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騎士団長の頼み

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「俺に指揮官をやって欲しい!?」
「正確には、参謀のような役割だけどね」

 学生にそんな重要役職を当てていいのだろうか。と思ったけど、この世界には学生とかそういう概念ないんだっけ。

「別に構わないけど、期待に応えられるかどうかは分からないぞ?」
「またまた、ご謙遜を。先のウィング戦の活躍は聞いているよ?」

 確かにウィング戦での活路を開いたのは俺かもしれないけど、ぶっちゃけ俺の知力ってズルみたいなもんだしなぁ。

「ま、まぁ俺で良ければいくらでも引き受けるよ。泊まる場所や訓練所まで提供してもらってる身だしな」
「助かるよ」

 だけど、液状の敵か。絶対零度ぶっ放せばなんとかならないだろうか。凍ったすきに剣で斬れば殺せないかな。

 というより、氷魔法を使える人って騎士団にどれくらいいるんだろう。

「なぁ、氷魔法をレベル5まで使える人間ってどれくらいいるんだ?」
「国に所属している魔術師1500人に対し、氷魔法をレベル5まで使える人間は……確か50人程度かな」
「50人しかいないのか……」

 レベル最大まで上げるために必要なポイントは15。この世界の平均レベルが80だから、一生のうちに手に入るポイントも大体80。

 まぁ、2割弱を全て氷魔法に注ぎ込む人はそういないよな。

「じゃあ、その人たちって絶対零度を再現できる?」
「絶対零度って、確か理論上最も低い温度だっけ?」
「まぁ、そんな感じだ。よく知ってたな」
「前にウィング戦の話を聞いた時その話が出てきたから」
「なるほど、それで再現は?」
「理論上可能かな」

 理論上かよ。そりゃ理論上は可能だわな。だって先駆者オレがここにいるし。

「なら、それが出来るように訓練して欲しいんだけど」
「確かに、かなり強力な魔法であることは間違いないだろうし、訓練に取り入れておくよ」

 よし、次のウォルタ戦では速攻で絶対零度の雨を降らしてやろう。一瞬で氷漬けにしてやる。

「それにしても、四天王序列3位ねぇ……」
「どうかしました?」
「いや、どうも違和感を感じてね」

 2位を倒したにも関わらず、何故3位を寄越したんだ?ゲームじゃあるまいし、態々部下を殺すわけがないだろうしな。

 いや、確かにウィング倒せたのは運みたいなとこもあったから、3位相手でも余裕で死ねるんだけどさ。

 むしろ勝てる確率の方が低いんだけどさ。

「ま、考えても仕方ないか……」

 あまりに情報が少なすぎる。大体、魔王軍が本格的に動き出したのも俺がこの世界に来てからだし。四天王に関する情報が足りねぇ。

 俺は途中で思考を放棄し、ステーキを頬張った。
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