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暗躍
しおりを挟む「いつ行こうか。お前忙しそうだから予定開けられるか不安だな」
社会科準備室から追い出されてから会長がそう切り出した。
「俺はいつでも大丈夫ですけど、でも2人でいるところ誰かに見られたら……」
「それに関しては安心してくれ。今後竜介の安全は俺が万全を尽くして保証するから」
「いや……どっから来るんですかその自信」
「とにかく。確認なんだが」
「はい」
会長が俺を少し不安そうな顔で見下ろしてきて、それから意を決したように屈んで俺に目線を合わせてきた。
「俺と龍介は付き合ってるという認識で合ってるよな?」
「お……お試し期間、なんでしょう?」
「は? あー。確かにそんなこと言ったっけか。でもあれから時間経ってるし。お互い忙しくてあんま2人の時間取れなかったけど、お試し期間は終了で本交際にしよう。な?」
「えっと……」
「まぁ、聞いといてなんだが、お前に拒否権はないんだけどな。あっはは」
会長は「日時はまた連絡するから一緒に決めような」と言って笑いながら去って行った。
やっぱり今日の会長は薬でも決めたのかと疑うほどにテンションが高かった。
「なぁ、付き合う前と付き合ったあとでさ、盛大にキャラが違う……なんてことあると思う?」
またもや俺は食堂で食事中に和葉にこっそりと聞いた。
「なに? この間から。もしかして龍、誰かと付き合ってるの?」
「いや、全然そんなんじゃないんだけど、決してそう言うことじゃないんだけども、例えばそんあことってあるのかなぁって思ってさ」
「何それ。すごいデジャブな会話な気がするんだけど、気のせい? まぁ……、付き合ってからのキャラが違うなんてこと、そりゃああるでしょ。恋人なら素を見せたりもするだろうし、恋人とそれ以外とは態度変えたりもするんじゃない?」
「こ、恋人、だからなの?」
「いや、知らないけどさ」
そっか。恋人だから会長は俺に素を見せてくれてるのか。
何それめっちゃ嬉しいな。
「そういえば龍、最近全然遊んでないよね。やっぱ本命ができたんじゃないの?」
「あ、遊んでないけど? 最初から」
「いやいや、ちょっと前まで見境なく抱きまくってたじゃん」
「ぅ……」
「まぁ、でも龍って最近特に可愛くなったよね。なんかこう、人間らしさが出てきた気がする」
「そ、そうかな? ってか俺人間だと思われてなかった?」
「いやそーゆうんじゃないけど、最初の頃はやっぱ壁ある感じだったけど、最近はなんか恋する乙女みたいな」
「えー。まぁでも。和葉にはやっぱり言っといたほうがいいよな。俺本命はできた。一応付き合ってるよ」
「って、さらりと! やっぱ恋人できたのか。そんな気はしてたんだよね」
「だけどさ、俺に恋人ができたなんてみんな知らないはずなのに、抱いてた子たちに最近誘われなくなったんだよね。もちろん、俺はもう遊んだりしないから、それはいいことなんだけど、全員がパタっと誘ってこなくなったの、怖くない?」
「全員がパタりと? それは龍。絶対に君の彼氏が何かしてるよ。誰だかは知らないけど龍にバレない所でやるってのが、独占欲強そうな人と付き合ってんだね」
え、会長が?
そんなことしてなさそうだけど。
どうだろう。
「今日、メールくるだろうから聞いてみようかな」
「聞くにしても地雷踏まないようにね」
「地雷? 分かんないけど大丈夫。ありがとう和葉!」
そうして俺は放課後、メールで会長に聞いてみることにした。
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