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36医療ギルド
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「2番目の患者さんどうぞ」
幅広の木の衝立で遮られ、待合席に腰を下ろしていた2番目の患者は、裕福な商人の女性に見えた。侍女の肩に手を置いて、右足を引きずるようにやってくると、患者用いすにやっと腰を下ろした。
「実は昨日家の中を歩いていたら、子供のおもちゃにきずかず躓きまして、足をひねくり転んでしまったんです。」
「捻挫ですか、右足首を見せてください」
「はい」
患者はおとなしくスカートのすそをめくり足首を見せた。最初から靴下をはいてなかった。
患部はひどくはれ上がっている。
<俺の前世の経験からすると、ギブスはめて全治1か月だな。>
「捻挫ですね、ほかにいたいところはありますか」
「いいえ、右足首だけです」
「わかりました。オーリ、ヒールをかけて」
「ギルド長がやってくださらないんですか?」
「私がやってもいいですが、助手のオーリでこの程度十分治りますよ、それに私がやると技術料が高くつきますがいいですか?」
何か迷ってるらしい太めのご婦人は
「わかりました助手の方にお願いします」
助手のオーリは患者の前に進み出て右足にヒールをかけた。
「ヒール」という言葉と共に、光魔法にはおとるが薄い金色の光がパーッとそそがれると、患者は見る間に痛みがなくなり、足のひどい晴れが見事になくなっていった。
アドラスはそれを見て、ヒールでもかなりの有効性があることを知った。
「ありがとうございました」
患者は代金を支払うと、来た時とは違い両足でしっかりと歩いて、侍女を連れて帰っていた。
「お次の患者さんどうぞ」
今度はアドラスが患者さんをよんでみた。
3番めの患者さんは、アドラスより年の大きい10歳くらいの女の子が、母親に連れられてやってきた。
「それが娘が外で遊んでいたら、とつぜんスパッと誰もいないのにふくらはぎが切れたと申しまして、血は不思議と出てなかったんですが、」
「ベッドにうつ伏せに寝てふくらはぎを見せてください、先ずは包帯をとりますね、」
オーリがベッドに腰を下ろした少女に膝まずいて包帯代わりの白い布をとった。
少女は言われたとおりにベッドにうつ伏せ背に寝て、右足の患部を見せた。
少女の右ふくらはぎは、まるでナイフで切られたがごとく、長さ5センチほど深くスパッと切れていた。不思議な事に血の後は全然ない。白い肉が見えるのだ。
「これはかまいたちにやられたものですね、だいじょうぶ跡形もなく傷を治しますからね。まずは傷口を洗い消毒します」少女と母親はそれを聞いてほっとした顔になった。
オーリが少女のふくらはぎのしたにたらいをおき、水魔法で水を出して患部を洗い流し消毒用に煮詰めた高濃度の酒で消毒し、コットンをピンセットでつまみ幹部の水けをふく。
「はい、では直します。ヒール!!」
オーリがかけたヒールで跡形もなく傷跡はきれいさっぱりなくなった。
「まあ、傷跡が残ってない、やっぱり医療ギルドに来てよかったわ、嫁入り前の女の子の体に傷が残ったら大変ですもの!」
「ありがとうございます」女の子と母親は頭を下げた。
親子ずれは代金を支払い「よかったね、よかったね」と言いながら帰っていった。
「どうですか初めて医療ギルドの仕事を見た感想は?」
ギルド長にそう尋ねられたアドラスは、
「一口に病気けがと言っても様々な患者が来るんですね、内容が千差万別です、
医師ではこれ以上どうにもならない患者や、医師が怪我は直しても傷跡が残るとかこれ以上は医療ギルドの範疇の患者が来るんですね。」
「ええそうです、だからこそ医療ギルドは必要なのですよ。わかっていただけて私もうれしいです、御父上によろしく行っといてくださいね。」
「はい父にそう言っときます」
領主をよいしょするのを忘れない医療ギルド長だった。
そして患者が来ない暇な時間に、アドラスはヒールの魔法を習った。
最初こそうまく発動しなかったがそれでも次第にほんわかした熱に包まれると、今度は窓辺の鉢植えのマーガレットにヒールを放ってみると、つぼみ状態だったの花が次々と咲きだしたのだ。
「やりましたね、ヒールがうまく発動したんです。」
「これでどれくらいのけがが直せるんですか?」
「切り傷程度ですね、ご存じだと思いますが光魔法でもすべての病気が直せるわけではないのです。特にに感染症はは直せませんし毒に関してもそうです、明らかに医師か薬師にかかった方が治る病気もあるのです。」
「むつかしいですよね、」
<俺前世医師になりたかったんだよね、でも医学部に行くだけの金がなくて情報工学科にしたんだ。この世界の技術は日本転移の後暗黒時代が訪れて日本の技術が失われたんだ、今は18世紀前半という感じだな、でも薬に関してはこの世界の植物を研究した日本の漢方学が残ってるんだよね>
幅広の木の衝立で遮られ、待合席に腰を下ろしていた2番目の患者は、裕福な商人の女性に見えた。侍女の肩に手を置いて、右足を引きずるようにやってくると、患者用いすにやっと腰を下ろした。
「実は昨日家の中を歩いていたら、子供のおもちゃにきずかず躓きまして、足をひねくり転んでしまったんです。」
「捻挫ですか、右足首を見せてください」
「はい」
患者はおとなしくスカートのすそをめくり足首を見せた。最初から靴下をはいてなかった。
患部はひどくはれ上がっている。
<俺の前世の経験からすると、ギブスはめて全治1か月だな。>
「捻挫ですね、ほかにいたいところはありますか」
「いいえ、右足首だけです」
「わかりました。オーリ、ヒールをかけて」
「ギルド長がやってくださらないんですか?」
「私がやってもいいですが、助手のオーリでこの程度十分治りますよ、それに私がやると技術料が高くつきますがいいですか?」
何か迷ってるらしい太めのご婦人は
「わかりました助手の方にお願いします」
助手のオーリは患者の前に進み出て右足にヒールをかけた。
「ヒール」という言葉と共に、光魔法にはおとるが薄い金色の光がパーッとそそがれると、患者は見る間に痛みがなくなり、足のひどい晴れが見事になくなっていった。
アドラスはそれを見て、ヒールでもかなりの有効性があることを知った。
「ありがとうございました」
患者は代金を支払うと、来た時とは違い両足でしっかりと歩いて、侍女を連れて帰っていた。
「お次の患者さんどうぞ」
今度はアドラスが患者さんをよんでみた。
3番めの患者さんは、アドラスより年の大きい10歳くらいの女の子が、母親に連れられてやってきた。
「それが娘が外で遊んでいたら、とつぜんスパッと誰もいないのにふくらはぎが切れたと申しまして、血は不思議と出てなかったんですが、」
「ベッドにうつ伏せに寝てふくらはぎを見せてください、先ずは包帯をとりますね、」
オーリがベッドに腰を下ろした少女に膝まずいて包帯代わりの白い布をとった。
少女は言われたとおりにベッドにうつ伏せ背に寝て、右足の患部を見せた。
少女の右ふくらはぎは、まるでナイフで切られたがごとく、長さ5センチほど深くスパッと切れていた。不思議な事に血の後は全然ない。白い肉が見えるのだ。
「これはかまいたちにやられたものですね、だいじょうぶ跡形もなく傷を治しますからね。まずは傷口を洗い消毒します」少女と母親はそれを聞いてほっとした顔になった。
オーリが少女のふくらはぎのしたにたらいをおき、水魔法で水を出して患部を洗い流し消毒用に煮詰めた高濃度の酒で消毒し、コットンをピンセットでつまみ幹部の水けをふく。
「はい、では直します。ヒール!!」
オーリがかけたヒールで跡形もなく傷跡はきれいさっぱりなくなった。
「まあ、傷跡が残ってない、やっぱり医療ギルドに来てよかったわ、嫁入り前の女の子の体に傷が残ったら大変ですもの!」
「ありがとうございます」女の子と母親は頭を下げた。
親子ずれは代金を支払い「よかったね、よかったね」と言いながら帰っていった。
「どうですか初めて医療ギルドの仕事を見た感想は?」
ギルド長にそう尋ねられたアドラスは、
「一口に病気けがと言っても様々な患者が来るんですね、内容が千差万別です、
医師ではこれ以上どうにもならない患者や、医師が怪我は直しても傷跡が残るとかこれ以上は医療ギルドの範疇の患者が来るんですね。」
「ええそうです、だからこそ医療ギルドは必要なのですよ。わかっていただけて私もうれしいです、御父上によろしく行っといてくださいね。」
「はい父にそう言っときます」
領主をよいしょするのを忘れない医療ギルド長だった。
そして患者が来ない暇な時間に、アドラスはヒールの魔法を習った。
最初こそうまく発動しなかったがそれでも次第にほんわかした熱に包まれると、今度は窓辺の鉢植えのマーガレットにヒールを放ってみると、つぼみ状態だったの花が次々と咲きだしたのだ。
「やりましたね、ヒールがうまく発動したんです。」
「これでどれくらいのけがが直せるんですか?」
「切り傷程度ですね、ご存じだと思いますが光魔法でもすべての病気が直せるわけではないのです。特にに感染症はは直せませんし毒に関してもそうです、明らかに医師か薬師にかかった方が治る病気もあるのです。」
「むつかしいですよね、」
<俺前世医師になりたかったんだよね、でも医学部に行くだけの金がなくて情報工学科にしたんだ。この世界の技術は日本転移の後暗黒時代が訪れて日本の技術が失われたんだ、今は18世紀前半という感じだな、でも薬に関してはこの世界の植物を研究した日本の漢方学が残ってるんだよね>
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