13 / 108
A棟 VS F棟
蜘蛛の糸
しおりを挟む
結局、部品はない。
やっと緑サービスが来たことで順調に進んでいたのにだ…。
そう、マシンが壊れた訳じゃない。部品さえあれば生産再開出来る。
しかし頼みの綱が絶たれた。
いや待て。
ふと佐伯の顔を思い出した。
「お前の友人の川田は私の甥」
そしてそこから引き抜きになった秋沢。
出田を土井に任せ、すぐに女子ロッカーに向かい自分の車のキーを取る。
距離、たった5キロ。
一瞬躊躇ったがエンジンを蒸す。
国道を走り、秋沢に電話をする。
賭けだった。
「もしもし、実は部品切れになってしまって、ラインが止まりそうなんです。
それで許可が欲しいんですが」
『許可?』
「秋沢さんの前の会社から部品を分けて頂けませんか?」
『無理だろ…確かにうちの現場の取引先はフルムーン社だが、管轄が違う!』
「実は私の友人が勤めていて、その人は佐伯さんの甥っ子さんらしいんです。
このままでは納期が遅れますし、なんとか交渉していただけませんか?」
一瞬の沈黙の後、『かけ直す!』と言い秋沢は電話を切った。
到着まで後3分。
川田からのメールの方が早かった。
『部品、用意しておく!』
助かった!
続いて佐伯から着信。
『話がついた。二度とこんな無茶はするな。
後に使用した分は返却する事になっているから無駄に使うなよ』
「ありがとうございます!」
川田の勤める大手メーカー、フルムーン。
実は、その企業こそが我々F棟の取引先であったのだ。
最も、依頼主は他県のフルムーン社の部署であったが、同企業の中と言う事ですぐに話がついたのである。
お客様を待たせるわけには行かない。
自分の下請けの部品の手配など、大手メーカーはある意味寛容であった。
秋沢と川田の人当たりも幸をそうしたのだろう。
佐伯の電話をきった頃フルムーン社に到着した。
やっと緑サービスが来たことで順調に進んでいたのにだ…。
そう、マシンが壊れた訳じゃない。部品さえあれば生産再開出来る。
しかし頼みの綱が絶たれた。
いや待て。
ふと佐伯の顔を思い出した。
「お前の友人の川田は私の甥」
そしてそこから引き抜きになった秋沢。
出田を土井に任せ、すぐに女子ロッカーに向かい自分の車のキーを取る。
距離、たった5キロ。
一瞬躊躇ったがエンジンを蒸す。
国道を走り、秋沢に電話をする。
賭けだった。
「もしもし、実は部品切れになってしまって、ラインが止まりそうなんです。
それで許可が欲しいんですが」
『許可?』
「秋沢さんの前の会社から部品を分けて頂けませんか?」
『無理だろ…確かにうちの現場の取引先はフルムーン社だが、管轄が違う!』
「実は私の友人が勤めていて、その人は佐伯さんの甥っ子さんらしいんです。
このままでは納期が遅れますし、なんとか交渉していただけませんか?」
一瞬の沈黙の後、『かけ直す!』と言い秋沢は電話を切った。
到着まで後3分。
川田からのメールの方が早かった。
『部品、用意しておく!』
助かった!
続いて佐伯から着信。
『話がついた。二度とこんな無茶はするな。
後に使用した分は返却する事になっているから無駄に使うなよ』
「ありがとうございます!」
川田の勤める大手メーカー、フルムーン。
実は、その企業こそが我々F棟の取引先であったのだ。
最も、依頼主は他県のフルムーン社の部署であったが、同企業の中と言う事ですぐに話がついたのである。
お客様を待たせるわけには行かない。
自分の下請けの部品の手配など、大手メーカーはある意味寛容であった。
秋沢と川田の人当たりも幸をそうしたのだろう。
佐伯の電話をきった頃フルムーン社に到着した。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
鳴瀬ゆず子の社外秘備忘録 〜掃除のおばさんは見た~
羽瀬川璃紗
経済・企業
清掃員:鳴瀬ゆず子(68)が目の当たりにした、色んな職場の裏事情や騒動の記録。
※この物語はフィクションです。登場する団体・人物は架空のものであり、実在のものとは何の関係もありません。
※ストーリー展開上、個人情報や機密の漏洩など就業規則違反の描写がありますが、正当化や教唆の意図はありません。
注意事項はタイトル欄併記。続き物もありますが、基本的に1話完結、どの話からお読み頂いても大丈夫です。
25年1月限定で毎週金曜22時更新。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる