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へっぽこ召喚士と二人の悪魔②
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(自分に敵意はないことをしっかり伝えなきゃ、あの子を帰せない。お願い、食べて……。)
野菜を見つけ、害がないかどうかを疑う目を向けると、徐々にミアに近づいてくる。
一歩また一歩と近づいてくる気配に、静かに息を飲んだ。
手に持っていた野菜を啄かれる手応えに、ようやく母親コカトリスが正気を取り戻したと安堵の溜め息を零しつつ、薄らと目を開ける。
美味しそうに食べる母親コカトリスは、もう警戒心はこちらに向けてはいない。
「良かったあ……」
しっかりと目を開けて、母親コカトリスの瞳を覗いても身構えたりはしない。寧ろ安心しきっている様子だ。
ゴクリと野菜を飲み込んだ母親コカトリスは、自分からミアに近づいて、体を丸めた。
「リラックスしてるのね。ありがとう。私のこと敵じゃないって分かってくれて」
緊張感が解けた空気に思わず肩の力を抜いていると、茂みに隠れていたヒヨコが母親コカトリス目掛けて走ってくる。
「ピヨ!」
「コケッ!!」
感動の再開を果たした親子は嬉しそうに羽を広げては、身を寄せ合う。柔らかそうな羽に撫でたい気持ちを抑えていると、道の向こうから騎士達がやって来た。
ミアがコカトリスに襲われそうになっていると誤解したのか、合図と共に腰から剣を抜いた。
「違うんです!この親子達は襲ってきません!どうか剣をしまって……!」
折角落ち着かせたというのに、またしても親コカトリスが怒りに染まってしまう。
正面から突っ切ろうとしてくる騎士達を止めようと動き出した次の瞬間、地面が揺れた。
「コケェエエッ!!!」
立派な赤い鶏冠を揺らし、低く芯のある太い鳴き声は風を巻き起こし、舗装された道を簡単に貫き通す鋭い爪が、道に亀裂を入れた。
親コカトリスよりも二回りほど大きな体からは、殺意すら感じる。
――振り返った先には、もう一匹のコカトリスが、敵意を剥き出しにして羽を大きく広げていた。
「お父さん……ですか?」
攻撃性の高い雄のコカトリスを前に、どうすることも出来ないまま、ミアの心を恐怖が支配した。
騎士達も突然のことに怯んだのか、動きを止める。
ダラダラと涎を垂らす父親コカトリスに、自身を餌だと思われていると悟る。基本的にコカトリスは草食だが、相手は魔物。人を食らうことも少なからずあるのだろう。
為す術もなくミアは睨みつけてくる父親コカトリスに従うように、その場で身動きを取ることなく固まっていた。
(こうなるなら、もう少しちゃんと考えて行動するべきだった……!)
魔物相手に自分一人で立ち向かえるわけがないと分かっていたはずなのに、と今更後悔が滲む。
ミアを丸飲みにしようと父親コカトリスが大きく嘴を開け、喉の奥には真っ黒な暗闇が見えた。
(自分に敵意はないことをしっかり伝えなきゃ、あの子を帰せない。お願い、食べて……。)
野菜を見つけ、害がないかどうかを疑う目を向けると、徐々にミアに近づいてくる。
一歩また一歩と近づいてくる気配に、静かに息を飲んだ。
手に持っていた野菜を啄かれる手応えに、ようやく母親コカトリスが正気を取り戻したと安堵の溜め息を零しつつ、薄らと目を開ける。
美味しそうに食べる母親コカトリスは、もう警戒心はこちらに向けてはいない。
「良かったあ……」
しっかりと目を開けて、母親コカトリスの瞳を覗いても身構えたりはしない。寧ろ安心しきっている様子だ。
ゴクリと野菜を飲み込んだ母親コカトリスは、自分からミアに近づいて、体を丸めた。
「リラックスしてるのね。ありがとう。私のこと敵じゃないって分かってくれて」
緊張感が解けた空気に思わず肩の力を抜いていると、茂みに隠れていたヒヨコが母親コカトリス目掛けて走ってくる。
「ピヨ!」
「コケッ!!」
感動の再開を果たした親子は嬉しそうに羽を広げては、身を寄せ合う。柔らかそうな羽に撫でたい気持ちを抑えていると、道の向こうから騎士達がやって来た。
ミアがコカトリスに襲われそうになっていると誤解したのか、合図と共に腰から剣を抜いた。
「違うんです!この親子達は襲ってきません!どうか剣をしまって……!」
折角落ち着かせたというのに、またしても親コカトリスが怒りに染まってしまう。
正面から突っ切ろうとしてくる騎士達を止めようと動き出した次の瞬間、地面が揺れた。
「コケェエエッ!!!」
立派な赤い鶏冠を揺らし、低く芯のある太い鳴き声は風を巻き起こし、舗装された道を簡単に貫き通す鋭い爪が、道に亀裂を入れた。
親コカトリスよりも二回りほど大きな体からは、殺意すら感じる。
――振り返った先には、もう一匹のコカトリスが、敵意を剥き出しにして羽を大きく広げていた。
「お父さん……ですか?」
攻撃性の高い雄のコカトリスを前に、どうすることも出来ないまま、ミアの心を恐怖が支配した。
騎士達も突然のことに怯んだのか、動きを止める。
ダラダラと涎を垂らす父親コカトリスに、自身を餌だと思われていると悟る。基本的にコカトリスは草食だが、相手は魔物。人を食らうことも少なからずあるのだろう。
為す術もなくミアは睨みつけてくる父親コカトリスに従うように、その場で身動きを取ることなく固まっていた。
(こうなるなら、もう少しちゃんと考えて行動するべきだった……!)
魔物相手に自分一人で立ち向かえるわけがないと分かっていたはずなのに、と今更後悔が滲む。
ミアを丸飲みにしようと父親コカトリスが大きく嘴を開け、喉の奥には真っ黒な暗闇が見えた。
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