85 / 292
85
しおりを挟む
グレンの顔色が青ざめるのを通り越し土気色になっている。
護衛騎士として半ば故意に見落としてきたツケだが、利息込みで一括返済を迫られている気分かもしれない。
やり過ぎたかもしれないが、目を覚まさせる為の荒治療には丁度いいだろう。
アルフレッドも苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。
此方は、見誤っていたのが悔しいのだろう。
精霊王の人としての能力を、見破れなかったというよりは、庭師という職で軽視していたのが敗因なだけに、自分自身に苛立っている。
二人とも、自分よりも優れている者が、長年の間いなかっただけに、どこか天狗になっていたのだ。
だから、私を庇護対象としてのみ認識。
結果、成人後を考えて漸く、違和感を抱いたのは、アルフレッドだ。
その段階でも、グレンは保護対象の格下扱いだった(武術に限定した)。
気付いた方は、観察し続けた上で認識を改め、接し方が微妙に変化した。
以前よりも先読みして動いていて、指示を出すまでもなく用意されている。
快適だが、負担が増してないか確認したが「お気になさらずに」で済まされる。
陛下によると、逆にやり甲斐が増して若返っているそうだ。
その上で、仕事を取らないように釘まで刺された。
年々執事の処理速度が上がり続けると、上限があるのかと疑問になる。
もう一方は、相方が変化したのも気付かない。
腕が立つと、気付くような事態が起こらないとはいえ、歩き方や動きで察知したのが、執事だと考えれば、本職の騎士がなぜ判らないとなる。
残念ながら、王宮に引き取られた時点で、剣の腕はグレンよりも上だった。
気配を消すのも、息をする様にできる幼児を前に怪しみもしない。
当時は有り難かったが、ここまで鈍くて大丈夫かと不安になる。
近衛騎士団の騎士を観れば、既成概念が強く融通さが低く感じて納得がいった。
私の存在は、常識の範囲外だったのだと。
故に、無意識のうちに不都合な点は、全て目を塞いだのだ。
認識すれば、自分の拠り所である剣の腕前が意味をなさない。
今、それを突きつけられて茫然実質状態だ。
専任を解除と言ってもないのに、頭の中はその恐怖で一杯。
解除するなら、先日の時点で公認していない。
貴族や王族対策でも、必要だと考えが到らないのが可愛いともいえる。
保身に走るような者でないと、暗に立証済み。
本当に世話の焼ける側仕えだ。主人が納得しているのに。
護衛騎士として半ば故意に見落としてきたツケだが、利息込みで一括返済を迫られている気分かもしれない。
やり過ぎたかもしれないが、目を覚まさせる為の荒治療には丁度いいだろう。
アルフレッドも苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。
此方は、見誤っていたのが悔しいのだろう。
精霊王の人としての能力を、見破れなかったというよりは、庭師という職で軽視していたのが敗因なだけに、自分自身に苛立っている。
二人とも、自分よりも優れている者が、長年の間いなかっただけに、どこか天狗になっていたのだ。
だから、私を庇護対象としてのみ認識。
結果、成人後を考えて漸く、違和感を抱いたのは、アルフレッドだ。
その段階でも、グレンは保護対象の格下扱いだった(武術に限定した)。
気付いた方は、観察し続けた上で認識を改め、接し方が微妙に変化した。
以前よりも先読みして動いていて、指示を出すまでもなく用意されている。
快適だが、負担が増してないか確認したが「お気になさらずに」で済まされる。
陛下によると、逆にやり甲斐が増して若返っているそうだ。
その上で、仕事を取らないように釘まで刺された。
年々執事の処理速度が上がり続けると、上限があるのかと疑問になる。
もう一方は、相方が変化したのも気付かない。
腕が立つと、気付くような事態が起こらないとはいえ、歩き方や動きで察知したのが、執事だと考えれば、本職の騎士がなぜ判らないとなる。
残念ながら、王宮に引き取られた時点で、剣の腕はグレンよりも上だった。
気配を消すのも、息をする様にできる幼児を前に怪しみもしない。
当時は有り難かったが、ここまで鈍くて大丈夫かと不安になる。
近衛騎士団の騎士を観れば、既成概念が強く融通さが低く感じて納得がいった。
私の存在は、常識の範囲外だったのだと。
故に、無意識のうちに不都合な点は、全て目を塞いだのだ。
認識すれば、自分の拠り所である剣の腕前が意味をなさない。
今、それを突きつけられて茫然実質状態だ。
専任を解除と言ってもないのに、頭の中はその恐怖で一杯。
解除するなら、先日の時点で公認していない。
貴族や王族対策でも、必要だと考えが到らないのが可愛いともいえる。
保身に走るような者でないと、暗に立証済み。
本当に世話の焼ける側仕えだ。主人が納得しているのに。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる