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中学編
※不健康女子の中三・桃の節句②
しおりを挟む『イコが好きだ。イコが本当に嫌なら、やめても構わない。俺はイコの心も体も、全部欲しいんだ』
優しい岩並君。たぁくん。
でもやせ我慢なのがわかる。
私を見る目は肉食獣の目、覆い被さるたくましい大きな体が「逃がさない!」と全身で主張している。
大体、上は脱いだのに下は服着たままとか、もう私に見せられないくらいエラいことになってるんでしょう? たぁくんのたぁくんが。たぁくんまぁ大変。
大丈夫、逃げたりしない。雰囲気に吞まれてないとは言えないけれど、私だってたぁくんとくっついていたいのだ。
夏の終わりから冬の終わりまで、とても短い間に、もう岩並君の、たぁくんの存在が私の1番深いところへしっかり固定されてしまった。
失いたくない、失えないの。
あなたがいないと寂しい。
どうか私も、あなたの1番深いところへ置いて。
「触って。全身、残らず。たぁくんの、好きなだけ――――」
両手で触れた彼の頬はとても熱かった。
直後に襲うキスの雨。
「ああ、イコ、イコ……。 可愛い、好きだ、大好きだ、イコ、可愛い……」
顔中に降るキスの合間、切れ切れにかすれた声で名前を呼ばれ、好きだ、可愛いと延々ささやかれて照れてしまう。世界で1番魅力的とか言われちゃってどうすればいいですかね!
恥ずかしくて横を向き体を丸めれば、大きな手がレース越しに背中をなでてきて、変に甘い声が出る。
「これ変わってるな。背中全部レースなのか」
「うん……」
フロントホックのブラは、背中が全面ゴムレースになっている。寝転がっても背中が痛くないから、私はフロントホック愛用中。特にこれはお気に入りです!
「きれいだ。レースが似合う」
耳元でささやかれて、耳を優しくかじられて、気持ちよくて切なくてどうしたらいいのかわからない。
「あ……、たぁ、くん、んんっ」
レース越しに背骨を指でたどられる。
痩せて背骨浮いてるはず。きっとみっともないのにそのことを彼は何も言わず、優しく肩へ触れ私を正面に向かせる。
「ああ……白いな、どこもかしこも」
脇の下からゆっくりと、肌とブラの隙間へ人差し指が潜り込んでくる。上から入れられたそれは、指の背で私の肌をくすぐりながら、少しずつ前へと移動する。
「あ……」
唇がわななく。
だって、だって、そのままたどられたら、胸の先に彼の指が当たっちゃうよ。息がどんどんうわずっていく。体が勝手に緊張する。太くて長い岩並君の、たぁくんの指先が。
あ、あ、触っちゃう――。
ぱちん。
「えっ」
体を硬くしたそのとき、彼のもう片方の手が指先を下から潜り込ませ、フロントホックの留め具ごと引き上げた。プラスチックのホックは簡単にロックが外れ、次の瞬間には胸元が楽になって。
ブラが脱がされる。
「イコ……こんな、細いのに、ここだけふんわり柔らかそうだなんて……」
とろけた彼の声。
大きな両手が私の胸を包む。彼の手に私の胸は小さいだろうに、そんなこと気にもせずに、感触を確かめるみたいに揉む。
「ふわふわだ……」
怯えたみたいな小さな声。どうしたの、そう訊こうとした瞬間。
「あんっ!」
びりっと電流みたいに快感が走って、私ははしたない声をあげていた。彼が目を丸くする。私だってびっくりだ、なにこれ、AVみたいな声……!
「ここか? 真っ白な胸元で、ここだけ綺麗なピンク色だ」
「あ、あんっ、や、そこやぁ」
胸の先に彼の指がかすめるだけで、気持ちよくて声が抑えられない。なのに私の声は彼を駆り立てたらしく、私の胸を手で包みながら、彼は両の親指で、左右同時に私をくすぐる。
「あっ、あ、やあ、やだ、やだあっ!」
「嫌か」
「やぁ、きもちい、こえ、とまんな、あぁん、やらぁ」
「可愛い、イコ、指がかすめるだけでこんな……、敏感すぎるだろう」
「ん、ん、んぅ、あああっ、やあっ」
きゅっと口を引き結んで声を抑えようとしたけどだめだった。体がびくびく暴れまわる、怖くて後ろ手でぎゅうっと枕をつかむ。
ねえ怖い、指がかすめるだけ、くすぐられるだけで気持ちいいの、おかしくなりそうだよ、たぁくん、たぁくん、助けて。
私の足の間に膝をついている彼の足へ、両膝を、足をこすりつけ絡めて救いを求める。
セックスってこんな気持ちいいの、胸の先だけで訳がわからないくらい気持ちいいのに、じゃあ、もうぐしょぐしょの勝負パンツの中、触られちゃったらどうなっちゃうの。
彼の大きな親指の腹で胸の先を転がすようになでられて、刺激の強さに叫びそうになった時、彼の舌が口に入ってきた。叫びを封じられこわばる舌をくすぐられる。
視界がぐちゃぐちゃだ、彼の手と舌が熱い。キスをむさぼりすぎて、2人して獣みたいに荒い息になる。
ぱたりぱたりと大粒の汗が落ちてきた。
「いわ、なみく……」
「呼び方」
声をあげすぎてカラカラになってしまったのどにつばを飲み込んで、もう一度大好きな人を呼ぶ。
「たぁくん」
「うん」
少し眉を寄せて、何かに耐えるような顔で、彼は私を見下ろした。私はすぐ近くにあるがっしりした肩に手を触れる。汗で濡れた肌、筋肉の隆起。指先が幸せ。
「熱いの? 脱げばいいのに」
「ああ」
熱い息を吐いて、たぁくんは私の胸の間に額をつけた。そのまましばらく動かなくなる。祈るみたいに。どうしたのかな、私は彼の頭を抱きしめる。
「イコに」
「うん」
「嫌われたくないんだ」
「ええ?」
これだけのことしておいて、いまさら何を言ってるんでしょうかねこの人!
「イコが可愛すぎて、ちょっともう、見せるのをためらうくらいになっていて」
「はあ」
やっぱり。
「その、元々、俺のは他より大きめらしいし」
巨根! ここに来て巨根の自己申告ぅー!! ここ笑っちゃダメなとこなのに笑いそうになるよう! 腹筋ぴくぴくするぅ!
「イコが怯えたり逃げたりしないだろうか、俺を避けたりしないだろうかって」
「見せてもらえるならかぶりつきで見ますけれども」
「えっ」
「いやめっちゃ興味ありますよ岩並君の岩並君!」
「呼び方!」
「たぁくんのたぁくん?」
「それもやめろ」
「何ですかあなた私にそのまま言えと」
「言わなくていい!」
「もー、まどろっこしいなあ!」
私は胸元でもごもご言っていた彼の短い髪をぐちゃぐちゃにかき回す。
「さっさとちんちん出せ!」
「ちょ、イコ、やめ」
私の手から逃れようとするたぁくんの頭を、執拗に追いかけて、くしゃくしゃくしゃっ! と攻撃を続ける。
「ほーら、早く、たぁくん!」
「まて、やめ、もう、イコ!」
私の手から逃れ、彼がその大きな体から声を絞り出す。
「お前、ほんと、ムードないな……ッ!」
「でも、好きでしょ?」
ぐうっと言葉に詰まってから、彼は小さい子どもみたいにこっくり頷いた。
「イコが、好きだ」
「えへへ♡」
愛しの大柄むきむき眼福イケメン(しかも上半身裸)のかわゆい様子に、私はなんだかとってもメロメロになってしまった。
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