傍観者を希望

静流

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漸く懸念事項の一つが片付いて、肩の荷が幾分軽くなった気がする。
ステファンは渋面顔で逆に疲れた雰囲気を醸している。
最初から候補と考えていたと知って、余計にショックだったようだ。

微妙な空気が流れていたのを、ノックと共に飛び込んで来たドミニク様が一掃してしまう。
返事を待たずに開けたらノックの意味がない。と毎回ながらに注意をするが、相変わらず聴く耳がない。何で此処にいるとばかりにステファンを睨みつけている。

解っていて来たのだろうに、これに関して成長しないなと嘆息する。
ただ今回は相手がげっそりしていたから、調子が狂ったみたいでこちらへ視線をむけてきた。

丁度いいから、次期ミンスファ領主になった旨を伝え、ステファンにはドミニク様が第一王子である事を教えておいた。

この宮内なら、身分は不問でいいが今後はそうもいかない。
互いの立ち位置は知らないと後々困ることになるだろう。

「今後はこの者が此処の主人になるのか?」
「第一王子!?」

二人揃って内容は違えど認めたくないと言わんばかりの態度だ。

「緑雲宮は陛下より私の住居としていただいたものです。他の者が主になることはありません。領主が王宮内に住居を与えられる事はないとご存知でしょう?」

「ステファン、ドミニク様に失礼ですよ。訳あってこちらで預かっているだけで本来ならお目通りもかなわない方です。今後はお2人ともに節度ある対応をお願いします」

それぞれに説明して、公の場でお互いに今迄のような対応をしないように注意しておいた。

ただ、そうなると此方の異常性が際立つ。今迄も陛下に対する対応に眉を顰めていた。教わる内容と現状が一致してないから当然だ。
陛下も気付いていながら敢えて何も言わずに面白がっている。まったく悪趣味な人だ。自力で答えを導き出せるか試しているのを知っているだけに説明するわけにもいかない。

「領主を引退してどうするんだ?隠居にはいくら何でも早過ぎるだろう」
「隠居してのんびりしたいものです。中々そう上手くいかないのですが。塔から声がかかっていますし、薬草園に治癒園など。身が持たない程度にやることばかりです」

告げてはいないが、陛下からの依頼など領主より忙しくなりそうな今後に思わず嘆息がもれた。
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