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プロローグ②

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 建物を目指してゆっくり歩いていたはずだったのだが、今俺は走っている。それはなぜかって?そんなの決まっている追われているからだ。何に追われているのかって?そんなこと知るか。俺はこの世界にさっき来たばかりなのだ。しいていうなら、イノシシか?でもイノシシにしては牙がデカすぎるし、体もデカすぎる。しかも5体くらいいる。
 異世界転生の影響で身体能力は上がっているが、だからといって、逃げるのが精いっぱいだ。
「だ、誰か助けて―!!」
 とりあえず叫んでみた。誰も来なさそうだけれど。叫んでみた。
「ちょっと待っててー……。」
 建物の方、いや近づいたから分かるが、街のようなところだった。どこかからから、小さいが待ってくれと聞こえた気がする。待てと言われても走るのをやめるわけにはいかない。俺は走り続けた。すると数十秒して、街の方から走ってくる人影が見えてきた。
「早くこっちにーー!」
 人影はどんどん形になってきて、俺より年下、20歳くらい赤い髪でポニーテールの女性だった。
 大きな大剣を持ち、同僚が見せてくれた異世界の冒険者の装備に似ている。肌が出ている部分があるのは防御的にどうかと思うが、防具部分は丈夫そうな金属のような感じだ。
「た、助けてくれ!」
 とすれ違ったところで俺が叫ぶとそれに合わせて女性は「せいっ」っとジャンプした。
 大剣を振りかぶり、一番先頭にいたイノシシモドキを力の限り剣で打ち払った。
 すると、先頭にいたイノシシモドキは転がり、驚いた表情をして逃げ去っていった。後ろにいた他の4頭もそのあとに続いて去っていった。
「あなた見ない顔ね。それに、変な装備。私は〈Dランク冒険者〉の〈クレハ〉それにしても『キバノシ』なんかに逃げるなんてあなたは冒険者?旅人?大丈夫?」
 なるほど、あのイノシシモドキは『キバノシ』というのか……。で、俺の格好は変で、この女性の名前は〈クレハ〉と……。
「クレハ、助けてくれてありがとう。もう少しで死ぬところだったよ。俺はリョウト。旅人というか迷子というか放浪者というか。えーっと、冒険者っていうのは?さっきのはモンスター?か?このあたりに来たのが初めてだから、何もわからなくて……」
 すると、クレハは驚いた顔で俺の姿をまじまじと見てくる。
「あなた、本当にどこから来たの?冒険者に、モンスターも知らないなんて。……まぁ、世界は広いんだし、そういうこともあるでしょう。考えるのもめんどくさいし!いいわ!〈冒険者の街 クアント〉へ行きましょう!」
 そう言い、俺の手を引き走り出した。
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