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「それくらいにして、お茶にしませんか?」
「茶菓子」
「また随分と痩せたのではないか?」
「ちょっと、無神経過ぎるわよ!堅物というより脳筋の類になってるんじゃなくて」
「この馬鹿者達は放っておきましょう」
カップを差し出され、茶菓子の盛っている籠を渡された。
色々な種類のお菓子に目が迷う。
なにしろ全部好物で、甲乙付けられない。
この選択肢は逆に酷だとムウと悩んでいるのを、微笑まし気に精霊達が見ている。
ふと声がしない気がして見遣って、カアっと頬が染まる。
「一体何時から観てたんです?あっこの中に食べたい物が?」
誤魔化すように、話を振ると逆に笑われてしまう。
因みに、この籠の茶菓子は私の分だったそうだ。
否どう考えても、数人分はある。私が勘違いするのは可笑しくない!
幾ら仮想空間でもそんなに食べたら胸焼けする、と自己弁護していた。
そうでもしてないと、精霊達が生暖かい目で見ているのが居た堪れない。
「そう恥ずかしがらなくても、此処は現実世界ではないのですから」
「そうそう、セイ様の為の空間に好物以外出てこないのは当たり前です」
「偶には羽目を外しても良いんじゃない?第一子供の特権は今使わなくて何時使うの!」
「息抜きも偶には必要」
「逆にそれ全部食べるのも良いと思う。この場所なら体調に影響ない」
口々に慰めの言葉をくれるが、聞き捨て出来ないものがある。
「ここ。私専用の空間?その結果がこの茶菓子の山で、幾ら食べても体調に影響なし?」
5年目にして初めて聴いたのですが?何その万能な条件。都合良過ぎるでしょう。
というより無駄に力作を作ってどうするの、他のことに力を使った方が有意義なんじゃないか。
内心突っ込みまくっていたが、言葉として出たのは端的な事だけだった。
「あれ?知らなかったの?てっきり誰か説明済みだと思ってた」
「そう言えば、仮想空間としか言ってなかったわ」
「特に質問がなかったから問題ないかと」
「物心つく前に皆で用意した仮想空間で、一時期此処で生活していた。記憶にないか?それからこの空間内では体調管理も自動的にされる仕組みになっている」
「この中で色々な勉強や、体術に魔法の練習をしていたのは覚えてないはずだよ。それは、現実世界と齟齬を生むからと記憶を隠蔽したでしょう」
ちょっと待って、記憶の隠蔽?って恐ろしいことをあっさり言わないで欲しい。
でも、妙に納得もいく。
記憶の隠蔽に関してその辺りの感情操作もしたんじゃないかと思うし、今まで何処で知識を得たか疑問に思ったことが無いのも変だ。
悪夢よりも現実の方がタチが悪い気がする。
少々ジト目になって原因を作り出した面々を見ていると、見当違いの謝罪をしてくる始末。
やっぱり人間ではないなと逆に理解してしまう。
物心ついた時に契約を求められたが、信用できないし納得出来ないから逆に無茶な条件を出した。
私が一番大事だというが、何を求めているか解らない精霊に何ができると詰った。
契約したいなら人間の生活をして、人を理解してからじゃなければ応じない。という様なことを言った筈だ。
今思えば、精霊に対して言うべき事ではないし、無礼で恐れ多い真似をすると叱責されかねない。
だが現実には、その要求は受諾されて仮契約を交わした。
仮だったのは、その場限りで長続きしないと疑った結果。
かなり疑い深い相手にも怒らず、本契約は成人の時となった。
「茶菓子」
「また随分と痩せたのではないか?」
「ちょっと、無神経過ぎるわよ!堅物というより脳筋の類になってるんじゃなくて」
「この馬鹿者達は放っておきましょう」
カップを差し出され、茶菓子の盛っている籠を渡された。
色々な種類のお菓子に目が迷う。
なにしろ全部好物で、甲乙付けられない。
この選択肢は逆に酷だとムウと悩んでいるのを、微笑まし気に精霊達が見ている。
ふと声がしない気がして見遣って、カアっと頬が染まる。
「一体何時から観てたんです?あっこの中に食べたい物が?」
誤魔化すように、話を振ると逆に笑われてしまう。
因みに、この籠の茶菓子は私の分だったそうだ。
否どう考えても、数人分はある。私が勘違いするのは可笑しくない!
幾ら仮想空間でもそんなに食べたら胸焼けする、と自己弁護していた。
そうでもしてないと、精霊達が生暖かい目で見ているのが居た堪れない。
「そう恥ずかしがらなくても、此処は現実世界ではないのですから」
「そうそう、セイ様の為の空間に好物以外出てこないのは当たり前です」
「偶には羽目を外しても良いんじゃない?第一子供の特権は今使わなくて何時使うの!」
「息抜きも偶には必要」
「逆にそれ全部食べるのも良いと思う。この場所なら体調に影響ない」
口々に慰めの言葉をくれるが、聞き捨て出来ないものがある。
「ここ。私専用の空間?その結果がこの茶菓子の山で、幾ら食べても体調に影響なし?」
5年目にして初めて聴いたのですが?何その万能な条件。都合良過ぎるでしょう。
というより無駄に力作を作ってどうするの、他のことに力を使った方が有意義なんじゃないか。
内心突っ込みまくっていたが、言葉として出たのは端的な事だけだった。
「あれ?知らなかったの?てっきり誰か説明済みだと思ってた」
「そう言えば、仮想空間としか言ってなかったわ」
「特に質問がなかったから問題ないかと」
「物心つく前に皆で用意した仮想空間で、一時期此処で生活していた。記憶にないか?それからこの空間内では体調管理も自動的にされる仕組みになっている」
「この中で色々な勉強や、体術に魔法の練習をしていたのは覚えてないはずだよ。それは、現実世界と齟齬を生むからと記憶を隠蔽したでしょう」
ちょっと待って、記憶の隠蔽?って恐ろしいことをあっさり言わないで欲しい。
でも、妙に納得もいく。
記憶の隠蔽に関してその辺りの感情操作もしたんじゃないかと思うし、今まで何処で知識を得たか疑問に思ったことが無いのも変だ。
悪夢よりも現実の方がタチが悪い気がする。
少々ジト目になって原因を作り出した面々を見ていると、見当違いの謝罪をしてくる始末。
やっぱり人間ではないなと逆に理解してしまう。
物心ついた時に契約を求められたが、信用できないし納得出来ないから逆に無茶な条件を出した。
私が一番大事だというが、何を求めているか解らない精霊に何ができると詰った。
契約したいなら人間の生活をして、人を理解してからじゃなければ応じない。という様なことを言った筈だ。
今思えば、精霊に対して言うべき事ではないし、無礼で恐れ多い真似をすると叱責されかねない。
だが現実には、その要求は受諾されて仮契約を交わした。
仮だったのは、その場限りで長続きしないと疑った結果。
かなり疑い深い相手にも怒らず、本契約は成人の時となった。
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