上 下
56 / 89

52.5第一次バリアス王国VSサンザー帝国の戦争(追加)

しおりを挟む
辺境の町トマス郊外の平野に続々とバリアス王国側の軍が集結しようとしていた。
サンザ―帝国とバリアス王国の国境の境は平野に流れるエルベ川であった。この川に掛けられた橋はあったが大群が一気に通れるような橋ではなかったのだ。そのうえ元々この時期は川の流水量が少なく幅はあったが歩いて川を渡れるほどであった。
その結果両岸の小高い岸にそれぞれの軍が終結したのである。
バリアス王国側は辺境軍8千人に各領地の軍が8千人、それに常々国境に配されている王国軍8千人、あわせて2万4千人が終結していた。一方サンザ―帝国は2万人をこの戦に送った。荒ぶる騎士や馬たちの熱気にあてられ緊張が両軍を包み込む。
その緊張が一気にはじけたように戦争が開始されたのは朝の10時ほどだった。
最初は両軍弓兵による弓攻撃であった。雨あられとふる矢を両軍の兵士たちの盾持ち兵が一斉にふせいだ。
さらにこれに遠距離攻撃魔法がこれまた両軍から魔法使いによって放たれる。

「ファイアーストーム!」

「アイスアロー!」

「ウインドカッター!」

そしてついに小高い丘を両軍が馬で駆け下りて槍や剣の接近戦が始まった。サンザー帝国群は真ん中の軍が突進しバリアス王国の軍を食い破ろうとした。だがここでバリアス王国側はこれに左翼の軍が同きサンザー帝国の軍に襲い掛かる。それを見たサンザ―帝国軍は左右の軍が動きバリアス王国軍の兵士を切りころそうとした。
それは激しい合戦だった。どちらも家の名と自分の誇りそして国の存亡をかけていた。
サンザ-帝国の中央軍に両翼の軍とバリアス王国の左翼軍で死力をかけて大混戦となった時、いつの間にかばリアス王国側の右翼軍が横からサンザー帝国軍を一気に急襲したのだ。
さらにバリアス王国の中央軍が、サンザー帝国軍の背後にいつの間にかまわり、背後から逃げ道を断つように襲い掛かったのだ。
サンザ―帝国軍側は「しまった!」と気づいたときは遅く次々とサンザー帝国兵は打ち取られていった。
これはサンザー帝国側の軍師の采配ミスであったが、その結果はサンザー帝国にとって暗澹たるものだった。
日が落ちかけたとき戦はバリアス王国側の勝利で決まった。河川上には死者が累々とよこたわっていた。
こうして第1次バリアス王国対サンザ―帝国の戦はバリアス王国側の大勝利で終わった。
サンザ―帝国の死傷者は優に1万5千人以上を超え、対してバリアス王国の死傷者は3千人以上であった。
勝ったとはいえそれでも死傷者は出たのである。その中にアドラスの父ヘンリー・ミュラー子爵がいた。彼は剣を持つ側の手、右腕を敵兵によって切り落とされたのだ。
そのほかにもミュラー領のもので此度の戦で死傷者が出た。
こういう時こそ医療ギルドの出番だったし、薬師ギルドや医者の出番だった。むろんこの戦いにこれらのものが同行していたのは言うまでもなかった。
彼らはその場でできる治療を、精いっぱいポーションを使ったりしてしたのである。
それでも助けられないものは大勢いた、光魔法で傷を治したのにあまりの出血で翌日には死んでいくものが多かったのだ。そういう時医療ギルド員や薬師、医者は己の無力を悟るのであり、戦争の無常さに心の中では打ちのめされるのであった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。 そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。 なんでも見通せるという万物を見通す目だった。 目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。 これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!? その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。 魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。 ※他サイトでも連載しています。  大体21:30分ごろに更新してます。

 殺陣を極めたおっさん、異世界に行く。村娘を救う。自由に生きて幸せをつかむ

熊吉(モノカキグマ)
ファンタジー
こんなアラフォーになりたい。そんな思いで書き始めた作品です。 以下、あらすじとなります。 ────────────────────────────────────────  令和の世に、[サムライ]と呼ばれた男がいた。  立花 源九郎。  [殺陣]のエキストラから主役へと上り詰め、主演作品を立て続けにヒットさせた男。  その名演は、三作目の主演作品の完成によって歴史に刻まれるはずだった。  しかし、流星のようにあらわれた男は、幻のように姿を消した。  撮影中の[事故]によって重傷を負い、役者生命を絶たれたのだ。  男は、[令和のサムライ]から1人の中年男性、田中 賢二へと戻り、交通警備員として細々と暮らしていた。  ささやかながらも、平穏な、小さな幸せも感じられる日々。  だが40歳の誕生日を迎えた日の夜、賢二は、想像もしなかった事態に巻き込まれ、再びその殺陣の技を振るうこととなる。  殺陣を極めたおっさんの異世界漫遊記、始まります! ※作者より  あらすじを最後まで読んでくださり、ありがとうございます。  熊吉(モノカキグマ)と申します。  本作は、カクヨムコン8への参加作品となります!  プロット未完成につき、更新も不定期となりますが、もし気に入っていただけましたら、高評価・ブックマーク等、よろしくお願いいたします。  また、作者ツイッター[https://twitter.com/whbtcats]にて、製作状況、おススメの作品、思ったことなど、呟いております。  ぜひ、おいで下さいませ。  どうぞ、熊吉と本作とを、よろしくお願い申し上げます! ※作者他作品紹介・こちらは小説家になろう様、カクヨム様にて公開中です。 [メイド・ルーシェのノルトハーフェン公国中興記]  偶然公爵家のメイドとなった少女が主人公の、近世ヨーロッパ風の世界を舞台とした作品です。  戦乱渦巻く大陸に、少年公爵とメイドが挑みます。 [イリス=オリヴィエ戦記]  大国の思惑に翻弄される祖国の空を守るべく戦う1人のパイロットが、いかに戦争と向き合い、戦い、生きていくか。  濃厚なミリタリー成分と共に書き上げた、100万文字越えの大長編です。  もしよろしければ、お手に取っていただけると嬉しいです!

いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太
ファンタジー
 ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。  ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。 人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】 前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。 そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。 そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。 様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。 村を出て冒険者となったその先は…。 ※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。 よろしくお願いいたします。

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_

Lizard
ファンタジー
Battle Frontier Online ――― 通称、『BFO』 過去に発売されたVRゲームとは一線を画す最新型VRMMORPG。 過去最大最高規模の世界、そして圧倒的な動作の正確性を売り文句に発売されたゲームだ。 主人公、18歳の覇城龍成(ハジョウリュウセイ)は友人でありプロゲーマーである赤羽彰太から貰ったBFOのために開発された最新型VRヘッドギア―――『VR-EX』でBFOをプレイする。 彼自身は自分が普通の高校生だと思っているのだが、彼は父から「覇城」という剣道の流派の技術を教え込まれており、さらに彼自身が「面白そうだから」という理由で合気道や柔道などのいくつかの武術を習っていたため、その戦闘技術は友人達が「コイツなら銃弾の飛び交う戦場でも素手で敵将とれんじゃね?」と評価するほど。 若干ハーレム要素、戦闘狂要素ありの冒険が、 今、始まる――――― ※他サイトで投稿させていただいているものです

処理中です...