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部屋の中心で哀を叫ばれる
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いつもは、私を起こしたら、家の用事やら、なんやらで帰るというのに、珍しい事もあるもんだ。
「ほら、さっさと着替えろ」
部屋に着くなり、そう言ってクローゼットから服をポンポンとこちらに投げてくる翔真。
果たしてこんな服あっただろうか。いつもジャージしか着ていないから、どんな服があったのかよくわからない。……流石は、オカン。私よりも私の部屋の配置に詳しいとは……いや、可笑しくない!?
「なんで、着替える必要があるのだろうか。これから寝るというのに」
そう、寝るのに、着替える必要性はないだろう。翔真の言う通り、昼食を食べたんだ、もう寝てもなんの問題もないだろう
「ツッコミどころが違う気もするが……まぁ、兎に角、着替えろよ。今日は俺の予定も特にないから何処かに連れてってやる、な?」
今日は特に用事がないから私を誘ったというわけか。……なんで、私を誘うんだ。お前なら、誘えば付いてくる女の子ぐらい沢山いるだろ。友達いないってわけじゃないだろうし、むしろ金持ちのボンボンどもと遊んだ方がいいんじゃないか!それに私は寝ていたい。何故お前の用事に振り回されなくてはならない。
「……出かけたくない。寝ていたい。」
そのままスーっと吸い込まれるようにベッドに向かおうとする。が、残念なことにグエッと襟元を掴まれ、それは阻まれた。
「ゔっ」
「………寝るな。着替えろ」
後ろから突き刺さる冷たい視線。こ、これは逆らってはいけない。怒らせてはいけないオカンモードだ。
「着替えます!!今すぐに!!」
ばっと思い切り着ている服を脱ぐ為に、手をかける。さぁ、キガエルゾー。
「ばっ!!お前!!」
服を脱ぎかけていると、何故か慌てて部屋を出ていく翔真。何を今更恥ずかしがっているのやら。互いの裸なんて幼い頃から見ているというのに。
いいか!私はお前の背中に星型のホクロがあるのを知ってるぞ!星型のホクロって。ぷっ……漫画のキャラかよ。
「着替えた」
ガチャリとドアを開けて、着替えたことを翔真に報告すれば、奴はなんとも満足そうな顔する。
それにしても、翔駒が選んだ服は中々のものだ。あの短時間でこの服の組み合わせを選ぶとは流石。金持ちで、顔もよくセンスもあるとか、まじ何者なんだろうか。あ、オカンか。オカンって凄いな。オカン、フォーエバー。
「で?奏、お前何処か行きたいところはあるか?連れてってやるよ」
「あー、特に」
行きたいところと言われても、もともと今日は家でゴロゴロするつもりだったからなぁ。というか、今日を含めて休日はゴロゴロして居たい。むしろ外に出たくない。そう、私はインドア派、根っからのインドア派である!外に出るなんて!!インドア派のすることじゃない!!
「………はぁ。そうだな、お前に聞いた俺が悪かった。」
呆れたように私を見る翔真。……おい、まってくれ、何故、私が悪いことになっているのか。だいたい翔真が私を誘ったのだ。
「翔真が行きたいところに行けばいいじゃん」
こうして、インドア派の私を着替えさせたのだ。責任を持って最後まで計画をしておけよ!
「……というかさ、翔真。そんなに出かけたいならほ私なんかじゃなくて、他の子誘えばいいじゃん?例えば、クラスの友達とか?あっ!学校に好きな子とかいないの?その子誘えば?」
思えば、こいつはイケメンなのに浮いた話の1つもない。まぁ、乙女ゲームの攻略対象だし、好きな子となるとヒロインなのかなぁ?確か、ゲームの始まりは夏休み明け。今はまだ、夏休み少し前だからまだヒロインとは会ってないんだろうけど、夏休み明けには好きな子できているんだろうなぁ。………となれば、こうして起こされることもないのか?いや、まて私がヤンデレになってしまう可能性も否めないし。うむ、難しい問題である。
「学校に好きなやつなんているわけないだろ!!いないいない。だ、だいたい俺は、俺はお前の!お前の………………世話で手一杯なんだよ!!」
わなわなと震えながらそう叫ぶ翔真。幼馴染の世話で恋ができない完璧男子。なんという哀であろうか。
……すいませんでした。でも、それなら世話なんかしなくていいのに。と思う私は悪くない
「ほら、さっさと着替えろ」
部屋に着くなり、そう言ってクローゼットから服をポンポンとこちらに投げてくる翔真。
果たしてこんな服あっただろうか。いつもジャージしか着ていないから、どんな服があったのかよくわからない。……流石は、オカン。私よりも私の部屋の配置に詳しいとは……いや、可笑しくない!?
「なんで、着替える必要があるのだろうか。これから寝るというのに」
そう、寝るのに、着替える必要性はないだろう。翔真の言う通り、昼食を食べたんだ、もう寝てもなんの問題もないだろう
「ツッコミどころが違う気もするが……まぁ、兎に角、着替えろよ。今日は俺の予定も特にないから何処かに連れてってやる、な?」
今日は特に用事がないから私を誘ったというわけか。……なんで、私を誘うんだ。お前なら、誘えば付いてくる女の子ぐらい沢山いるだろ。友達いないってわけじゃないだろうし、むしろ金持ちのボンボンどもと遊んだ方がいいんじゃないか!それに私は寝ていたい。何故お前の用事に振り回されなくてはならない。
「……出かけたくない。寝ていたい。」
そのままスーっと吸い込まれるようにベッドに向かおうとする。が、残念なことにグエッと襟元を掴まれ、それは阻まれた。
「ゔっ」
「………寝るな。着替えろ」
後ろから突き刺さる冷たい視線。こ、これは逆らってはいけない。怒らせてはいけないオカンモードだ。
「着替えます!!今すぐに!!」
ばっと思い切り着ている服を脱ぐ為に、手をかける。さぁ、キガエルゾー。
「ばっ!!お前!!」
服を脱ぎかけていると、何故か慌てて部屋を出ていく翔真。何を今更恥ずかしがっているのやら。互いの裸なんて幼い頃から見ているというのに。
いいか!私はお前の背中に星型のホクロがあるのを知ってるぞ!星型のホクロって。ぷっ……漫画のキャラかよ。
「着替えた」
ガチャリとドアを開けて、着替えたことを翔真に報告すれば、奴はなんとも満足そうな顔する。
それにしても、翔駒が選んだ服は中々のものだ。あの短時間でこの服の組み合わせを選ぶとは流石。金持ちで、顔もよくセンスもあるとか、まじ何者なんだろうか。あ、オカンか。オカンって凄いな。オカン、フォーエバー。
「で?奏、お前何処か行きたいところはあるか?連れてってやるよ」
「あー、特に」
行きたいところと言われても、もともと今日は家でゴロゴロするつもりだったからなぁ。というか、今日を含めて休日はゴロゴロして居たい。むしろ外に出たくない。そう、私はインドア派、根っからのインドア派である!外に出るなんて!!インドア派のすることじゃない!!
「………はぁ。そうだな、お前に聞いた俺が悪かった。」
呆れたように私を見る翔真。……おい、まってくれ、何故、私が悪いことになっているのか。だいたい翔真が私を誘ったのだ。
「翔真が行きたいところに行けばいいじゃん」
こうして、インドア派の私を着替えさせたのだ。責任を持って最後まで計画をしておけよ!
「……というかさ、翔真。そんなに出かけたいならほ私なんかじゃなくて、他の子誘えばいいじゃん?例えば、クラスの友達とか?あっ!学校に好きな子とかいないの?その子誘えば?」
思えば、こいつはイケメンなのに浮いた話の1つもない。まぁ、乙女ゲームの攻略対象だし、好きな子となるとヒロインなのかなぁ?確か、ゲームの始まりは夏休み明け。今はまだ、夏休み少し前だからまだヒロインとは会ってないんだろうけど、夏休み明けには好きな子できているんだろうなぁ。………となれば、こうして起こされることもないのか?いや、まて私がヤンデレになってしまう可能性も否めないし。うむ、難しい問題である。
「学校に好きなやつなんているわけないだろ!!いないいない。だ、だいたい俺は、俺はお前の!お前の………………世話で手一杯なんだよ!!」
わなわなと震えながらそう叫ぶ翔真。幼馴染の世話で恋ができない完璧男子。なんという哀であろうか。
……すいませんでした。でも、それなら世話なんかしなくていいのに。と思う私は悪くない
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