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温泉が好き!
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しおりを挟む「ふ~、いい湯だな~」
なんてつい言葉が漏れてしまったサティは温泉を満喫していた。
魔王に言われたから調査をしているだけで決して遊んでいる訳ではないのだとい
う免罪符を持っているので落ち着いたものである。
サティがここへやって来てすぐに出て来た三人娘に案内されて部屋へと通された
ら何かが始まるのかと思ったが何も起きる事もなく、部屋の中を調べてはみたが
何があるという訳でもなかった。ただ靴を脱ぐ事を強要されたぐらいしかここへ
来てからサティがされた事はない。
何かが起こる事を期待していたサティにとってそれはつまらない状況である。
この状況を打破すべく部屋を出たサティは中をとりあえず歩き回り、戸を開けて
回るという行動に出たが誰も居ないし、何も言われなかった。相手の目的がまっ
たく分からない事にイライラしながらもサティは辿り着く。
「まじか、温泉があるじゃん」
温泉がそこにあるのに入らないなんて事はあり得ない選択だとサティは思ってい
る。だからすぐにMAPPAになって湯に飛び込んだ。
「いやっほ~い」
実に素晴らしいお湯である。この肌にまとわりつくような感覚でありながらも、
さらりとした独特なお湯は体を包み込むようで、まるで母親のような母性を感じ
る。母に抱かれて眺める景色は開けていて、どこまでも広がる空のように気持ち
も解放してくれる。もうこのまま何もせずにここで暮らすのもいいかもしれない
と思ってしまうくらいだ。
「ん? なんだここは温泉か? 誰か居るのか? 」
そんな声に振り返ればそこには人間がいた。
そして思い出すのだ、こんなにのんびりしていてはいけないという事を。
すぐそばは人間の国があるのだから、絶対にここを死守しないといけないのであ
る。だからサティはすぐに戦闘態勢に入った、MAPPAで。
123、相手は3人。
今彼女に武器もなければ防具もない、MAPPAな状態だ。
相手は一応に武器も防具も装備していて、MAPPAではない。
それでもサティが彼らに負けるなんて事は1ミリもないのだ。
それはMAPPAだからという事でもないがMAPPAだからという事でもあった。
「女? これは失礼した」
そう言って目を逸らした男。
「いや、あれは魔族だぞ! 」
サティに気付いた男。
「俺、温泉好きなんすよ! 」
温泉好きな男。
決着は一瞬でついた。
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