればそうだろうな!」
僕の質問にトモは冷静に答える。こう言うところは本当に頼りになる。
「炎無効スキルを持ってるからダメージを受けずに倒せるかもしれない」
「それはありそうだ! また変なスキルが手に入るかもだな!」
「そうかもな! どう言う倒し方をしようか?」
「殴り倒す!」
「いや、いや、食すはどうだ?」
「それも楽しそうだな!」
僕とトモはボス戦の話をしながら更に奥に進んでいく。最深部まで進むと赤い門が現れた。門の両端には松明が配置してあった。
「豪華な扉だぁ!」
僕は心の内側に小さな波が立つ。
「強そうなボスモンスターがいる予感!」
「楽しみだ!」
僕とトモは同時に門に手を当て、力一杯押す。門は渋い音を立てながら開いていく。
門が開き切ったので、僕とトモは部屋の中に入っていく。部屋は大火事になっていた。ボスモンスターがやったのだろう。
部屋の真ん中にいたのは全身が燃えている巨人だった。
「ウォォォォォォォォ‼︎」
ボスモンスターの激しい叫び声が鋭く耳を破る。ボスモンスターが叫ぶのと同時に名前とHPが表示される。
名前は《スルト》北米神話に登場する巨人で、世界を焼き尽くすと言われている。HPは十万と表示されていた。僕とトモはスルトとの戦闘を開始する。
「めっちゃ暑い……」
僕は死ぬほど暑い環境に本音を漏らしてしまう。ゲーム世界なので、脱水症状にはならないが暑さだけは感じる。
「扉に炎の間と書いてあったから暑いのは予想してたけどここまで暑いとはなぁ……」
トモは別に汗はかいていないはずなのだが、額の汗を拭う仕草をしながら言う。
「汗かいてないやろ!」
僕はすかさずトモにツッコミをする。
「ヒビトの額からも汗が出てるぞ!」
「え? 本当だ! 額から汗が出てきたかも……ってそんなわけあるか!」
僕はノリツッコミをしてみる。普段学校でやるようなやりとりをした後、僕とトモは噴火を避けながら歩く。ここも採掘場所が多いみたいだ。
「第二回採掘対決やろうぜ!」
「乗った!」
トモがそんな提案をしてくるので、僕はすぐに了承する。
第二回採掘対決が開幕した。この大型ダンジョンの全ての場所で行うことになりそうだ……。
採掘している最中に炎属性のトカゲのようなモンスターが僕に火を吐いてきたが、イベント前にツキナが使う【銀世界《シルバー》】の対策をするために炎属性しか出てこないダンジョンに潜って【炎無効】のスキルを手に入れているので、全く効かない。
「あちち! あちち!」
【炎無効】のスキルを持っていないトモはトカゲの炎の攻撃を受けて、悲鳴を上げている。今回は僕の圧勝になりそうだ。
十分くらい採掘を続けて、第二回採掘対決は終了した。僕はまだ体力的に余裕があったが、トモはヘトヘトになっている。
「お疲れ! トモ!」
「本当にお疲れだわ……でも炎無効のスキル手に入れたでいいや」
「僕はもともと持ってたけどな!」
「マジかよ! そうなると今回の対決は俺のボロ負けか?」
「おそらく僕の圧勝だ!」
「くっそー! 次は俺が勝つからな!」
「いいや、僕が勝つ!」
僕とトモは第三回採掘対決の約束をして先に進んで行く。しばらく進むと全身が炎で人間のような形をしており、三つ炎の玉をボールにしてお手玉をしている器用なモンスターが一体、目の前に現れた。
「あのモンスター凄くないか?」
「すごいか? 俺もできるぞ!」
「マジ? 僕は絶対、無理だ!」
「マジだ! 一時期はまってたんだよな……」
トモは懐かしそうに語る。僕も練習をしていた時期もあったが、いつまで経っても出来なかったので断念した。
モンスターがこちらに気づいたらしく、近づいてくる。
僕とトモは戦闘態勢をとるが、次の瞬間に目を疑う現象を目の当たりにする。モンスターが炎の玉を三つ作り出し、トモに渡してきたのだ。
トモはそれを受け取る。【炎無効】のスキルを持っていないと普通はダメージを受けてしまうが、トモは幸いなことに【炎無効】のスキルを手に入れているのでそうはならなかった。モンスターはトモに炎の玉を渡すとお手玉を始めた。
「真似しろと言うことか?」
「多分……とりあえずやってみたら?」
「そうだな……久しぶりだからできるか心配だけどやってみるわ!」
トモはそう言うとモンスターと同じようにお手玉を始めた。
トモがあまりにも上手くモンスターのお手玉を真似するので、調子になったモンスターが三つのうち一つのボールを外回りに投げるハーフシャワーや外回りに投げたボールを投げた方の手に返すテニスなど難易度が高い技を行なってくる。
さすがのトモも失敗するだろうと思っていたが、モンスターの全ての技を完璧に真似をした。
「トモ! すごい! めっちゃかっこいいじゃん!」
僕は拍手をしながら、トモを褒めるが心の中では(僕は一体何を見せられてるんだろう)と思っている。トモに技を全て完全コピーされたモンスターは消滅する。
「あのモンスター、何だったんだ?」
怪訝な顔色で僕は呟く。当の本人であるトモの表情を見てみると喜びを顔にみなぎらせていた。
「どうしたんだ? そんな嬉しそうな顔をして……」
「お手玉を真似してただけなのに便利そうなスキルを手に入れたんだ!」
「マジ⁉︎ どんな奴?」
「これなんだけど……」
トモはそう言いながらスキル画面を見せてくれる。
【お手玉(炎玉)、三つの炎の玉を作り出し、自分の手のように操ることが出来る。プレイヤーの意思で消したいと思った時や体から五メートル以上離れたら消える。それ以外は残り続ける。 獲得条件 炎芸人のお手玉の技を全てコピーする】
「色々使い勝手が良さそうなスキルだな……」
「だろ! だろ! 水の攻撃で消えないんだぜ! 凄くない?」
「確かに! 体の周りで回転させておけば他のプレイヤーやモンスターにダメージを与えることができるな!」
「そう、そう! 他にどんな使い方ができるか暇な時に試してみるわ!」
「頑張れ!」
僕とトモは炎芸人のお手玉を真似したことで手に入れたスキルの話で盛り上がる。話をしながら出てきた炎属性のモンスターを倒しながらだんだん奥へと進んでいく。
奥に進めば進むほど気温が上昇するのを感じている。だいぶこの環境に体が慣れてきたはずなのだが、それでも暑く感じる。
「この暑さ、ボス部屋が近づいてきたのかな?」
「環境が変わるということはその可能性はありだ!」
「ボスはきっと炎属性だよね?」
「状況から考えればそうだろうな!」
僕の質問にトモは冷静に答える。こう言うところは本当に頼りになる。
「炎無効スキルを持ってるからダメージを受けずに倒せるかもしれない」
「それはありそうだ! また変なスキルが手に入るかもだな!」
「そうかもな! どう言う倒し方をしようか?」
「殴り倒す!」
「いや、いや、食すはどうだ?」
「それも楽しそうだな!」
僕とトモはボス戦の話をしながら更に奥に進んでいく。最深部まで進むと赤い門が現れた。門の両端には松明が配置してあった。
「豪華な扉だぁ!」
僕は心の内側に小さな波が立つ。
「強そうなボスモンスターがいる予感!」
「楽しみだ!」
僕とトモは同時に門に手を当て、力一杯押す。門は渋い音を立てながら開いていく。
門が開き切ったので、僕とトモは部屋の中に入っていく。部屋は大火事になっていた。ボスモンスターがやったのだろう。
部屋の真ん中にいたのは全身が燃えている巨人だった。
「ウォォォォォォォォ‼︎」
ボスモンスターの激しい叫び声が鋭く耳を破る。ボスモンスターが叫ぶのと同時に名前とHPが表示される。
名前は《スルト》北米神話に登場する巨人で、世界を焼き尽くすと言われている。HPは十万と表示されていた。僕とトモはスルトとの戦闘を開始する。
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