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「セイ殿。私の事よりも、リラティスが言うように食べた方がいい。自覚がないようだが、顔色が悪い」
指摘され、つい顔を触ってしまうが、流石に分からないものの、少し冷たい感じがした。
だが、食欲どころか、飲み物にすら食指が動かない。
無理にとっても体が拒絶しそうだった。
「セイ様、どれなら食べれそうですか?それとも、今日は辞めて、明日再度集まりましょうか?」
ブランディアが問いを重ねてきた。
食欲不振状態だと察したようで、延期を勧めてくる。
よほど顔色を失っているようだと、他人事のように思う。
「気を遣わせて済まない。だが、取り敢えず報告をドミニクから頼む」
「セイ殿、何をそれほど急ぐ?明日にしても、問題ない筈だ」
陛下が、怪訝そうに口を挟んでくる。
確かにその通りだが、調査に気付かれて地に潜られた方が困るのだ。
「朝、義兄が来たと言いましたが、その際に学園の話を訊いたのです。義弟が関与してますし、下手に隠蔽されたら対処が困難になります」
「セイ様、ご兄弟が居られるのですか?てっきり一人っ子だとばかり」
アスカルトが目を丸くしてる様子からして、本当に知らないようだ。
チラリと陛下に視線を遣れば、苦笑を返される。
「兄弟と言っても異母兄弟です。それに、交流もほぼないので、他人に限りなく近い関係ですよ。義兄も今日で2回目ですしね」
「それって…本当に家族ですか?異母兄弟でそこまで疎遠な関係は、王家でもないですよ」
生まれてこの方、会ったのが2回というのは、確かに変だろう。
「一応認知されているから、親子関係は法律上成立しているけどね。私は少々特殊事項で、親権を主張してくる迷惑な親族もいるから、此処で保護されているが、面会は陛下の許可が必要になる所為か誰も来ないよ」
「仮にそうでも、普通なら申請を出してでも会いに来ますよ」
不審そうに見遣られてしまうが、自分でも無理があるとは思うのだ。
母が亡くなって、代官の横領問題が勃発した後も、放置され続けた。
急に使者がやって来て、服を作ると言い出した上に、勝手に教師を送り込んで来るなどの暴挙の末に、父親だという者が訪ねて来た。
感慨が湧く筈もなく、強いて言えば、嫌悪感が増しただけの会見だった。
「アスカルト、他家の事情に口を挟むな。いくら無礼講でも限度がある」
陛下が、察して釘を刺しているが、威圧的で反論を許さない雰囲気がある。
対応に困っていたから助かったのだが、これでは感謝も半減してしまう。
「陛下、威圧は駄目です。少しは、会話を成立させる努力をして下さい」
結局、礼どころか苦言を呈する事態に陥ってる。
態としているにしても、これでは陛下が悪役だ。
計算尽くで悪役をしているのが解せないと、見据えるが、微笑み返されて心意を伏せている。
指摘され、つい顔を触ってしまうが、流石に分からないものの、少し冷たい感じがした。
だが、食欲どころか、飲み物にすら食指が動かない。
無理にとっても体が拒絶しそうだった。
「セイ様、どれなら食べれそうですか?それとも、今日は辞めて、明日再度集まりましょうか?」
ブランディアが問いを重ねてきた。
食欲不振状態だと察したようで、延期を勧めてくる。
よほど顔色を失っているようだと、他人事のように思う。
「気を遣わせて済まない。だが、取り敢えず報告をドミニクから頼む」
「セイ殿、何をそれほど急ぐ?明日にしても、問題ない筈だ」
陛下が、怪訝そうに口を挟んでくる。
確かにその通りだが、調査に気付かれて地に潜られた方が困るのだ。
「朝、義兄が来たと言いましたが、その際に学園の話を訊いたのです。義弟が関与してますし、下手に隠蔽されたら対処が困難になります」
「セイ様、ご兄弟が居られるのですか?てっきり一人っ子だとばかり」
アスカルトが目を丸くしてる様子からして、本当に知らないようだ。
チラリと陛下に視線を遣れば、苦笑を返される。
「兄弟と言っても異母兄弟です。それに、交流もほぼないので、他人に限りなく近い関係ですよ。義兄も今日で2回目ですしね」
「それって…本当に家族ですか?異母兄弟でそこまで疎遠な関係は、王家でもないですよ」
生まれてこの方、会ったのが2回というのは、確かに変だろう。
「一応認知されているから、親子関係は法律上成立しているけどね。私は少々特殊事項で、親権を主張してくる迷惑な親族もいるから、此処で保護されているが、面会は陛下の許可が必要になる所為か誰も来ないよ」
「仮にそうでも、普通なら申請を出してでも会いに来ますよ」
不審そうに見遣られてしまうが、自分でも無理があるとは思うのだ。
母が亡くなって、代官の横領問題が勃発した後も、放置され続けた。
急に使者がやって来て、服を作ると言い出した上に、勝手に教師を送り込んで来るなどの暴挙の末に、父親だという者が訪ねて来た。
感慨が湧く筈もなく、強いて言えば、嫌悪感が増しただけの会見だった。
「アスカルト、他家の事情に口を挟むな。いくら無礼講でも限度がある」
陛下が、察して釘を刺しているが、威圧的で反論を許さない雰囲気がある。
対応に困っていたから助かったのだが、これでは感謝も半減してしまう。
「陛下、威圧は駄目です。少しは、会話を成立させる努力をして下さい」
結局、礼どころか苦言を呈する事態に陥ってる。
態としているにしても、これでは陛下が悪役だ。
計算尽くで悪役をしているのが解せないと、見据えるが、微笑み返されて心意を伏せている。
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