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 ゴーン ゴーン ゴーン
 
 
 夜更けに私は家を出た。
 最後に自分が育った家を見る。
 この家にさしたる思い出などないけれど、もう戻って来ないのだと思えば
 少しは愛着が沸いて来るものだ。
 
 
 ゴーン ゴーン ゴーン
 
 
 私は独り歩いて行く。
 その足取りは軽く、迷いなどはない。
 一歩一歩進む度に内から溢れ出る闘気が私にそうさせていた。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 母と別れの挨拶を済ませ、私は自室に戻るとすぐに服を脱ぎ浴室へと向かう
 冷たい水で体を清めた私は自分で縫った作務衣を着た。
 ボロ布を縫い合わせて作ったそれは歪ではあったが、それでもエヴァには
 いつも着ていたドレスよりもしっくりときた。


 そうすると彼女の頭の中で鐘の音が鳴り響く。
 
 
 ゴーン ゴーン ゴーン
 
 
 その鐘の音が彼女を導いてくれるのだ。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 ゴーン ゴーン ゴーン


 彼女の目の前には王宮が見える。
 あの糞野郎がいる王宮が目の前に見える。
 エヴァはゆっくりと胸の前で手を合わせると
 左手に弓、右手に矢が顕現し、エヴァは弓をギギギギと引くと放った。
 
 
 その矢はキュルルルルルと飛んでいき、そして王宮へと突き刺さると爆ぜた。
 
 
 ドゴーン
 
 
 王宮から上がる煙が開戦の狼煙となる。
 
 
 ロランド王子はエヴァを本気で怒らせてしまったのだ。
 
 
 


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