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総長こと冒険者ギルド長が執務室に戻ると、見知らぬ客人がいた。
その青年は、件のステファンとそう変わらない若者で薬師塔の制服を着ている。
「失礼だが、何か約束をしていただろうか?」
「いえ、セイ様に頼まれてこちらにお邪魔していました」
悪びれるでもなく、留守中に敢えて来たと告げてくる。
不審者とするには、薬師の制服を着ている以上無理だが、ギルド違いをしていそうだと思っていた。
「治癒園か薬草園に関する事なら、こちらではなく医療ギルドへお訪ね下さい。ここは、冒険者ギルドですから薬師殿とは縁がないかと」
暗に出て行けと言わんばかりの対応に、苦笑しセイ様からの手紙を差し出してきた。
「先程も言ったが、セイ様からの依頼で総長に用があるんだ」
渡された手紙を見れば確かにセイ様の直筆のようだ。
手紙の内容は、こちらの現状を理解した上で、打開策を出す為と処理を滞りなく済ませる目的で、薬師を寄越した旨が書かれていた。
「其方に言っても仕方がないが、薬師が運営に何の役に立つと言うのだ?門外漢が投入されても混乱が増すだけだ」
「確かに薬師ですが、事務処理も職務の内ですから大丈夫です。因みに私を推薦したのはアルフレッド殿です」
名前を聴いてびっくりした。
常にセイ様の側に控えていた執事が推したと言うなら、能力に問題はないだろう。
だが、ステファンのことがある以上そう簡単に納得は出来ない。
「それで、何か案があるのか?」
「今の処理方法は無駄が多いですから、現状と改善案をそれぞれ図解してみました」
「ふむ。確かに綺麗に纏められている」
図解を見ながら唸っていたが、改善案の方を見ると目を瞬かせた。
「ちょっと待て、これは以前の処理方法だろう。何が改善案だ」
「いえ、よく見て下さい。以前よりは細分化してますし、現状と比較してご覧ください」
指摘された点を見直しながら、言われるがままに比較してみる。
確かに、以前とは違うし現状からの変更が解りやすい。
改善案というだけあって、大分簡略化されて無駄が減っている。
「改善案をもう少し手直しした方が良いのではないか?これでは、無駄が残っていて片手落ちになっている」
「いえ、だからいいのです。ステファン殿にこの図を見せて了承してもらう事が大切です。その後に、また改良案を出した方が上手く運ぶでしょう」
眉を顰めてしまうが、改善案を見れば以前と違う処理方法だと解る。やり方を変えようと力んでいる相手に出すのには、確かに効果がありそうだ。
「つまり、以前との違いを明確にしていれば通るということか?」
「有り体に言えばそうなりますね。改革したつもりが、以前の処理に戻っていたでは納得して貰えないでしょう。最終的には以前の処理の簡略化が望ましいですが、一気に変更したら混乱しますし反発されるでしょう。ということで、どう判断されますか?」
「その案に乗ろう。その案を私が直接奏上した方がいいようだが、功績を横盗りするようで気が引ける」
「構いません。というより、私が出ていけば話が拗れて、下手をすれば悪化しかねません。貴方が適任なんです」
「解った。ありがたく使わせて頂く。今更だが、名をお訊きしてもいいだろうか?」
「此方こそ、失礼しました。薬師塔の薬師でライトといいます」
「ライト殿。ご存知だろうが、総長のバルトだ。挨拶が遅れた上に、礼を欠いた対応で済まなかった」
詫びながら、アルフレッドが推しただけに能吏だと感心していた。
その青年は、件のステファンとそう変わらない若者で薬師塔の制服を着ている。
「失礼だが、何か約束をしていただろうか?」
「いえ、セイ様に頼まれてこちらにお邪魔していました」
悪びれるでもなく、留守中に敢えて来たと告げてくる。
不審者とするには、薬師の制服を着ている以上無理だが、ギルド違いをしていそうだと思っていた。
「治癒園か薬草園に関する事なら、こちらではなく医療ギルドへお訪ね下さい。ここは、冒険者ギルドですから薬師殿とは縁がないかと」
暗に出て行けと言わんばかりの対応に、苦笑しセイ様からの手紙を差し出してきた。
「先程も言ったが、セイ様からの依頼で総長に用があるんだ」
渡された手紙を見れば確かにセイ様の直筆のようだ。
手紙の内容は、こちらの現状を理解した上で、打開策を出す為と処理を滞りなく済ませる目的で、薬師を寄越した旨が書かれていた。
「其方に言っても仕方がないが、薬師が運営に何の役に立つと言うのだ?門外漢が投入されても混乱が増すだけだ」
「確かに薬師ですが、事務処理も職務の内ですから大丈夫です。因みに私を推薦したのはアルフレッド殿です」
名前を聴いてびっくりした。
常にセイ様の側に控えていた執事が推したと言うなら、能力に問題はないだろう。
だが、ステファンのことがある以上そう簡単に納得は出来ない。
「それで、何か案があるのか?」
「今の処理方法は無駄が多いですから、現状と改善案をそれぞれ図解してみました」
「ふむ。確かに綺麗に纏められている」
図解を見ながら唸っていたが、改善案の方を見ると目を瞬かせた。
「ちょっと待て、これは以前の処理方法だろう。何が改善案だ」
「いえ、よく見て下さい。以前よりは細分化してますし、現状と比較してご覧ください」
指摘された点を見直しながら、言われるがままに比較してみる。
確かに、以前とは違うし現状からの変更が解りやすい。
改善案というだけあって、大分簡略化されて無駄が減っている。
「改善案をもう少し手直しした方が良いのではないか?これでは、無駄が残っていて片手落ちになっている」
「いえ、だからいいのです。ステファン殿にこの図を見せて了承してもらう事が大切です。その後に、また改良案を出した方が上手く運ぶでしょう」
眉を顰めてしまうが、改善案を見れば以前と違う処理方法だと解る。やり方を変えようと力んでいる相手に出すのには、確かに効果がありそうだ。
「つまり、以前との違いを明確にしていれば通るということか?」
「有り体に言えばそうなりますね。改革したつもりが、以前の処理に戻っていたでは納得して貰えないでしょう。最終的には以前の処理の簡略化が望ましいですが、一気に変更したら混乱しますし反発されるでしょう。ということで、どう判断されますか?」
「その案に乗ろう。その案を私が直接奏上した方がいいようだが、功績を横盗りするようで気が引ける」
「構いません。というより、私が出ていけば話が拗れて、下手をすれば悪化しかねません。貴方が適任なんです」
「解った。ありがたく使わせて頂く。今更だが、名をお訊きしてもいいだろうか?」
「此方こそ、失礼しました。薬師塔の薬師でライトといいます」
「ライト殿。ご存知だろうが、総長のバルトだ。挨拶が遅れた上に、礼を欠いた対応で済まなかった」
詫びながら、アルフレッドが推しただけに能吏だと感心していた。
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