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国王陛下の嫁探し
ずっと貴方が好きだったよ。
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目を覚ますと、いつもとは違う風景。白が目一杯とびこんでくる。はて、ここはどこだろうかと思った瞬間、脇腹と手が痛む。ついでに言うと吐き気もする。うぅ、気持ち悪いし、痛いなにこれ…………
「聖下!お目覚めになったんですね!」
歓喜に満ち、目に涙を浮かめるメルダーが私を覗き込む。
「め……るだー?」
思えば喉もカラカラ。上手く声が出ない………が、状況を確認せねば
「める…だー」
「はい、メルダーでございます。なんでございましょうか、聖下」
「ここ……は?」
ベッドの上だってことはわかるが、場所がわからない。自室ではない……かと言って客室というわけでもない……でも、見覚えはあるんだよな。
「聖下……こちらは、神殿が運営している医療施設でございます。なにがあったか、覚えていますか?」
そう言われて、あー、なんか思い出してきた。確か、そうだ、わたし刺されたんだった。だんだん思い出してきたぞ。確か、テラスにいって、そこで出会ったリリィにグサリと………
「我々の警備が至らないばかりに……申し訳ございませんでした。」
「い…や、だいじょ……ぶ」
心配そうにこちらを見つめるメルダーに対し、手を伸ばそうとするが、上手く動かせない。ピリッと痺れる感覚がする。刺された痛みとは、また違う……感覚
「あぁ、聖下、無理をなさらないでくださいませ。怪我はもちろん、まだ毒も抜けきっていないのですから」
あー、なんかそういえば、リリィーも言ってたなぁ。毒がナイフに塗ってあるって………つまりこれは、その後遺症といったところか。
「……聖下、貴方様が目覚めたこと、私何物にも変えがたいくらい幸せです。ですが、無理は禁物。ゆっくり休んでくださいませ」
そう言われて仕舞えば、なんだか眠たくなってくる。色々聞きたいこともあるのに…….、あの後の事を聞きたいのに、リリィはどうなったのか、ルーカスはどうしているのか……たくさん聞きたいことがあるのに……今の私には、その気力がない。まぶたを閉じれば、再び暗闇の中。でも、あの時の暗闇とは違う。今度はちゃんと目覚めることのできる暗闇だ………………
そして、それから、数日。メルダーに言われた通り安静にしていれば、なんとか体を起こせるレベルまで回復した。まぁ、未だに、このベッドの上から身動きは取れないのだが…………全く動けないよりはマシなので良しとしよう。………………うん、マシなんだよね?
「………えっと、陛下?その……何ですか。これは」
「ダメか?」
なぜか、後ろからギュッと抱きしめられ、首元に顔を埋められている。うぅ、恥ずかしい。
「だ、ダメじゃないですかね。」
「なんで?あぁ、もしかして、傷が痛むのか?」
「いや、そうじゃなくて、ですね」
いや、傷口に響かない程度の、抱きしめ方だから、その点は大丈夫……って、そうじゃなくて、その、そのですね。
「じゃあ、問題ないだろう。…………君が倒れて、すごく心配したんだ。生きた心地がしなかった。だから、ちゃんと生きてるって事を確認させてくれ」
いや、でも、これはダメだろ。うぅ、首を動かさないでください。くすぐったい。
「うぅ、心配かけて、すみませんでした。で、でも、これとそれとは話が別。結婚も、婚約もしてない男女が、こういうのはダメというか、なんといいますか。それに、陛下には、好きな人がいるんですよね」
だから、こんな事したらだめだ。うぅ、恥ずかしい。
「…………好きな人ね。」
「そうですよ。誤解されても困りますねよ」
そして、そろそろ私の心臓も限界。これ以上は、心臓がもたないし、持ちそうもない。
「誤配されないなら、何しても良いか?」
「へ?」
「いや、誤配を解くために、何をしてもいいか?の間違いか。」
ボソボソっと、何かしらを呟くルーカス。一体何を言っているのか
「聖下、いや……ソフィア」
瞬間、ドキッとしてと思わず、そらして居たはずのルーカスの顔を思わず見る。
ソフィア……それはずっと呼ばれて居なかった私の名前。久しぶりに聞いた、私の名前だ。
「なぁ、ソフィアこの先何度でも、何回でも、いくらだって君に囁くよ。だから、いつも聞いてほしい」
真剣な目が、私を射抜居く
「好きだよ。君が。君だけを愛してるんだ」
「は、はい?」
ルーカスが私を好き?嘘だよね……だって、そんな素振り一度も……
「ずっと、ずっと君が好きだった。君が、君がいたから俺がいるんだ。」
で、でも、その顔に、その言葉に嘘偽りがない事だけは、ちゃんとわかる。ずっと一緒に居たんだ。ルーカスの事を1番にわかってると自負しているからこそ……それが、嘘じゃないって、わかる。
ルーカスの好きな人は、私。ルーカスは、私のことが、好き……
「もう、君以外は考えられない。もうこの腕から離したくない」
こちらを覗き込む顔に…ぎゅっと握られる手の温度に…言葉に心臓が、今までにないくらいに高鳴る。
「だから、俺と……結婚してくれないか?」
ずっとずっとずっと夢見て居た、そして諦めて居た視線が私に、私だけに注がれる。きっと私の顔は真っ赤なんだろう。自分でもわかる。熱い、すごく熱くて、なんていうか、嬉しくて、舞い上がりそうで、それで……それで………
「返事を聞かせてくれないか?」
あの時から好きだった。共に旅を続けて、君を好きになったんだ。
嘘をついてきた後ろめたさもある。本当に自分でいいのかと思う。自分には相応しくないと感じることもある。
だけど、それ以上に、私は君が好きだから。何をしてでも、君と共に居たいから。
これだけは、嘘じゃないから。
だから、返事は決まってる。1つしかない。
「私はーーーーーーーー」
ずっと言いたかった言葉。心に秘めていた言葉。嘘ばかりの私だけど、それだけは嘘じゃないから。
ぎゅっと抱きしめられたその先にある体温は、ずっと君だけが良い。そう思ってしまうのは我がままなのだろうか。
「聖下!お目覚めになったんですね!」
歓喜に満ち、目に涙を浮かめるメルダーが私を覗き込む。
「め……るだー?」
思えば喉もカラカラ。上手く声が出ない………が、状況を確認せねば
「める…だー」
「はい、メルダーでございます。なんでございましょうか、聖下」
「ここ……は?」
ベッドの上だってことはわかるが、場所がわからない。自室ではない……かと言って客室というわけでもない……でも、見覚えはあるんだよな。
「聖下……こちらは、神殿が運営している医療施設でございます。なにがあったか、覚えていますか?」
そう言われて、あー、なんか思い出してきた。確か、そうだ、わたし刺されたんだった。だんだん思い出してきたぞ。確か、テラスにいって、そこで出会ったリリィにグサリと………
「我々の警備が至らないばかりに……申し訳ございませんでした。」
「い…や、だいじょ……ぶ」
心配そうにこちらを見つめるメルダーに対し、手を伸ばそうとするが、上手く動かせない。ピリッと痺れる感覚がする。刺された痛みとは、また違う……感覚
「あぁ、聖下、無理をなさらないでくださいませ。怪我はもちろん、まだ毒も抜けきっていないのですから」
あー、なんかそういえば、リリィーも言ってたなぁ。毒がナイフに塗ってあるって………つまりこれは、その後遺症といったところか。
「……聖下、貴方様が目覚めたこと、私何物にも変えがたいくらい幸せです。ですが、無理は禁物。ゆっくり休んでくださいませ」
そう言われて仕舞えば、なんだか眠たくなってくる。色々聞きたいこともあるのに…….、あの後の事を聞きたいのに、リリィはどうなったのか、ルーカスはどうしているのか……たくさん聞きたいことがあるのに……今の私には、その気力がない。まぶたを閉じれば、再び暗闇の中。でも、あの時の暗闇とは違う。今度はちゃんと目覚めることのできる暗闇だ………………
そして、それから、数日。メルダーに言われた通り安静にしていれば、なんとか体を起こせるレベルまで回復した。まぁ、未だに、このベッドの上から身動きは取れないのだが…………全く動けないよりはマシなので良しとしよう。………………うん、マシなんだよね?
「………えっと、陛下?その……何ですか。これは」
「ダメか?」
なぜか、後ろからギュッと抱きしめられ、首元に顔を埋められている。うぅ、恥ずかしい。
「だ、ダメじゃないですかね。」
「なんで?あぁ、もしかして、傷が痛むのか?」
「いや、そうじゃなくて、ですね」
いや、傷口に響かない程度の、抱きしめ方だから、その点は大丈夫……って、そうじゃなくて、その、そのですね。
「じゃあ、問題ないだろう。…………君が倒れて、すごく心配したんだ。生きた心地がしなかった。だから、ちゃんと生きてるって事を確認させてくれ」
いや、でも、これはダメだろ。うぅ、首を動かさないでください。くすぐったい。
「うぅ、心配かけて、すみませんでした。で、でも、これとそれとは話が別。結婚も、婚約もしてない男女が、こういうのはダメというか、なんといいますか。それに、陛下には、好きな人がいるんですよね」
だから、こんな事したらだめだ。うぅ、恥ずかしい。
「…………好きな人ね。」
「そうですよ。誤解されても困りますねよ」
そして、そろそろ私の心臓も限界。これ以上は、心臓がもたないし、持ちそうもない。
「誤配されないなら、何しても良いか?」
「へ?」
「いや、誤配を解くために、何をしてもいいか?の間違いか。」
ボソボソっと、何かしらを呟くルーカス。一体何を言っているのか
「聖下、いや……ソフィア」
瞬間、ドキッとしてと思わず、そらして居たはずのルーカスの顔を思わず見る。
ソフィア……それはずっと呼ばれて居なかった私の名前。久しぶりに聞いた、私の名前だ。
「なぁ、ソフィアこの先何度でも、何回でも、いくらだって君に囁くよ。だから、いつも聞いてほしい」
真剣な目が、私を射抜居く
「好きだよ。君が。君だけを愛してるんだ」
「は、はい?」
ルーカスが私を好き?嘘だよね……だって、そんな素振り一度も……
「ずっと、ずっと君が好きだった。君が、君がいたから俺がいるんだ。」
で、でも、その顔に、その言葉に嘘偽りがない事だけは、ちゃんとわかる。ずっと一緒に居たんだ。ルーカスの事を1番にわかってると自負しているからこそ……それが、嘘じゃないって、わかる。
ルーカスの好きな人は、私。ルーカスは、私のことが、好き……
「もう、君以外は考えられない。もうこの腕から離したくない」
こちらを覗き込む顔に…ぎゅっと握られる手の温度に…言葉に心臓が、今までにないくらいに高鳴る。
「だから、俺と……結婚してくれないか?」
ずっとずっとずっと夢見て居た、そして諦めて居た視線が私に、私だけに注がれる。きっと私の顔は真っ赤なんだろう。自分でもわかる。熱い、すごく熱くて、なんていうか、嬉しくて、舞い上がりそうで、それで……それで………
「返事を聞かせてくれないか?」
あの時から好きだった。共に旅を続けて、君を好きになったんだ。
嘘をついてきた後ろめたさもある。本当に自分でいいのかと思う。自分には相応しくないと感じることもある。
だけど、それ以上に、私は君が好きだから。何をしてでも、君と共に居たいから。
これだけは、嘘じゃないから。
だから、返事は決まってる。1つしかない。
「私はーーーーーーーー」
ずっと言いたかった言葉。心に秘めていた言葉。嘘ばかりの私だけど、それだけは嘘じゃないから。
ぎゅっと抱きしめられたその先にある体温は、ずっと君だけが良い。そう思ってしまうのは我がままなのだろうか。
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