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第4章ー夏ー
季節外れの別れ
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3月26日
奏多は洋平にプレゼントを贈ろうと思いショッピングモールへと向かった。
「いらっしゃいませー」
「あのすいませんプレゼントしたいんですけどオススメってどれですか?」
「そうですね~こちらはシンプルなんですがワンポイントカラーが入っていますのでオススメですよ、ゴールドでしたらこちらの方が…」
「ありがとうございます、少し考えて決めてみますね」
「また、お決まりになりましたらお声かけ下さい。ごゆっくりどうぞ」
店員が去った後、2択で迷ったが結局決まらず、何も買わずにお店を出た。
お店を出てブラブラしていると洋平が誰かと歩いてるのを見つけた。声をかけようと人ごみをかき分けたが誰かと一緒だった。綺麗な顔でロングな髪の女の人。頭が真っ白になり虚ろな状態で家に帰った。
(誰なんだろう、洋平さんのあんな楽しそうな顔初めて見た…)
「彼女だったらどうしよう…」
頬をつたってく拭いきれない涙を零しながら夜を過ごした。
翌朝重たい瞼を擦りながら少し腫れ目で携帯の時間を確認した。すると洋平からメールが届いていた。
『今日会えるかな?一緒にご飯食べない?』
『会いたいです。』
『じゃあ、迎えに行くね』
奏多はモヤモヤした気持ちを抱えながら支度をして洋平が来るのを待った。
チャイムがなりドアを開けるといつもより身なりを整えた洋平の姿があった。
「おはよう奏多」
「おはようございます」
「ごめんね急に誘って、大丈夫だった?」
「はい、大丈夫でしたよ、」
(うわ、顔が引きつってないかなちゃんと笑えてるかな…)
洋平か何か思ったのか奏多の頬に手を添えた。
「体調悪くない?」
「大丈夫ですよ、それよりどこに行くんですか?」
「そうだね、奏多は何食べたいものとかある?」
「んー、特には」
「じゃあ、いつもの所行こうか」
そう言って洋平は奏多と手を繋ぎいつも行く珈琲屋に向かった。
「あそこね、サンドイッチが出たんだよこの前食べようと思ったけど奏多と食べたくてね、奏多とね」
「洋平さんってよく恥ずかしいこと言えますよね」
「そうかな」
お店につきサンドイッチといつものコーヒーを頼み食事を済ませた。
「奏多はこの後予定とか入ってる?」
「入ってないですよ」
「じゃあ…うち来ない?」
洋平の家に着き2人で映画を見ることにした。
「洋平さん」
「何、どうしたの?」
「キス…したいです…」
「いいよ」
そう言って洋平は奏多を自分の膝に乗せて軽いキスを交わした。
すると奏多はポロポロと涙が溢れだしてしまった。
「?!どうしたの?奏多具合悪い?」
「…違うんです、僕だけが洋平さんの事好きだと思ってて洋平さんは他に好きな人ができたんじゃないかって…」
「なんでそうなこと思うの俺はずっと奏多の事しか見てないよ」
「じゃあこの前のお店に一緒にいた女の人は誰なんですか!!」
「あぁ…」
「言えないんですか?!やっぱりその人と付き合っ…」
「まてまて落ち着いて奏多、その人とは付き合ってないよ」
「じゃあ誰なんですか…」
「…姉だよ」
「へ…?お姉さん…?」
「ちょっとまってて」
そう言って洋平は何かを取りに行った。戻ってきたら、小さな紙袋を持っていた。
「奏多、目瞑って手出して」
「はい」
目を瞑り洋平に手をさしだした。
すると右手の中指に違和感を感じた。
「目開けてみて」
「これって…」
「俺とお揃い。ペアリング」
奏多は再び涙が溢れ出した。
「実は姉と一緒にいたのはこれを買いに行ってたんだよ。俺の姉はそーゆー系のお店で働いてるから頼んだんだ」
「そうだったんですね…」
「ごめんな、心配させて」
洋平は奏多の頬に手を添え、軽いキスをした。
次の日洋平は東京に引っ越し、新生活を始めた。東京に行ってからお互い時間が合わなかったが連絡は欠かさずにしていた。奏多はなかなか会えなくなって辛かったが、次第にその生活にも慣れていった。
季節は変わり夏になった。奏多は相変わらずいつもの珈琲屋に通っていた。
「奏多君、今日機嫌いいね~何かあったの?」
「店長さん聞いてくださいよ~今度ね、洋平さんと久しぶりに会うんですよ!」
「それはそれは、楽しみだね」
「はい!その時は2人でここに来ますね!」
「ありがとうね、楽しみにしてるよ」
奏多はお店を出て家に帰ってそのまま眠りについた。
8月7日
洋平と予定が合ったのが8月9日だった。
奏多は服を買ったり買い物をして大学に行き一日が終わろうとしていた。夜、部屋が蒸し暑くて窓を開けると花火の音が聞こえたと同時に涼しい風が吹いてきた。奏多は窓に寄りかかり風に当たりながら花火を見た。
プルルルプルルル
電話の相手は洋平からだった。
「もしもし」
「もしもし奏多?今大丈夫だった?」
「大丈夫ですよ、どうしたんですか?」
「いや、今何してるのかなって」
「今は花火を見てますよ」
「そうかそうか」
洋平の様子がいつもとおかしく感じた。
「洋平さん何かあったんですか?」
「…ごめんね、結婚することになった」
「…え?」
「東京で久しぶりに初恋の人に会って付き合って、俺から結婚しようっていった。」
「そっか、おめでとうございます…お幸せに」
「ごめん、自分勝手で、俺奏多の事大好きだったよ」
奏多は電話を切った。
奏多の洋平に対する想いは花火のように儚く散っていった。
ポロポロとこぼれ落ちる大粒の涙を流しペアリングを握りしめながらボソッと言葉を発した。
「うるさいばーか…」
奏多は洋平にプレゼントを贈ろうと思いショッピングモールへと向かった。
「いらっしゃいませー」
「あのすいませんプレゼントしたいんですけどオススメってどれですか?」
「そうですね~こちらはシンプルなんですがワンポイントカラーが入っていますのでオススメですよ、ゴールドでしたらこちらの方が…」
「ありがとうございます、少し考えて決めてみますね」
「また、お決まりになりましたらお声かけ下さい。ごゆっくりどうぞ」
店員が去った後、2択で迷ったが結局決まらず、何も買わずにお店を出た。
お店を出てブラブラしていると洋平が誰かと歩いてるのを見つけた。声をかけようと人ごみをかき分けたが誰かと一緒だった。綺麗な顔でロングな髪の女の人。頭が真っ白になり虚ろな状態で家に帰った。
(誰なんだろう、洋平さんのあんな楽しそうな顔初めて見た…)
「彼女だったらどうしよう…」
頬をつたってく拭いきれない涙を零しながら夜を過ごした。
翌朝重たい瞼を擦りながら少し腫れ目で携帯の時間を確認した。すると洋平からメールが届いていた。
『今日会えるかな?一緒にご飯食べない?』
『会いたいです。』
『じゃあ、迎えに行くね』
奏多はモヤモヤした気持ちを抱えながら支度をして洋平が来るのを待った。
チャイムがなりドアを開けるといつもより身なりを整えた洋平の姿があった。
「おはよう奏多」
「おはようございます」
「ごめんね急に誘って、大丈夫だった?」
「はい、大丈夫でしたよ、」
(うわ、顔が引きつってないかなちゃんと笑えてるかな…)
洋平か何か思ったのか奏多の頬に手を添えた。
「体調悪くない?」
「大丈夫ですよ、それよりどこに行くんですか?」
「そうだね、奏多は何食べたいものとかある?」
「んー、特には」
「じゃあ、いつもの所行こうか」
そう言って洋平は奏多と手を繋ぎいつも行く珈琲屋に向かった。
「あそこね、サンドイッチが出たんだよこの前食べようと思ったけど奏多と食べたくてね、奏多とね」
「洋平さんってよく恥ずかしいこと言えますよね」
「そうかな」
お店につきサンドイッチといつものコーヒーを頼み食事を済ませた。
「奏多はこの後予定とか入ってる?」
「入ってないですよ」
「じゃあ…うち来ない?」
洋平の家に着き2人で映画を見ることにした。
「洋平さん」
「何、どうしたの?」
「キス…したいです…」
「いいよ」
そう言って洋平は奏多を自分の膝に乗せて軽いキスを交わした。
すると奏多はポロポロと涙が溢れだしてしまった。
「?!どうしたの?奏多具合悪い?」
「…違うんです、僕だけが洋平さんの事好きだと思ってて洋平さんは他に好きな人ができたんじゃないかって…」
「なんでそうなこと思うの俺はずっと奏多の事しか見てないよ」
「じゃあこの前のお店に一緒にいた女の人は誰なんですか!!」
「あぁ…」
「言えないんですか?!やっぱりその人と付き合っ…」
「まてまて落ち着いて奏多、その人とは付き合ってないよ」
「じゃあ誰なんですか…」
「…姉だよ」
「へ…?お姉さん…?」
「ちょっとまってて」
そう言って洋平は何かを取りに行った。戻ってきたら、小さな紙袋を持っていた。
「奏多、目瞑って手出して」
「はい」
目を瞑り洋平に手をさしだした。
すると右手の中指に違和感を感じた。
「目開けてみて」
「これって…」
「俺とお揃い。ペアリング」
奏多は再び涙が溢れ出した。
「実は姉と一緒にいたのはこれを買いに行ってたんだよ。俺の姉はそーゆー系のお店で働いてるから頼んだんだ」
「そうだったんですね…」
「ごめんな、心配させて」
洋平は奏多の頬に手を添え、軽いキスをした。
次の日洋平は東京に引っ越し、新生活を始めた。東京に行ってからお互い時間が合わなかったが連絡は欠かさずにしていた。奏多はなかなか会えなくなって辛かったが、次第にその生活にも慣れていった。
季節は変わり夏になった。奏多は相変わらずいつもの珈琲屋に通っていた。
「奏多君、今日機嫌いいね~何かあったの?」
「店長さん聞いてくださいよ~今度ね、洋平さんと久しぶりに会うんですよ!」
「それはそれは、楽しみだね」
「はい!その時は2人でここに来ますね!」
「ありがとうね、楽しみにしてるよ」
奏多はお店を出て家に帰ってそのまま眠りについた。
8月7日
洋平と予定が合ったのが8月9日だった。
奏多は服を買ったり買い物をして大学に行き一日が終わろうとしていた。夜、部屋が蒸し暑くて窓を開けると花火の音が聞こえたと同時に涼しい風が吹いてきた。奏多は窓に寄りかかり風に当たりながら花火を見た。
プルルルプルルル
電話の相手は洋平からだった。
「もしもし」
「もしもし奏多?今大丈夫だった?」
「大丈夫ですよ、どうしたんですか?」
「いや、今何してるのかなって」
「今は花火を見てますよ」
「そうかそうか」
洋平の様子がいつもとおかしく感じた。
「洋平さん何かあったんですか?」
「…ごめんね、結婚することになった」
「…え?」
「東京で久しぶりに初恋の人に会って付き合って、俺から結婚しようっていった。」
「そっか、おめでとうございます…お幸せに」
「ごめん、自分勝手で、俺奏多の事大好きだったよ」
奏多は電話を切った。
奏多の洋平に対する想いは花火のように儚く散っていった。
ポロポロとこぼれ落ちる大粒の涙を流しペアリングを握りしめながらボソッと言葉を発した。
「うるさいばーか…」
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