傍観者を希望

静流

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「もう、いったい何なのよ!人間って、物好き過ぎるわ」

信じられないっていう風に、癇癪をおこしているが、反応する相手がいないので、長続きもせず、恨みがましい視線を寄越している。

「猶予期間も増えたから、じっくりと検討して決めるといいよ。流石に、無理強いする気はないからね」

「でも、ライトは此処で勤務するんでしょう?」

「ああ、明日からの予定だ。現状を理解しているから、問題ないだろう」

「ライトだって、勘違いしているかもしれないのに?」

「それはないよ。ライトは調査した後に、検討してから受けるからね。たとえ勢いで頷いても、その後に情報収集しないとは考えられない」

ライカの不満そうな言い分に、苦笑いし否定する。
属性や姿は似ていても、中身は正反対だと解っているだろうに、足掻く辺りが可愛くも滑稽ではあった。

「でも、ライトは何も言ってこなかったわよ?」

「それこそ、ライトらしいと思うけどね」

「もう…何でそう見透かすのよ。あー面白くない!」

ライカが何を言っても、淡々と返せば終いには、悪態を吐かれる。
だが、自分の思惑に乗ってこない、と文句を言われる筋合いもない。

「私はライカの玩具には不向きだし、そんな相手に仕えても不毛だと思うよ?」

「何処から気付いていたのですか?」

「割と最初からかな?妙に、試すような目で観ていたからね」

ライカの問い掛けに、肩を竦めて見せる。
大きな溜息を漏らしている上に、かなりゲンナリとした表情で見返される。

「つまり、私は逆に遊ばれていたのですね」

「人聞きが悪いな…私は、何もしてないだろ?」

「そうですね。ただ、観賞していただけでしょう」

此方の言い分を認めつつも、顔を歪ませ「悪趣味ですね」っとボヤいている。
先に仕掛けたライカに言われたくないが、確かにあまり褒められたものでもない。

「否定はしないが…別に観賞はしてないよ。流石に、そこまで暇でもないしね」

「なんだか、余計に惨めな気がしてきますから、それ以上は言わないで下さい。見誤った私に、非があるのは重々承知しています」

言葉遣いや態度が豹変し、落ち着いた感じになっている。
此方が素だと思うと、すごい化けようだったのだなと感心してしまう。

「ライカが演技派だったのは分かった。だが、よく疲れないものだな。あのスタンスでは、体力がかなりいるだろ?」

「それは慣れと根性です。それに、コレでも女ですから、いいダイエット効果も期待できます」

「姉さんもだけど、本当に女の人って美容に関しては、妥協しないね。だいたい、そこまでする時点で、娯楽の域を越えてないか?」

根性まで総動員してやる気概に、呆れを滲ませれば、逆にジトっと見据えられてしまった。



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