あいと

西似居ハイロ

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愛斗

気づいた思い

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なんでだ。なんでなんだ…

あれから数日後。俺は頭を抱えていた。

神野が…かわいい。

どうしたんだコレ………。

昼休み、コンビニサンドイッチを片手に頭を抱える。
隣に座っていた森が不思議そうな顔で俺を見ていた。

「センパイ?どーしたんですか??」
「いや…なんでも…」

いや。多分この現象が何であるかを俺は知っている。
けど…認めてしまったら……………。

「そだ!きーてくださいよ!昨日初めて電話で例の人と会話したんですよ~!」

 彼は今、SNSの知り合いと距離を詰めようと奮闘しているらしい。その相手が中々心を開いてくれないと数ヶ月前にボヤいていた。彼の顔と喜びようを見る感じ順調に距離は縮まっているようだ。


頬を紅潮させながら早口に語る森の言葉に適当に相槌を打ちながら俺は昼休みを終えた。


■■■■■■■

終業後、なんの気無しにいつもは寄らない会社付近の所謂”夜の繁華街”に足を踏み入れた。

気分転換みたいなもんだった。

(意外にたまに来てみると新鮮で面白いもんだな)

なんてキョロキョロしていた俺の視線はあるものを捉え、その1点に集中した。

俺の数十m前を神野らしき人物が女と1緒に歩いていた。

(ん?あれは…神野??あ、そうだ…彼女いるんだもんな)

何ら不思議ではないと1人で納得する。
胸のざわつきは無視した。

女が何かを神野に話しかけて自身の腕を彼の腕に絡ませると神野は優しい笑顔を彼女に向けた。


ズキ──── 胸が酷く痛んだ。


ああ…………。

思わず足を止める。

ついに…気付いてしまった。彼に対して向けている感情に。

もう、抗えない。

俺は…彼が、神野が…好き、なんだ。


「はああ…。」

でも、この思いは決して叶わない。

好きになっていいはずがない…。


「はぁ…。なんで好きになんかなっちゃってんだよ俺。」

顔に片手を当て俯き、ため気をつく。

もう…だめだ。

あきらめ、なければ。


くるっと踵を返し俺は足早にその場を去った。

その途中で携帯を取り出し、数分調べ物をした後、あるところに電話をかける。

相手はすぐに出た。

「─もしもし、あの少しお尋ねしたいのですが…」


『──────…』

「はい、お願いできますか?」

『──────…?』

「はい、それで。ではお願いします。はい、失礼します。」

明日からの予定と段取りを脳内でサッと組み立てる。

それからの俺の行動は自分でも驚くくらい早かった。



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