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I'll be back
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しおりを挟む「お疲れさん、どうだこの後一杯? 」
おやっさんが俺を飲みに誘ってくれた。
「行きます! 」
俺は即答した。食事代が浮く、それだけの理由で俺はおやっさんにお供する。
おやっさんは酒癖が悪いがとてもいい人だ。どこの誰だか分からない俺を何も
言わずに置いてくれてた。
肉体労働は辛いが、それでも何とか寝る場所と食べ物がちゃんとある生活は
なんとも人として生きていると実感できてとてもいいものだ。
俺がここに来るまでは、とても人の暮らしなんて呼べる代物ではなっかた。
この世界へは一体何度目の転移だっただろうか? 自分の命を守る事ばかりを
考えての生活は記憶に残したくない程、過酷なものだった。
そもそも俺がどうしてこんなに転移を繰り返しているのかと言えば、それはあの
魔法使いと出会ってしまった事から始まる。
*****
俺は元々山間にある小さな村の農民だった。
普通に畑仕事して毎日を過ごし、その内、嫁を貰って、家庭を築く。
そんな人生を約束されていたはずだった。
ある日俺は薪を拾いに山に入ったら、誰か人が倒れていた。
当然俺は助けた。こんな所で女が倒れていたら誰だってそうするだろう。
気が付いた女は礼を言い、家に来て欲しいと言った。
俺は了承した。
また倒れられても困るし、邪な気持ちもちょっぴり、いや少し? 多少はあった
と思う。まあ、何かしらの展開は期待してついて行った。
それは女の家は随分と山の奥にあり「こんな所に家なんてあったのか」と驚く。
女は俺を家へ入れるとお茶を出してくれた。俺はそれを有難く頂く。結構歩いた
ので喉が渇いていたのだ。
そして気を失った。
目が覚めると俺は手足を固定されて動けなくされていた。
「何だこれは! おい、どういうつもりだ! 恩人に向かってこんな事をしていい
とでも思っているのか! 早くこれを外せ! 」
俺はどうにかしようと力一杯動いてみるが、ビクともしなかった。
「そんな事をしたってそれは外れないわよ、魔法で止めているんだから」
「魔法? 」
「そうよ。私、魔法使いなの。ちょっとした実験をしたくてね、丁度いいのを探し
ていたのよ」
「実験だ? 一体何をするつもりだ! 」
「大したことじゃないわ。アンタの身体を移転しやすくしてあげるのよ? こんな
事、そうそうないのよ? 感謝しなさい」
魔法使いはそう言うと俺の身体をいじくり出す。
「うわあああ、やめろーーー! 」
「うるさいわね、失敗しても知らないわよ? 」
「やめてくれ~~~! 」
懇願も空しく、俺の身体は改造され、移転する人生が始まった。
*****
おやっさんに無理やり飲まされた俺は二日酔いだった。
それでも仕事はしないといけないので、気合を入れてアスタコに乗った。
するとグラグラと世界が揺れる。
二日酔いの所為かとも思ったが違う、これは転移する前兆。
そして俺は何度目になるのか分からない転移をした。
*****
目を開けた俺の前に見覚えのある家が建っていた。
そして、家から人が出て来る。
「何よこれ? 新種のドラゴン? 」
その女を俺は知っていた。
そう、俺をこんな身体に改造した魔法使いだ。
俺は怒りで手が震える。どうしてやろうか?
そして自分が今アスタコに乗っている事に気付いたら、てが勝手にレバーを動か
していた。さんざんやって来た動作だ。目を瞑ってでも出来る。
「え、何! 何! 何なの! 」
魔法使いは何が起きているのか分かっていない様子だが、俺には関係ない。
俺はアスタコをつかって魔法使いの家の解体を始める。
「え、止めて、止めてよ~! 中に大事なものがいっぱいあるのよ! 」
いくら叫ぼうとも止める気など俺にはない。
俺が懇願した時、お前は無視した。だから俺も無視て解体を続ける。
そして、瓦礫の中で呆然と立つ魔法使いを見て俺は言ってやる
「ざまあ見やがれ! 」
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