保健室 三年生

下野 みかも

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三年生 息抜き

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 再来週は、試験。 
 国立大に行きたい私が、最初に受ける、試験。
 もう追い込みで、毎日、ほんとに勉強してる。 すっごく、やってる。 できるようになってる、自覚もある。
 だけど、不安。 高校受験のときよりも。 だって、大学受験って、わりと、人生決まる感ある……。 まして、うちはママしかいなくて、お金は多分、ない。 だから、かなり、がんばっている。


 だから新学期になってから、全然してない。
 学校ある日は、お昼を保健室で食べて、お話したい日はちょっとだけ放課後寄って、まぁ、キスくらいはするけど、すっと帰る。
 さみしい。
 したい。
 でも、期限付きだから、がんばれる。
 だけど……。 もし、落ちちゃったら。
 考えたくないけど、ふとした時に、考えてしまう。
 よくない。 よくないよ。
 一度、先生に相談した。 不安になることあるの、今みたいに、先生と一緒の時は怖くない、だけど、一人になると、怖くて泣いちゃうときがあるって。


 そしたら、先生は白衣の異次元ポケットから取り出して、貸してくれた。
 ころんとした鳥の形の、ピンクの、ふるえるタイプのおもちゃを。
「先生……。 そういうことじゃない」
「不安を忘れるには、これしかないわ。 貸してあげるから。 まずは、共通テストよ。 終わったら、うちに泊まって、いっぱいセックス。 そしたら、またお勉強。 できるわね」
 言ってることはちょっとおかしいけど、真剣そのものの表情。 私だって、いっぱい、いっぱいしたい。
「わかった。 がんばる。 おもちゃ、ありがと。 壊れたら、ごめん」
「モーター焼き切れるまで、遊ばないのよ。 それに、壊れても大丈夫。 挿入タイプの方を貸すわ」
「こらー! 学校で、ふるえるおもちゃの話をするなー!」
「あ……ケイ」
「いたのね」


 そういうわけで、貸してもらった。
 真面目な受験生だから、できる。 ひとりでするのは一日二回までって、決められる。
 返さなきゃいけないから、丁寧に使わないと。
 それに、コツもつかんだもん。 ママがいなければ、いきなり最強モードからする!(最強モードは、音おっきい) そうすると、さくっといけちゃうもんね。 後で、先生にも教えてあげよ。


 今日は、ママ、いるからな。 ちょっと弱めにしておこう。
 勉強して、お風呂も入って、歯磨きして、あとはほんとに、寝るだけ。
 部屋の灯り、暗くする。
 鳥のおもちゃを右手に持って、スマホを枕元に置く。
 スイッチを入れて、パンツの中、直接当てる。
「あっ」
 自分でするから、タイミング、来るってわかってるのに、気持ちいい。 
 しばらく当て続けると、奥の方、むずむずしてくる。 指を少し入れると、濡れてるのが分かる。
 一旦スイッチを切って、濡れてるところに、鳥のくちばしを挿し込む。 何度か往復させて、ぬるぬるを、くっ付ける。
「えへ……」
 気持ち良い、小さなあれに、おもちゃを当てる。 ぬるぬるも、くっ付けて。
 加速度的に、どんどん、気持ち良いのが上がってくる。 私は、枕元のスマホを手に取る。
「せんせ……」
 先生、ごめんなさい。
 私ほんとに、ほんとに先生のこと、大好きなの。
 そして、ほんとに、おかしいのかもしれない。
 写真のフォルダ、私だけの秘密のフォルダを開く。
「先生、先生……」
 すごく小さい声で、呼んでしまう。 スマホに映った、先生の寝顔、寝顔、寝顔。
 先生、あんまり写真を撮られるの、好きじゃないみたいだから。 寝てる間に、色んな角度で撮っちゃうの。 良くないことって分かってる。 訴えられたら、盗撮で逮捕されるかもしれない。
 でも、好きなんだもん……。
 裸の写真なんてない。 えっちな写真も。 誓って、一枚もない。
 ただ、寝てる顔。 お口を軽く開けてたり、閉じてたり、髪が顔にかかってるのもあるし、おでこが出てる写真もある。 全部、かわいい。 見てるだけで、どきどきする。 あそこが、切なくなる……。
 長い睫毛、お化粧しなくても少し赤い、薄い唇をしてる、私だけが知ってる、先生の寝顔。
「先生……  はやく、したいよぉ……」
 寝顔をおかずにして、いってるの……。 先生、ほんとに、ごめんなさい。 ほんとに、ほんとに、変態なんです。 合格したら、いっぱい怒って。 お仕置き、して。 お尻もペンペンしてほしいし、指も、いっぱい挿れてほしい……。
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