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中学編

※中三・啓蟄の次候②

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 イコの小さな手に夢中になる。

 細く肉付きの薄い、それでいて柔らかな手は猫を触った感触に似ている。桜貝みたいに小さく、すぐに損なわれそうな爪に何度もくちづけすれば、くすぐったそうに指が逃げようとする。俺から逃げないでくれ。手の甲へ頬をこすりつけ頬ずりする。
 インフルエンザや風邪にかからないようにと、何度となく洗い消毒して荒れてしまった手。少しずつよくなってきてはいるけれど、まだ痛々しさが残る。

「イコ、こんな可愛い、小さな手で……」

 イコはこの小さな手で冬に耐えているのだ、そのことがより愛おしく思わせる。
 この手で俺以外に触れないでほしい。他の何ものをも触れず、俺だけにこの指先を与えてほしい。

 俺の身も心も全部お前にやるから、お前を丸ごと俺にくれよ、イコ。

 唇で、歯で、舌で、思うさま味わえば、イコはもう言葉もない。うわずった息をしながら、とろんとした表情でこちらを見つめている。俺の腕の中で座る、か細く小さな女の子。
 そんな可愛い顔をされたら、なおさら止まれやしないだろう。

 腕の中、触れていた手を離して小さなあごを引き寄せ、くちづける。優しくなんかできない、唇を舐め、開いた隙に舌を差し入れる。

「んうっ!?」

 くぐもった小さな悲鳴すら可愛い。
 小さな口内を余すところなく味わい、舌でくすぐる。上あごのくぼみをくすぐれば、びくん、とイコの尻が跳ねた。可愛すぎてつい口元が緩む。

「っは、キスだけで、体びくびくするほど感じて……。本当にイコはキス好きだな」
「ん、すき、すきなの」

 目を潤ませてこちらを見上げながら、イコはきれぎれに口にする。その子どもじみたたどたどしさに、タブーを犯す興奮をあおられる。
 体の奥の凶暴な欲を自覚しながら、小さな体を抱えていた手をことさらゆっくり、肩から背中、腰、尻へとすべらす。

「イコは、俺に、どうされたい?」
「ふぁ……」

 耳元でささやけば、他愛もなく甘く啼く。

「どう、って、わかんない……」
「そうか、じゃあやりたいようにする」

 真っ赤になって身をよじるイコの尾てい骨のあたりを、指先で小さな円を描くように服の上からくすぐる。

「んっ、ふ、や、あっ!」
「嫌?」
「ぞくぞく、す、るぅ、んっ」

 気持ち良さそうに啼いてから我に返り、小さな手で自分の口元を抑えうつむいてしまう。

「声、我慢しないと、下に聞こえるな?」
「う、うう、うっ、あうんっ」

 尾てい骨の下、割れ目のはじまるあたりを指でぐりっと刺激すれば、すぐに声をこらえきれずあえぐ。小さな尻はとても可愛くて、生まれたてのネコやヤマネ、ネズミのようなしっぽがないのが不自然に思える。ちょろん、と細長いしっぽはきっと、イコのように気まぐれに動くんだ。
 イコ。
 可愛い、俺の、カヤネズミ。

「ひゃっ!?」

 ベッドへ腰掛け、ひざの上へイコを座らせる。背中から覆い被さるように抱え、頭の上へキスを落とす。

「声、我慢したいなら俺の袖を噛んでいろ。でなきゃ、俺の腕でも、指でもいい」

 イコの小さな歯に噛みつかれたら、痛みで正気に戻るだろうか。いや、正気どころかさらにイコへ酔うだろう。イコが与えてくれるなら、痛みでさえも嬉しいのだ。
 たとえイコの可愛い歯にのど笛を噛みちぎられたとしても、俺は恍惚の表情で死んでいくのに違いない。

 ああ、俺は本当にろくでもない。
 ごめん、イコ。
 俺はこんなろくでなしなのに、お前のことを離してやれない。

「え? うで?」

 戸惑うイコをそのままに、左腕で壊れそうな肩をかかえ、右手でイコのみぞおちをおさえる。

「逃がさないし」

 耳に囁きながら手をすべらせ、子宮があるだろう場所の真上に添え、しばらく温める。

「止めてやれない」
「たぁ、くん……?」

 獣みたいな荒い息が、自分の口から止まらない。
 イコが欲しい、どうしようもないくらい。
 今繫がろうとは思わない、でも欲しすぎて、優しくできる気がしないんだ。
 止めていた手をイコの、レギンスを履いた内ももへすべらせ、耳を舌でなぞる。

「ひゃ、あ、ああんっ」
「ほら、噛んでいろ」
「ふぐっ、う、うっ」

 イコを抑える左腕を口元まで近づけ、パーカーの袖を噛ませる。

「そうだ、いい子だな?」

 足をなでていた右手を引き上げ、レギンスのウエストから中へ侵入させていく。

「んふぅ!?」

 くぐもった悲鳴。

「イコ。キスしてたときから、濡れてるだろう?」
「んー! んぅんっ」

 滑らかな皮膚から柔らかい茂み、その先へと手を降ろし。

 くちゅっ。

 2人の荒い息が支配する部屋で、濡れた小さな音がなぜかはっきり耳を打つ。俺は中指を割れ目にそわせ、ゆっくり上下になでながらイコのを探る。

「ふうっ、うっ、うっ、んん!」

 敏感な突起を下からなぞりあげた瞬間、がくがくっ、とイコの体が大きくわなないた。うなじまで桃色に染めて体をくねらせ、荒い息をしながら必死に声を殺している。

「そのまま、声を我慢しないとだめだぞイコ」
「んっ、んん! ふっ、うっ、うっ、ふぅっ、うううっ!!」

 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅっ。

 濡れそぼった入り口をゆるくかき回しながらほぐし、ゆっくりと中へ中指を沈めていく。熱く柔らかいのに狭く、俺の指へきつく絡みつく。濡れた熱さに指が溶けそうだ。沈めてすぐのところ、腹側にざらざらとした場所がある。
 ああ、ここ、絶対気持ちいい場所だ……。
 反射的に挿入の快楽を考えて、イコの体に夢中になる。
 指の腹でそこをくすぐれば、びくびくと体全体で反応し俺の指を締め付けた。きつく甘い拘束に負けず指を動かせば、堪らないのかぎゅうっと内ももを閉じる。

「ここ、いいのか?」
「んんッ! ん、んうう!」

 耳にささやいても、袖をくわえてくぐもった声をあげるイコには答えられないけれど。

「そうか」

 勝手に答えを受け取って、イコの中をゆるく責め立てることに集中する。
 指に感じる熱く狭い場所は、愛撫するほどに濡れ柔らかくなっていく。俺を誘惑する、甘い感触。イコの女の部分。

 イコが欲しい。
 無理なのはわかってる、だから今はせめて。

「たくさん気持ちよくなろうな?」

 俺を受け入れられるようになってくれ、イコ。
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