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決闘に向けて➁
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「じゃあ、早速だし。実戦形式で私と戦おうか!」
修行場に着いてすぐ、クレハはそう言って剣を構える。
俺もクレハから距離をとり両手に短めの剣を構える。
あれ?クレハって大剣使いじゃなかったっけ?
手加減してくれてるのかな?
瞬間、10メートルくらい先にいたはずのクレハが、一瞬で目の前に現れ、俺の剣の柄を叩き、剣が地面を転がる。
「もう!リョウト!油断したらダメじゃない!」
「いやいや!待って待って、待ってくれ!クレハそんなに強かったのか?一緒に依頼を受けてブルーブルルと戦ってた時とは、明らかに動きが違う気がするんだが!?」
「えっ!それはそうよ!さすがに人間として冒険者をやっていて、全力を出してしまったらすぐに上位ランクの冒険者にされてしまうもの。そうしたら強い人ばかりと依頼を受けることになるかもしれないし、ずっと実力は抑えていたわよ…。だから下位の冒険者と知り合う可能性の高いクアントの街にいてしかもなかなかランクを上げれない冒険者っていう設定で冒険者生活を送っていたの!私はほんとは両手剣を使うし…。合わない武器が合うふりをするのはすごく疲れたけど。まぁ……いろいろしていたおかげでリョウトに会えたのもあるけどね………!」
そう言って、クレハは照れながら体をくねらせている。
クレハは、なんというか、器用なような不器用な子だな…ほんと。
上位冒険者でも、下位冒険者の育成とか言って、いろんな冒険者とかかわることが出来たかもしれないのに。…あ、でもそうして目立ちすぎると、魔族だということがばれやすくなったりしたのかな…?
「あ、そうだ。もしよければ今のクレハのステータスカード見せてもらえたりしないか?」
そう言うと、いいよーっといってステータスカードを俺に渡して、クレハは転がった俺の剣を拾いに行ってくれた。
ええっと、クレハのステータスは…。
クレハのステータスカード
名前 クレハ
種族 魔族
年齢 19歳
武器 両手剣
スキル スキルプラン
サプライズショット
クイック
ヘビースマッシュ
力 C
防 B
速 S
魔 B
体 B
運 B
なんだこれ………、めちゃくちゃ強いじゃないか………。俺が勝ってるのなんて、せいぜい運だけ…。
スキルの数も多いし、さっきの動きが違うのも納得がいった。
俺の武器を拾って戻ってきたクレハ。
「クレハ…。クレハって、めちゃくちゃ強いんだな!スキルの数も多いし!」
「そりゃそうよ!だって魔王軍幹部のパパの娘だもん!それに私くらいになると、スキルだってまだ覚えられるんだよ!経験を積めば魔族は5つ、人間は3つくらいスキルを覚えるのが、基本だし!ヘビースマッシュは人間を演じてた時に運よく覚えられたから、計算ではあと2つスキルを覚えられる予定だわ!」
胸を張ってドヤァとした顔をしてくるクレハ。
「なら、俺もステータスカードの???を合わせたら、後4つくらいスキルを覚えられるかもしれないのかなぁ……?」
「いや、リョウトの場合、たぶんだけど〈スロー〉と???2つは人間としてのスキルだと思うのよね。だから完全魔族になった今、人間だった時に発現する予定だった〈スロー〉が体の変化に呼応して発現して、???2つのスキル発現しかかってるんじゃないかな!魔族としてのスキルが発現するまではもう少し経験を積んで実力を上げないといけないだろうし、だから最終的にスキルを8個使えるようになる気がするの!」
もし本当にそうなるのだったら、すごくうれしい。すごく期待できる展開。
「そうなら、俺もっと修行頑張って力をつけるよ!」
「そうね!じゃあ、20分実戦的な修行をして20分休んで、って感じで!ソランの対策はまた後で立てましょ!」
「よしっ!!」
俺は、クレハから剣を受け取り、距離をとって構え直す。
クレハの動きを見切るんだ!
20分後。
俺は地面に這いつくばっていた。
「リョウト…大丈夫…?ごめんね…強く当たりすぎちゃった…?」
「ううん…。大丈夫だよ。ありがと。…でも剣が折れちゃった」
最初はクレハの動きを目で追うのがやっとで、初撃を防ぐことが出来ずに剣を弾かれていたが、何度か繰り返すうちに1撃目はなんとか剣で防げるようになった。まぁ、2撃目、3撃目には剣を弾かれてしまうのだが………。
で、今地面に這いつくばっているのは、クレハの剣を受け止めたと思ったら、俺の剣が折れてしまい、クレハの突進をモロに全身で受けて倒されてしまったというわけだ。さすが、力のステータスがCもあるだけある。
「そうだ!リョウト!少し休んでてよ!リョウトに合う武器を私が城のの武器庫から見繕ってきてあげる!ちょっと休んで待ってて!」
思いついたように、まくしたてるとクレハは走り去って行ってしまった。
「ふぅ………。じゃあ、少し休ませてもらうか………。それにしても、ステータスが上がってもクレハが強すぎて、俺が強くなっている実感が全くわかないな…」
そうだ!せっかくなんだから、スキルも試してみよう。
俺のステータスカードを今一度確認する。
今使えるスキルは、〈スロー〉。他のスキルは増えていなかった。???もそのままだ。使えるようになったら、読めるようになるのだろうか。
〈スロー〉…使ってみるか。
まだ試したことがないから、わからないけど、俺の予想が正しければすごく強力なスキルなはずだ。
俺は、ようやく動けるようになった身体を起こし、折れた剣の柄部分を拾う。
拾った柄を上空に投げた。
「〈スロー〉!!」
………。
「リョウト!お待たせ!リョウトの新しい武器とってきたよ!」
30分くらいして、クレハが走って戻ってきた。すごく元気だなぁ。
「ありがとう。クレハ」
クレハが照れながら、剣を渡してくれる。
「もう体は大丈夫そうだね。じゃあ、修業の続き……しようか!この剣ならさっきよりも戦いやすいはずだよ!」
クレハから受け取った剣を鞘から抜いた。
「こ……これは!」
修行場に着いてすぐ、クレハはそう言って剣を構える。
俺もクレハから距離をとり両手に短めの剣を構える。
あれ?クレハって大剣使いじゃなかったっけ?
手加減してくれてるのかな?
瞬間、10メートルくらい先にいたはずのクレハが、一瞬で目の前に現れ、俺の剣の柄を叩き、剣が地面を転がる。
「もう!リョウト!油断したらダメじゃない!」
「いやいや!待って待って、待ってくれ!クレハそんなに強かったのか?一緒に依頼を受けてブルーブルルと戦ってた時とは、明らかに動きが違う気がするんだが!?」
「えっ!それはそうよ!さすがに人間として冒険者をやっていて、全力を出してしまったらすぐに上位ランクの冒険者にされてしまうもの。そうしたら強い人ばかりと依頼を受けることになるかもしれないし、ずっと実力は抑えていたわよ…。だから下位の冒険者と知り合う可能性の高いクアントの街にいてしかもなかなかランクを上げれない冒険者っていう設定で冒険者生活を送っていたの!私はほんとは両手剣を使うし…。合わない武器が合うふりをするのはすごく疲れたけど。まぁ……いろいろしていたおかげでリョウトに会えたのもあるけどね………!」
そう言って、クレハは照れながら体をくねらせている。
クレハは、なんというか、器用なような不器用な子だな…ほんと。
上位冒険者でも、下位冒険者の育成とか言って、いろんな冒険者とかかわることが出来たかもしれないのに。…あ、でもそうして目立ちすぎると、魔族だということがばれやすくなったりしたのかな…?
「あ、そうだ。もしよければ今のクレハのステータスカード見せてもらえたりしないか?」
そう言うと、いいよーっといってステータスカードを俺に渡して、クレハは転がった俺の剣を拾いに行ってくれた。
ええっと、クレハのステータスは…。
クレハのステータスカード
名前 クレハ
種族 魔族
年齢 19歳
武器 両手剣
スキル スキルプラン
サプライズショット
クイック
ヘビースマッシュ
力 C
防 B
速 S
魔 B
体 B
運 B
なんだこれ………、めちゃくちゃ強いじゃないか………。俺が勝ってるのなんて、せいぜい運だけ…。
スキルの数も多いし、さっきの動きが違うのも納得がいった。
俺の武器を拾って戻ってきたクレハ。
「クレハ…。クレハって、めちゃくちゃ強いんだな!スキルの数も多いし!」
「そりゃそうよ!だって魔王軍幹部のパパの娘だもん!それに私くらいになると、スキルだってまだ覚えられるんだよ!経験を積めば魔族は5つ、人間は3つくらいスキルを覚えるのが、基本だし!ヘビースマッシュは人間を演じてた時に運よく覚えられたから、計算ではあと2つスキルを覚えられる予定だわ!」
胸を張ってドヤァとした顔をしてくるクレハ。
「なら、俺もステータスカードの???を合わせたら、後4つくらいスキルを覚えられるかもしれないのかなぁ……?」
「いや、リョウトの場合、たぶんだけど〈スロー〉と???2つは人間としてのスキルだと思うのよね。だから完全魔族になった今、人間だった時に発現する予定だった〈スロー〉が体の変化に呼応して発現して、???2つのスキル発現しかかってるんじゃないかな!魔族としてのスキルが発現するまではもう少し経験を積んで実力を上げないといけないだろうし、だから最終的にスキルを8個使えるようになる気がするの!」
もし本当にそうなるのだったら、すごくうれしい。すごく期待できる展開。
「そうなら、俺もっと修行頑張って力をつけるよ!」
「そうね!じゃあ、20分実戦的な修行をして20分休んで、って感じで!ソランの対策はまた後で立てましょ!」
「よしっ!!」
俺は、クレハから剣を受け取り、距離をとって構え直す。
クレハの動きを見切るんだ!
20分後。
俺は地面に這いつくばっていた。
「リョウト…大丈夫…?ごめんね…強く当たりすぎちゃった…?」
「ううん…。大丈夫だよ。ありがと。…でも剣が折れちゃった」
最初はクレハの動きを目で追うのがやっとで、初撃を防ぐことが出来ずに剣を弾かれていたが、何度か繰り返すうちに1撃目はなんとか剣で防げるようになった。まぁ、2撃目、3撃目には剣を弾かれてしまうのだが………。
で、今地面に這いつくばっているのは、クレハの剣を受け止めたと思ったら、俺の剣が折れてしまい、クレハの突進をモロに全身で受けて倒されてしまったというわけだ。さすが、力のステータスがCもあるだけある。
「そうだ!リョウト!少し休んでてよ!リョウトに合う武器を私が城のの武器庫から見繕ってきてあげる!ちょっと休んで待ってて!」
思いついたように、まくしたてるとクレハは走り去って行ってしまった。
「ふぅ………。じゃあ、少し休ませてもらうか………。それにしても、ステータスが上がってもクレハが強すぎて、俺が強くなっている実感が全くわかないな…」
そうだ!せっかくなんだから、スキルも試してみよう。
俺のステータスカードを今一度確認する。
今使えるスキルは、〈スロー〉。他のスキルは増えていなかった。???もそのままだ。使えるようになったら、読めるようになるのだろうか。
〈スロー〉…使ってみるか。
まだ試したことがないから、わからないけど、俺の予想が正しければすごく強力なスキルなはずだ。
俺は、ようやく動けるようになった身体を起こし、折れた剣の柄部分を拾う。
拾った柄を上空に投げた。
「〈スロー〉!!」
………。
「リョウト!お待たせ!リョウトの新しい武器とってきたよ!」
30分くらいして、クレハが走って戻ってきた。すごく元気だなぁ。
「ありがとう。クレハ」
クレハが照れながら、剣を渡してくれる。
「もう体は大丈夫そうだね。じゃあ、修業の続き……しようか!この剣ならさっきよりも戦いやすいはずだよ!」
クレハから受け取った剣を鞘から抜いた。
「こ……これは!」
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