保健室 三年生

下野 みかも

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三年生 春の連休 一日目

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「最近、頑張ってますね、お勉強」
「まあね。 受験生だから」
 放課後の、保健室。 平日は、ここで少し勉強してから帰る。 私専用にしてもらったティーセットに、白湯を淹れて。


 先生、私が勉強してると、嬉しいみたい。 にこにこしながら、話しかけてくれる。
「ねぇ、頑張り屋さん。 連休は、お出掛けの予定、ありますか」
 そう、もうすぐ大型連休だ。 でも、私、受験生だし。 大学、行きたいもん。 合格したら、先生のマンションに一緒に住んじゃうんだから。 それに、
「親、仕事、シフトだから。 出掛けられないし、家で勉強かな。 連休なんか、ない方がいいよ。 先生と会えないから」
「ふふ。 可愛い。 そんな事言われたら、とっても嬉しい」
 ペンを持つ私の手の上に、先生も手を重ねる。 すらっとした、大人の手。
「だって、ほんとだもん。 だから、休みの前に、いっぱいキスしてね」
「もちろんです。 でもね。 もし、お母様のお許しが出たら、ですけれど。 一緒に、温泉行きませんか。 お勉強の合宿、ということにして」
「えっ…行く。 行きたい。 絶対、行く。 お許し、出る。 すぐ出る。 勉強もするし」


 今から取れる温泉なんて、あるの?って聞いたら。 カード会社にお願いすると、急でも取れたりするんだって。 よく分かんないけど、かっこいい。
 もちろん、ママはいいって言った。 
 悪すぎる先生の入れ知恵で、お友達のお父さんの、保養所なんだってって嘘ついて。 二泊お食事付きで四千円なんだってって、また嘘ついて。 
 先生に、自分の分、払いますって言ったけど、本当に勉強頑張ってるからって言って、先生は受け取ってくれなかった。




 先生の水色の車で着いたのは、山や川の近くの、温泉宿。 温泉、たくさん行ったことあるわけじゃないけど。 何となく、ここは、
「お高いんでしょ…?」
「そんな事、気にしないで。 私が来たかったんです」
 先生、ご機嫌。 私は少し、びびってる。


 チェックインを済ませて、部屋に入る。
 和室に、大きなベッドが二つくっ付いてる。 大きな、二人で寝ても余裕がある、平たいソファ。 広いおしゃれな部屋、きれいな景色!
「すごい! すてき。 すごい。 こんな所、来たことない!」
 ソファの上で、ジャンプする。 ベッドの上、ごろごろ転がる。
 先生は、にこにこしている。
「喜んでもらえて、嬉しい。 連れてきた甲斐がありました」
「すごい、すごく、すてきな部屋。 先生、ありがとう」
 ぎゅうっと、抱き付く。 そのまま一緒に、ベッドに腰掛ける。 抱きついたまま、すりすりする。 先生の、いい匂い。 
「先生の匂い、好き…」
 なんだか、くっ付いてたら…
「ちゅーして、先生…」
「すぐ、欲しがる」
 ちょっと呆れたように笑って、でも、先生は私にちゃんと、キスしてくれる。
「んっ…」
 座ったまま、ぎゅっとお互いの背中に腕を回して、深く、キスをする。 どうせ、たくさんするんだから。 けちけちしないで、最初から、いっぱい舌を絡ませる。 


 酸欠になるほど、キス。
「先生…好き」
 唇が離れても、言いたい事は、いつも同じ。 好きなの。 キスしてる時、幸せ。 離れると、ちょっと寂しいから、体だけはくっ付けておく。
「私も。 大好き」
 先生も、ぎゅうっとしてくれる。 髪を、撫でてくれる。 子供扱いな気もするけど。 小さい頃から、あんまりギュッてされたり、頭を撫でてもらった記憶、ない。 ママは、ずっと忙しかったから。 先生は、私がしてほしい事、何でも分かって、してくれる。
「先生、温泉って、一緒に入ってもいいの?」
「まぁ。 おかしなことを。 女どうしだもの、いいでしょ」
「そうだった…」
 は、恥ずかしい。 そうだよね。 男女のカップルじゃないんだから、いいんだよね。 でも、先生は要注意。 釘を刺しておかないと。
「先生、温泉では、いたずらだめだよ。 絶対ね」
「わかってます」


 わかってるわけ、なかった。
 マンションの共用スペースで、「この高さなら外から見えないから、ベランダでもいやらしいことできまーす」って言う、先生だよ。 
 確かに、チェックインしてすぐ。 真っ昼間だから、人はほとんどいない。 でも、いるでしょ。 ゼロ人じゃ、ないでしょ。
 露天風呂の中、指で、腿の内側ぎりぎりを、さわさわ触る。 
「だめだってば」
「誰も、見てませんよ」
 見られたら、おわりだよ! 困った先生。 
 でも、見惚れるほど、きれいなの。
 今日、一緒に温泉に入る時、初めて先生の裸を見た。 顔が小さくて(知ってたけど)、腰が細くて(知ってたけど)、でも、腹筋なんて、ちゃんと縦線が入ってるの。 脚が長くて(知ってたけど)、かっこいい。 
 私、背が低くはないけど、貧相で、胸にもお尻にもお肉がなくて。 一緒に入るの、気後れする。
「入る前に、きれいにしたけれど。 背中だけ、流してあげます」
「う、うん」
 えー、どきどきする。 ていうか、私たち、周りからどう見られてるのかな。 姉妹? 友達? それとも、恋人同士?
 先生は、泡をたっぷり作って、手で背中を洗ってくれる。
「く…くすぐったい」
「せっかくのきれいなお肌、できるだけ擦らないようにしましょ」
 あわあわを、背中に転がす。 ふふっ。 くすぐったい。
「きゃっ」
 わざとでしょ! お尻、さわって!
「先生…」
 振り向くと、にこにこして、人差し指を口の前に当てている。 あっ、人がいるところでは、「先生」はよくない。 気を付けます。
 私も、同じように、背中を流してあげる。 真っ白でつるつるで、きれいな背中。 何気に、じっくり見るのは初めてかも。
 きれいな背中を丁寧に、もっときれいにしてから、思わずうなじにキスしてしまった。
「あら、珍しい」
「ごめんなさい…。 あんまり、きれいだったから」
「いいの、出たら、たくさんしましょうね」


 お揃いの、作務衣みたいな館内着に着替えて、手を繋いで歩く。 知ってる人、いないし。 手を繋ぐくらい、いいよね。
「あ、あのね。 部屋に戻ったら、お喋りしたい」
「いいですよ。 お勉強じゃなくて、ということね」
 そうです。 本当は、お喋りじゃなくて、他のことがしたいの。

 部屋に入った瞬間、先生に抱き付く。
 頭をぐりぐり擦り付けて、においつけ。 誰にも先生を貸してあげない。 先生はその間、髪を撫でてくれる。
「先生、好き。 温泉、すっごく気持ちよかった。 ありがとう」
「どういたしまして。 お礼が言えて、お利口さんですね」
 何でもかんでも、褒めてくれる。
「でも、この服、先生に似合わない…うふふ」
「本当。 普段のパジャマに着替えたいですけど、仕方ありません」
 先生は背が高くて、作務衣がつんつるてんなの。 2人で笑う。
「先生、しよ…?」
 先生は、そうですね、と言って私をお姫様抱っこしてくれる。 力持ち。 よいしょ、とベッドに下ろして、そのまま押し倒される。
 両手を繋いで、キス。 静かな部屋の中で、何度も何度も。 私は、どんどん息が荒くなる。 気持ち良くて、たまらない。
 二十分くらい、キスをした。 頭、ぼうっとする。 温泉でせっかくきれいにしたあそこは、きっとぐしょぐしょになっている。
「先生…して…」
 先生はまた私の唇を塞いで、右手をパンツの中に入れる。 やっぱり、すごく濡れている。
 指が、あれに触れる。 腰が、びくっと浮く。 気持ちいい…。
 先生は、気持ち良くてかたくなっているあれを、やさしく、時々少しだけ強く、しつこくしつこく撫でてくれる。 自分でするより、百万倍いい。 なんで先生は、自分の身体じゃないのに、私のことをとっても分かるの…?
「ん、んん、んっ」
 先生が、唇を離す。
「なあに?」
「いっちゃう…」
「いい子ね」
 長い指を、ずぶりと、挿れてくれる。
「ああっ」
 そして、大きく、動かしてくれる。
「せ、先生、いってるの、もう、もう大丈夫だから」
「そうね。 でも折角だから」
 指を、何度も何度も動かして。
「ちがうの、だめっ、もういいの、いってるから」
「うそつき。 だめじゃないでしょう。 先生、うそ、嫌いだって言いましたよね」
 罰として、私は、その後何度も何度も、いかされ続けてしまった。 罰が終わる頃には、信じられないけど、気持ち良すぎて、泣いていた。


「先生、ご飯、美味しかった…」
 お夕飯を終えて、手を繋いで、また部屋に戻る。
 なんか、食べるところ、一人一人に、メニューが書いてあるの。 これから、出て来るやつが、ズラーって。 全部、とんでもなく美味しかった。 お腹も、いっぱい。
 ベッドに転がる。 いい気分。 頭がほわほわする。 ごろごろ、転がる。
「食前酒で、酔ってますね」
「えー? 分かりません。 酔ってません」
 だって、飲んでいいから出てきたんでしょ。 甘くて美味しいから、先生の分も、貰ってしまった。
「先生も、お酒飲んでたでしょ。 お揃い、お揃い」
 脚を組んでベッドに座る先生に、転がって、くっ付く。
「先生…大好きだよ。 えっちしよ」
「お夕食の前に、したばかりよ。 もう少し、休みましょう」
「…はぁい」
 と言ったけど、えー、いやだ。 したいよう。 頭が、ほわほわしてるうちに。


 先生は、窓の方の椅子にひとりで座る。 部屋に持ってきてもらってあった、お酒を飲む。
「先生、私も飲んでみたい」
「だめ。 これは、大人の」
「大人だもん。 十八歳だよ。 めちゃめちゃ、えっちしてるし」
「お酒は、二十歳からです。 めちゃめちゃえっちな事してるかどうかは、今は関係ありません」
 けち。
 私は、先生に唇をくっ付ける。 舌を入れて。 椅子の上の、先生に跨って、ぎゅっと抱きしめる。
 先生も、舌で応じてくれる。
 気持ちいい。
 舌を絡ませたり、吸ったり、離したり。 くっ付ける度に、ちゅ、ぺちゃ、と音がする。 すごく、えっちな音。
「せんせ…  しようよぅ」
「もう、してるでしょ…」
 そうだね。 私たちは、わざといつもより音を立てながら、何度も何度もキスをする。
「ベッドで、しましょうか」


 ベッドに来たら、先生はすぐに私を脱がせてしまう。 
「電気、消そうよ」
「ふふ。 そうね」
 そう言って、常夜灯だけにしてくれる。 そして、先生も、そこで裸になる。
「先生…。 きれい」
「あれを着たままじゃ、気分が」
 二人で、ふふっと笑う。 あの、つんつるてんの作務衣じゃね。
 ぎゅっと抱き合う。 先生の肌、体温、匂い、全部気持ちいい。 ぎゅうっとしたら、もうこれだけで、いきそう。
「先生、好き。 全部好き。 気持ちいいよ。 ずーっと、裸でこうしてたい」
「本当ね。 私もよ。 かわいい人」
 先生の胸に、耳をくっ付ける。 先生も、どきどきしている。 私と同じように。 同じ気持ちなの? うれしいな。
 私はすぐそばにある、かわいいところに、舌を這わせてみる。 こないだ、先生からは「してあげてる時が気持ちいいから」と言われちゃったけど。 ここ、舐めてみたい…。
「あっ、こら」
 先生は、乳首を舐める私をちょっとだけ、叱る。 でも、パンツに手を伸ばした時より、全然嫌がってなさそうに見える。
「悪い子…」
 あぁ、なんか、すっごく興奮する。 先生のおっぱい、きれい。 乳首にたくさん唾液を付けて、舌で舐めまわすと、パンツの中のあれみたいに、かたくなっていく。 
 先生の息が、荒くなる。 ちらっと見ると、目を瞑って、人差し指を噛んで、我慢してる。 かわいい…!
 たまらなくなって、私は、自分のあそこに指を挿れる。 もちろん、ぐしょぐしょだ。 気持ちがよくて、指をぐいぐい、出し入れする。
「だめよ…。 私に、させて」
 先生が、私の指を抜かせてしまう。 先生は、ぬるぬるになった私の指、爪の先から指の股まで、丁寧に舐めてくれる。


 そして、私を座らせる。 先生は、私の足元に移動して、膝を開かせ、とろとろになったそこに、舌を。
「んっ!」
 腰が、浮く。 でも、先生に押さえつけられて、そのまま、続く。
「な、舐めちゃ、いやだ…。 きたないから…」
「温泉、入ったでしょ。 きれいですよ」
 そう言う問題じゃない! いや…そう言う問題かな?
 先生は、かたくなって主張するあれを、唇で、やさしく噛む。
「ひっ! いやっ!」
「痛かった?」
「ちがっ。 逆ですっ」
「よかった」
 よくない、だけどすっごく、いい。
 今度は、それを、吸う。
「あぁっ、へん、へんになる」
「大丈夫。 ならないから」
 なるよぅ。 なる。 気持ちいい。 
 先生の頭を、押さえつけてしまう。 もっと、そこを、いじめて。 やさしく、噛んで。
「あっ、あっ、いい、すごい」
 声、我慢できない。 好き。 もう、無理。 無理…。
「先生…。 頭、おさえて、ごめんなさい…」
「いいのよ。 気持ちよかったですね」
 先生は、私のせいで汚れた唇を指で拭く。 そして、またその指を舐める。 えっちだ…。
「先生。 うるさくして、ごめんなさい」
「いいの。 ここ、隣の声なんて聞こえませんよ。 不倫のカップルだって、たくさんいるんですから」
 そうなの? 悪い大人が集まる旅館だね。


「でも、生徒を連れて来てるのは、私くらいでしょうね」
 先生は裸のまま、くくっと笑う。 すっごく、悪い。 大好き。
「生徒だけど、恋人だもん…。 フリンより、悪くないもん」
「そうね。 私だけの恋人。 どこにも行ってはだめですよ」
 そう言って、先生は私にキスをした。 
 そんなの、こっちのせりふだよ。 私はまた、先生に抱きつく。 先生の胸も、私と同じくらい、まだどきどきしているようだった。
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