傍観者を希望

静流

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「ふむ。では、ライトが戻るまで、此処で待たせて貰っても構わぬな?」

腰を据えて待つ構えに、肩を竦め、アルフレッドに目配せする。

「陛下。では、此方にお掛け下さい」

手で椅子を勧め、お茶をお待ちしますと下がって行く。

「宰相殿も、どうぞお掛け下さい。少々、時間がかかる筈ですから」

陛下の後ろに控えていた宰相殿にも、一応は勧めたが予想通り断られた。

「お気遣い感謝しますが、同席は畏れ多いので、ご遠慮させて頂きます」

丁寧な対応ながら、慇懃な態度に機嫌の悪さが現れていた。

「時間が掛かるいうのは、どれ位を見積もっているのだ?」

「早くて半刻。遅くても1刻半位でしょうか」

首を傾げ、思案しながら応えると、宰相殿が顔を顰めている。

「陛下。一旦戻り、転移が確認でき次第にされてはいかがですか?」

「此処で、ただ待っていても仕方がないか」

鷹揚に頷き、腰を上げかけたところに、アルフレッドが戻ってきた。

「お戻りですか?では、お見送りさせて頂きます」

「アルフ、私はこれでも王だぞ?追い立てる気か」

「滅相もございません。人聞きの悪いことは、言わないで貰えますかな」

態度が太々しく、どちらが上か疑問に思えてくる言動だ。
アルフレッドも、宰相殿と同様で不機嫌みたいだ。それも陛下限定で。

「陛下。まさか、まだ詫びてないのですか?」

「いや。まあ、そうだが…。なぜ分かったのだ?」

決まり悪げに応えて、不思議そうな顔をする。

「宰相殿は仕事の進捗具合で苛立っているのでしょうが、アルフの理由は他にないかと」

宰相殿が、軽く咳払いをし、眼を泳がせ、居心地の悪そうに身じろぐ。
反対にアルフレッドは、ジロっと陛下を見据えていた。

「…そう睨むな。先程は、私が悪かった。申し訳ない」

言葉少なく詫びている。頭こそ下げてはいないが、誠意の伝わる態度だった。

「陛下にそう言われては、仕方がないですね。代わりに、あの者はしっかりお取調べ願います」

謝罪を受け入れるが、代償に詰所の偽責任者への対応を申し出ている。
よほど、騙されていた事実が許せないようだった。

「それは言われるまでもないが、それだけで構わないのか?」

「他に願いは御座いません。ですから、重々お頼み申し上げます」

陛下は、分かったと頷き、グレンに視線を遣っている。

「陛下。私に謝罪は不要でございます。お捨て置き下さい」

先に、グレンが機先を制している。

「いや、迷惑をかけた以上は…な。グレン、申し訳なかった」

此方にチラリと視線を寄越し、改めて詫びを入れている。
先約をしたのが効いたようだが、その視線が微妙だ。
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