15 / 83
庶務
しおりを挟む
「リーンちゃんっ。抱いてあげようかー?」
「何度も言ってますけど~、僕は会長さま一筋ですのでぇ」
体育祭が終わって数日経ったがあれから会計のウザさが違う種類になった。
直接的に喧嘩を売られることはなくなったが事あるごとに抱いてあげるだの何だの言われるようになったのだ。
俺は逃げるように生徒会室を後にして教室に戻った。
朝のホームルームまではまだ少し時間があり、俺の席にはいつものように琢磨がいた。
「リン~。おはよっ」
「おはよう。書記さま」
「そういえばランキング張り出されてるの、見た?」
「ランキング?」
「リン知らないの!? 抱きたい生徒ランキングと抱かれたい生徒ランキングだよ!」
「へぇ~。僕はあまり興味ないかなぁ。でもきっと会長さまは抱かれたいランキング1位なんだろうね~?」
「あとで一緒に見に行こうよ!」
「うん、いいよ~」
そんなこんなで俺は特に興味もなかったが、昼ご飯の前にランキングを見にいくことになった。
お昼の時間になりそのランキングが掲示されていると言う場所に向かうと人だかりができていて、俺が来た事でサーと人が引いていった。
「わ! 見てリン! リンがランクインしてるよ!」
「え~、見間違いでしょ~」
俺も見てみると、抱かれたいランキング9位、抱きたいランキング5位にランクインしていた。
嘘だろ。
いやいやないない。
でもやっぱり載ってる。
「まじか……」
「多分この間の体育祭の影響じゃないかな? ほらめちゃくちゃ活躍して1年生のMVP受賞してたでしょ? それに女装で可愛い姿も見せてたし」
「だけど俺」
「わぁ!!」
急に琢磨が叫んでびっくりして琢磨を見ると小声で「俺って言っちゃってるよ!」と怒られた。
俺としたことが驚きすぎて我を忘れてしまっていたようだ。
急いでいつもの一服エリアに向かってベンチに座って一息ついた。
「琢磨!!!」
琢磨と2人で談笑しながら弁当を食べていると悲痛そうな声で誰かが叫んだ。
見ると琢磨と同じ顔をした生徒だった。
ああ。こいつは琢磨の双子の兄弟の庶務か。
「和馬……」
「琢磨! なんで最近そいつとばっかり居るんだよっ。そいつのことは嫌いだったろ!?」
「和馬。前にも言ったけど、リンは僕が襲われそうになってるところを助けてくれたんだ。話してみたらいい奴だったんだ」
「そんなのっ。琢磨に取り入るためにわざと琢磨を襲わせて、助けに入っただけかもしれないだろ!」
「和馬。それはないって何回も言っただろ。大体、リンが僕に取り入って何の得があるの」
「こいつは会長が好きなんだろ! 琢磨に取り入れば会長に近づけるとでも思ったんだろ!」
叫び続ける庶務の目の下には黒い隈ができていた。
そんな庶務を見て琢磨は悲しげに笑った。
「リンは僕のことも、会長のことも好きじゃないよ。僕に取り入るつもりが有ってくれたらどれほど良かったことか。とにかくリンは僕を助けてくれた恩人なんだ。いつまでもそんな態度でいないで欲しい」
「っ。襲われた、助けられたって……襲われる方にも問題があるんじゃないの!!?」
その言葉を聞いて琢磨は握っていた手を庶務に振り上げようとした。
寸前のところで俺が腕を止めると、庶務は目に涙を浮かべて俺を睨んで走って逃げていってしまった。
「何度も言ってますけど~、僕は会長さま一筋ですのでぇ」
体育祭が終わって数日経ったがあれから会計のウザさが違う種類になった。
直接的に喧嘩を売られることはなくなったが事あるごとに抱いてあげるだの何だの言われるようになったのだ。
俺は逃げるように生徒会室を後にして教室に戻った。
朝のホームルームまではまだ少し時間があり、俺の席にはいつものように琢磨がいた。
「リン~。おはよっ」
「おはよう。書記さま」
「そういえばランキング張り出されてるの、見た?」
「ランキング?」
「リン知らないの!? 抱きたい生徒ランキングと抱かれたい生徒ランキングだよ!」
「へぇ~。僕はあまり興味ないかなぁ。でもきっと会長さまは抱かれたいランキング1位なんだろうね~?」
「あとで一緒に見に行こうよ!」
「うん、いいよ~」
そんなこんなで俺は特に興味もなかったが、昼ご飯の前にランキングを見にいくことになった。
お昼の時間になりそのランキングが掲示されていると言う場所に向かうと人だかりができていて、俺が来た事でサーと人が引いていった。
「わ! 見てリン! リンがランクインしてるよ!」
「え~、見間違いでしょ~」
俺も見てみると、抱かれたいランキング9位、抱きたいランキング5位にランクインしていた。
嘘だろ。
いやいやないない。
でもやっぱり載ってる。
「まじか……」
「多分この間の体育祭の影響じゃないかな? ほらめちゃくちゃ活躍して1年生のMVP受賞してたでしょ? それに女装で可愛い姿も見せてたし」
「だけど俺」
「わぁ!!」
急に琢磨が叫んでびっくりして琢磨を見ると小声で「俺って言っちゃってるよ!」と怒られた。
俺としたことが驚きすぎて我を忘れてしまっていたようだ。
急いでいつもの一服エリアに向かってベンチに座って一息ついた。
「琢磨!!!」
琢磨と2人で談笑しながら弁当を食べていると悲痛そうな声で誰かが叫んだ。
見ると琢磨と同じ顔をした生徒だった。
ああ。こいつは琢磨の双子の兄弟の庶務か。
「和馬……」
「琢磨! なんで最近そいつとばっかり居るんだよっ。そいつのことは嫌いだったろ!?」
「和馬。前にも言ったけど、リンは僕が襲われそうになってるところを助けてくれたんだ。話してみたらいい奴だったんだ」
「そんなのっ。琢磨に取り入るためにわざと琢磨を襲わせて、助けに入っただけかもしれないだろ!」
「和馬。それはないって何回も言っただろ。大体、リンが僕に取り入って何の得があるの」
「こいつは会長が好きなんだろ! 琢磨に取り入れば会長に近づけるとでも思ったんだろ!」
叫び続ける庶務の目の下には黒い隈ができていた。
そんな庶務を見て琢磨は悲しげに笑った。
「リンは僕のことも、会長のことも好きじゃないよ。僕に取り入るつもりが有ってくれたらどれほど良かったことか。とにかくリンは僕を助けてくれた恩人なんだ。いつまでもそんな態度でいないで欲しい」
「っ。襲われた、助けられたって……襲われる方にも問題があるんじゃないの!!?」
その言葉を聞いて琢磨は握っていた手を庶務に振り上げようとした。
寸前のところで俺が腕を止めると、庶務は目に涙を浮かべて俺を睨んで走って逃げていってしまった。
32
お気に入りに追加
1,386
あなたにおすすめの小説
王道学園と、平凡と見せかけた非凡
壱稀
BL
定番的なBL王道学園で、日々平凡に過ごしていた哀留(非凡)。
そんなある日、ついにアンチ王道くんが現れて学園が崩壊の危機に。
風紀委員達と一緒に、なんやかんやと奮闘する哀留のドタバタコメディ。
基本総愛され一部嫌われです。王道の斜め上を爆走しながら、どう立ち向かうか?!
◆pixivでも投稿してます。
◆8月15日完結を載せてますが、その後も少しだけ番外編など掲載します。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
掃除中に、公爵様に襲われました。
天災
BL
掃除中の出来事。執事の僕は、いつものように庭の掃除をしていた。
すると、誰かが庭に隠れていることに気が付く。
泥棒かと思い、探していると急に何者かに飛び付かれ、足をかけられて倒れる。
すると、その「何者か」は公爵であったのだ。
総受けなんか、なりたくない!!
はる
BL
ある日、王道学園に入学することになった柳瀬 晴人(主人公)。
イケメン達のホモ活を見守るべく、目立たないように専念するがー…?
どきどき!ハラハラ!!王道学園のBLが
今ここに!!
全寮制男子高校生活~行方不明になってた族の総長が王道学園に入学してみた~
雨雪
BL
スイマセン、腐男子要素どこいった状態になりそうだったんでタイトル変えました。
元、腐男子が王道学園に入学してみた。腐男子設定は生きてますがあんま出てこないかもです。
書いてみたいと思ったから書いてみただけのお話。駄文です。
自分が平凡だと本気で思っている非凡の腐男子の全寮制男子校での話。
基本思いつきなんでよくわかんなくなります。
ストーリー繋がんなくなったりするかもです。
1話1話短いです。
18禁要素出す気ないです。書けないです。
出てもキスくらいかなぁ
*改稿終わって再投稿も終わったのでとりあえず完結です~
噂の補佐君
さっすん
BL
超王道男子校[私立坂坂学園]に通う「佐野晴」は高校二年生ながらも生徒会の補佐。
[私立坂坂学園]は言わずと知れた同性愛者の溢れる中高一貫校。
個性強過ぎな先輩後輩同級生に囲まれ、なんだかんだ楽しい日々。
そんな折、転校生が来て平和が崩れる___!?
無自覚美少年な補佐が総受け
*
この作品はBのLな作品ですので、閲覧にはご注意ください。
とりあえず、まだそれらしい過激表現はありませんが、もしかしたら今後入るかもしれません。
その場合はもちろん年齢制限をかけますが、もし、これは過激表現では?と思った方はぜひ、教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる