268 / 292
268
しおりを挟む
「手配は完了しましたが、どうなりましたか?」
アルフレッドは、戻った途端に開口一番で、確認してくる。
「ライト達は明日から、此方での勤務になった。居住に関しては、アルフの手配次第で、何時でも良いそうだ」
「そうですか…でしたら、物資が届いた時点で連絡して置きます」
サッと手帳を確認し、頷きながら報告してくる。
どうやら、その様子からして、今日中に完了しそうな雰囲気だ。
「それで、私がいない間に何があったので?」
アルフレッドの指摘に、思わず顔に手をやっていた。
何で気付くのか、毎回ながら謎でしかない。
「アルフ、一体どんな勘をしているんだ?」
「空気を読んでいるだけですが?」
目が促しているが、さて何処から言うか、と瞬時に計算するには微妙な内容だ。
困惑顔になっていたようで、アルフレッドの方が苦笑いし、グレンに目を向けていた。
「グレン?」
「先程、私が選任された理由をお聞きしたので、この様な状態に陥ってました」
「おや、また変な話題になったものですね。しかも、セイ様が口を滑らせたと…」
グレンの端的な説明に、アルフレッドが目を細め、より圧を込めた視線になっている。
「ライトの何が拒否理由かという流れで、他の職務を気にする事はないとなった後、そういう話になっただけです」
上手く躱しているが、強ち嘘でもないだけに、違和感もない展開だ。
しかし、それは“普通なら”と前置きがつく。
「そう…ですか。嘘ではない様ですが、いったい2人で何を隠しているのです?」
穏やかに頷いた後に、ギロッと視線を鋭利にする辺り、地金が出ている。
思わず、一歩退がりたくなる迫力があった。
「別に隠してはいないのだが…。自分の失態を、声高に説明するほど、開き直れないだけで、疑われても困るのだがな」
「セイ様。ご自分の性格を、把握されてないのでは?普段なら、伏せる真似をしてませんし、助言を求めてこられます。それでは、白状しているようなものですよ」
「いや、今回ばかりは…まさか、そこまで落ち込むとは思わなくてな、色々と想定外だったというか、計算違いをしたんだ。話を振り返すのを躊躇するのも、解るだろう?」
アルフレッドに、降参だという様に言っても、納得して貰えず。
返って、逆襲されてしまったが、習性をしっかり把握されているのも、こうなると痛いだけだ。
一部を取り出し、言い募って足掻いてみるが、表情を見る限り無駄だったようで、溜息が漏れる。
「それは、随分と珍しい状態ですね。セイ様にとっては、失言ではなかった…ということですか」
「侍従の仕事に、熱心になる事はないと諭すつもりが、妙な雰囲気になってな。グレンを傷付ける気はなかったのだが、結果的にそうなったと気付いた時には、後の祭だからな」
半ば、本気でボヤいていたのだが、何故だかアルフレッドの視線は、ドンドン眇められていた。
アルフレッドは、戻った途端に開口一番で、確認してくる。
「ライト達は明日から、此方での勤務になった。居住に関しては、アルフの手配次第で、何時でも良いそうだ」
「そうですか…でしたら、物資が届いた時点で連絡して置きます」
サッと手帳を確認し、頷きながら報告してくる。
どうやら、その様子からして、今日中に完了しそうな雰囲気だ。
「それで、私がいない間に何があったので?」
アルフレッドの指摘に、思わず顔に手をやっていた。
何で気付くのか、毎回ながら謎でしかない。
「アルフ、一体どんな勘をしているんだ?」
「空気を読んでいるだけですが?」
目が促しているが、さて何処から言うか、と瞬時に計算するには微妙な内容だ。
困惑顔になっていたようで、アルフレッドの方が苦笑いし、グレンに目を向けていた。
「グレン?」
「先程、私が選任された理由をお聞きしたので、この様な状態に陥ってました」
「おや、また変な話題になったものですね。しかも、セイ様が口を滑らせたと…」
グレンの端的な説明に、アルフレッドが目を細め、より圧を込めた視線になっている。
「ライトの何が拒否理由かという流れで、他の職務を気にする事はないとなった後、そういう話になっただけです」
上手く躱しているが、強ち嘘でもないだけに、違和感もない展開だ。
しかし、それは“普通なら”と前置きがつく。
「そう…ですか。嘘ではない様ですが、いったい2人で何を隠しているのです?」
穏やかに頷いた後に、ギロッと視線を鋭利にする辺り、地金が出ている。
思わず、一歩退がりたくなる迫力があった。
「別に隠してはいないのだが…。自分の失態を、声高に説明するほど、開き直れないだけで、疑われても困るのだがな」
「セイ様。ご自分の性格を、把握されてないのでは?普段なら、伏せる真似をしてませんし、助言を求めてこられます。それでは、白状しているようなものですよ」
「いや、今回ばかりは…まさか、そこまで落ち込むとは思わなくてな、色々と想定外だったというか、計算違いをしたんだ。話を振り返すのを躊躇するのも、解るだろう?」
アルフレッドに、降参だという様に言っても、納得して貰えず。
返って、逆襲されてしまったが、習性をしっかり把握されているのも、こうなると痛いだけだ。
一部を取り出し、言い募って足掻いてみるが、表情を見る限り無駄だったようで、溜息が漏れる。
「それは、随分と珍しい状態ですね。セイ様にとっては、失言ではなかった…ということですか」
「侍従の仕事に、熱心になる事はないと諭すつもりが、妙な雰囲気になってな。グレンを傷付ける気はなかったのだが、結果的にそうなったと気付いた時には、後の祭だからな」
半ば、本気でボヤいていたのだが、何故だかアルフレッドの視線は、ドンドン眇められていた。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる