傍観者を希望

静流

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グレンの顔色が青ざめるのを通り越し土気色になっている。

護衛騎士として半ば故意に見落としてきたツケだが、利息込みで一括返済を迫られている気分かもしれない。

やり過ぎたかもしれないが、目を覚まさせる為の荒治療には丁度いいだろう。


アルフレッドも苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。

此方は、見誤っていたのが悔しいのだろう。

精霊王の人としての能力を、見破れなかったというよりは、庭師という職で軽視していたのが敗因なだけに、自分自身に苛立っている。


二人とも、自分よりも優れている者が、長年の間いなかっただけに、どこか天狗になっていたのだ。

だから、私を庇護対象としてのみ認識。

結果、成人後を考えて漸く、違和感を抱いたのは、アルフレッドだ。

その段階でも、グレンは保護対象の格下扱いだった(武術に限定した)。



気付いた方は、観察し続けた上で認識を改め、接し方が微妙に変化した。

以前よりも先読みして動いていて、指示を出すまでもなく用意されている。

快適だが、負担が増してないか確認したが「お気になさらずに」で済まされる。

陛下によると、逆にやり甲斐が増して若返っているそうだ。
その上で、仕事を取らないように釘まで刺された。

年々執事の処理速度が上がり続けると、上限があるのかと疑問になる。


もう一方は、相方が変化したのも気付かない。

腕が立つと、気付くような事態が起こらないとはいえ、歩き方や動きで察知したのが、執事だと考えれば、本職の騎士がなぜ判らないとなる。

残念ながら、王宮に引き取られた時点で、剣の腕はグレンよりも上だった。

気配を消すのも、息をする様にできる幼児を前に怪しみもしない。

当時は有り難かったが、ここまで鈍くて大丈夫かと不安になる。

近衛騎士団の騎士を観れば、既成概念が強く融通さが低く感じて納得がいった。

私の存在は、常識の範囲外だったのだと。

故に、無意識のうちに不都合な点は、全て目を塞いだのだ。


認識すれば、自分の拠り所である剣の腕前が意味をなさない。
今、それを突きつけられて茫然実質状態だ。

専任を解除と言ってもないのに、頭の中はその恐怖で一杯。
解除するなら、先日の時点で公認していない。

貴族や王族対策でも、必要だと考えが到らないのが可愛いともいえる。

保身に走るような者でないと、暗に立証済み。


本当に世話の焼ける側仕えだ。主人が納得しているのに。



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