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ローゼマリア商会。印刷業を主をするその商会は数年前に誕生し急速に成長した商会である.確か、現商会長は、王国有数の貿易商を運営するダリア子爵家の一人娘だったような気がする.
彼女は、元々、印刷技術の乏しかったこの世界において画期的な技術を開発し、多くの書物を販売できるようになった有名人.一応、識字率自体は国の教育がちゃんとしていたから、他国と比べて低くはなかったこの国だが、ローゼマリア商会の印刷技術によってさらに識字率が向上したと聞いている.さらに、本という娯楽が貴族のみだけでなく庶民にまで拡散したという現象は、この国の文化に大きな影響を与えた。
そんな多くの功績を持つローゼマリア商会の現会長を崇拝するものも少なくはなく、一部の人間からは「赤薔薇様」と呼ばれているんだとか、いないんだとか。
そんな赤薔薇様に会うのは大変難しく、アポイントメントを事前に取っていても、面会時間はたった数分、時には他の仕事が入ったからとドタキャンされることも少なくはないと聞く。
まぁ、問題のこの本「子ウサギ君と3人の冒険者」の出版元は、確かにローゼマリア商会ではあるが、出版的だからという理由だけで、わざわざこの商会の赤薔薇様に掛け合う必要性も本来ならばない。他の、この本の出版にかかわった人間に掛け合えばいいだけのこと。だけど、今回のことばかりは「ローゼマリア商会の商会長」である赤薔薇様に………「ノアきゅんを見守る会の会長」である彼女だからこそ直談判する必要があるだ.
あの赤薔薇様と呼ばれるダリア商会のご令嬢は、驚くべき印刷技術を開発したばかりか,新たな文化をもたらした.そう、BL(ボーイズラブ)、やおい、いわゆる男同士の恋愛を題材とした物語を彼女は数年という短い年月で世界各国に広めたのだ。それまで、この国に、いやこの世界に存在しなかった物語のジャンルを、ダリア家の娘は、世界に知らしめてしまったのである。故に、彼女は男同士の恋愛をなぞらえた意味を持つ花の名前を冠した赤薔薇様と呼ばれているのだ。
許しまじき、赤薔薇の令嬢。彼女さえいなければこの世界にBLとかいう文化が生まれずに済んだのにと思わずにはいられない。こちとら、魔族と戦ったり、世界平和のために条約を結ばせたり、ダンジョン攻略したりと忙しく冒険者として働いている間に、なんてことをしてくれるんだ!まじくそ許せない!!!(個人的感情)
というか、絶対この赤薔薇って私と同じ転生者だと思うんだよね。じゃないと、いろいろと説明がつかない。印刷技術は、どう見ても元の世界のものを応用している気がするし(いや、私もこれに関してはそこまで詳しくはないから、断言できないけど)、どう考えても腐女子とか、BLとか、カップリングとか言った言葉がこの世界にもあるのはおかしいよ。しかもそれらの言葉を生み出したのが赤薔薇様だよ?怪しさ満点!
だいたい、赤薔薇って名称もそうだよ。男同士の恋愛を意味する花は薔薇ってどこ情報だよ。それ、元をたどればギリシャ神話から来てるからね!?ギリシャ神話なんてこの世にねぇよ!!!元の世界の奴だよ!!
と、赤薔薇様が疑わしいといった点がぼろぼろ出てくる。
前々から、あいつ怪しいなあと薄々持っていたけれど、今日の今日まで私は無視してきた。だって、わざわざ
「へい、ユー転生者でしょ?」と聞くのも意味が分からないし。もっと言えば、こんな恐ろしい文化を広めた彼女と接点を作りたくない。
私はどちらかというと夢女子だ。ぶっちゃけ行って奴らとは、話が合わない、気が合わない(元友人を除いては)
絶対、出会って数分でお互いに嫌悪する仲になるだろう。ここは、お互いの為、自分の為と、存在を無視し続けてきたけれど、今回ばかりは接触を試みる必要がある。
なんせ、こちとら仲間のプライバシーにかかわる問題。名誉棄損にかかわってくる。
あとついでにここ最近起きている私に対する殺人未遂とこの前のグーパン事件に関しても、そろそろ解決したかったんだよね。これとない機会。ここは、一気に解決してしまうのが吉だろう。
ともあれば、この手はあまり使いたくなかったが仕方ない。
忙しいとさえる彼女に話し合うにはそれ相応の理由とそして身分が必要だろう。
私は、これでもSランク冒険者。
生まれは庶民、中身も庶民な私だが、あげてきた功績はどれも、国の危機や世界の危機を救うレベルのものばかり。故にこの本来であればSランクの称号は、下手をしたら辺境伯と並ぶ権力を持つ。(まぁ、普段は親しみやすい冒険者メアリー・スーとして生きているので、周りの人間はその、えっと、あまりそこを意識してくれないんだけれど。うん、別に気にしてないし、親しみやすさって大事だしさ……うん)
まぁ、なんだその、私にかかれば、この国王に謁見するのも(時間は少しかかるかもだけど)可能だし、なんだったら、国賓として各国に招待されることだってある。(これでも世界的に有名で、功績をあげてきた冒険者なんだ。若干やってることは冒険者の域を超えているけれど!!最近だれもそのことを意識してくれないけど!)
そう、いくら赤薔薇がダリア子爵の言取り娘と言えども、この私が、Sランク冒険者が直々に会いたいといえば断りずらいはず。正式にそう、正式に書類を紹介あてに出せば、断ることはできまい!!
えぇ、首を洗って待っていやがれ、赤薔薇よ!!これを機に私はすべての問題を解決してやるわい!!!!
と思い、ローゼマリア商会宛にアポイントメントの連絡を出したのが3日前。そして本日帰ってきた返信
「忙しい。無理。お前に会ってる暇はない。バーカ」
要約するとそんな感じのことが書いてあった。……絶対許さない。怒りで私は気が付くとくちゃりと手紙を握りつぶしていた
彼女は、元々、印刷技術の乏しかったこの世界において画期的な技術を開発し、多くの書物を販売できるようになった有名人.一応、識字率自体は国の教育がちゃんとしていたから、他国と比べて低くはなかったこの国だが、ローゼマリア商会の印刷技術によってさらに識字率が向上したと聞いている.さらに、本という娯楽が貴族のみだけでなく庶民にまで拡散したという現象は、この国の文化に大きな影響を与えた。
そんな多くの功績を持つローゼマリア商会の現会長を崇拝するものも少なくはなく、一部の人間からは「赤薔薇様」と呼ばれているんだとか、いないんだとか。
そんな赤薔薇様に会うのは大変難しく、アポイントメントを事前に取っていても、面会時間はたった数分、時には他の仕事が入ったからとドタキャンされることも少なくはないと聞く。
まぁ、問題のこの本「子ウサギ君と3人の冒険者」の出版元は、確かにローゼマリア商会ではあるが、出版的だからという理由だけで、わざわざこの商会の赤薔薇様に掛け合う必要性も本来ならばない。他の、この本の出版にかかわった人間に掛け合えばいいだけのこと。だけど、今回のことばかりは「ローゼマリア商会の商会長」である赤薔薇様に………「ノアきゅんを見守る会の会長」である彼女だからこそ直談判する必要があるだ.
あの赤薔薇様と呼ばれるダリア商会のご令嬢は、驚くべき印刷技術を開発したばかりか,新たな文化をもたらした.そう、BL(ボーイズラブ)、やおい、いわゆる男同士の恋愛を題材とした物語を彼女は数年という短い年月で世界各国に広めたのだ。それまで、この国に、いやこの世界に存在しなかった物語のジャンルを、ダリア家の娘は、世界に知らしめてしまったのである。故に、彼女は男同士の恋愛をなぞらえた意味を持つ花の名前を冠した赤薔薇様と呼ばれているのだ。
許しまじき、赤薔薇の令嬢。彼女さえいなければこの世界にBLとかいう文化が生まれずに済んだのにと思わずにはいられない。こちとら、魔族と戦ったり、世界平和のために条約を結ばせたり、ダンジョン攻略したりと忙しく冒険者として働いている間に、なんてことをしてくれるんだ!まじくそ許せない!!!(個人的感情)
というか、絶対この赤薔薇って私と同じ転生者だと思うんだよね。じゃないと、いろいろと説明がつかない。印刷技術は、どう見ても元の世界のものを応用している気がするし(いや、私もこれに関してはそこまで詳しくはないから、断言できないけど)、どう考えても腐女子とか、BLとか、カップリングとか言った言葉がこの世界にもあるのはおかしいよ。しかもそれらの言葉を生み出したのが赤薔薇様だよ?怪しさ満点!
だいたい、赤薔薇って名称もそうだよ。男同士の恋愛を意味する花は薔薇ってどこ情報だよ。それ、元をたどればギリシャ神話から来てるからね!?ギリシャ神話なんてこの世にねぇよ!!!元の世界の奴だよ!!
と、赤薔薇様が疑わしいといった点がぼろぼろ出てくる。
前々から、あいつ怪しいなあと薄々持っていたけれど、今日の今日まで私は無視してきた。だって、わざわざ
「へい、ユー転生者でしょ?」と聞くのも意味が分からないし。もっと言えば、こんな恐ろしい文化を広めた彼女と接点を作りたくない。
私はどちらかというと夢女子だ。ぶっちゃけ行って奴らとは、話が合わない、気が合わない(元友人を除いては)
絶対、出会って数分でお互いに嫌悪する仲になるだろう。ここは、お互いの為、自分の為と、存在を無視し続けてきたけれど、今回ばかりは接触を試みる必要がある。
なんせ、こちとら仲間のプライバシーにかかわる問題。名誉棄損にかかわってくる。
あとついでにここ最近起きている私に対する殺人未遂とこの前のグーパン事件に関しても、そろそろ解決したかったんだよね。これとない機会。ここは、一気に解決してしまうのが吉だろう。
ともあれば、この手はあまり使いたくなかったが仕方ない。
忙しいとさえる彼女に話し合うにはそれ相応の理由とそして身分が必要だろう。
私は、これでもSランク冒険者。
生まれは庶民、中身も庶民な私だが、あげてきた功績はどれも、国の危機や世界の危機を救うレベルのものばかり。故にこの本来であればSランクの称号は、下手をしたら辺境伯と並ぶ権力を持つ。(まぁ、普段は親しみやすい冒険者メアリー・スーとして生きているので、周りの人間はその、えっと、あまりそこを意識してくれないんだけれど。うん、別に気にしてないし、親しみやすさって大事だしさ……うん)
まぁ、なんだその、私にかかれば、この国王に謁見するのも(時間は少しかかるかもだけど)可能だし、なんだったら、国賓として各国に招待されることだってある。(これでも世界的に有名で、功績をあげてきた冒険者なんだ。若干やってることは冒険者の域を超えているけれど!!最近だれもそのことを意識してくれないけど!)
そう、いくら赤薔薇がダリア子爵の言取り娘と言えども、この私が、Sランク冒険者が直々に会いたいといえば断りずらいはず。正式にそう、正式に書類を紹介あてに出せば、断ることはできまい!!
えぇ、首を洗って待っていやがれ、赤薔薇よ!!これを機に私はすべての問題を解決してやるわい!!!!
と思い、ローゼマリア商会宛にアポイントメントの連絡を出したのが3日前。そして本日帰ってきた返信
「忙しい。無理。お前に会ってる暇はない。バーカ」
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