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グレンが連れてきた子供は、ボサボサ頭でサイズが合っていない服を着ていた。
「傷の手当てと身なり整えて貰いなさい」
声をかけたが、無言を返すのみの反応にしょうがないなと思ったのは私だけだった。
取り敢えず、アルフレッドに子の世話をお願いし浴室へ向かわせた。
この宮内は、一種の治外法権なのだなと今更ながら思う。
私の指示は、決して陛下たちにとって良い判断とはいえない筈だ。
それなのに一切の反対意見も制止されることさえない。
ちょっと怖い権限だと感じる。この感情は忘れてはいけない。
下手をしたら暴君になりかねないと気を引き締めた。
「あの子供はお知り合いですか?」
「それよりも、ことの顛末を説明して貰いたい」
説明を求められたが、逆にこちらとしても疑問がある。
「その前に御二方にお尋ねしたいことがあります。あの子供に見覚えはないのですか?」
「は?」
「ないと思うが。あの風体では判断出来かねる」
二人して問われたことに驚いているみたいに見えるが、古狸なのだろうか。
「ご自身の子を見誤りますか?」
「つまり、先程の子供は第一王子か」
考えるように呟いている姿で判断すると、親としてどうなんだろう。
アルフレッドは、おそらく気づいていた。故に対応がかなり丁寧だった。
父親を思い出し、似たもの同士だったかと残念な気がする。
伯父として良くしてくれるのは、精霊の七光に後援があるから。
解っていたことだと眼を伏せ、今考えるべきことに意識を集中させる。
精霊がもたらす情報を精査して面倒だと思う。
事態の元を作っている陛下に丸投げした場合、状況が悪化する可能性が高い。
派閥への関与は避けて、収拾するのは中立者の立場は非常に便利だ。
結局は一択しかないのが面白くない。
「王宮内で虐げられ続けていることは、耳に入っているでしょうに。何の手立ても打たなかったのですか?」
「下手に手を出す方が危険だ。それにここは、常に弱肉強食だ。追い落とされるならそれまでの存在と判断される」
否定の言葉はなく冷静に返される答えは、現実的だが余りにも情がない。
「子供への情はないのですか?」
「セイ殿。言葉が過ぎます。子が可愛くない親はいません」
宰相殿の方が苦々しそうだ。
「失礼しました。あの子は、よくこの宮へ逃げ込んできます。夕刻まで潜んで帰っていくので、今まで不問にしていました。報告していなかったことは謝罪いたします」
淡々と説明しついでに報告したら、今後は些細なことでも報告するようにと釘を刺された。
追加情報で今までの下男や侍従達による不敬行為を伝えたら、黒い微笑みを浮かて感謝された。しっかり裏をとって対応してくれそうだ。
背中がゾクっとして怖かった。
「立入禁止への命令違反に関して、不問ではダメでしょうか?」
「王命への違反行為ですので、罰は必要になります」
確かに見つかってしまった以上どうしようもない。どう足掻いても、示しがつかないことは認められないのは理解できる。
「では、どうされるかお聞きしても?」
「未成年の罪は親に責任の一端があるとみなされる。故に我にも罪があることになる。セイ殿に対し改めて謝罪させて頂く」
跪き即頭されたうえに、愚息が迷惑をかけたことを詫びられた。
心臓に悪いので早々に頭を上げてもらった。
こんなことなら、気づいた時点で保護しておけばよかった。
そうすればもっと穏便にすませられただろう。
「傷の手当てと身なり整えて貰いなさい」
声をかけたが、無言を返すのみの反応にしょうがないなと思ったのは私だけだった。
取り敢えず、アルフレッドに子の世話をお願いし浴室へ向かわせた。
この宮内は、一種の治外法権なのだなと今更ながら思う。
私の指示は、決して陛下たちにとって良い判断とはいえない筈だ。
それなのに一切の反対意見も制止されることさえない。
ちょっと怖い権限だと感じる。この感情は忘れてはいけない。
下手をしたら暴君になりかねないと気を引き締めた。
「あの子供はお知り合いですか?」
「それよりも、ことの顛末を説明して貰いたい」
説明を求められたが、逆にこちらとしても疑問がある。
「その前に御二方にお尋ねしたいことがあります。あの子供に見覚えはないのですか?」
「は?」
「ないと思うが。あの風体では判断出来かねる」
二人して問われたことに驚いているみたいに見えるが、古狸なのだろうか。
「ご自身の子を見誤りますか?」
「つまり、先程の子供は第一王子か」
考えるように呟いている姿で判断すると、親としてどうなんだろう。
アルフレッドは、おそらく気づいていた。故に対応がかなり丁寧だった。
父親を思い出し、似たもの同士だったかと残念な気がする。
伯父として良くしてくれるのは、精霊の七光に後援があるから。
解っていたことだと眼を伏せ、今考えるべきことに意識を集中させる。
精霊がもたらす情報を精査して面倒だと思う。
事態の元を作っている陛下に丸投げした場合、状況が悪化する可能性が高い。
派閥への関与は避けて、収拾するのは中立者の立場は非常に便利だ。
結局は一択しかないのが面白くない。
「王宮内で虐げられ続けていることは、耳に入っているでしょうに。何の手立ても打たなかったのですか?」
「下手に手を出す方が危険だ。それにここは、常に弱肉強食だ。追い落とされるならそれまでの存在と判断される」
否定の言葉はなく冷静に返される答えは、現実的だが余りにも情がない。
「子供への情はないのですか?」
「セイ殿。言葉が過ぎます。子が可愛くない親はいません」
宰相殿の方が苦々しそうだ。
「失礼しました。あの子は、よくこの宮へ逃げ込んできます。夕刻まで潜んで帰っていくので、今まで不問にしていました。報告していなかったことは謝罪いたします」
淡々と説明しついでに報告したら、今後は些細なことでも報告するようにと釘を刺された。
追加情報で今までの下男や侍従達による不敬行為を伝えたら、黒い微笑みを浮かて感謝された。しっかり裏をとって対応してくれそうだ。
背中がゾクっとして怖かった。
「立入禁止への命令違反に関して、不問ではダメでしょうか?」
「王命への違反行為ですので、罰は必要になります」
確かに見つかってしまった以上どうしようもない。どう足掻いても、示しがつかないことは認められないのは理解できる。
「では、どうされるかお聞きしても?」
「未成年の罪は親に責任の一端があるとみなされる。故に我にも罪があることになる。セイ殿に対し改めて謝罪させて頂く」
跪き即頭されたうえに、愚息が迷惑をかけたことを詫びられた。
心臓に悪いので早々に頭を上げてもらった。
こんなことなら、気づいた時点で保護しておけばよかった。
そうすればもっと穏便にすませられただろう。
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