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「あの…セイ様?まさか毎回こうなのですか?」
「いや、魔力を欲する精霊もいるから違うが、割とお菓子を望む子が多いかな」
「今更ですが、セイ様は甘いお菓子は?」
「私は苦手だが、こうやって眺めているのは楽しいよ?同じ行為をすれば、胸焼けしそうだけどね」
グレンの問いに苦笑を返しながら、素直に告げれば肩を落としている。
「毎回減っているので、てっきりセイ様がお好きなのだ、とばかり思っていました」
「精霊が喜んでいるから、私としては感謝しているが、何か問題があるのか?」
「いえ、嗜好の傾向を把握するのに、修正が必要なだけです」
「それにしては、妙に落ち込んでいないか?」
「そんな事はないのですが…色々と、それを元に考案中だったんです」
グレンのボヤキに、何だか本格的に罪悪感が湧いてくる。
最近、お茶や、茶請けにも関心を持っていたのは、気付いていたのだ。
「見た目や、精霊が喜ぶ様を見て楽しんでいるから、無駄にはならないと思うが…それでは駄目なのか?」
「精霊が喜ぶのは、ありがたいですが、私はセイ様に喜んで頂きたいのです」
「それは…申し訳なかった。詫びと言っては変だが、何が知りたい?」
「直接お聞きして、本当に宜しいのですか?でしたら、好みの茶請け、お好きな花をお教え頂けますか?」
謝罪代わりに、質問に応じると言えば、オズオズと尋ねた内容は、たわいのない事だけだった。
首を傾げ、本当にそれだけで良いのかと、目配せしてしまう。
「あの、駄目でしたか?無理にとは言いませんので、お忘れ下さい」
何か勘違いし、ワタワタと辞退され、余計に目を丸くしてしまうが、何とも可愛いく見える。
「いや、問題ないから、そう不安がる必要はない。好みの茶請けは、手を加えてないナッツや果物、後は甘さ控えめなチョコ。好きな花は…派手でない物?かな。この宮内で飾られている物で、嫌いな花はないよ」
宥めながら、問いに応じるが、意外と難しいなと驚いていた。
取り立て、これといった好みがない、と初めて認識した気がしたのだ。
「セイ様、本気で答える気がありますか?それでは、あまりにも大雑把です」
グレンの言い分も、理解できるのだが…と首を捻って考えたものの、よく分からないというのが本音だった。
「グレン、申し訳ないのだがな…これ以上は思い浮かばない。答える気はあるし、煙に巻く気はないからな?」
「では…花でいくと、何色でしょうか?」
「色ね…強いて言えば、白、青…紫?ああ、後、薄い色合いのものかな」
「香りは如何ですか?」
「ほのかに薫ものは好きだな。後は、甘い香りかな?」
「…水仙や百合は、お嫌いでしょうか?」
「いや、割と好きだが?」
グレンは、色々聞いた挙句、返って眉根を寄せてしまっていた。
他人の嗜好は、本人の感性だけに、統合性が取り難いのだろう。
「いや、魔力を欲する精霊もいるから違うが、割とお菓子を望む子が多いかな」
「今更ですが、セイ様は甘いお菓子は?」
「私は苦手だが、こうやって眺めているのは楽しいよ?同じ行為をすれば、胸焼けしそうだけどね」
グレンの問いに苦笑を返しながら、素直に告げれば肩を落としている。
「毎回減っているので、てっきりセイ様がお好きなのだ、とばかり思っていました」
「精霊が喜んでいるから、私としては感謝しているが、何か問題があるのか?」
「いえ、嗜好の傾向を把握するのに、修正が必要なだけです」
「それにしては、妙に落ち込んでいないか?」
「そんな事はないのですが…色々と、それを元に考案中だったんです」
グレンのボヤキに、何だか本格的に罪悪感が湧いてくる。
最近、お茶や、茶請けにも関心を持っていたのは、気付いていたのだ。
「見た目や、精霊が喜ぶ様を見て楽しんでいるから、無駄にはならないと思うが…それでは駄目なのか?」
「精霊が喜ぶのは、ありがたいですが、私はセイ様に喜んで頂きたいのです」
「それは…申し訳なかった。詫びと言っては変だが、何が知りたい?」
「直接お聞きして、本当に宜しいのですか?でしたら、好みの茶請け、お好きな花をお教え頂けますか?」
謝罪代わりに、質問に応じると言えば、オズオズと尋ねた内容は、たわいのない事だけだった。
首を傾げ、本当にそれだけで良いのかと、目配せしてしまう。
「あの、駄目でしたか?無理にとは言いませんので、お忘れ下さい」
何か勘違いし、ワタワタと辞退され、余計に目を丸くしてしまうが、何とも可愛いく見える。
「いや、問題ないから、そう不安がる必要はない。好みの茶請けは、手を加えてないナッツや果物、後は甘さ控えめなチョコ。好きな花は…派手でない物?かな。この宮内で飾られている物で、嫌いな花はないよ」
宥めながら、問いに応じるが、意外と難しいなと驚いていた。
取り立て、これといった好みがない、と初めて認識した気がしたのだ。
「セイ様、本気で答える気がありますか?それでは、あまりにも大雑把です」
グレンの言い分も、理解できるのだが…と首を捻って考えたものの、よく分からないというのが本音だった。
「グレン、申し訳ないのだがな…これ以上は思い浮かばない。答える気はあるし、煙に巻く気はないからな?」
「では…花でいくと、何色でしょうか?」
「色ね…強いて言えば、白、青…紫?ああ、後、薄い色合いのものかな」
「香りは如何ですか?」
「ほのかに薫ものは好きだな。後は、甘い香りかな?」
「…水仙や百合は、お嫌いでしょうか?」
「いや、割と好きだが?」
グレンは、色々聞いた挙句、返って眉根を寄せてしまっていた。
他人の嗜好は、本人の感性だけに、統合性が取り難いのだろう。
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